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子供たちの独立国家は、本当に実現するのか? そこで浮き彫りになる、日本の現在(いま)とは? 本書は、竹島問題、憲法改正、象徴天皇制などのアクチュアルなテーマを、架空の小学校を舞台に平易な言葉で論じる、18世紀以前にヴォルテールやルソーなどが得意とした「小説的社会批評」だ。謎の園長・ハラさんが経営する小学校に通う、主人公の小学生「ぼく(ランちゃん)」とその仲間たちは、知性と個性に彩られた不思議な大人たちに見守られながら、少しずつ自分たちの「くに」を創り始める……。 【目次】プロローグ/1・いろんなことを最初に書かなきゃならない/2・「くに」ってつくれるんだ/3・最初に「こっき」をつくってみることにした/4・ぼくたちの学校/5・ぼくには得意ワザがない/6・肝太先生/7・肝太先生のおはなし/8・ぼくの家の「憲法」たちのこと、そして理想先生のこともちょっと/9・「憲法」の中にいる悲しいひと/10・キヨミヤくんのこと/11・おとうさんと夜に/12・公衆道徳を守りましょう/13・ママ、アイ・ラブ・ユー/14・「名前のないくに(仮)」/15・@名前のないくに(仮)/16・@アイと雪の女王/17・不思議の国のお茶会/18・「名前のないくに(仮)」建国宣言、ではなくて、建国のことば/19・ハロー&グッバイ、マイ・フレンド/エピローグ/あとがき――「君たち」から「ぼくたち」へ/参考文献
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Posted by ブクログ
ああ、これは高橋源一郎版、21世紀的『君たちはどう生きるか』だなあ、と思いながらわくわくして読み進めたら、最後のあとがきにそれを意図して書いたってあって、少し自分の読書経験に自信がついた次第(笑)。
もう少し違うタイトルにならなかったの?
文庫で出版できなかったの?
もっと多くの人に読まれる可能性の高い流通形態をとることができなかったの?
という疑問が出るくらいいい本だと思う。
もしかしたら怒るような人がいるのかもしれないけれど、こういう形でしか表現できないことも確かにあると思う。
それに著者自身がこの本の内容すべてに諸手を挙げて賛同してもらうことを期待はしていないと思うし。
この本を読んで、それが「考える」ことのきっかけになればいい。
学校では教えてくれないこともあるし、教えられないこと、教えきれないこともある。
いや、たぶん本書でランちゃんのお父さん(誰かモデルになっているかは一目、いや一読瞭然)が言っている通り、本当に大切なことは自分で調べなくちゃならならいんだろうし。
とにかく一度読んでみてほしい。そしていろいろと考えてほしい。できればランちゃんのようにその考えたことを共有し合える仲間と巡り合ってほしい(僕としては巡り合いたいけどそれはなかなか難しい現状なので、ランちゃんのお父さん同様、書棚の本と向き合うことにします)。
そんな本でした。
Posted by ブクログ
高橋源一郎さんの小説。相変わらず不思議な小説。こどもたちが主人公で、ある学校にいる生徒たちが、不思議な先生たちとインタラクションをして夏休みの宿題で『くに』を作っていくお話。『くに』だって作ることができるのだと。小説によって、『くに』というものの形をゆるめて、そして、たぶん民主主義というものについて、なにかを湧き出させようとしている。『くに』については明白に意識的だけれども、ひらがなが多いのもあきらかに意識的で、それはこの小説のもつ特性のひとつになっている。本がすきなにんげんは、もっている本をぜんぶ読むようなことはしない、というおとうさんは、自分が書いている小説を『くに』だ、という。『くに』もあるときひとが人口的につくったもので、つくる理由があったということだ。それはある観点では小説もそうだ。少なくとも高橋さんにとってはそういうものだということなのかもしれない。
小説の中で肝太先生はこういう。「わたしの考える『おとな』についてはなしましょう。『おとな』というのは『ひとり』ではなすことができるひとのことです。たったひとり。条件というのは、そのひとに、名前があること。他には、なにもいらない。そのひとが、歳をとっているとか、中学生であるとか、左足に障害があるとか、おおきな通信会社の課長をしているとか、そういうことはすべて関係なく、ただ、『ひとり』で、自分の名前をもっていて、それだけの条件で、なにかをはなす、あるいは、なにかを考える、それが『おとな』であることです」
自分は『おとな』になったのだろうか。
あとがきで高橋さんが書くように「『ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた』は、二十一世紀版の『君たちはどう生きるか』を目指して書かれた」という。小説というもののひとつの特性は、制約のなさであり、そこに何らかのメッセージ性を込めるとき、そのメッセージの内容によって小説は互いに似てくるものなのかもしれない。
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