著者の殿村さんは、大手広告代理店勤務を経て独立、地方公共団体、中小企業など様々な団体・組織のPR戦略を手がける会社を創業した経歴の持ち主です。
本書は、その殿村さんの25年にわたるキャリアに基づいた、TVなどを利用したPR戦略の立て方やその具体的な方法について解説したものです。
殿村さんが長年P
...続きを読むR戦略の仕事をしてきた為かとても読みやすい本でした。
内容の方を簡単に紹介すると、
著者が手がけた中で代表的な成功例、「今年の漢字」「佐世保バーガー」「讃岐うどんブーム」を始めとする様々な具体例を基にして、
社会的なブームを引き起こすためにはどの様な条件を満たす必要があるか、
どの様な流れでブームは起こっているのか、
そして、具体的なPR戦略の立て方、PR企画書やテレビ用リリースの書き方の説明が載っていました。
著者によれば、テレビは「より深く理解させる」メディアではなく、「より多くの人に理解させる」メディアで、その為に人間の本能を刺激するコンテンツを好むとの事。
そして、PR戦略でテレビを利用するためには、テレビのその性質を理解した上で、以下の3条件
1. 見えないものをビジュアル化する
2. わかりやすいストーリーで考える
3. 誰もが共感できるテーマをつくる
を満たす必要があるとの事。
その上で、この3条件をみたすためのテクニックとして、以下の10項が紹介されていました。
1. シーズンに合わせて五感を刺激する
2. みんなで完成させる芸術作品をつくる
3. むずかしいことは音楽で説明する
4. 魅力やテーマを「ひと言」で説明する
5. 「三方よし」の社会貢献をする
6. 笑える意外性(サプライズ)をつくる
7. パロディを活用する
8. 「ちょっと深いストーリー」をイベント化する
9. 「真のご当地モノ」を活用する
10.ちょっとだけ常識を破ってみる
これらの事を本書の冒頭から3章までを使って(上記しましたが)豊富な具体例をあげながら解説し、
その後、4章でテレビ局や新聞・雑誌社向けのPR文章の作成方法の具体的な解説、
最終章の5章で、テレビで取り上げられ世間の注目を引いた効果を一過性の物にしない為に、自社サイトやショッピングサイトなどをきちんと整備する必要性などが書かれていました。
インターネットの情報発信力が日増しに強くなる現代において、テレビを使ったPR戦略なんて古臭いと思われるかも知れません。
しかし、2010年度の日本の総広告費の29.6%がテレビ広告に使われています。
少なくとも現時点では、テレビの社会的影響力の強さは否定できません。
また、インターネットを通していきなり全国ニュースになった「ひこにゃん」のケースも取り上げており、最終章の内容も合わせてると、インターネットの発信力とテレビの影響力が混在する現在に適したPR戦略の解説がなされているのではないでしょうか。
著者によれば、テレビCMとPR戦略を「北風と太陽」に例えると、テレビCMは北風でPR戦略は太陽との事。
医療分野の強い広告規制を乗り越え、医療機関が世間に伝えたい事すらも伝える事が出来るPR戦略。(しかも低コスト)
本書を読んで、色々と興味を惹かれました。