集英社新書作品一覧

  • 読書狂の冒険は終わらない!
    3.9
    大ヒット古書ミステリー『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズの作者・三上延は古書店勤務時代に本の査定まで手掛けていた筋金入りの書物通。一方、ビブリオアクションシリーズ『R.O.D』の倉田英之も「欲しい本はいま持ってない本、全部」と言い切るほどの本マニア。ベストセラー作家にして稀代の「読書狂」の二人が「読まずにはいられない」名作・傑作・奇本・珍本の数々を、丁々発止で語り合うビブリオバトルが開幕! 博覧強記の二人が惜しみなく出し合う秘蔵の「読書ネタ」を収めた本書は、唯一無二のブックガイドである。【目次】まえがき 三上 延/第1章 モダンホラーは最高だ!/第2章 乱歩と横溝と風太郎と/第3章 映画と本の怪しい関係/第4章 「挫折本」もまた楽し/第5章 珍本・奇本が大好物/第6章 ああ、思い出のトラウマ本/第7章 『ビブリア』『R.O.D』打ち明け話/第8章 古本・古雑誌は宝の山/第9章 本、愛あればこそ/第10章 本の未来を語ってみよう/あとがき 倉田英之
  • 貧乏人は医者にかかるな!
    3.6
    医師不足は単に産科や小児科、また地方の問題ではない! これからは外科をはじめあらゆる科で医師の数は足りなくなる。厚労省が公開しているデータから医師不足の現状と原因を分析、団塊の世代が後期高齢期に向かう今後の日本の医療の進む方向を探る。アメリカ流金持ち優先型か、イギリス流シビアな待機型か、あるいは日本独自の道があるのか。国民が医療難民にならないための自衛策と国を挙げての解決策を提言する。【目次】はじめに/第1章 表面化する医師不足 /第2章 医師不足は現実である/第3章 なぜ医師は不足したのか/第4章 医療訴訟が医師不足を加速する/第5章 2025年の真実/第6章 イギリスの惨状/第7章 日本が採り得る医師不足対策/第8章 医者不足時代を生きる/おわりに
  • B級グルメが地方を救う
    3.0
    地方の人口減少や不況の影響で、大都市に比べ地方経済の冷え込みは一段と厳しいものになっている。様々な地域振興策が国や地方自治体の主導で行われてきたが、それも成功したとは言い難い。そんな中、「食」をテーマにした地域おこしが注目されている。宇都宮市の餃子や富士宮市のやきそばは全国区の人気を博し、多くの観光客を集めている。値段も安く、それでいて美味なローカルフード、いわばB級ご当地グルメを地域振興にいかに活用していくか……。B級グルメをこよなく愛する自治体格差研究の第一人者が、各地の注目株を紹介しつつ具体的な方策を提言する。【目次】序章/第一章 各地で盛り上がるB級グルメフェスティバル/第二章 三大焼きそばの街/第三章 実は十大焼きそば?/第四章 餃子日本一はどこだ/第五章 とんカツ列伝/第六章 はばたけやきとり達/第七章 身も心も温まるおでんの街/第八章 個性いっぱいのコナモン達/第九章 麺もいろいろ/第一〇章 ご飯ものもいろいろ/第十一章 まだまだあるぞB級グルメ/第十二章 B級グルメを科学する?/第十三章 B級グルメが地方を救う!/第十四章 B級グルメ検定!/附録 都道府県別B級グルメ/おわりに
  • ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち
    4.0
    【「教養=ビジネスの役に立つ」が生む息苦しさの正体】 社交スキルアップのために古典を読み、名著の内容をYouTubeでチェック、財テクや論破術をインフルエンサーから学び「自分の価値」を上げろ――このような「教養論」がビジネスパーソンの間で広まっている。 その状況を一般企業に勤めながらライターとして活動する著者は「ファスト教養」と名付けた。 「教養」に刺激を取り込んで発信するYouTuber、「稼ぐが勝ち」と言い切る起業家、「スキルアップ」を説くカリスマ、「自己責任」を説く政治家、他人を簡単に「バカ」と分類する論客……2000年代以降にビジネスパーソンから支持されてきた言説を分析し、社会に広まる「息苦しさ」の正体を明らかにする。 【おもな内容】 第一章 ファスト教養とは?―「人生」ではなく「財布」を豊かにする 「ファスト教養」と「教養はビジネスの役に立つ」/「教養」と「金儲け」をつなぐ「出し抜く」 第二章 不安な時代のファスト教養 「脅し」としての教養論/読書代行サービスとしての「中田敦彦のYouTube大学」/世界のエリートのように「美意識」を鍛える必要はあるか/ファスト教養は「オウム」への対抗策になるか 第三章 自己責任論の台頭が教養を変えた 「ホリエモンリアルタイム世代」が支えるファスト教養/勝間和代は自分の話しかしない/教養×スキルアップ=NewsPicks/橋下徹と教養の微妙な関係/ひろゆきが受け入れられた必然/ファスト教養に欠落しているもの 第四章 「成長」を信仰するビジネスパーソン インタビュー1 着々とキャリアアップする三〇代/インタビュー2 大企業で自問自答する二〇代 第五章 文化を侵食するファスト教養 「ファスト映画」と「ファスト教養」/ファスト教養視点で読み解く『花束みたいな恋をした』/AKB48と「ネオリベ」/利用される本田圭佑/「コスパとエンターテインメント」の先に何を見出すか 第六章 ファスト教養を解毒する ファスト教養をのぞくとき、ファスト教養もまたこちらをのぞいているのだ/リベラルアーツとしての雑談、思考に必要なノイズ/「ジョブズ」を理解する受け皿になる
  • 不安が力になる――日本社会の希望
    4.0
    日本は衰退しつつある国家だ――。多くの日本人がそのような感覚を抱いているようにみえる。しかし、日本は決して衰退などしていない。物質的な欲求の充足が幸福ではないということに、日本人は不安を感じつつも気づき始めている。成熟社会となった日本は、成長至上主義的な価値観から、世界に先駆けて抜け出し始めているのだ。人々が抱いている不安は、その過程の産物に他ならない。日本人が知らない日本の素晴らしさとは何か。90年代バブル崩壊直後に日本に留学し、米英独の大学に研究員として赴任、慶應義塾大学で教鞭をとった著者が、日本社会の希望と新しい幸福観について論じる。【目次】第一章 日本は沈んでいない/第二章 自分の人生は自らデザインする/第三章 世代を超えて調和する/第四章 美しく生きる/あとがき 不安を力に変える人生
  • フィンランド 幸せのメソッド
    4.3
    日本が目指すべき社会についてのインスピレーションを与えてくれる。 ――山口周氏(独立研究者・著作家) 「人こそ資源」ってどういうこと? 世界一幸福な国には、学ぶべきヒントがいっぱいです。 ――小島慶子氏(エッセイスト) 2018年から2022年にかけて、5年連続で「幸福度世界一」を達成。 首都ヘルシンキは2019年および2021年には「ワークライフバランス世界一」に輝き、国連調査の「移民が感じる幸福度」ランキングでも第1位(2018年)。 他にも「SDGs達成度ランキング」で世界一(2021年)、「ジェンダーギャップ指数」で第2位(2021年)など、数々の指標で高い評価を受けているフィンランド。 その背景にあるのは、“人こそが最大の資源で宝”という哲学です。 立場を問わず全ての国民が平等に、そして幸福に暮らすことを可能にする、驚くべき「仕組み」とはいかなるものなのでしょうか。 そして、日本はそこから何を学べるのでしょうか? 最新の情報もふんだんに盛り込んだ、驚きにあふれる一冊です。 【本書で紹介する「仕組み」の例】 ・優秀な若者を積極的に抜擢し、ベテランは陰から支える文化 ・男女平等への取り組みを企業や学校に求める「平等法」 ・児童手当、親休暇、職場復帰を保証してくれる「在宅保育の休業制度」……子育て・共働き世帯を助ける様々な手当と休暇 ・小学校から大学院博士課程まで学費無料、さらに大学以降は生活手当と住居手当まで支給!? ・もはや「学力向上」なんて時代遅れ! フィンランドの学校の最新事情 ・誰でも無料で利用できる出産・子育ての専門医療施設「ネウボラ」 ・新生児が誕生すると国から贈られる、赤ちゃん用品が一式詰まった「育児パッケージ」 ・起業ブームの背景にある大学教育と、スタートアップ手当などの豊富な公的支援 ・国民の声を政府に届けて、同性婚の合法化をもたらした「国民発案制度」
  • フィンランド 豊かさのメソッド
    3.8
    経済協力開発機構(OECD)による生徒の学力調査(PISA)で、フィンランドの子どもたちがトップの成績を挙げて以来、その教育のあり方に注目が集まっている。またフィンランドは、世界経済フォーラム(WEF)の国際競争力ランキングでも、何度も1位に輝くなど、経済的にも発展している。充実した福祉、女性の社会進出、透明性の高い税金の使途……日本とは対極的とも言える、その成長の秘密は、どこにあるのだろうか。現地の大学院留学など、フィンランドで過ごした貴重な体験をもとに語る、“不思議で豊かな国”の素顔。【目次】はじめに へえー、フィンランド? 日本人には馴染みの薄い国だが……/第1章 不思議でとても豊かな国~失業率二〇%から国際競争力一位へ/第2章 学力一位のフィンランド方式~できない子は作らない/第3章 税金で支えられた手厚い社会~独立心が旺盛でたくましい女性/第4章 日本と似ている? フィンランド文化~異文化コミュニケーション/おわりに
  • 風景は記憶の順にできていく
    4.0
    著者は、自身の原点となった様々な“街”に再会する旅に出る。浦安、銀座、熱海、浅草、四万十川、石垣島の白保、銚子……。日本各地を巡る旅は、これまでの人生に堆積してきた記憶の断層を掘るかのようで、なつかしい風景に心震わせ、感無量となることもあれば、思いがけず困惑し落胆することもあった。作家の原点となった街やいまだ昭和の空気をまとう町など、現在の風景を入り口に記憶をたどる。【目次】浦安――海は遠くに去り もう青べかもなかった/新橋・銀座――かわらない 風もときおり吹いて/武蔵野――雑木林がなくなった なつかしい武蔵野のからっ風/熱海――老衰化「熱海」万感の一五〇〇円/中野――中野ブロードウェイ 成功した換骨奪胎/神保町――まだまだ安心/浅草――雨の浅草でよかったような/四万十川――変わらないチカラ/石垣島の白保――珊瑚の海は守られた/舟浮――イリオモテ島「舟浮」 チンチン少年を探しに/銚子――地球はまだまだ丸かった 銚子の灯台、近海キハダマグロ/新宿――旅人は心のよりどころに帰ってくる
  • フェルメール 静けさの謎を解く
    3.3
    レンブラントやゴッホと並び、いまやオランダを代表する画家になったフェルメール。彼には“静謐(せいひつ)の画家”という異名が冠せられている。しかし、「なぜフェルメールの絵が静かなのか」という問題が真正面から語られたことはなく、専門書にもその理由は記されていない。本書は、フェルメールの絵における色彩や構図、モチーフ、光などへの考察をはじめ、17世紀オランダの時代背景や精神文化に至るまでを分析し、フェルメールの静けさの謎に迫る。【目次】はじめに/第一章 フェルメールブルー/第二章 構図と素材の秘密/第三章 女たちの姿態/第四章 剥奪される意味/第五章 穏やかな光、霞む空気/第六章 静けさを描くことの理由/第七章 静かでないフェルメール/あとがき
  • 14歳〈フォーティーン〉満州開拓村からの帰還
    3.6
    「昭和」を見つめ、一貫して戦争や国家を問うてきた著者の原点となったのは、1945年、14歳での敗戦体験だった。家族と渡った満州・吉林。敗戦後の難民生活は一年に及ぶ。「棄民」ともいうべき壮絶な日々、そして一家での日本への引き揚げ……。14歳という多感な少女が軍国少女となり、日に日に戦争に巻き込まれていく様を、自身の記憶と膨大な資料から丁寧に回顧し綴る。【目次】少女の行程/澤地家家系図/吉林市の街中の地図/はじめに/第一章 十四歳の少女/第二章 秘密/第三章 王道楽土/第四章 戸籍謄本/第五章 学徒動員・無炊飯/第六章 水曲柳開拓団/第七章 八月十五日・敗戦/第八章 いやな記憶/第九章 蟄居の日々/第十章 内戦下/第十一章 旧陸軍兵舎/第十二章 日本へ/おわりに
  • 福沢諭吉 「一身の独立」から「天下の独立」まで
    3.0
