広瀬弘忠の一覧
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ユーザーレビュー
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人は災害時にパニックにならない、という前提をもとに、災害に備えた社会を説く。韓国の地下鉄事件の被害者の落ち着き払った様子や、9.11の世界貿易センタービルのテロ事件の際の人々の行動などからその前提を解説している。ただ、内容的には危機対応時の人間について語っているので、アマンダ・リプリーの『生き残る判
...続きを読む断、生き残れない行動』なども参照した方が、タイトルの疑問については理解しやすいであろう。
Posted by ブクログ
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■避難勧告や避難指示が出された場合でもこれに従う人々は驚くほど少ない。これは日本だけのことではなくアメリカやヨーロッパでも同じ。
■災害の被害を避けるために避難の指示や命令などが発令されても避難する人々の割合が50%を超えることはほとんどない。安全に慣れてしまって危険を実感できないでいる。
■私たち
...続きを読むの心は予期せぬ異常や危険に対してある程度鈍感にできている。常に移り行く外界の些細な変化にいちいち反応していたら神経が疲れ果てまっとうな日常生活が崩壊してしまう。心に遊びを持つことでエネルギーのロスと過度な緊張に陥る危険を防いでいる。ある範囲までの異常は,異常だと感じずに正常の範囲内のものとして処理するようになっている。このような心のメカニズムを「正常性バイアス」という。この「正常性バイアス」が身に迫る危険を危険としてとらえることを妨げてそれを回避するタイミングを奪ってしまうことがある。
■最終的に自分の身を守るのは自分自身であることをしっかりと自覚すること
■PTSDの主な症状
①過覚醒
・意識が過度にピリピリと敏感になっている状態
・いつ再びやってくるかもしれない同じ危険に対して常に身構える体制をとり続ける
・自己防衛機制が行き過ぎて働く結果
②侵入
・外傷を受けた瞬間の情景を目覚めているときにはあたかも実際に今起こっているかのようにありありとフラッシュバックの形で再現して想起する
・眠っているときには外傷性悪夢として繰り返し繰り返し仮想体験する
・外傷性記憶が繰り返し意識の中に執拗に「侵入」してくるので日常生活は混乱して家族や親しい友人との間でも満足な心の交流やコミュニケーションが取れなくなってしまう
③狭窄
・不快感をもよおす脅威に満ちた恐ろしいものは決して見たくない。私たちは見たくないものを見ないようにするために無意識に自分の興味や関心をより狭い範囲に制限しようとする。そして極端な場合には自分自身や家族の生活への関心,それまでの生活においてエネルギーの大半を注ぎ込んでいた仕事や趣味への情熱などをまったく失ってしまうことがある。災害や事故で自分自身が経験した危機的な状況を再び思い出させるような場面に直面したくないという心理がこの狭窄の症状をもたらす。
■避難行動のメカニズム
・避難行動とは個人や家族のような集団が脅威や破壊にさらされたときに,その事態を回避するための移動行動。避難行動は単純に見えてなかなか複雑な要素を抱えている。
・避難行動の特徴は個人の単独な行動というよりは集団的な行動という点にある。避難行動はそのメカニズムを見るとそれをともに行う個人の間では相互作用的であり,複合的であるため様々な要因がこれに関与して避難行動を促進したり遅延したり,場合によると中止したりする。
・また,多くの場合,移動は一時的なもので危険が去った後には再び元の場所へ戻ってくるが,時には移動した場所で定住したり,そこから更に別な場所へと移動を重ねることもある。そのような各段階に,個人や集団の意思決定のプロセスが介在している。
・避難行動は,まず危険を知らせる情報が伝えられるところから始まる。この情報にはマスメディアからの災害情報の伝達の場合もあるし,市町村による防災行政無線のスピーカーや,消防や警察の車両からの避難勧告や指示の伝達の場合もある。いずれにしても我が身に降りかかる危険が現実にあることを実感しなければならない。
・だが,仮に危険を感じたからといって直ちに避難行動を始めるわけではない。その次は危険の大きさを評価する段階がくる。中には危険を過大にとらえる人々もいるが,一般には,危険は実際よりも過少に評価される傾向がある。そのために多くの災害では避難勧告や避難指示が出されてもそれに従って避難する人々は少ない。
