広瀬弘忠のレビュー一覧

  • 人はなぜ逃げおくれるのか――災害の心理学

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    [ 内容 ]
    地震や洪水、火災などの災害に遭遇した時、身をまもるために素早く行動できる人間は驚くほど少ない。
    現代人は安全に慣れてしまった結果、知らず知らずのうちに危険に対して鈍感になり、予期せぬ事態に対処できなくなっている。
    来るべき大地震のみならず、テロや未知の感染症など、新しい災害との遭遇も予想される今世紀。
    本書では災害時の人間心理に焦点をあて、危険な状況下でとるべき避難行動について詳述する。

    [ 目次 ]
    プロローグ 古い「災害観」からの脱却を目指して
    第1章 災害と人間
    第2章 災害被害を左右するもの
    第3章 危険の予知と災害被害の相関
    第4章 「パニック」という神話
    第5章 生

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    2014年10月26日
  • 人はなぜ危険に近づくのか

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    人間は進んで危険に近づくという性質をもっていて、それと同時に、危険を作り出すという特異な能力を持っているとこの本は述べています。確かに人間は、大量破壊兵器を用いた戦争をしたり、危険だとわかっていながらも原子力発電所を作ったりと、言われてみればどんどん実感がわいてきます。人は生きていくということの代償に危険を生み出してしまうが、それを打ち砕いていくというサイクルを繰り返しているのだと、わからされるような内容でした。

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    2009年11月12日
  • 人はなぜ逃げおくれるのか――災害の心理学

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    タイトルは「なぜ逃げおくれるのか」であるが、その原因について洞察しているというよりは、災害全般について、筆者の考えが整理されている。
    パニックとはギリシャ神話に出てくる半獣神「パン」が由来だというのは初耳であったし、災害ではパニックは簡単に起こらないということも主張している。
    また、日本では災害で生き残った人達を「被災者」と呼ぶが、実は「サバイバー」なのだという見方は斬新である。

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    2022年06月21日
  • 人はなぜ逃げおくれるのか――災害の心理学

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    【ノート】
    ・災害は、その地域が持っている上昇か下降のベクトルを加速させるというのが面白かった。
    ・第一次警報伝達過程と第二次警報伝達過程。マスコミなどは後者。
    ・ちなみにこの本は2004年に書かれているが、3.11後の今、情報伝達について今はどのような見解を持ってるんだろうか。

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    2018年10月28日
  • 人はなぜ逃げおくれるのか――災害の心理学

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    東日本大震災のとき、結果として僕はたぶん正しい行動をとれた(それなりに正しくリスクを計算できていた)と思うんだけど、それって懸命だったわけではなく、単に「正常バイアス」が強かっただけなのかも、と思ったりする。
    そんな感じで、災害の際の人間心理をさまざま紹介してくれていて興味深かった。パニックのあたりが白眉かな。

    ただこれ、ずいぶん前の本なんだよね。
    マスコミについての記述は古さが否めない。SNS全盛になった今の状況を著者にはまた書いてほしいなあ。

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    2016年06月03日
  • 人はなぜ逃げおくれるのか――災害の心理学

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     災害法制の勉強をしていて、関係ある本を読んでいくと、同じ本と時々二度かって読んでしまう。

     この本も二度目。ちょっと情けないが、しょうがない。

     今回、気になった点。

    (1)十分な資格があると認められるNPOとかNGOに対して、現在地方公共団体が行っている被災者救援の仕事を、逐次、可能なかぎり権限とともに委譲すべき。(p195)

     大災害になれば、ボランティアや民間企業に助けてもらう謙虚な姿勢が大事だと思う。

    (2)パニック発生の4条件、「多くの人々が脅威を感じている」「危険を逃れる方法があると信じられている」「脱出は可能であると信じられているが、安全は保証されていない」「人々の間

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    2012年09月28日
  • 人はなぜ逃げおくれるのか――災害の心理学

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    洪水を経験した人は、洪水には対処できるが、津波には対処できない。
    自分の目で災害をみないと、警報があってもそれを過小評価してしまう。
    この本は、阪神大震災の九年後に書かれている。
    このため、東日本大震災でまのあたりにしたような、津波被害に対する避難態度というのは、書かれていない。
    しかし、冒頭で書いてあるように、人は、自分が実際に経験したことでないと、きちんと状況を把握できない。
    だから、過小評価してしまい、結果的に逃げ遅れが発生してしまう。
    一つの災害からは学ぶものがたくさんあり、次に類似した災害時にそれを生かさなければならない。
    でも、東日本大震災から一年半たった今、被災地以外の人々があの

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    2012年09月15日
  • 人はなぜ逃げおくれるのか――災害の心理学

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    明石の歩道橋事故、警備を担当した株式会社ニシカンの”茶髪の男が暴れた”という責任回避のウソ、これを思い出した。
    洞爺丸の遭難で、首まで水につかっている状態のときに、このまま沈んでいけばあの窓に手が届く、それまでここを動くなよ、と冷静に自分に言い聞かせて生き延びた人などの事例を読んで行くと、生き延びるためには冷静な判断、そして自分は生きるという強い意志力の2点が必要なことを、改めて実感した。

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    2012年08月11日
  • IT時代の震災と核被害