    幕末から明治にかけて、来たるべき近代国家の在り方を構想した大思想家、福沢諭吉。 既存の研究では、彼の武士としての前半生は、ほとんど重視されてこなかった。 だが、未知の文明の受容と理解を可能にするためには、何らかの器が必要だったはずだ。 本書では、福沢の中で儒学の枠組みと西洋がいかに響き合い、どのような変化がもたらされたかを丹念に描く。 家族や男女関係など「私的領域」を含む社会を見据え、西洋思想の直輸入ではない「自由」と「独立」への道筋を示した、鮮烈な福沢諭吉論の誕生! 【目次】 はじめに――「議論の本位を定める」(『文明論之概略』第一章) 一、福沢の前半生――「一身にして二生を経る」(『文明論之概略』緒言) 二、西洋から学ぶ――「文字は観念の符号」(「福沢全集緒言」) 三、『中津留別の書』――「万物の霊」としての人間 四、『学問のすすめ』――自由と「一身の独立」 五、『文明論之概略』――文明と「一国の独立」 六、「徳」論の変化――「主観の自発」か「客観の外見」か 七、男女関係論――「一家の独立」 八、理想社会としての「文明の太平」――「天下の独立」 引用・参考文献 あとがき
  • 福島が沈黙した日 原発事故と甲状腺被ばく
    4.5
    福島原発事故後の甲状腺被ばく測定、裏で仕組まれた歪曲と隠蔽の工作。なぜ被災者は裏切られたのか――。執念の調査報道で明らかになった衝撃の新事実が、今ここに。2021年3月で発生から10年となる福島原発事故。時間の経過とともに事実究明や責任追及が希薄になるなか、今現在も放射線の影響で生じうる健康被害を懸念する人々が多数いることを忘れてはならない。本書は、新聞記者である筆者が被害の核心とされる甲状腺被ばくに切り込み、国や県が実態把握を怠った狡猾な工作を告発する書である。彼らが認めていない放射線被害がいかに隠蔽・歪曲されたか――。綿密な情報開示請求で得た膨大な量の文書とその解析、関係者への周到な聞き取り取材により、衝撃の真相に迫る。
  • 不幸な国の幸福論
    3.9
    経済は破綻し格差は拡大する一方、将来への希望を持つことが難しい日本にあって、「幸せ」は遠のくばかりと感じている人は多い。しかし、実は日本人は自ら不幸の種まきをし、幸福に背を向ける国民性を有しているのではないか――。精神科医、心理学者でもある作家が「幸せになれない日本人」の秘密を解き明かし、幸福になるための発想の転換法を伝授する。追い求めている間は決して手に入れることのできない「幸福」の真の意味を問う、不幸な時代に必読の書。【目次】第一章 幸福を阻む考え方・生き方/第二章 「不幸増幅装置」ニッポンをつくったもの/第三章 幸福は「しなやか」な生に宿る/第四章 幸せに生きるための「老い」と「死」/あとがき
  • 「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか
    4.0
    日本全体が短期的な利益追求に走り、ブラック企業がはびこる中で、首都圏を中心に130店舗以上を展開する立ち食いそばチェーン「富士そば」は真逆を行く。アルバイトにもボーナスや有給休暇を支給し、社員には年間1000万円を超える報奨金や、さらには海外旅行までもが用意されているのだ。富士そばが、ここまで従業員を大切にする理由はいったい何なのか? 創業以来40年以上の歴史を持ち、現在も成長を続ける老舗チェーン店の「ふしぎ」な仕組みと経営哲学の全貌を、創業者自らが明かした驚きの一冊。【目次】はじめに/第一章 なぜアルバイトにボーナスを出すのか/第二章 富士そばが誕生するまで/第三章 人を育てるにはどうすれば良いか/京急蒲田店・保科由樹店長が語る「富士そば」と丹会長/第四章 商売のコツとは何か/津田沼店・花木幸輔店長が語る「富士そば」と丹会長/第五章 経営者の役割とは何か/藤枝健司常務が語る「富士そば」と丹会長/第六章 富士そばでは、なぜ演歌が流れているのか/おわりに
  • 不敵のジャーナリスト 筑紫哲也の流儀と思想
    4.0
    08年に亡くなる直前、筑紫哲也は長い間キャスターを務めたTBS「NEWS23」に出演、自身の病に引き寄せ、「この国のガン」と題して未来にも過去にも投資しない日本の現状を辛辣に、しかしいつも通り穏やかな語り口で批判し、番組出演の幕をひいた。新聞、雑誌、テレビ、それぞれに新境地を拓いた希代のジャーナリスト。ぶれない軸を持って巨大な権力や組織と闘い抜いたその実像を、政治記者の原点を綴った未刊行の自筆メモや知人、家族の証言など多様な角度から描き出す。憲法や安全保障など国家の根幹をめぐる議論が沸騰し、拡大する格差など社会不安を背景に、社会が危険な熱を帯びる時代の、必読の書である。【目次】はじめに/第一章 生涯を貫いた三本の軸/第二章 根っからのカントリーボーイ/第三章 平熱のジャーナリスト/第四章 風圧のなかで/第五章 人間嫌いの人間好き/おわりに/筑紫哲也 略年表
  • 普天間・辺野古 歪められた二〇年
    5.0
    「仲井眞知事の豹変と魂の飢餓を訴える翁長知事登場の謎を解く。普天間・辺野古問題の行方を考える必読の書」(鳥越俊太郎氏)。普天間基地移設と辺野古新基地建設を巡り、政府と沖縄県の対立が深刻化している。そもそも長年の過重な基地負担を軽減し、沖縄と“本土”の紐帯を取り戻すための「返還合意」が、なぜ民意を踏みにじる辺野古新基地建設の強行に転じてしまったのか。「普天間返還」を引き出した橋本首相の「トップダウン」は本当か? 突如浮上した「海上基地」の謎。「最低でも県外」を葬った「六五海里」の出所は? 不可解さに覆われた「普天間・辺野古二〇年」の実相に迫る。【目次】関連地図/はじめに 渡辺 豪/第一章 橋本龍太郎の「賭け」と「代償」/第二章 小泉純一郎政権下の「普天間」/第三章 鳩山由紀夫政権と「最低でも県外」/第四章 「粛々と実行を」――安倍晋三政権/終章 「歪められた二〇年」/おわりに 宮城大蔵/註/関連年表
  • 不登校でも学べる 学校に行きたくないと言えたとき
    4.5
    【もう無理に学校に行かなくていい】 ●不登校という選択は誰にでも起こりえる ●むしろ、いまの学校制度に過剰適応することは危険ですらある ●少子化にもかかわらず、不登校の子ども・生徒の数は過去最高を記録している このような問題意識から、本書は生まれました。 最近では、教育現場でも無理やり登校させる指導は減りつつありますが、一方で、不登校の子どもたちの学び場は整備の途上です。 本書は、子どもたちが最適な学び場を選ぶ際の指針となるよう取材しました。 【本文より】 不登校をテーマにした本は、たくさんあります。 多くは、わが子の不登校に強い不安を感じている親の心に寄り添ってくれるような本です。 当事者による体験談も人気です。 不登校が起こる原因や構造を学術的に解明しようとする本もあります。 でもこの本は、いずれでもありません。 多くの親がイメージする一般的な「学校」に行かなくても、学べる場所がこれだけある、と紹介する本です。 そうすることで、「学校」に行かなくてもいきなり詰んだりはしないと伝えたい。(中略) 子どもの人生における学校の比重を減らせれば、子どもたちが学校で感じるストレスは減るはずです。 そうすれば、不登校はもちろん、いじめだって減るはずです。 【本書に登場する主な学び場】 ●不登校特例校――星槎中学高等学校、西濃学園中学校・高等学校、岐阜県立草潤中学校 ●フリースクール――星槎ジュニアスクール、スマイルファクトリー、広島県スペシャルサポートルーム ●私学の生徒向け不登校支援センター――神奈川県私学修学支援センター ●オンライン不登校支援プログラム――カタリバroom-K ●通信制高校――星槎国際高等学校、目黒日本大学高等学校通信制課程 ●不登校経験者が集う普通科高校――北星学園余市高等学校 ●ホームスクール――ホームスクール&エデュケーション家族会、日本ホームスクール支援協会 ●不登校専門塾――ビーンズ ●平日昼間の居場所――いもいも 森の教室 など多数(順不同)
  • 不平等をめぐる戦争 グローバル税制は可能か?
    4.0
    名だたる大企業や著名人がタックス・ヘイブン(租税回避地)を利用して“合法的”脱税を行う実態を白日の下にさらした「パナマ文書」。それが示したのは、あまりにも不公平で一方的な富の収奪の世界だった。諸国民の税により築かれたインフラを利用し巨額の利益をあげながら、ほとんど納税しない大企業や富裕層の存在。租税を回避する巨額の富に対していかにして課税できるか? グローバル税制の考え方と仕組み、そしてその可能性を示したのが本書である。環境問題から貧困問題まで、これらを一挙解決できる財源は、ここにある。【目次】はじめに/第一章 パナマ文書の衝撃/第二章 富の偏在を可視化すること/第三章 グローバル・タックスの可能性/第四章 グローバル・タックス実現のためのステップ/第五章 政治と現実を動かすために/第六章 グローバル・ガヴァナンス――EUの夢/おわりに 不平等と戦う人々/あとがき
  • フランス反骨変人列伝
    4.0
    フランスの歴史を注意深くひもとくと、正史にはめったに登場しない魅力的な奇人・変人に出会うことが出来る。国王、国家、法制度等への反逆であったり、その逆に忠誠であったりと、その逸脱した人生は様々だが、彼らに共通しているのは、自分自身の生き方に徹した反骨の精神である。そして、世間に逆らって自分を貫いた人間たちには、どこかしら時代を超えた普遍性が感じられる。本書は、その中でも極めつきの、それでていて日本ではほとんど紹介されていない四人の人物、モンテスパン侯爵、ネー元帥、犯罪者詩人ラスネール、死刑執行人・六代目サンソンを取り上げる。【目次】まえがき/第一章 モンテスパン侯爵/第二章 ネー元帥の悲劇/第三章 犯罪者詩人、ラスネール/第四章 六代目サンソン/あとがき
  • 武器としての国際人権 日本の貧困・報道・差別
    4.3
    【推薦!】 「『思いやり』に頼らず『国際人権』の実現を! 日本を世界と未来へと拓く道標がここに。」 中野晃一 氏(政治学者、上智大学国際教養学部教授) 「人権後進国を変えるためには、差別を放置せず、権利保障のため声を上げなければならない。それには国際人権の正しい理解が『武器』になる。」 望月衣塑子 氏(東京新聞記者) 【国際人権の視点から日本を考える】 私たちは、生活のあらゆる場面において人権を「行使」している。 しかし、国際的な人権基準と照らし合わせてみると、日本では人権が守られていない。 コロナによって拡大した貧困問題、損なわれ続ける報道の自由、なくならない女性の差別や入管の問題……そうした問題の根幹には、政府が人権を保障する義務を守っていないことがある。 その状況を変えるためにはどうすればいいのか。 国際人権機関を使って日本の問題に取り組む第一人者が、実例を挙げながらひもとく。 【目次】 第一部 国際人権とは何か 第一章 人権とは?――「思いやり」と「人権」は別物だ 第二章 国際人権をどう使うか 第二部 国際人権から見た日本の問題 第三章 もっとも深刻な人権侵害は貧困 第四章 発展・開発・経済活動と人権 第五章 情報・表現の自由 第六章 男性の問題でもある女性の権利 第七章 なくならない入管収容の人権問題 【おもな内容】 ◆生活保護のアクセスのしにくさが抱える問題 ◆国連から問題視されている秘密保護法・共謀罪 ◆メディアに必要な「独立性」と「連帯」 ◆夫婦同一姓の強制は条約違反 ◆国際人権法に反する日本の入管法 ◆国連からの勧告を知ることで、これからの日本を変える
  • 武術と医術 人を活かすメソッド
    4.2
    経済を優先するあまり、自然環境のみならず伝統的な人間のつながりをも破壊する現代文明への疑問から武術の世界へ身を投じた武術研究者、甲野善紀。一方、西洋偏重の医療界に限界を感じ、代替医療を選択肢に入れた統合医療を実践する医師、小池弘人。この二人が、科学、医療、スポーツ等における一方的な「正統性」を懐疑し、人を活かすための多様なメソッドを提言する。特定の見方、方法論の呪縛を離れ、虚心にリアルな生に向き合う事で、自分自身にとっての人生の「最善手」が見えてくる。武術と医術の叡智が交錯するスリリングな対談。【目次】序 「武」を通じ私は何と闘ってきたのか 甲野善紀/第一章 体をどう捉えるのか/第二章 「科学的」という呪縛/第三章 二分割思考で世界は分かるか/第四章 未知に開かれているということ/第五章 美意識が決める生き方/補遺 統合医療の現在地 小池弘人/跋 「医」を通じ私は何をあつかっていくのか 小池弘人/参考文献
  • 部長、その恋愛はセクハラです!
