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近代日本が生み出した最高の知性が、なぜこれ以上ないほど「愚か」な最期を選んだのか? そして、「究極の小説」を目指して執筆した最後の長編『豊饒の海』のラストは、なぜ支離滅裂ともいうべきものになったのか? 1970年11月25日、三島は市ヶ谷駐屯地に向かう前に、編集者へ『豊饒の海』の最後の原稿を渡すよう準備を整えている。つまりこのふたつの謎には何らかの繋がりがあると考えるべきなのだ。だが、これまで誰もそれを「合理的」に説明できていない。あの日、作家の内部でいったい何が起きていたのか? 日本を代表する社会学者が、三島の全作品を徹底的に読み解き、文学史上最大の謎に挑む! 【目次】まえがき/第一章 1970/11/25に結びついた二つの謎/第二章 仮面の無意識/第三章 時代錯誤の決起/第四章 鉄の肉体/第五章 「吃り」の告白/第六章 猫を斬ってもなお残るもの/第七章 美の現れ/第八章 ニヒリズム研究/第九章 白鳥に化す天皇/第十章 不毛の海/終章 真の<豊饒の海>へ
...続きを読むPosted by ブクログ 2021年02月22日
めちゃくちゃ面白かった。
三島の割腹自殺は、最大の謎として、文学界と日本現代史に大きなインパクトを残している。
それを単に政治的な意図だけではなく、あくまで三島文学から哲学的に、その謎解きを丁寧に論理的に編み上げており、大澤真幸の理論には一部の隙もない。隙が無さすぎて、その真実性をかえって疑いたくな...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年07月09日
三島由紀夫の自決については、あたかも腫れ物にさわるかのように、多くの識者が口をつぐんだままである。そんな中でこの問題に正面から取り組んだ大澤真幸の勇気にまずは拍手を送りたい。
冒頭で大澤はタイトルにもある「ふたつの謎」を提示する。一つ目はもちろん三島由紀夫の自決である。なぜあんな死に方をしたのか...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年02月13日
三島由紀夫の自殺、「豊饒の海」の結末の謎を解きほぐす。
抜粋: 「一の内的不可能性 」は 、 「一 (存在 )」でもなければ 、 「 0 (虚無 ) 」でもない 。…三島由紀夫の出発点に一の内的不可能性があり、豊饒の海を見たのだろう>
「永遠回帰、すなわち、虚無の世界が永遠に繰り返す。だか...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年04月14日
社会学者の大澤真幸さんによる三島由紀夫論。
ふたつのなぞは、1970年11月25日の割腹自殺と同日に書かれた「豊穣の海」の最後のシーンのこと。
あれほど頭の良い人がどうしてあんな愚かな死に方をしたのだろう?そもそもどうして天皇陛下万歳になってしまったのだろうというのはわたしにとっても大きな謎なの...続きを読む
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