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Posted by ブクログ
文明衝突論を展開したハーバード大学のサミュエル・ハンチントンが日本にフォーカスを向けた名著。
政治経済の利益、イデオロギーによる分裂が顕著だった20世紀と比べて、21世紀は文化によって分裂している、これからもその分裂は続くと分析している。2000年に出版された本だが、この内容は2022年のロシア・ウクライナ戦争の勃発を予言していたとも言える。
宗教もなく、文化的にも完全に独立した日本だからこそ、先入観を持つことなく他宗教や他文明の理解・教育を進めて、国際平和を促進させることに一役買うことができるのではないかという希望を感じた。この本のように多様化する社会を深く理解しようとする価値観が広まり、平和な世界へ向かってくれることを願う。
Posted by ブクログ
2000年の作品。当時はアメリカ一極支配の時代であったが、その後の地域での紛争、イスラムの団結、中国の台頭による新たなパワーバランスを、基本的には全て予見しているのが凄い。
イデオロギーによる対立が終わり、世界は国を超えた文明ごとに分断され、文明間の衝突が始まる。
西欧文明(欧米等)、東方正教会文明(ロシア等)、中華文明(中国等)、日本文明、イスラム文明、ヒンドゥー文明、ラテンアメリカ文明、アフリカ文明。当時はこのうち、西欧文明が突出したパワーを持っており、中国は地域での大国に留まっていた。ハンチントン理論によると、超大国と地域大国は直接対峙せず、むしろ、地域の準大国と超大国が組んで、地域大国と相対するという。まさに、日米と中国の関係をあらわしている。現在、中国が超大国のカテゴリーに入るようになり、このバランスに変化が生じる。
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冷戦後に発表された、「文明の衝突」はかなりの大作だが、そのエッセンスと日本とアメリカについての論文をまとめた、ダイジェスト版。
内容は、21世紀の日本の選択、孤独な超大国(アメリカ)、文明の衝突(ダイジェスト版)と3本立てで、著者ハンチントンの考えが新書で手軽に理解することができる。
特に文明の衝突は、これまで冷戦のイデオロギーの対立軸1つの2大勢力(と非同盟の3つ)の戦いであったものが、8大文明(中国、日本、インド、イスラム、西欧、東方正教会、ラテンアメリカ、アフリカ文明)にわけて、その文明同士の相互理解不足や、文化(と文明)の歴史や違いなどによっての戦争などが起こることを予見している。すごいのは中国の台頭などを予言していることなどでもある。
冷戦後の中で早くもこのような理論をまとめているのはすごいと思う。できれば、元の本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
面白かった。多文化していく世界の中で、文明間に発生する衝突について説明している。それがとても納得できるものであり、もっと早く読んでおきたかったと思う。中でも日本は一つの文明であり、且つそれを他のいずれの国とも共有していないという特殊性があるとの説明は説得力がある。
現時点でも紛争、戦争は絶え間なく起こり、破壊・殺戮活動が続いている。これを見て多くの日本人はどうしてそんな無駄なことしているのか、という疑問を持つんじゃないかと思う。でもそれは歴史やアイデンティティの感情に訴える地域や場所を侵された経験が日本には無いためなのだろうと思う。そういう勉強をして理解を示し、日本としての考え方を堂々と述べていくべきだと思う。
「解題」を中西輝政氏が書いている。これがまた大変いい。
Posted by ブクログ
文明と文化は、いずれも人々の生活様式全般を言い、文明は文化を拡大したものである。
19世紀のドイツでは文明を機械や技術、物質的要素にかかわるもの、文化は価値観や理想、
高度に知的・芸術的・道徳的な社会の質にかかわるものとし、
文明と文化をはっきり区別していた。
一極・多極世界は四つのパワーレベルからなる。
超大国→地域大国→ナンバー2の地域大国→その他の国。
冷戦後、世界は七つあるいは八つの主要文明に属している。
西欧文明・東方正教会文明・中華文明・日本文明・イスラム文明・ヒンドゥ文明・ラテンアメリカ文明そしてアフリカ文明。
この異なる文明が衝突することになる。
日本は文化と文明の観点からすると孤立した国家であるとハンチントンはいう。
日本文明は日本という国一国と一致し、国外離散者すら存在しないという。
Posted by ブクログ
国際政治学者サミュエル・ハンチントンによる本書には、1993年発表の『文明の衝突』(抜粋)のほか、1998年に東京で行った「二十一世紀における日本の選択~国際政治の再編成」と、1999年に『フォーリン・アフェアーズ』誌に連載された「孤独な超大国」が収められている。
『文明の衝突』は、冷戦の終結した21世紀の世界を予測した論文として、フランシス・フクヤマが『歴史の終わり』において「グローバルに民主主義と市場経済秩序が定着し、もはやイデオロギーなどの大きな歴史的対立がなくなる」という典型的な“アメリカ的世界観”を示したのに対して、「民主主義によって一つの世界が生まれるのではなく、数多くの文明間の違いに起因する、分断された世界となろう」という、およそ“非アメリカ的世界観”を描き、欧米世界を驚かせたものである。
その主旨は、以下のようなものである。
◆冷戦後の世界の国家のグループ分けにおいて重要なのは、7つ(中国、日本、インド、イスラム、西欧、東方正教会、ラテンアメリカ)或いは8つ(+アフリカ)の世界の主要文明である。地域の政治は民族中心の政治に、世界の政治は文明中心の政治になり、超大国同士の抗争に代わり、文明の衝突が起こる。
◆その世界では、各国は各文明に対して、構成国、中核国、孤立国、分裂国、引き裂かれた国家として関係する。
◆異文明間の紛争は、地域的なレベルでは文明の断層線での紛争が起こり、世界的なレベルでは異文明の中核国家間での紛争が起こる。
◆世界的なレベルの衝突としては二つが想定される。一つは、アメリカと儒教的特徴をもつアジアとの対立で、特に中国の発展はアメリカにとってぬきさしならぬ挑戦となる可能性がある。もう一つは、既にアフガン戦争、湾岸戦争として顕在化していた、イスラムと他文明との衝突である。
◆異文明間の戦争を避けるには、他文明内の衝突に中核国家が干渉しないこと、中核国家が互いに交渉して自分たちの文明に属する国家や集団の関わる地域レベルの紛争を調停すること、あらゆる文明の住民が他の文明の住民と共通して持っている価値観や制度や生活習慣を模索し、それを拡大しようと努めること、が必要である。
そして、「二十一世紀における日本の選択~国際政治の再編成」では、「東アジアの将来の平和と幸福は、日本と中国がともに生き、ともに進む道を見つけることにかかっている」、「孤独な超大国」では、「アメリカにとっては、多極体制の世界における大国の一つとなるほうが、唯一の超大国であったときよりも要求されるものは少なく、論争も減り、得るものは大きくなるだろう」と述べている。
昨今の世界情勢を見ると、ハンチントン氏の予測が如何に鋭かったかがわかるし、衝突を避けるためのルールも依然有効なものである。
今、読み返す価値のある著作と言える。
(2009年5月了)
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