    3.8
    現実に生じるセクハラは、お役所や会社、大学が発行している防止パンフレットや各種マニュアルの事例とはだいぶ違うものである。結局、この問題の難しさは、ほとんどのセクハラが、グレーゾーンで生み出される点にこそあるのだ。なぜ女性ははっきりとノーと言わないのか、男性はなぜ気づかないのか。恋愛がらみの二つのパターン、妄想系とリアル系の違いとは。そして、訴えられたらどうすればいいのか―。セクハラ問題の第一人者が、豊富な具体例を紹介しつつ、男が嵌りやすい勘違いの構図をあぶりだす。誰でも知っておいて損はありません!【目次】はじめに セクハラとは?/第一章 間違いだらけのセクハラ「常識」/第二章 セクハラの大半はグレーゾーン/第三章 恋愛がセクハラになるとき――ときめきスイッチが入ったときはもう橋をわたっている/第四章 女性はなぜはっきりとノーを言わないのか、男性はなぜ女性のノーに気付かないのか/第五章 恋愛とセクハラの近くて遠い距離/第六章 オフィスにセクハラの種はつきまじ/第七章 周囲の方々、担当者へ/第八章 後で訴えられないために――訴えられたらどうするか/私のセクハラ二次被害体験記――あとがきにかえて
  • ブッダをたずねて 仏教二五〇〇年の歴史
    3.7
    インドに始まり、アジアを貫く一大思潮である仏教。この初期仏教から上座部仏教、大乗仏教、密教までの、2500年を超える仏教の歴史とさまざまな教えを、碩学がわかりやすく解説する。ブッダ、阿弥陀仏、大日如来の違いとは何か?長年の著者の現地調査のエピソード等もまじえつつ、最新の知見をふまえ、仏教の基本とアジア各地で花開いた仏教思想と「ほとけ」の多様性を知ることができる、空前の仏教入門書。【目次】第一章 ブッダの一生/第二章 ブッダの面影と新しい仏/第三章 アジアに広がった仏たち/第四章 日本に花開いた仏教/第五章 回帰するブッダ
  • ブルーライト 体内時計への脅威
    3.7
    スマートフォン、タブレット、LED照明……今や日常生活の至るところで、我々が否応なく過剰に浴びているブルーライト。実は、その光は眼に、人体に深刻な影響を与えている。眼精疲労や加齢黄斑変性など眼への影響だけではなく、夜間に過剰なブルーライトを浴びると体内時計が壊れ、心身に変調をきたすのだ。LEDディスプレイから発せられる、そうした光をカットするPCメガネの登場など世の中の関心が高まるなか、増え続けるブルーライトの使用に警鐘を鳴らし、対策を伝授する。【目次】はじめに/第一章 ブルーライトはハザードか?/第二章 ブルーライトはどこから出ている!?/第三章 ブルーライトと時計遺伝子/第四章 ブルーライトと健康/第五章 ブルーライトとの付き合い方/おわりに
  • 文化のための追及権 日本人の知らない著作権
    4.0
    絵画や彫刻を作る芸術家は、日本では一度作品を売却した後は、オークションなどによっていくら作品の価格が上昇しても、一切収入を得ることが出来ない。これではアーティストはなかなか育たないだろう。実はこれは日本の文化的貧困につながる大問題である。ヨーロッパやアメリカの一部では「追求(利益配当)権」という著作権の保護システムによって、作者の利益がそうした場合においても保証されるシステムが作られている。本作では、著作権についてわかりやすく解説しつつ、その一部としての追求権について日本で初めてくわしく紹介する。【目次】まえがき/第一章 芸術家は貧しいのか/第二章 芸術家と著作財産権/第三章 芸術家と著作者人格権/第四章 追求権の始まりと今/第五章 追求権と制限規定のバランス/第六章 追求権は芸術家を救えるのか?/あとがき
  • 「文系学部廃止」の衝撃
    3.7
    2015年6月に文科省が出した「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」の通知を受け、各メディアは「国が文系学部を廃止しようとしている」と報じ、騒動となった。これは事の経緯を見誤った報道ではあったものの、大学教育における「理系」偏重と「文系」軽視の傾向は否定できない。本著では、大学論、メディア論、カルチュラル・スタディーズを牽引してきた著者が、錯綜する議論を整理しつつ、社会の歴史的変化に対応するためには、短期的な答えを出す「理系的な知」より、目的や価値の新たな軸を発見・創造する「文系的な知」こそが役に立つ論拠を提示。実行的な大学改革への道筋を提言する。【目次】第一章 「文系学部廃止」という衝撃/第二章 文系は、役に立つ/第三章 二一世紀の宮本武蔵/第四章 人生で三回、大学に入る/終章 普遍性・有用性・遊戯性/あとがき
  • 文豪と京の「庭」「桜」
    -
    「仙洞御所庭園」を“美しい老いた狂女”に喩えた三島、「糺(ただす)の森」に子規を失った“心の寒さ”を覚えた漱石、「平安神宮」の紅枝垂れ桜に“エロスへの憧憬と拝跪”を秘めた谷崎……。日本の近代文学を彩る文豪たちは皆、京都の情景に魅せられ、自らの作品にそれを描いてきた。本書は、祇園の夜桜や竜安寺の石庭など、誰もが知る京都の新たな魅力を、数々の名作を手がかりに描き出す。また、京の「庭」「桜」という新たな観点から文豪を捉え直すことで、彼らの知られざる本質を明らかにした一冊である。【目次】はじめに/第一部 桜/第一章 平安神宮<『細雪』の紅枝垂> 谷崎潤一郎 川端康成/第二章 円山公園<祇園の夜桜> 丸谷才一 九鬼周造/第三章 常照皇寺<九重桜> 福永武彦 芝木好子/第二部 庭(1)――社寺/第四章 下鴨神社<京に着ける夕> 夏目漱石 高浜虚子/第五章 青蓮院<楠の巨木> 永井荷風 芥川龍之介/第六章 竜安寺<石庭を読み解く> 志賀直哉 井上靖 立原正秋/第三部 庭(2)――御所・離宮/第七章 紫宸殿南庭<京の10日間> 森鴎外/第八章 仙洞御所<「静寂」の庭> 三島由紀夫/第九章 修学院離宮<帝王の庭> 大佛次郎/第十章 桂離宮<美の意匠> 野上豊一郎 和辻哲郎 井上靖
  • 文豪と俳句
    3.7
    文豪たちの俳句は、どこか違う。いや、かなり違う。それをさすがと言うべきか、やっぱり変と言うべきか――。尾崎紅葉、森鴎外、夏目漱石、内田百けん、幸田露伴、横光利一、室生犀星、宮沢賢治、永井荷風、芥川龍之介、泉鏡花、太宰治、川上弘美……。著者は、近現代の小説家が詠んだ摩訶不思議で奥深い俳句の数々を、ときに芭蕉、虚子といった俳人の名句と比較しながら詳細に読み解いていく。俳句愛好家、小説好きにはもちろん、教養書としても満足の一冊。 【各氏推薦!】 ◆ロバート キャンベル氏(日本文学者) 心を打つ日本語のあらゆる表現の核心に俳句があることを初めて心得た。目の前の風景が深くグッと美しい色に塗り替えられる愉快な発見であった。 ◆小川洋子氏(小説家) 俳句に光を当てれば、文豪の秘密が見えてくる。その何と魅惑的なことか。 ◆夏井いつき氏(俳人・エッセイスト) キシモト博士の作品論的、作家論的アプローチが文豪を裸にしてしまった!
  • 文章は「形」から読む ことばの魔術と出会うために
    4.0
    「文学作品はもういい! 実社会で使われるような文章を読ませるべきだ!」 そんな声に押され、国語教育の大改造が始まった。 文科省が重視したのは実用性。 文学はこの枠には入らないという。 しかし、この考え方は正しいのか? 文章を読む際に大事なのはことばの「形」を見極める力だと著者は言う。 そこを鍛えるトレーニングをしたい。 その助けになるのが文学作品を読む技術なのだ。 本書では契約書、料理本のレシピ、広告、ワクチン接種の注意書き、小説、詩など幅広い実例を用いて「形」を読む方法を指南する。 それは、生成AIが生み出す「文章」と渡り合う際にも格好の助けになるだろう。 画期的な日本語読本の誕生! 【目次】 第1章 学習指導要領を読む 第2章 料理本を読む 第3章 広告を読む 第4章 断片を読む 第5章 注意書きを読む 第6章 挨拶を読む 第7章 契約書を読む(1) 第8章 契約書を読む(2) 第9章 小説を読む 第10章 詩を読む
  • ブームをつくる 人がみずから動く仕組み
    3.7
    「うどん県」や「ひこにゃん」など数々の地方PRを成功に導いてきた“国民的ブームの仕掛け人”が、自身がこれまでに手がけた事例を挙げ、独自のノウハウを公開。予算も実績もないブランドや商品を、社会的な「ブーム」や「文化」に導いていくプロセスを詳細に解説する。時代の読み方、消費者が共感するメッセージの配信方法、低予算で最大効果を狙う戦略など、PR業界のみならず、すべての働く人々に役立つ、具体的かつ実践的な“人を動かす”技術を明らかにする。【目次】はじめに/第一章 人が自ら動く――PRにおける「ムーブメント思考」とは何か/第二章 個人の単位から社会的な動きへ/第三章 クライアントを納得させるプレゼン術/第四章 メディアを動かす/第五章 狙いどおりに永続的に動かす/おわりに
  • プログラミング思考のレッスン 「私」を有能な演算装置にする
    3.5
    認知科学の分野で「噺家の熟達化」を探究してきた落語研究家は、心理実験に加えて数理的アプローチによる数値実験という新たな武器を手に入れた。その気鋭の研究者が、コンピュータを自在に動かすプログラミング思考の発想を使いこなして、自らの思考を整理し、わずかな労力で作業効率を格段に高める極意を伝授する。本書が提唱するのは、二度手間、三度手間をあらかじめ防いでしまう順次処理、日常に潜むルーティンから時間を生み出す反復敏感性、そしてわずかな操作で多くの手間を省く条件分岐という三原則が、創造的問題解決にも活用できるという、文理を自在に行き来する著者ならではの思考術だ。情報過剰時代の荒波をたくましく乗りこなすための実践書!
  • プロパガンダ戦争 分断される世界とメディア
    4.9
    迎合か抵抗か? 嫌イスラーム、新型コロナ・パンデミック、紛争、「テロとの戦い」、フェイク報道……。報道の中で展開される宣伝戦と混迷の世界情勢を読む! メディアは報道だけではなく、世界に分断をつくりだす宣伝、すなわちプロパガンダにも使われる。独裁国家や全体主義的な国のメディアは言うまでもなく、欧米、日本の報道でも程度の差はあれ、その社会の権力に都合のよい報道がされることがある。さらに、近年のSNSの普及でこうした宣伝戦は巧妙を極める一方となっている。戦争、難民、移民排斥、嫌イスラーム、大災害やパンデミックによって世界が未曽有の分断の局面にある今、事態をどうとらえるか? そこで重要なのは情報を読み解く力、すなわちメディア・リテラシーだ。宣伝戦を見抜き分断を超える視座を得るため、激動の世界情勢を俎上に、いかに情報に接し、読み取るかを提言する。
  • プーチンに勝った主婦 マリーナ・リトビネンコの闘いの記録
    5.0
    夫アレクサンドル・リトビネンコは放射性物質によってプーチンに暗殺されたのか? その真相を明らかにするため、妻マリーナは立ち上がった。だが、この動きを妨害する英国、ロシア。その大国の壁を乗り越え、主婦がプーチンに挑み勝利するまでの過程を、マリーナと親交がある著者が克明に描き出す。同時に、ウクライナ侵攻に踏み切ったプーチンの特殊な思考回路や性格、そのロシアとの外交に失敗した国際政治の舞台裏、さらに国家に戦いを挑んだ個人の姿と夫婦の愛を描く、構想12年の大作ノンフィクション!
  • ヘイトスピーチと対抗報道
    3.5
    2016年の「ヘイトスピーチ解消法」施行以後、過激なヘイトスピーチデモは減る一方、ネット上での差別発言はいまだ横行している。その背景にはいわゆる「官製ヘイト」や歴史修正主義があることは見逃せない。本書は、「共同通信ヘイト問題取材班」としてヘイトスピーチデモの現場で取材を重ねてきた著者が、メディアはそれとどのように向き合ってきたのかを検証。日韓の戦後補償問題を長年追い続けてきた著者だからこそミクロとマクロ両方の視点からの解説が可能となった、「ヘイトスピーチ問題」の入門書である。「〈中立〉を掲げた無難な報道に逃げ込まず、ヘイトクライム・レイシズムに本気で抗うための一冊。」――フォトジャーナリスト安田菜津紀氏推薦!
