広瀬弘忠のレビュー一覧
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■避難勧告や避難指示が出された場合でもこれに従う人々は驚くほど少ない。これは日本だけのことではなくアメリカやヨーロッパでも同じ。
■災害の被害を避けるために避難の指示や命令などが発令されても避難する人々の割合が50%を超えることはほとんどない。安全に慣れてしまって危険を実感できないでいる。
■私たちの心は予期せぬ異常や危険に対してある程度鈍感にできている。常に移り行く外界の些細な変化にいちいち反応していたら神経が疲れ果てまっとうな日常生活が崩壊してしまう。心に遊びを持つことでエネルギーのロスと過度な緊張に陥る危険を防いでいる。ある範囲までの異常は,異常だと感じずに正常の範囲内のものとして処理す -
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地震や火災など、予期せぬ災害に遭遇すると人間はどんな行動をとるか。心理学的アプローチと過去の事例から、危険を回避する具体的な方策をアドバイスする。危険な時代を生き抜くための必読の書。(商品紹介より引用)
・防災のジレンマ
災害は、予知することはできない。しかし、防災をしなくてはいけない。という第一のジレンマ。
また、災害発生後にも、防災をしていて効果があったのかどうかを示すすべはない。
という第二のジレンマ。
それでも、我々は防災に努力しなければならない。
・災害時の家族の重要性
親は子のため、子は親のために自己犠牲を厭わない。その力が個々でいるよりも、生命存続には大切になる。
・生き残 -
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ルポから思想まで豪華布陣だが、宮台さんの激憤しながらの筆致が鮮やか。『「ファストフードからスローフードへ」と同じく「原子力から自然エネルギーへ」も日本的に勘違いされるでしょう。〈食の共同体自治〉の問題が、食材選択の問題に短絡したように、〈エネルギーの共同体自治〉の問題が、電源選択の問題に短絡するでしょう。(略)原発災害からの学びがその程度で終わってしまうのですか。』pp.384-385. まさにそこなのだ。設計の悪い世論調査と内閣支持率に翻弄されて愚昧な二択に落とし込んではいけない。そこで一般意志2.0の登場なんだろうな。東さんと宮台さんと津田さんは全く方法論が違うけど、震災をきっかけに議論が
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今回の震災と照らし合わせたりして
非常に興味深く読んだ。
パニックはそうはおこらない。
沈着冷静がサバイバーになるために効果的。
震災後の復興は合理的に進むので体力がもともとなかった地域はなくなることも考えられる。
などなど。
海難事故や停電、ペスト、テロなど
いろいろな事象がとりあげられていた。
結局は情報を自分でいくつも照らし合わせて判断するしかないのだ。
八潮は地盤が砂ではなくがれきなどの産業廃棄物、
つまりコンクリ的なものらしく液状化はまぬがれるらしい。
東京湾が震源だった場合高いところにすぐ逃げる。
とかいまのうちに考えておくだけでも有効だよね。
あと災害持ち出し袋 -
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政府はパニックを恐れているらしい。パニックってそんな簡単に起こるものではないらしいぞ。政府関係者にはこの本を読んで欲しいな。
政府がパニックを恐れるあまり嘘をついているんじゃないか、必要なことをしていないんじゃないかっていう政府への不信感が買いだめパニックに繋がった。
政府は、津波や地震の情報は多少不確かであってもすぐに公開している。その事で一定の成果を上げているのに、原発関連の情報はほとんど表に出さない。
パニックを恐れているのではなく、情報を公開することによって自分たちの手落ちが明らかになることを恐れているのではないか。
けれど誤った秘密主義は、結局高く付く。
大災害は社会に大きな変化 -
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鹿児島の実家、実は先日の大雨で半孤立しています。地表滑落のため、団地に隣接する幹線が下り側で全断。年内の復旧見込みはなく、移動に苦が伴っている。
大雨前に避難警報の発報を知るも、離れた土地にいる家族は「ダイジョウブ」の一点張りだった。結果、大丈夫だったけどニアミスだった。
実は、先日、ウチのビルで発煙があり警報が鳴った。"This is not a drill"というフレーズは訓練の時にも流れていて、「あれ?訓練かな」と思って誰も避難しなかった。実際に避難したのは、消防士の姿を見た来た時だった。
警報はその信用を落とし、避難意識も高く持ち続けられていないのは現実のように思う -
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ネタバレ災害心理学を専門とする著者が、これまでの災害を例に、災害時における人間行動や災害復興の仕組みについて分析する。
災害はいつ起こるか分からず、また災害対策の費用対効果も見えないことから、「防災のジレンマ」が存在することを著者は説いている。災害を完全に残すことは不可能であることから、いかにうまく災害と付き合っていくかが重要である。本著は、災害を知る指南書と言えよう。
災害発生時、人々を不安にさせないよう情報を隠ぺいする、あるいは被害があまりないかのような誤報を伝える、といったことをつい考えがちだが、このような行為は集団パニックを助長させるもとであることを知った。著者は、パニックが起こる4つの条件と -
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ヒトは危険に対してある程度鈍感に出来ているので、異常を過小評価しがち。周りに「じっとしてて下さい」などと言われても、自分で災害の驚異をしっかりイメージして自ら行動することが大事だそうです。
そんなこと言われてもなぁ・・・とは思いますが、注意喚起のため日頃から目を通しておきたい一冊。
日本語にはサバイバーに相当する言葉がない、という話も印象的でした。日本では生き残った人は被災者とよばれてしまうために、素直に生き延びたことを喜べる社会風土が作られにくいそうです。まずは被災者を罪悪感から解放し自分をサバイバーと感じられることが災害から立ち直るためには大切、と。目から鱗。
「急速に成長しつつあるコ -
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防災に係わる職場にいるし、緊急時の人間行動や災害心理というのは比較的とっつきやすい分野だったので何となく手にとって読み始めたのだが…。
読んでいる途中で東日本大震災が起こった。
当然本の話題に上がっているのは今まで起きた地震・起こるであろうと言われている地震等の災害の話。(それだけではないが。)
とはいえ語られている内容が、現在進行中の事象とあいまって、途中読み進むのが非常につらくなった。
東海・東南海・南海の複合地震が起きたときの災害規模や災害後に起こる人々の心理状態の変遷の話はあまりにも今回の震災と近似していて背筋が寒くなった。
テレビで映るその状況が、死者行方不明者の規模が、本の内