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    東北の震災の際に関わったITのお話。パーソンファインダーとかUstとかポジティブな面と、人間のダイレクトな関係が支えたあの時期についての考察をさまざまな方がしています。今回ほどSNSが重要な役割を果たしたことはなかったと思う。でもいろいろと課題もあったのも実際です。私がもし使いこなせなかったらどうだったんだろう…気になったのは書き手の差かな?いろいろな人の観点から見れるのは面白いけど、明らかに当事者だった人と取材して他人事だった人の文章は違うと感じました。

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    2012年04月16日
  • 人はなぜ逃げおくれるのか――災害の心理学

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    ネタバレ

    「正常性バイアスのせい」自然災害の場合、警報などの緊急情報の曖昧さ・不明瞭さが被災リスクを高める。防災担当者や専門家は一般市民に対し、現段階において科学的に分かっていることと不明なとこを正直に明快に伝えることで、正常性バイアス(身に迫る危険を危険として捉えることを妨げさせて、それを回避するタイミングを奪う)に陥いらせないようにさせる必要がある。エキスパート・エラーが生じている場合もあるので、結局は個人のタイムリーを判断する知性と行動する勇気が求められる。

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    2012年03月06日
  • IT時代の震災と核被害

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    今年気になったほぼ全ての方々が登場し、総括的に意見を述べられている感で、俯瞰的に、また各々方の比較をしながら読むことが出来ました。それによって、各々型の主張や活動の方向性をよりはっきり認識出来たように思います。
    新しい論はあまり無かったのですが、良書でした。いずれどの立場も論点も欠かされてはならないなと改めて痛感しました。

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    2011年12月31日
  • IT時代の震災と核被害

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    震災直後、俺達があたふたしてる間にGoogleのエンジニアがパーソンファインダーを公開するに至る経緯がメイン。膨大な行方不明者の情報をオンラインで可視化する為に、社内エンジニアが処理できない分はボランティアに任せる…と言った経緯は感心した。Googleらしいフットワークは好感が持てた。無料PDF版だったのでここまで。

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    2011年12月05日
  • 人はなぜ逃げおくれるのか――災害の心理学

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     地震・伝染病・テロ……現代社会を脅かす災害は枚挙にいとまがない。本書は、災害を乗り越えるために必要な事を、心理学を通して考察したものである。

     まず災害が発生した場合の人間の心理状態を分析し、被害軽減のための諸条件を検討する。そして、災害が過ぎ去った後の、復興へ向かう道についても言及している。
     災害時の人間心理を中心に据えながらも、災害後の行動や災害と社会の関係性など、災害と人間について広く考察がなされており、災害について考える入門書として位置づけられる。特に、主に終盤にかけて述べられている筆者の災害観は、東日本大震災を経験した今こそ強く心に響くものである。

     「心理学」と題されてはい

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    2011年09月03日
  • 人はなぜ逃げおくれるのか――災害の心理学

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    仕事がらみで読みました。2004年の初版ですが、今、平積みされています。わかりやすく書いてあります。しかし、東日本大震災のケースであてはまるのか・・・?

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    2011年07月24日
  • 人はなぜ逃げおくれるのか――災害の心理学

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    長文レビューを書いたのに、うっかり消えてしまってショック・・・。
    過去の災害を取り上げているので、ケーススタディーになる。
    この本で気になった点をいくつか。
    ①人が逃げ遅れるのは、災害に対して鈍感にできているから(これを正常性のバイアスという)
    ②災害からの復興には、被災社会システムの活力が大いに影響(←日本は今回立ち直れるのか・・・?)
    ③過去の大災害からのみごとな復興には、有能なリーダーがいた。(←日本は・・・)
    ④パニック神話(←恐れられているほど、パニックは起きない)

    自明なものをやたら抽象的に書いているので、ざっと目を通して読む程度でよいかと。

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    2011年04月16日
  • 人はなぜ危険に近づくのか

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    われわれが危険を冒すとき、
    なにかアドベンチュラスな冒険を連想することが少なくない。
    アドベンチュラスな冒険とは、誰も損失を補償してくれなくても、
    そんなことは意に介さず、
    心をワクワクさせながら冒す類のものである。
    それが自発的リスクである。

    自発的リスクを冒す場合には、われわれは危険に近づく行為を楽しみのために行っている。
    ロッククライミングやスカイダイビング、バンジージャンプなどがそうである。

    これらの行為は誰かに命令されてやる義務的なものではなく、自分から進んでやるものだ。
    骨折や下手をすれば死んでしまう恐れがあるが、
    スカイダイビングやバンジージャンプはやりたいし、
    凍死や墜落の

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    2010年09月13日
  • 人はなぜ逃げおくれるのか――災害の心理学

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    パニックはなぜ起こるかを説明しつつ、パニックはそれほど起こらないと主張している。書いてあることは割と当たり前。学んだことは、「パニックを怖がるあまり、事態を過小に伝達すると、人々の危機感が薄まって、危険を増す」ということだけ。
    定年間際の教授の本は、論旨が不明瞭になり、主張が方々に散ってしまう。これは、きっと、知見が多すぎて、あれもこれも書きたくなってしまい、結局、何を言いたいかわからなくなってしまうたまでと推測。

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    2010年04月25日