  • ヘーゲル(再)入門
    3.8
    ヘーゲルと聞いて、「西洋近代哲学を完成する壮大な体系を打ち立てた哲学者」というイメージを抱く人は多いだろう。しかし、実はこのイメージは専門家の間では過去のものとなっている。では、ヘーゲル哲学とは一体何か? 主著『精神現象学』『大論理学』を解読し、日本では受容が遅れている英語圏でのヘーゲル研究の成果を取り入れながら、著者は「流動性」をキーワードに新たなヘーゲル像を提示する。本書は前提知識を要しない入門書であり、同時にあまりの難解さに挫折してきた多くの読者のための(再)入門書でもある。
  • 「米留組」と沖縄 米軍統治下のアメリカ留学
    4.0
    それは、“ただの留学”ではなかった――。 今日の沖縄・アメリカ・日本の関係にどう影響しているのか。 〈復帰50年〉のいま、初めて語られるライフストーリー。 ジョン カビラ氏(ラジオ・テレビパーソナリティー)推薦! 「戦敗れ、支配されるも、懐に飛び込んで学んだ先には何があったのか?」 岸 政彦氏(立命館大学教授)推薦! 「復帰前の沖縄からアメリカに渡った留学生たちの、複雑で豊かな語りに耳を傾けよう」 ***** 1945年から27年間、米軍統治下にあった沖縄で、米国陸軍による留学制度によってアメリカ留学=「米留」した1000人余りの若者たち、「米留組」がいた。 沖縄戦を生き延びた彼ら、彼女らはどのような思いで留学を志し、戦後沖縄の社会形成においてどのような役割を担ったのか――。「米留二世」でもある著者が丹念に聞き取った、留学経験者たちの語り。 「本土復帰」50年を経て、初めて明らかになる当時の米国の思惑や「米留組」の葛藤。貴重な証言と一次史料をたどることで、沖縄の今とこれからを考える。
  • ペンの力
    3.0
    戦後70年間、暗黙のうちに、政治的な立場を表明せずに中立を保つことが作家のとるべき理想的態度とされてきた。だが、特定秘密保護法案やいわゆる「共謀罪」が可決され、言論の自由が岐路に立たされつつあるいま、「政治と文学」をめぐる従来的なスタンスは根本から問い直されている。閉塞感にあふれた「もの言えぬ時代」の中で、日本ペンクラブ前会長・浅田次郎と現会長・吉岡忍が、もはや絵空事とはいえなくなった「言論弾圧」の悪夢に対して警鐘を鳴らした緊急対談。 【目次】まえがき 浅田次郎/第一章 自衛隊と文学者~三島由紀夫で人生を変えた二人/第二章 明治一五〇年~大逆事件、明治期の戦争と文学/第三章 大正デモクラシーと昭和の暗転~谷崎潤一郎、石川達三、川端康成、火野葦平/第四章 日中戦争期の戦争と文学~金子光晴、林芙美子/第五章 ペンクラブの時代~島崎藤村、井上ひさし/第六章 それでも私たちは戦争に反対する~坂口安吾/あとがき 吉岡 忍/年表/参考文献
  • 崩壊する日本の公教育
    3.7
    安倍政権以降、「学力向上」や「愛国」の名の下に政治が教育に介入し始めている。その結果、教育現場は萎縮し、教育のマニュアル化と公教育の市場化が進んだ。学校はサービス業化、教員は「使い捨て労働者」と化し、コロナ禍で公教育の民営化も加速した。日本の教育はこの先どうなってしまうのか? その答えは、米国の歴史にある。『崩壊するアメリカの公教育』で新自由主義に侵された米国の教育教育「改革」の惨状を告発した著者が、米国に追随する日本の教育政策の誤りを指摘し、あるべき改革の道を提示する!
  • 保守と大東亜戦争
    4.3
    戦争賛美が、保守なのか? ――戦中派・保守論客たちの真意と体験。評論家・保阪正康氏推薦! 歴史の継承は、本質を浮かび上がらせる。そう痛感させる、刺激的な書である。【おもな内容】戦前の日本の立場に積極的な意義を見出そうとし、第二次世界大戦を東アジア解放のための「聖戦」だったとみなす「保守」派。しかし、戦争を賛美することが、いつから「保守」になったのか? じつは、戦前日本において保守論客は、軍国主義に抵抗し、批判の論陣を張っていた。あるいは、兵として軍の欺瞞を目の当たりにし、壮絶な暴力を経験したことで、軍国主義・超国家主義に強い嫌悪感を示していた。すでに鬼籍に入った、戦中派保守たちが残した言葉に向き合いながら、いま、最も注目を浴びる政治学者・中島岳志が、現代において真に闘うべきものはなにかを炙り出す。 【目次】まえがき/序章 保守こそ大東亜戦争に反対だった/第一章 戦争に導いたのは革新勢力である/第二章 戦争への抵抗/第三章 軍隊での経験/第四章 戦中派保守 最後の闘い/終章 保守の世代交代の果てに/あとがき
  • 堀田善衞を読む 世界を知り抜くための羅針盤
    3.5
    南京虐殺事件を中国の知識人の視点から記した『時間』、時代を冷静に見つめる観察者を描いた『方丈記私記』『ゴヤ』などの評伝、『インドで考えたこと』『上海にて』などアジア各国を歴訪して書いた文明批評など、数多くの優れた作品を残した作家、堀田善衞(一九一八~一九九八)。堀田が描いた乱世の時代と、そこに込めた思いは、混迷を極める現代社会を生きる上での「羅針盤」として、今なお輝きを放つ。堀田作品は、第一線で活躍する創作者たちにも多大な影響を与え続けている。堀田を敬愛する池澤夏樹、吉岡忍、鹿島茂、大高保二郎、宮崎駿が、堀田善衞とその作品の魅力、そして今に通じるメッセージを読み解く。 【目次】はじめに 『方丈記私記』から 富山県 高志の国文学館・館長 中西 進/第一章 堀田善衞の青春時代 池澤夏樹/第二章 堀田善衞が旅したアジア 吉岡 忍/第三章 「中心なき収斂」の作家、堀田善衞 鹿島 茂/第四章 堀田善衞のスペイン時代 大高保二郎/第五章 堀田作品は世界を知り抜くための羅針盤 宮崎 駿/終章 堀田善衞 二十のことば 富山県 高志の国文学館/おわりに/【年表】堀田善衞の足跡/付録 堀田善衞 全集未収録原稿──『路上の人』から『ミシェル 城館の人』まで、それから……
  • 香港デモ戦記
    4.2
    逃亡犯条例反対に端を発した香港デモは過激さを窮め、選挙での民主派勝利、コロナウィルス騒動を経てなお、混迷の度合いを深めている。お気に入りのアイドルソングで気持ちを高める「勇武派」のオタク青年、ノースリーブの腕にサランラップを巻いて催涙ガスから「お肌を守る」少女たち……。リーダーは存在せずネットで繋がり、誰かのアイデアをフラッシュモブ的に実行する香港デモ。ブルース・リーの言葉「水になれ」を合い言葉に形を変え続ける、二一世紀最大の市民運動の現場を活写する。「諦めないでください。手にしている一票を軽んじないでください。個人の力を軽んじないでください。生きている心は誰かを動かせるから。諦めないで努力し続けていけば、いつか必ず成果を得られると、私は信じています。(中略)私には仲間がいます。この戦いは、一人ではなく、仲間がいるから続けられる。それは、香港衆志の仲間、民主派の仲間だけでなく、日本から応援してくれる人も含みます。そんな仲間がいる限り、香港の民主化、市民の権利のために、戦い続けたいと思います。」〈周庭(アグネス・チョウ)、本文より〉
  • 本質観取の教科書 みんなの納得を生み出す対話
    NEW
    4.0
    自分とは異なる立場や考えの人と、いかに対話し、合意形成していけばよいのか分からない。それどころか、深刻な信念対立を目の当たりにし、対話への希望を失ってしまう。そんな人は多いのではないだろうか。本書は、「本質観取」と呼ばれる哲学の思考法・対話法を、誰もが実践できるようになるための入門書である。「言いっぱなし」でも「論破!」でもない。分断をのりこえ、真に生産的な対話をもたらし、民主主義を成熟させるための対話の極意、奥義とは? 実践で活用できるワークシートや、ファシリテーションのコツなども収録。
  • 本当に役に立つ「汚染地図」
    -
    地図データを駆使した防災研究を専門とする著者は、福島原発事故後、米軍がネットで公開した放射能実測値をGIS(地理情報システム)という最新ソフトウェアに落とし込んで「セシウム汚染地図」を作成した。「地図屋」の立場で放射能問題に関わるようになった著者が、地理情報の実践的な活用ノウハウを提示する。福島第一原発周辺汚染状況の3Dマップ、飯館村の地区単位の汚染濃度分布図、関東一帯の「放射線管理区域該当エリア」など、貴重なオリジナル図版を本書に多数収録。また、大型水害時の「見えない水路」を可視化する試みなど、災害対応に役立つ広範な事例も報告する。【目次】はじめに/序章 SPEEDIは「時代遅れ」だった/第一章 どうやって「汚染地図」を作成したのか/【エッセイ】地球は“ジャガイモ”だった/第二章 「GIS」とは何か/【エッセイ】伊能忠敬は「地球のサイズ」を測ろうとした/第三章 データを「活かす」道を探る/第四章 GISを活用するには/おわりに
  • 「本当の大人」になるための心理学 心理療法家が説く心の成熟
    4.0
    今は、大人が真に成長・成熟した人間として、心から満たされた人生を生きるのが難しい時代である。なぜか。それは、今の日本社会では「いつまでも若々しくあること」といった外的な活動性ばかりに価値が置かれて、「中高年期における人格的成長・成熟」を重視する価値観が育まれてこなかったからである。本書は、人格的に成長・成熟した大人として「心から満足のいく人生を生きたい。悔いなく人生中盤以降をまっとうして生きたい」、そう願っている人のために心理療法家が分かりやすくその理路と方法を説いたガイドブックである。 【目次】はじめに/第一章 日本の大人はなぜ未熟なのか?――「中高年期における精神的な成長・成熟」の大切さ/第二章 成熟した大人の六つの人生哲学/第三章 単独者として生きよ/第四章 人生は思うようにならないもの/第五章 うつは中高年を魂の世界へ導いてくれる扉/第六章 「思いのほか」を楽しむ/第七章 あえて本気で生きる/第八章 魂のミッションを果たす/第九章 「最高に成熟した人格」とは――その心理学的特徴/おわりに
  • 本当はこわい排尿障害
    -
    その陰部の痒み、排尿障害かもしれません! わが国の人口の約10%、中高年に限って言えば約半数が何らかの「排尿障害」を抱えている、と著者の高橋知宏医師は言う。しかもその症状は、 頻尿や尿漏れ、排尿時の痛み、残尿といったものにとどまらない。慢性膀胱炎や慢性前立腺炎、デリケートゾーンの痒み・痛み・痺れ、一見、排尿とは無関係に思える胃痛や腰痛、坐骨神経痛、下痢症、尿臭過剰、顔の痒み、めまい、ドライアイ……などなど多岐にわたるというのだ。問題はこの現実が一般にほとんど認知されていないこと。「膀胱の出口が十分に開かない」ことに着目した治療により、全国から「シモの悩み」を抱えた患者が訪れるこの道40年の泌尿器科医が、排尿障害の驚くべき症例と治療経験を紹介。膀胱と排尿トラブルの知られざるメカニズムを解説した、排尿に違和感のあるすべての人に贈る一冊。 【目次】はじめに/第1章 デリケートゾーンが痒い!/第2章 排尿障害の治療に挑む/第3章 膀胱は不思議な臓器/第4章 初めての学会発表/第5章 すべて排尿障害が原因だった/第6章 前立腺と排尿障害/おわりに
  • 亡国の集団的自衛権
    4.5
    安倍政権は、集団的自衛権の行使容認をめざして、着々と足場を固めている。戦後70年間続いてきた「憲法9条」体制も、大きく揺らいでいる。著者は、イラク戦争時に、小泉、安倍(第1次)、福田、麻生、の四代の総理大臣の下、自衛隊海外派遣のための法整備と現場指揮を主導した、元防衛官僚である。「立憲主義」への挑戦ともいうべき現政権の安全保障政策を、豊富な事例を挙げながら徹底批判。わが国でもっとも戦争を知る人物だからこその、国際紛争の現実に即した説得力のある議論を展開!
  • ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた
    4.1
    子供たちの独立国家は、本当に実現するのか? そこで浮き彫りになる、日本の現在(いま)とは? 本書は、竹島問題、憲法改正、象徴天皇制などのアクチュアルなテーマを、架空の小学校を舞台に平易な言葉で論じる、18世紀以前にヴォルテールやルソーなどが得意とした「小説的社会批評」だ。謎の園長・ハラさんが経営する小学校に通う、主人公の小学生「ぼく(ランちゃん)」とその仲間たちは、知性と個性に彩られた不思議な大人たちに見守られながら、少しずつ自分たちの「くに」を創り始める……。 【目次】プロローグ/1・いろんなことを最初に書かなきゃならない/2・「くに」ってつくれるんだ/3・最初に「こっき」をつくってみることにした/4・ぼくたちの学校/5・ぼくには得意ワザがない/6・肝太先生/7・肝太先生のおはなし/8・ぼくの家の「憲法」たちのこと、そして理想先生のこともちょっと/9・「憲法」の中にいる悲しいひと/10・キヨミヤくんのこと/11・おとうさんと夜に/12・公衆道徳を守りましょう/13・ママ、アイ・ラブ・ユー/14・「名前のないくに(仮)」/15・@名前のないくに(仮)/16・@アイと雪の女王/17・不思議の国のお茶会/18・「名前のないくに(仮)」建国宣言、ではなくて、建国のことば/19・ハロー&グッバイ、マイ・フレンド/エピローグ/あとがき――「君たち」から「ぼくたち」へ/参考文献
  • 僕に方程式を教えてください 少年院の数学教室
    4.3
    学校でも刑務所でもない、少年院における教育の可能性とは? ベストセラー参考書の著者でもある注目の数学指導者と数学教育の専門家、少年院を知り尽くした元法務教官が、改正少年法施行を目前にそれぞれの立場から少年院における数学教育の意味を論じる。 「先生、自分も大学行けますか?」「あ~、もっと早く少年院に来てればよかった!」。 なぜ数学こそが、少年たちを立ち直らせるきっかけとなるのか。 「非行少年」たちの真実と数学の魅力に迫り、可能性のある子どもたちで溢れる少年院の在り方、数学教育の重要性を描く一冊。
  • 没落する文明
    4.1
    3.11で我々に突きつけられたのは、文明の限界である。人間がテクノロジーによって自然を飼いならし、開拓し続けることには限界があり、終わりなき成長は夢でしかないと露呈した。早晩、世界が直面するであろう文明の壁に真っ先にぶつかった日本。国家と資本主義の構造を原理的に問い直してきた哲学者と、リスクと社会の相互作用を論じてきた科学史家が、天災・テクノロジー・エネルギー・経済成長の関係を人類史的に読解しながら、日本が描くべき新しい時代へのヴィジョンを提示する。【目次】はじめに 菅野稔人/第一章 天災が日本人をつくってきた/第二章 テクノロジー・権力・リスク/第三章 テクノロジーはどこへ行くのか/第四章 エネルギーと経済のダイナミズム/第五章 国力のパラダイム・シフト/おわりに 神里達博
  • ポストコロナの生命哲学
    4.0
    パンデミックで注目を集めた3人の論者が これからを生きる拠り所となる哲学を語る! コロナによる初の非常事態宣言後、新聞紙上などでいち早くウイルスとの共生を訴えた生物学者・福岡伸一、コロナ禍で注目された「利他」を学問として研究する美学者・伊藤亜紗、「パンデミックを生きる指針」が大反響を呼んだ歴史学者・藤原辰史。 感染症拡大で混迷を極める世界を考える上で、示唆に富む視座を提供する3人が、今の政治、経済、社会、科学から抜け落ちている「いのち」に対する基本的態度――「生命哲学」を問う。 今こそ、「個々の生命に価値がある」ということを守らなければ――福岡伸一 耳を傾けることによって、自分の思い込みから自由になれる――伊藤亜紗 負の歴史を直視することで現在を生きる指針に変えられる――藤原辰史 新型コロナウイルスがもたらす危機の多くは、人類史にとって新しい危機ではない。 しかも、確認される危機のかなりの部分が、私たちが身近に感じてきたり、私たちが見て見ぬふりをしてきたりした危機である。 「ポスト」(post/後の)コロナの課題は、「アンテ」(ante/前の)コロナの課題の継続もしくは発展であることが、ここでは確認されていくだろう。 ポストコロナに新しい時代を創造しよう、と粋がる人も多いが、実際は、アンテコロナに山積した課題をみんなの課題として取り組むタイミングがやってきたと考える方が正しいと思う。(「はじめに」より) NHK BS1スペシャルで大反響を呼んだ「コロナ新時代への提言2 福岡伸一×藤原辰史×伊藤亜紗」の番組内容や未放送シーン、さらに新たな鼎談を加えて完全書籍化! 【目次】 序 自然(ピュシス)の歌を聴け――福岡伸一 はじめに 藤原辰史 第1部 論考・コロナが投げかけた問い 第1章 コロナは自然(ピュシス)からのリベンジ――福岡伸一 第2章 思い通りにいかないことに耳を澄ます――伊藤亜紗 第3章 コロナがあぶり出した社会のひずみ――藤原辰史 第2部 鼎談・ポストコロナの生命哲学 第4章 漫画版『ナウシカ』の問いかけ 第5章 共生はいかに可能か 第6章 身体観を捉えなおす 第7章 ポストコロナの生命哲学 おわりに 伊藤亜紗 【著者プロフィール】 福岡伸一(ふくおかしんいち)生物学者。青山学院大学教授。ロックフェラー大学客員研究者。著書に『生物と無生物のあいだ』など。 伊藤亜紗(いとうあさ)美学者。東京工業大学教授。著書に『どもる体』『記憶する体』『手の倫理』など。 藤原辰史(ふじはらたつし)歴史学者。京都大学准教授。著書に『ナチスのキッチン』『戦争と農業』『分解の哲学』『縁食論』など。
  • マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か #MeTooに加われない男たち
    3.8
    世界的な潮流となった#MeToo運動や男性社会への疑義など、性別に伴う差別や不平等への意識が今日、かつて無いほどに高まっている。他方、「男性特権」への開き直りは論外として、多くの男性は、時には剥き出しの敵意にも直面しながら、己の立ち位置や与し方に戸惑っているのではないか。自らの男性性や既得権、そして異性との向き合い方に戸惑い、慄くすべての男性に応えつつ、女性や性的マイノリティへ向けても性差を越えた運動の可能性を提示する一冊。
  • 松本清張 「隠蔽と暴露」の作家
    3.5
    社会全体に陰鬱な雰囲気がひろがりつつあるこの時代に、松本清張が再び求められている。本書は清張の表現の核にあった「隠蔽と暴露」の方法をたどる。そして、清張の作品をとおして、わたしたちが日常で感じる社会や国家への「疑い」を称揚し、そこにひそむ秘密を見抜く方法を明らかにする。戦争、明るい戦後、政界、官界、経済界、社会的弱者、宗教など、清張が精力的に描いたテーマは多くあるが、戦後最大の隠蔽装置ともいえる「原子力ムラ」にふみこまなかった清張の謎にも迫る。 【目次】はじめに 松本清張がよみがえる/第I部 松本清張、人と方法/第一章 松本清張とは誰か/第二章 「隠蔽と暴露」という方法/第II部 隠蔽する力に抗う試み/第一章 戦争 『球形の荒野』、『半生の記』、『黒地の絵』/第二章 明るい戦後 『ゼロの焦点』、『砂の器』、『顔』/第三章 政界、官界、経済界 『点と線』、『けものみち』、『黒革の手帖』/第四章 普通の日常、勝者の歴史 『或る「小倉日記」伝』、『父系の指』、『無宿人別帳』/第五章 暗い恋愛 『天城越え』、『波の塔』、『強き蟻』/第六章 オキュパイドジャパン 『小説帝銀事件』、『日本の黒い霧』、『深層海流』/第七章 神々 『黒い福音』、『昭和史発掘』、『神々の乱心』/第八章 原水爆、原子力発電所 『神と野獣の日』、『松本清張カメラ紀行』、「幻の作品」/おわりに 松本清張とともに/主要参考文献
  • 「間」の悪さは治せる!
    -
    ビジネス、日常生活、人間関係などで「間(ま)」の悪さゆえに苦い経験をした人は多いはず。「間」のいい人と悪い人、その違いはどこにあるのか? 本書は、「間」のよさ、悪さは自律神経のバランスに起因するものであり、努力や工夫次第で「間」をよくすることができると説く。アスリートのコンディショニング指導などにも実績がある第一線の医師が、「間」をよくするための具体的方法を詳述。ストレスだらけの現代社会を上手に生きるためのガイドブックである。【目次】第一章 人生の質を高める「間」の力/第二章 「間」がいい人に病気は寄りつかない/第三章 「間」がいい人の思考法/第四章 人生を成功へと導く「間」のつくり方/おわりに
  • 幻の楽器 ヴィオラ・アルタ物語
    4.1
    ワーグナーに愛されたにもかかわらず、音楽史の表舞台から「消された」楽器、ヴィオラ・アルタ。この数奇な運命をたどってきた「謎」の楽器が数十年ものあいだ、渋谷の楽器店の奥でほこりをかぶっていた。ヴィオラ奏者であった著者は、この楽器と偶然に出会い、魅せられ、ヴィオラ・アルタ奏者に転向。欧州を駆けめぐり、なぜこの楽器が消されたのか、その謎を解いていく。19世紀後半の作曲家たちがヴィオラ・アルタを通して表現しようとしていた音色とはどんなものだったのか。クラシック音楽の魅力と謎解きの楽しさに満ちたノンフィクション!【目次】はじめに/第一章 「謎の楽器」との出会い/第二章 失われた歴史を求めて/第三章 ヴィオラ・アルタを弾きながら/第四章 ヴィオラ・アルタの謎を解く/おわりに
  • マラッカ海峡物語 ペナン島に見る多民族共生の歴史
    3.5
    ベンガル湾を内海のように抱えるインドと東南アジアには、どのような文明が形成されてきたのか――。本書が注目するのは、マラッカ海域北端に浮かぶペナン島。淡路島の半分ほどの面積しかないこの小島に、これまで、実に30以上の民族集団が、絶妙なバランスで群居し続けてきた。マレー人、インドネシアの海民アチェやブギス、インドのチェッティ商人、ムスリム海商チュリア、クリン、アラブの海商ハドラミー、ポルトガル人、イギリス人、フランス人、アルメニア人、華僑、日本人、等々――。各地で、ナショナリズムや排外主義的な価値観が増大する中、本書が提示する世界像は、多民族共存の展望と希望を与えてくれるだろう。人間は、共存可能だ――と。ベンガル湾からマラッカ海峡にかけての地域研究の第一人者による、初の本格的な「マラッカ海峡」史。
  • マルクスの逆襲
    4.0
    かつてマルクスは、一つの世代を丸ごとかかえ込むほどのブームを巻き起こした。しかし、その後は過去の遺物と化し、社会主義国家もすでにほぼ崩壊している。だが今、資本主義もまた行き詰まりを迎え、日本でも格差が拡大し、社会のなかに自分を位置づけて生きがいを感じることが、難しくなってきている。マルクスが仕掛けた謎を考える意味は、むしろ高まってきているのだ。時代の熱狂を体験した作家が、現代日本の再生に向けて、マルクスの謎を読み解く。
  • ○のない大人 ×だらけの子ども
    3.6
    人と関わることが苦手な子どもや若者が増え、大人の間にもその傾向は広がっている。相手の伝えたいことや感情を察して言葉をかけ、会話をつないでいくことができないのだ。こうしたコミュニケーション力の不足は、実は「自分にはいいところがなく×ばかり」という自己評価の低さに起因している――。カウンセリングや研修で多くの人たちに接してきた著者が「自分に×」ではなぜコミュニケーションがうまくいかないのか、そのメカニズムを実例をあげて解説。あわせて、自分に○をつけ自然に人とつながっていくためにはどうしたらよいか、具体的にアドバイスする。【目次】はじめに/第1章 つながらないコミュニケーションの根にあるもの/第2章 なぜ自分につく×を怖れるのか/第3章 コミュニケーション力を育てるために/第4章 どうやって自分に○をつけるか/第5章 子どもの○を見つける/おわりに
  • 丸山眞男と田中角栄 「戦後民主主義」の逆襲
    3.5
    軍国ファシズムを告発した戦後民主主義の思想的支柱・丸山眞男と、憲法改正には目もくれず民衆の生活向上に邁進した“コンピューター付きブルドーザー”田中角栄。辺境の少数者や、共同体のはぐれ者まで含めた、庶民が担うデモクラシーこそ政治の根幹であるとし、戦争体験とその悔恨を原点に、戦後日本を実践・体現した二人の足跡を振り返る。右傾化への道を暴走する安倍政権が「戦後レジームからの脱却」を唱える今こそ、国家による思惟の独占を阻み、闘い続けるための可能性を問う、闘争の書。【目次】まえがき(早野 透)/第一章 戦争は罪である――丸山と角栄の二等兵体験/第二章 はみ出し者の民主主義――丸山学派と田中派/第三章 市民か庶民か有象無象か――丸山思想から角栄を解読する/第四章 精神のリレーと断絶――民主主義の実践者たちの系譜/第五章 民主主義の永久革命――「超国家主義の論理と心理」『日本列島改造論』そして未来へ/あとがき(佐高 信)/丸山眞男・田中角栄 対照年譜
  • マンションは日本人を幸せにするか
    3.5
    「マンション」と呼ばれる鉄筋コンクリート造の集合住宅に日本人が本格的に住み始めて約60年。今や都市部では主流の住形態だ。だが、形あるものはいつかは朽ちる。郊外のニュータウンでは住人の高齢化と共にマンションの老朽化が大きな問題にもなっている。そもそも日本人はなぜマンションに住み始めたのか、分譲マンションの区分所有という権利形態に潜むリスク、高層階に住むことは健康にどう影響するか、など誰も気付かなかった「そもそも論」から、業界の儲けのカラクリ、さらには未来のマンションの風景まで、この道30年の住宅ジャーナリストが、住まう人たちを幸せに導くマンションのあり方を探る。【目次】プロローグ――マンションが日本人にもたらした「正と負」の側面/第一章 マンションは日本人を幸せに導いてきたか?/第二章 マンションの黎明期/第三章 管理組合と民主主義/第四章 儲けるためのマンション/第五章 繰り返される不動産バブル/第六章 マンション、この不完全な住まい/第七章 マンションは日本人の健康を損なうか?/第八章 マンションの未来を拓くために/エピローグ――二つのマンションの奇跡/おわりに