・最後に考慮すべき事柄は,果たして避難するに際して何か重大な障害があるかどうかということ。例えば避難の途中に大きな危険がないか。避難所は十分に準備されているか。避難所までの距離はどうかなど。さらに,様々なことが思案される。その結果,避難しないよりも避難した方がより安全だと思える時に公的な非難の指示や自分自身の判断に従っての避難行動が開始される。
・避難行動を行う人々の割合が一般に低いのは,避難には大小様々なコストがかかるという理由によるものである。
■人々は警報を受け取っても自分たちに危険が迫っていることをなかなか信じようとはしない。
・警報のメッセージに少しでも曖昧なところや矛盾したところがあったりすると警報の信頼性に対して疑いの目を向ける傾向がある。
・正常性バイアスという私たちの心に内蔵されている機能は元々は私たちが過度に何かを恐れたり不安にならないために働いているはずであるが,時にこの機能は私たちをリスクに対して鈍感にするというマイナスの役割を果たす。
Posted by ブクログ
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地震や火災など、予期せぬ災害に遭遇すると人間はどんな行動をとるか。心理学的アプローチと過去の事例から、危険を回避する具体的な方策をアドバイスする。危険な時代を生き抜くための必読の書。(商品紹介より引用)
・防災のジレンマ
災害は、予知することはできない。しかし、防災をしなくてはいけない。という第一
...続きを読むのジレンマ。
また、災害発生後にも、防災をしていて効果があったのかどうかを示すすべはない。
という第二のジレンマ。
それでも、我々は防災に努力しなければならない。
・災害時の家族の重要性
親は子のため、子は親のために自己犠牲を厭わない。その力が個々でいるよりも、生命存続には大切になる。
・生き残ったことを誇ることのできる世の中に
海外では、災害を生き延びた人を「サバイバー」呼ぶのが、日本にはそれに相当する言葉がない。
日本では、「被災者」であり、「被害者」。特に、日本では生き残ったことに対する罪の意識が強い。
実際に世界中で起こった災害を例にしているので、時々その恐ろしさに背中がゾワっとすることが多々ありました。
防災とは、しなくてはいけないと思いながらも、出来ていないことNo.1ではないでしょうか。
滅多に起こることではないし、上記にあるように防災していたからといって、それが正しいことだったのかも分からない。
けれど、していなくて後悔するよりも、今できることは全力でしたいと私は考えます。
また、防災も大切ですが、゛忘災″してはいけない。とても、この言葉に納得した。
私自身は、関西在住で阪神淡路大震災のときは、まだ、赤ん坊でしたので、全く記憶はありません。
しかし、これからの残りの人生で何があるか分からない。地震かもしれないし、火災かもしれない。備えあれば患いなし。
防災を改めて考えるよいきっかけになる本でした。
Posted by ブクログ
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次世代を担う人たちの答え。
震災当時、震災以前の反省と現状認識、そして将来への課題など素晴らし良い内容がつまってる。
Posted by ブクログ
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ルポから思想まで豪華布陣だが、宮台さんの激憤しながらの筆致が鮮やか。『「ファストフードからスローフードへ」と同じく「原子力から自然エネルギーへ」も日本的に勘違いされるでしょう。〈食の共同体自治〉の問題が、食材選択の問題に短絡したように、〈エネルギーの共同体自治〉の問題が、電源選択の問題に短絡するでし
...続きを読むょう。(略)原発災害からの学びがその程度で終わってしまうのですか。』pp.384-385. まさにそこなのだ。設計の悪い世論調査と内閣支持率に翻弄されて愚昧な二択に落とし込んではいけない。そこで一般意志2.0の登場なんだろうな。東さんと宮台さんと津田さんは全く方法論が違うけど、震災をきっかけに議論が一気に接続されてきた気がする。
Posted by ブクログ
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