  • 万葉百歌 こころの旅
    4.0
    今、たどりつく。万葉集の新境地。選り抜かれた100首と独自の解釈が、新たな〈万葉観〉へと導く! 長歌、短歌、旋頭歌など、全4500余首が収められた日本最古の撰歌集「万葉集」。京都、飛鳥、奈良といった古都の散策を主題とする随筆の名手が、その中から100首を厳選し、瑞々しい解釈と美しいエッセイを添える。内乱が頻発し混沌とした社会にあって、歌の作者たちは嘆きや悦び、叶わぬ願いや迸る想いを懸命に詠み上げた。そうした先の見えない時代を生き抜く逞しさに満ちた古の詩が、私たちに今ひとたびの生命力を与えてくれるはず。詩歌の来歴はもちろん、著者自身が万葉ゆかりの地で見聞きした余話に豊かな学びと温かな癒しがある。また、躍動感のある大和路の風光描写が――たとえ物理的な移動がままならない時であっても――想像力あふれる魂の旅へと誘ってくれる座右の書。
  • 未完の敗戦
    3.7
    なぜこの国は人を粗末に扱うのか? その根本原因に迫る! コロナ対策、東京五輪強行開催、差別やハラスメント、長時間労働、低賃金……。 日本の組織はあまりにも人間を、人の命や暮らしを、軽視していないか? こうした状況と酷似するのが、先の戦争中の日本社会だ。 本書では、大日本帝国時代の歴史を追いながら、その思考の構造を明らかにし、今もなおその精神文化が社会のあちこちはびこる事実を数多くの事例を通して検証。 敗戦で否定されたはずの当時の精神文化と決別しなければ、一人一人の人間とその暮らしが尊重される「民主」社会は実現しない。 仕方ない、という思い込みとあきらめの思考から脱却するためのヒントと道筋を提示する書。 【「はじめに」より】 日本人は、なぜ死ぬまで働くのか。 日本の経営者は、なぜ死ぬまで社員を働かせるのか。 弾薬や食糧などの補給物資を送らずに「目標の達成」を前線の兵士に要求した、先の戦争における大本営(戦争指導部)と、給料を上げず休息も十分に取らせずに「成果」を現場の社員や労働者に要求する、現代の(すべてではないにせよ、無視できないほど多い)経営者たちの間には、同じ思考形態が共有されているように見えます。 それは、外国人技能実習生と呼ばれる低賃金労働者と、戦争中の東南アジア植民地で徴用した「労務者」との共通点にも見られます。 彼らは共に、日本という国や日本企業の利益のために、苛酷な労働環境で道具のように酷使され、搾取される存在です。 こうした現代における社会問題を解決・改善する糸口として、本書は先の戦争における「大日本帝国型の精神文化(思考法)」に現代の視点から改めて光を当て、さまざまな角度から、その精神文化の構造を読み解いていきます。 (中略) 大きな「全体」のために奉仕や犠牲を強いられることなく、一人一人の人間が大事にされる社会を創るために、本書の論考がお役に立てれば幸いです。
  • 三島由紀夫 ふたつの謎
    4.2
    近代日本が生み出した最高の知性が、なぜこれ以上ないほど「愚か」な最期を選んだのか? そして、「究極の小説」を目指して執筆した最後の長編『豊饒の海』のラストは、なぜ支離滅裂ともいうべきものになったのか? 1970年11月25日、三島は市ヶ谷駐屯地に向かう前に、編集者へ『豊饒の海』の最後の原稿を渡すよう準備を整えている。つまりこのふたつの謎には何らかの繋がりがあると考えるべきなのだ。だが、これまで誰もそれを「合理的」に説明できていない。あの日、作家の内部でいったい何が起きていたのか? 日本を代表する社会学者が、三島の全作品を徹底的に読み解き、文学史上最大の謎に挑む! 【目次】まえがき/第一章 1970/11/25に結びついた二つの謎/第二章 仮面の無意識/第三章 時代錯誤の決起/第四章 鉄の肉体/第五章 「吃り」の告白/第六章 猫を斬ってもなお残るもの/第七章 美の現れ/第八章 ニヒリズム研究/第九章 白鳥に化す天皇/第十章 不毛の海/終章 真の<豊饒の海>へ
  • ミツバチ大量死は警告する
    3.3
    ニ一世紀になってにわかに発生した「蜂群崩壊現象」。地球上の様々な場所で同時多発的に大量のミツバチが姿を消したこの現象は、世界中を震撼させた。著者は、日本で実情を探るうち、主要因を突き止める。真犯人に浮上したのは、ハチのみならず生態系全体、さらには人間にとっても脅威となる、戦慄の化学物質だった……。人間の生活環境のみならず、生態系にまで深刻なダメージを与える環境化学物質の実態を詳細にリポートする。【目次】はじめに/序章 ミツバチ一家は完全分業/第一章 ミツバチの墓があちこちに/第二章 なぜミツバチは減り続けるのか/第三章 アメリカのミツバチは疲労困憊/第四章 農業規制に動いたEUの国々/第五章 ネオニコチノイド系農薬の罪と罰/第六章 「農薬安全神話」のまやかし/第七章 生物多様性の宝庫・田んぼの危機/第八章 急増する子どもたちの異変/第九章 広がり、深刻になる健康被害/第十章 「脱・化学物質づけ」への道/あとがき
  • 宮澤賢治 あるサラリーマンの生と死
    4.0
    時代は移り変わっても、宮澤賢治の残した詩や散文の数々は日本のロマンの、ひとつの到達点を教えてくれる。農学校教師、農民芸術運動家としての賢治はよく知られるが、肥料の炭酸石灰、建築用壁材料のセールスマンとして、東へ西へと駆け回っていた最晩年近くの姿はあまり知られていない。賢治が生涯にのこした膨大な書簡から、オロオロと歩きながらも、生活者として必死に生きようとしたサラリーマン・賢治が、浮かび上がってくる。雨ニモマケズ、デクノボーと呼ばれても…。宮澤賢治、知られざるセールスマンの日々!
  • 未来倫理
    3.3
    私たちの行動はいま生きている世代に限らず、遠い未来にまで影響を与えることがある。 テクノロジーの発達によってもたらされた行為と結果の大きな時間差は、私たちの社会に倫理的な課題を次々投げかける。 気候変動、放射性廃棄物の処理、生殖細胞へのゲノム編集……。 現在世代は未来世代に対して倫理的な責任があるのならば、この責任をどのように考え、どのように実践したらよいのか。 倫理学の各理論を手掛かりに、専門家任せにせず私たちが自らの考えを形作るための一冊。
  • 武蔵と柳生新陰流
    4.0
    吉川英治の小説をはじめ時代劇、漫画等でもおなじみの剣豪・宮本武蔵。かたや徳川家の御家流である柳生新影流一門。物語の中では往々にしてライバルとして描かれる両者ですが、実は武蔵と柳生の技術、極意には多くの似た点があることが以前から研究者の間では指摘されてきました。そして著者らが所属する名古屋春風館には壮年期の武蔵の円明流と尾張の柳生新影流が伝えられています。本書は実際の技の比較と、この道場が所蔵している未公開の柳生文書『刀法録』を通じ、武蔵と柳生の思想と技における密接な関係を明らかにするものです。歴史、剣豪小説ファン、武術の実践者必見の極意の世界。【目次】第一章 柳生新陰流と武蔵/第二章 武蔵と尾張柳生の出会い/第三章 柳生と武蔵 身体技法の比較/第四章 柳生と武蔵の極意――「石」と「水」
  • 無の道を生きる―禅の辻説法
    4.3
    人間本来無一物。いちど死に切って楽になれ。正真正銘の「正味」の生き方の真髄を異色の名僧が語る。京都仏教会を束ね、物言う禅僧として世界レベルで行動し、伊藤若冲の「動植綵絵(さいえ)」展などを催した承天閣美術館の館長としても名高い著者が、その数奇な人生の中で禅の心と共に培ってきた正味の生き方。そこには、現代の迷う心を解き放つ知恵が満ちている。覚えておきたい禅語・仏教用語解説つき。【目次】はじめに/第一章 禅って、なんやろ?/第二章 人を育てる/第三章 人を動かす/第四章 文化を育てる/第五章 生きること、死ぬこと/あとがき
  • 村の酒屋を復活させる 田沢ワイン村の挑戦
    3.5
    長野県東御市田沢地区。このままでは増え続ける「過疎の村」のひとつになりそうな地域が今、静かで力強い変化を経験している。一軒の酒屋を復活させるプロジェクトが、地域再生を呼び起こしはじめたのだ。著者は「千曲川ワインバレー」で「ワイン県」としての長野を一躍有名にし、現在も地に足の着いた農村生活を広める希代の実践者。地域おこしの実情、その展望や固有の課題、ビジネスチャンスなどを詳らかにする、定年後に「田舎暮らし」を始めたいと思っている人へのインスピレーションも満載の一冊。 【目次】はじめに――足もとの一石/第一章 田舎の村は英国のクラブである/第二章 朽ちていく生活博物館/第三章 もうひとつの人生を探して/第四章 おらほ村と縁側カフェ/第五章 関酒店復活プロジェクト/第六章 浅間ワインオーバル/(付)クラウドファンディング顛末記/あとがき――「清水さんの家」/地図(1) 千曲川ワイン街道と浅間ワインオーバル/地図(2) 田沢ワイン村(関酒店と清水さんの家)
  • 名医が伝える漢方の知恵
    3.0
    競争社会で思うように力を発揮できない人は、成功に至るまでに時間を必要とし、日常生活においてもスロースタートな体質であることが多い。漢方の世界ではこれを「虚証」といい、逆に早期から活発に能力を発揮できる体質を「実証」という。現代社会では全力で働くことを是とする実証型の構造となっていることから、虚証体質の人は学校や会社でマイナス評価にさらされがち。そこで自分の体質を知り、適切な選択ができれば人生が大きく変えられる。漢方の見地から、中高年からでも才能の開花と生活の質を高めることが可能な生き方を漢方の名医が伝授。【目次】はじめに/第一章 人生後半にこそ、花を咲かせる方法がある/第二章 「後半追い上げ」型の人生はこうしてつくる/第三章 あの有名人はなぜ遅咲きなのか?/第四章 自分の“生き型”をつくれる人がうまくいく/第五章 人生後半を楽に過ごすための養生術/第六章 歳をとっても楽しめる人生設計/おわりに
  • 「名コーチ」は教えない プロ野球新時代の指導論
    4.3
    「チームの勝利よりも選手の幸せを考えてやることです」(本文より) 大谷翔平や佐々木朗希など、野球界にはかつての常識を覆すような才能が次々と現れる。 彼らを成長へ導くのは、従来のコーチング論とは一線を画した、新しい指導スタイルだ。 本書は、すぐれた職能を認められているプロ野球の現役指導者6人――石井琢朗、鳥越裕介、橋上秀樹、吉井理人、平井正史、大村巌に取材。 新世代の選手とどう接するのか。 どんな言葉をかけるのか。 6人のコーチの実践は、野球界のみならず、若い世代を「指導」「教育」する立場の職務にも有効なヒントを与えてくれる。
  • 名著でひらく男性学 〈男〉のこれからを考える
    4.0
    日本では1990年代にいったん注目を集めた男性学が、近年再び盛り上がりを見せている。家父長制による男性優位の社会構造を明らかにするフェミニズムに対し、その理解が進む一方で、アンチフェミニズム的な声も目立つ。また一枚岩的に男性を「強者」として把握できない実像もある。構造の理解と実存の不安、加害と疎外のねじれの中で、男たちはどう生きていけばいいのか。本書は、批評家、研究者、実践者など4人が集まり、それぞれの視点から男性学の「名著」を持ち寄り内容を紹介・解説した後、存分に語り合う。多様で魅力的な男性学の世界にようこそ。
  • メイド・イン・ジャパン 日本文化を世界で売る方法
    NEW
    -
    戦後、日本の文化は海外での成功を夢見てきた。音楽や映画、文学、演劇の世界で、世界的な知名度を得ている作家や作品はあるものの、日本カルチャー全体が「輸出商品」として盛り上がっているとは言い難い。日本文化が全世界的に流行する日は来るのだろうか。そのための条件とは一体なにか。K-POPの成功に学ぶ戦略、英語という壁、外から見出される「日本らしさ」、そしてローカル性と普遍性のせめぎ合い――。NewJeansやXG、村上春樹や多和田葉子、濱口竜介や是枝裕和、岡田利規など、さまざまな作品を通してグローバル時代の日本文化の可能性を問い直す。
  • 名門校「武蔵」で教える東大合格より大事なこと
    3.7
    校内の一等地にやぎがいる。英語の授業で図画工作。おまけに、きのこを見つけたら成績が上がる!? 時代が急速に変わりゆく中、恐ろしいほどのマイペースさで独特の教育哲学を守り続ける名門進学校がある。それが本書の舞台、私立武蔵中学高等学校だ。ときに理解不能と評されることもある、武蔵の教育が目指しているものとはいったい何なのか……。斬新な視点から数々の学校や塾を論じてきた気鋭の教育ジャーナリストが「学校とは何か?」「教育とは何か?」に迫る、笑撃の「学校ルポルタージュ」。 【目次】はじめに/第一章 「ひつじ」になるな「やぎ」になれ!/第二章 目指しているのは“モヤモヤ”を残す授業/第三章 大学受験期に優秀生を海外で一人旅させる/第四章 小惑星探査機「はやぶさ」を生んだ天文台/第五章 現実離れした極論をぶつけ合え!/第六章 時が経つほどに沁みる武蔵の価値/第七章 校長は芸大出身/おわりに/参考文献
  • メジャーリーグ なぜ「儲かる」
    4.0
    イチロー、松井秀喜、松坂大輔ら多くの日本人選手が活躍するメジャーリーグは、過去一〇年余りで収入を四倍超にする急成長を実現し、昨今の経済危機下にあっても順調にビジネスを拡大している。なぜ、そんなことが可能なのか? そのカラクリを、初めて公表される内部資料などを含めて詳細に解説。また、全収入の五%がジャパンマネーという実態や、WBC開催の真の意図など、容赦ないグローバル戦略の全貌に迫る。メジャーリーグはいまや、単なる娯楽ではない。スマートかつ貪欲な「ビジネスエリート」が火花を散らす<戦場>なのである。過去10年で収入を4倍にし、昨今の経済危機下でも順調にビジネスを拡大するメジャーリーグ。その強欲で狡猾な経営戦略に迫る。本邦初公開の内部資料に基づく、興味津々のデータが満載。※この電子書籍は、集英社新書『メジャーリーグ なぜ「儲かる」』2015年3月11日発行の第2刷を底本としています。
  • メッシと滅私 「個」か「組織」か?
    3.3
    もはや“国民的行事”となった感のある、サッカーW杯。ヨーロッパでプレイする「海外組」が主体となった日本代表は、以前とは違い、技術や戦術では「世界」と遜色ないレベルに達したようにも思える。しかし、大一番で勝負を分けるのはメンタリティだ。そのメンタリティを形成する文化的背景とは何なのか?  ドイツでのプレイ体験もある著者が、深刻なカルチャーギャップを体感した選手たちへの取材をもとに、大胆な“サッカー比較文化論”を書き下ろした。本田圭佑、岡崎慎司、長友佑都、松井大輔、槙野智章、宮本恒靖、宇佐美貴史、奥寺康彦、パク・チソンなど、現役選手や関係者の貴重な証言が満載! 【目次】はじめに/第一章 自己主張/第二章 上下関係/第三章 自己責任/第四章 専門性/第五章 「文明の衝突」エピソードあれこれ/第六章 日本代表での「文明の衝突」/おわりに
  • メリットの法則 行動分析学・実践編
    4.2
    「すぐに弱音を吐いてしまう」「ダイエットに失敗する」……日常にありがちな私たちの行動を分析するのに、難しい理論はいらない。心理学のメインテーマともいえる「なぜ、その人は○○をしてしまうのか」という問いへの答えを「心」ではなく、「外部の環境」に求めるのが行動分析学だ。「好子」「嫌子」「出現」「消失」。あらゆる行動は、四つのキーワードで分析可能であり、不登校から潔癖症まで、様々な問題行動を劇的に改善することができる。本書はそうした改善の実例を豊富に揃えるとともに、最新の知見も交えた実践の書である。【目次】まえがき/第1章 その行動をするのはなぜ?/第2章 行動に影響を与えるメカニズム (基本形)/第3章 行動がエスカレートしたり、叱られても直らないのはなぜ?/第4章 行動に影響を与えるメカニズム (応用形)/第5章 行動は見た目よりも機能が大事/第6章 日常のありふれた行動も/あとがき
  • 免疫入門 最強の基礎知識
    4.7
    コロナ時代知っておくべき「免疫力」の強化書。新型コロナウイルス感染症の流行下、私たちは自分自身の体がもつ「免疫」のしくみに向き合う必要がある。免疫は自分で病気を治す力である一方、過剰に反応することで生じる病気も多い。本書では、免疫にまつわる情報(自然免疫と獲得免疫の違い、交差免疫や訓練免疫、免疫寛容とは何か、ワクチンの効用、新型コロナにも負けない免疫増強の方法など)を60のQ&A形式でわかりやすく解説。免疫システムの基本的情報から、新型コロナウイルスの最新情報までを網羅する。 【主な内容】 Q 新型コロナウイルス感染症で、嗅覚や味覚に異常が起こるのはなぜ?/Q 「自然免疫」と「獲得免疫」とは何?/Q 免疫細胞は病原体をどうやって見分ける?/Q 自然免疫の力が高いと、病気は自然に治る?/Q 一度感染症にかかると二度とかからない「二度なし」とは?/Q 免疫細胞はどこで生まれるの?/Q 免疫が働かない「免疫不全」とは?/Q ノーベル賞級の発見……「制御性T細胞」とは何もの?/Q 自律神経とストレスと免疫力はどう関係する?/Q 免疫力を高める方法の筆頭は?
  • 儲かる農業論 エネルギー兼業農家のすすめ
    3.6
    「儲からない産業」と言われる農業。そこに追い討ちをかけるTPP。これに対抗するためには大規模集約化するしかないと思われているが、実は、小規模の兼業農業こそ生き残る可能性が高い。そう断言するのは、経済学者・金子勝と、食と農の政策アナリスト・武本俊彦。それぞれの専門を活かして、「儲かる産業」としての農業のあり方を提言する。そのカギとなるのは、農家が小規模の発電所を経営する“エネルギー兼業”というウルトラCである。すでに試みられつつある各地の事例を挙げながら、食料自給率の低下や地方の荒廃まで一気に解決する道筋を探る。農業関係者だけでなく、食やエネルギー問題に関心のあるすべての人に贈る必読の書!【目次】はじめに/第一章 食卓と農が崩壊する時/第二章 新しい兼業スタイルへ/第三章 日本の再生可能エネルギーと農村・農業/第四章 農村のエネルギー転換と課題/第五章 「地域分散・ネットワーク型」社会に向かって/おわりに
  • MotoGP 最速ライダーの肖像
    4.0
    F1と並ぶモーターレーシングの最高峰、MotoGP。むき出しの体で時速三五〇kmのマシンを操り、命懸けの接近戦を繰り広げるライダーとはどういう人間なのか? チャンピオンに輝いた者、敗れ去った者、日本人ライダーなど全一二人の男たちの、勝利に賭ける執念、コース外での駆け引き、チームとの絆、ケガ、トラブル……。レース中継では映らない彼らの素顔を、二〇年間、間近で取材し続けてきたジャーナリストが描き出す。
  • モノ言う中国人
    3.6
    尖閣問題、反日デモなど、中国の世論が日本に及ぼす影響がますます大きい。長い中国在住歴を持つ著者は、一般に言われるような知識人の民主化運動よりも、インターネットの普及によってごく普通の人々が「モノ申す権利」=「話語権」を獲得したことが、中国に大変化をもたらしつつあると喝破する。「モノ言う人々」を質・量ともに変貌させるネットの危うさ、メディア管理の限界に立つ体制側、しかし巨大な国で強固な体制なしには生きられない人々自身のジレンマ。西側の思い入れだけでは見えない中国を描く!【目次】はじめに――モノ言う人民の台頭/第一章 中国における“モノ言う権利”/第二章 為政者の「喉と舌」から大衆の代弁者へ/第三章 インターネットにあふれ出した大衆の声/第四章 変質する愛国・反日デモ/第五章 経済の自由化で開いてしまったパンドラの箱/おわりに
  • 物語 ウェールズ抗戦史 ケルトの民とアーサー王伝説
    4.3
    ケルトの民ブリトン人の島だったブリテン島をローマ軍が征服し、属州として支配を開始したのは一世紀中頃。五世紀に入るとローマは撤退、アングロサクソン人が侵入を始める。以来ブリトン人は、のちにウェールズと呼ばれる島の西の隅に追いやられ蹂躙されながらも、外敵イングランドに抵抗を続けた。そして1485年、ついに「勝利」の日が訪れる。それはあまりにもドラマチックな大逆転劇だった――。本書は、救世主「アーサー王」の再来を信じ、1500年にわたり強大な敵に抗い続けた、ウェールズの誇りと栄光の物語である。 【目次】プロローグ 「よそ者」と呼ばれた人たち/第一章 ブリトン人から、ウェールズ人へ/第二章 ノルマン人西へ、ウェールズへ/第三章 独立を懸けた最後の戦い/第四章 赤竜の旗のもとに/エピローグ ウェールズよ、UKよ、何処へ/ブリテン島およびウェールズの年表/参考文献等
  • モバイルハウス  三万円で家をつくる
    3.9
    路上生活者の老人から啓示を受け、ノウハウを学んだ著者は、予算三万円足らずで「移動できる家=モバイルハウス」をつくりあげた。およそ二畳間大のモバイルハウスは、思いのほか、快適な空間だった。そして、土地とは何か、家とは何か、住むとはどういう営みなのか……等々、根源的な思考をうながしてきた。それは、小さいけれど壮大な、社会実験の装置だったのである。前著『独立国家のつくりかた』で提示された「一人で国をつくる」という思想は「一人で家をつくる」という実践から生まれた。著者の原点を余すところなく開示する、痛快なドキュメント。【目次】はじめに/一 実験の始まり/二 土地は一体誰のものか/三 モバイルハウスは家か、車か?/四 自力で家を建てるということ/五 多摩川文明を訪ねる/六 モバイルハウスをつくる/七 インフラを整える/八 駐車場を借りる/九 東日本大震災とモバイルハウス/十 モバイルハウスでの生活/十一 一つ屋根の下の都市生活/十二 モバイルハウスヴィレッジ計画/十三 新しい土地の使い方を考える/十四 家とは何か/おわりに
  • モーツァルトは「アマデウス」ではない
    3.8
    西洋音楽史の常識を覆す、衝撃の真実! モーツァルトは二度「殺された」。今日、「アマデウス」と言えば、多くの音楽ファンが、夭逝した18世紀の天才作曲家・モーツァルトのことを思い浮かべるだろう。しかし当の本人は、生前「アマデウス」と呼ばれたことも、名乗ったことも、まして署名などしたこともなかった。嘘だと思うなら、本書をご一読いただきたい。モーツァルトは、ある時期から自筆の楽譜に「アマデーオ」と、書簡の類には「アマデ」とサインし、その名を死ぬまで大切に使い続けた。それはなぜか。なぜなら、それはモーツァルトにとって唯一の宝であり、自身を支える矜持だったからだ。にもかかわらず、生涯大切にした最愛の名前を、死後、誰が何のためにモーツァルトから引き剥がし、似て非なる「アマデウス」に改竄してしまったのか……。著者は、不遇のうちに35年の短い生涯を終えた天才の渇望と苦悩に寄り添いながら、その謎を解き明かし、さらに西洋音楽史の欺瞞にも切り込んでいく。
  • モードとエロスと資本
    4.1
    オトコとオンナの関係に人が注ぐエロスのエネルギーこそがモードやファッションを盛り立て、そうした品々の消費が資本主義を牽引してきた。しかし、中世以来のそんなサイクルが今世紀に入り、ついに停止してしまった! 金融危機・経済危機で注目されているのはグローバル経済の変化だが、その背後には、人々の恋愛観、倫理観、人間関係の大変動があると著者は見抜く。時代の映し鏡であるモードを通して、劇的な変化を遂げる社会をリアルにつかむ一冊。【目次】序章 リセッショニスタの復活/第一章 倫理を着こなすリセッショニスタ/第二章 「失わない」ための服装術/第三章 暴走資本主義が愛を蹴散らし、モードを殺す/第四章 現実を超えていくための「マンガ」と「エロい」/第五章 ラグジュアリーと激安品のはざまで/あとがきにかえて
  • 「野球」の真髄 なぜこのゲームに魅せられるのか
    -
    野球はかつてスポーツ・娯楽の中心だった。男の子がプレーに熱中し、試合中継に胸躍らせた時代があった。しかし今、野球は昔のような熱も輝きも持っていない。社会は野球を歓迎しない方向にすら傾き始めている。その原因を探るため、著者は野球の歴史、ゲームの本質・魅力を見直し、日本の野球がどのように変質してしまったのかを分析する。さらに野球を通して現代の日本人が失ってしまった大切なものを指摘すると同時に、野球が昔のように復権する道筋を考える。長年、野球に携わってきた著者の集大成!【目次】はじめに/第一章 野球の本質/第二章 古き佳き野球の時代/第三章 野球の「信用」の失墜/第四章 野球の喜びと深み/第五章 野球再生に必要なもの/おわりに
  • 野菜が壊れる
    3.8
    今世界の至るところで土壌に異変が起きている。経済発展を支えた石油産業が生み落とし、かつては夢の肥料として歓迎された化学肥料がもたらしたものは、実は自然の連鎖が破壊され、生産能力を失った農地。そこにさらに大量の化学肥料と農薬が投入された結果、見かけは美しくとも中身の壊れた野菜、疲弊する家畜、それらの加工食品が、食の安全と人々の健康を脅かしている。でも、まだ間に合う、今しかない。ほんものの農業と産物の復活のための、再生の道すじとは。【目次】はしがき/第一章 野菜が壊れていく/第二章 土の中のみごとな連携、それを壊すのは……/第三章 化学肥料はどこから来たか/第四章 そして動物たちが、食品が壊れた/第五章 まだ間に合う、いましかない/あとがき
  • 野生動物カメラマン
    3.9
    世界的動物写真家・岩合光昭。今やライフワークとも言えるネコの写真でその名前を知る人も多いだろう。だが、彼の真骨頂は野生動物の撮影にある。サバンナでライオンの母子が鼻をくっつけ見つめ合う姿、中国奥地で80センチの至近距離から撮ったジャイアントパンダの授乳シーン、アラスカの海でザトウクジラが見せた迫力のバブル・ネット・フィーディング…。なぜそんな劇的な瞬間が彼にだけ訪れるのか。世界中の人々を魅了してやまない数多の写真と共に、驚きの舞台裏と野生動物への尽きせぬ想いを綴る。【目次】第1章 アフリカ・サバンナの狩人たち/第2章 北極圏の大物たち/第3章 南極圏に営巣する海鳥たち/第4章 人気者の知られざる野生/あとがき
  • 野性のスポーツ哲学 「ネアンデルタール人」はこう考える
    3.0
    陸上競技ハンマー投げ選手としてアジア競技大会5連覇を達成し、「アジアの鉄人」と呼ばれた著者。競技者としてだけではなく、長男でアテネ五輪金メダリストの室伏広治をはじめ多くのアスリートを指導してきた。著者は世界の強豪に比べれば決して恵まれた体格ではなかったと言うが、太い骨格に大きな手を備えた自身の肉体の特徴に「ネアンデルタール人」の面影を感じていたという。そんな「ネアンデルタール人」の末裔として、今も指導する選手を通じ、会心の一投を追究する男が明かす競技人生とスポーツ哲学。自他の才能を引き出す、究極のコーチングとは? 室伏広治との特別対談も収録!
  • ヤバいぜっ! デジタル日本――ハイブリッド・スタイルのススメ
    4.0
    ヤバいとはvery badとvery coolのWミーニング。世界各地を飛び回る著者が、情報最先端の事象を紹介しつつ日本人の知らない日本と日本人を論じる。世界から取り残されてしまったIT戦略をこのままにしていいのか? 国家ブランド戦略をきちんと立てなくていいのか? 日本が世界に広めたハイブリッド車のように、異なる要素を組み合わせて新しいスタイルを創ろう、それこそが日本人の得意分野で、世界から「クールでヤバい」と評価されるはずじゃないか? 日本への憂慮と愛が溢れる、元気の出る本。今後10年間のデジタル社会の変化を予言する書でもある。【目次】はじめに/第1章 ITとデジタルの終焉――インターネットの現在、過去、未来/第2章 ブランド「日本」――国家ブランディングとしてのコンテンツ戦略/第3章 ハイブリッド日本人の提案――スタイル・クリエイティブの時代/とても長いあとがきを最後に――この本をまずあとがきから読む人のために/あとがきのあとがき/付録 高城式次世代キーワード33
  • 「闇学」入門
    3.7
    古来、日本人は月光を愛で、蛍狩り、虫聴きといった闇のレジャーを多彩に楽しんだ。江戸庶民は夜を徹して富士山に登り、『陰翳礼賛』で谷崎潤一郎が「洞穴のような闇」と評した日本家屋の暗がりは西洋の建築家たちを魅了した。つまり日本人は闇の達人だった。だが今、オフィスでは一日中電灯がともり、深夜でもコンビニの光が溢れる都市からは闇が駆逐されている。本書は風俗・文学・信仰・健康……などさまざまな視点から闇を見つめる。衰えた五感を再生し、地球の未来を明るく照らす、豊穣な闇世界への招待状である。【目次】はじめに/第一章 闇の現代史 光に鈍感になった日本人/第二章 闇を遊ぶ 闇を使った賢い生き方/第三章 夜目と夜覚の世界 五感は闇の中で磨かれる/第四章 日本の闇はやわらかい 日本文化は闇の文化/第五章 明るい未来から、美しく暗い未来へ/おわりに
  • 「やめられない」心理学-不健康な習慣はなぜ心地よいのか
    3.4
    深酒や食べすぎ、手放せないタバコに慢性的な運動不足……。体に悪いとわかっているのに、不健康な習慣は改めるのが難しい。実は私たちが思っている以上に、それらの誘惑は強烈なのだ。高齢化社会を迎え、健康を維持することは今や国民的な課題と言っても過言ではない。生命を脅かし、身体機能を著しく低下させる生活習慣病を予防するにはどうしたらよいか。またストレスを始め健康を損なうさまざまな要因とどう向き合えばよいのか。心理学の新しい応用分野、「健康心理学」の見地から具体的な対処法を紹介する。【目次】第一章 わかっていてもできない健康習慣/第二章 医療のパラダイムと変化の必要性/第三章 習慣を変えるための心理学/第四章 食の健康心理学/第五章 ストレスはたまらない/第六章 こころと健康状態/第七章 病気の心理と行動/第八章 健康な社会づくりをめざして/あとがき
  • ヤング中高年 人生100年時代のメンタルヘルス
    -
    まだまだ若いと時代に抗う“ヤング中高年”。 彼らのこころが危ない 人生100年時代、世間では50~60代はまだまだ「若い」と言われる。 この年代は、職場では第一線として働き続ける一方で、さまざまなハラスメントに配慮しながら難しい管理業務も こなさなければならない。 日に日に感じる体力とモチベーションの低下……。 そして仕事を離れても、家庭では介護問題やローンなどの金銭的負担が伸し掛かる。 このように、まだ若いと時代に抗う“ヤング中高年”は、公私ともにストレスを抱え、こころを病んでしまう人が多い。 本書では、彼らのメンタルを守りポジティブに生きる方法を、日本のメンタルヘルス予防研究の第一人者が詳細に紹介する。 (本文より) 世間では、人生100年時代、50~60代はまだまだ若いと言われていますが、この年代では体力・気力が低下するだけでなく、こころをともに「病む」人が多くなっています。 仕事への動機づけも高く、自分はまだ「できる」と感じている一方で、部下を持ち、難しい管理業務をこなさなければなりません。 また、介護や家庭の問題、ローンなどの金銭的負担ものしかかり、公私ともにストレスを抱える人が増えています。 本書では、そんなヤング中高年のこころを守り、ポジティブに生きる術を教授するつもりです。 自分のことを知り、自分のメンタルヘルスをよくすることと併せて、自分とつながる他者のメンタルヘルスをよくする方法も知り、日常生活に活かしていただきたい、これが私の望みです。
  • 誘拐された西欧、あるいは中欧の悲劇
    3.0
    中欧のチェコに生まれたミラン・クンデラは20世紀後半の歴史と文学を「中欧」という視点から体現した作家。2023年の没後、作品の再検証を試みる機運が高まるなか、クンデラが生涯をかけて探求した概念「中欧」と「小民族」を巡る両論考は作家の世界観を理解するための貴重な証言と言える。また、主体的な関与がないまま自国の運命が一変するという「小民族」の置かれている状況は、現在のウクライナやパレスチナの情勢にも援用可能な視点であり、その警鐘は鳴りやむどころか世界中に響き渡っている。
  • ユーミンの歌声はなぜ心を揺さぶるのか 語り継ぎたい最高の歌い手たち
    3.4
    日本で1番多くの歌い手と共演した音楽家が語るかつてない“究極のボーカル論”――。真の「優れた歌い手」は何が凄いのか? 音程やリズムが正確な「うまい歌い手」であっても、それだけでは時代も世代も超えて人々の心を揺さぶる「優れた歌い手」ではない。彼らはテクニックではなく、もっと大切なものを音楽に宿しているのだ。1970年代から音楽界の第一線でアレンジャー・プロデューサーとして活躍し、日本で一番多くの歌い手と共演した著者が、松任谷由実や吉田拓郎、松田聖子、中森明菜、斉藤由貴、玉置浩二、MISIA、一青窈など、優れた歌い手たちの魅力の本質を解き明かす。
  • 「慵斎叢話」15世紀朝鮮奇譚の世界
    3.0
    <近くて遠い国>。韓国がそう言われるのは<日本に似て非なる>国だからであろう。であればこそ親しみやすい反面、食い違いが生じれば忽ち嫌韓感情を生んでしまう。その韓国とは、2002年のサッカーワールドカップ共催を契機に、俄かに「韓流ブーム」が沸き起こり、歴史ドラマが数多く紹介され好評を博した。それらの多くは秀作・力作ぞろいで、今でも人気は高いが、作品を通じて朝鮮時代や韓国文化が理解できるかと言われれば、「水戸黄門のドラマを見て江戸時代や日本のことを知ろうとする」のと変わりない。その国のことを理解するには、このようなドラマではなく、古典を通して逍遥するのも有効かもしれない。というのも、韓国文化の母体は朝鮮時代にあるからだ。その朝鮮時代に朱子学(儒教)を通じて国家建設を目指した「士大夫」と呼ばれる科挙合格官僚がいる。特に朝鮮前期に活躍した成俔の随筆「慵斎叢話」は当時の世相を知る最上の資料でもある。この「慵斎叢話」は宮中世界、歴史・文学、自然現象から巷の奇譚・笑話に至るまで多様な話があるが、本書では極めて人間臭い話題を中心に、男女のスキャンダル、破戒僧、呪詛・占い、宮廷秘話など、韓国の厳しい儒教社会に対する先入観を打ち破る奇異譚を紹介する。
  • 腰痛はアタマで治す
    4.0
    人はなぜ腰痛になるのか。腰痛はなぜ再発するのか。その答えは日常の「姿勢」や「動作」にある。トイレに行く以外は、長時間パソコンにかじり付いたままという人も多いのではないだろうか。だが、身体の仕組みや重力との関係を頭で理解して、腰に負担をかけない姿勢や動作を実践すれば、腰痛は予防・改善できる。椎間板ヘルニアや坐骨神経痛などと診断された人も諦めてはいけない。姿勢矯正のプロが「腰痛のメカニズム」をわかりやすく説明し、頑張らずに腰痛を改善するメソッドを紹介する。【目次】はじめに/第1章 なぜ病院で腰痛が治らないのか/第2章 腰痛のしくみ/第3章 「トリガーポイント」と腰痛/第4章 正しい姿勢の人はいない/第5章 壊れない腰のつくり方/第6章 腰痛防止――体に優しい作業環境づくり/第7章 腰を守る日常動作/補章 腰痛にならないためのゴルフ講座/おわりに
  • 善く死ぬための身体論
    3.3
    緊張と不安の時代に、「善く死ぬ」とはどういうことか? 武道、呼吸、瞑想からヒマラヤでの想像を絶する修行までさまざまなエピソードを通じて、武道家にして思想家の内田樹と、ヨーガの大家、成瀬雅春が死について縦横無尽に語り合う。そもそも死は病ではなく、いずれ誰にも訪れるもの。むやみに恐れるのではなく、生の充実を促すことが善き死を迎える準備となりうるというヒントを、ふたりの身体のプロがやさしく教える。
  • 欲望する「ことば」 「社会記号」とマーケティング
    4.2
    女子力、加齢臭、草食男子、婚活、美魔女、おひとりさま、イクメン、インスタ映え……。これら、どこからともなく現れて一般化した造語を、著者は「社会記号」と呼ぶ。そして、それは世界の見え方を一変させ、マーケットを支配していくという。では、「ことば」はどのように生まれ、どんなプロセスを経て社会に定着していくのか。なぜ人は新しい「ことば」を求めるのか。本書は、マーケティングのプロと研究者がタッグを組み、それぞれの視点で「社会記号」について考察。人々の潜在的欲望をあぶり出し、世の中を構築し直す「社会記号」のダイナミクスに迫る。 【目次】はじめに 社会記号が世の中を動かす 嶋 浩一郎/第一章 ハリトシス・加齢臭・癒し・女子 ――社会記号の持つ力 松井 剛/第二章 いかに社会記号は発見されるか ――ことばと欲望の考察 嶋 浩一郎/第三章 ことばが私たちの現実をつくる ――社会記号の機能と種類 松井 剛/第四章 メディアが社会記号とブランドを結びつける ――PRの現場から 嶋 浩一郎/第五章 なぜ人は社会記号を求めるのか ――その社会的要請 松井 剛/第六章 対談 誰が社会記号をつくるのか 嶋 浩一郎・松井 剛/おわりに 社会記号をクリティカルに捉える消費者になるには? 松井 剛/主要参考資料
  • 「世逃げ」のすすめ
    4.1
    世間はおかしな物差しで人の価値を計ります。「狂った」世間の物差しを捨てよ、と命じても、世間は世間の物差しを捨てられない。だとしたら私たちは世間から逃げ出すほかありません。それではどこに行けばいいのでしょう。理想の桃源郷なんてありません。どこに逃げてもいやな所ばかりです。だから「世逃げ」には、少々のテクニックが必要なのです。その行き先は? 方法は? 今を生きるヒントを説く!【目次】I 「世逃げ」のすすめ/II 「デタラメ」哲学/III 「あきらめ」思考/IV 「いい加減」実践/あとがき
  • 米原万里の「愛の法則」
    3.9
    稀有の語り手でもあった米原万里、最初で最後の爆笑講演集。世の中に男と女は半々。相手はたくさんいるはずなのに、なぜ「この人」でなくてはダメなのか――〈愛の法則〉では、生物学、遺伝学をふまえ、「女が本流、男はサンプル」という衝撃の学説!?を縦横無尽に分析・考察する。また〈国際化とグローバリゼーション〉では、この二つの言葉はけっして同義語ではなく、後者は強国の基準を押しつける、むしろ対義語である実態を鋭く指摘する。4つの講演は、「人はコミュニケーションを求めてやまない生き物である」という信念に貫かれている。【目次】本書に寄せて――池田清彦/第一章 愛の法則/第二章 国際化とグローバリゼーションのあいだ/第三章 理解と誤解のあいだ――通訳の限界と可能性/第四章 通訳と翻訳の違い

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