Posted by ブクログ
2020年08月18日
社会学の大澤先生の思考論。
考えるにあたり、書物の力を媒介とする点は、編集工学の「探究型読書」と似ている。
以下が主な命題。
・何を、いつ、どこで、いかに、なぜ考えるか
・ショックがあった思考が起動する・・・ジル・ドゥルーズの「不法侵入」
・が、常識の壁を破るのはなかなかに難しい
・思考を化学反...続きを読む応ととらえると触媒となるのは、他者と書物
・書物の力をいかに創造的に活用するかがテーマ
読んで考える、という観点で、テーマごとに下記の書物が取り上げられている。いずれも考え甲斐があるのは間違いない。また思考の共鳴を促すようにも編集されている。
社会科学:主題 時間・・・真木悠介「時間の比較社会
学」(ハイデガー「存在と時間」)、カール・マルクス「資本論」、ベネディクト・アンダーソン「想像の共同体」、エルンスト・カントーロヴィチ「「王の二つの身体」、マックス・ヴェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」
文学:主題 罪・・・夏目漱石「こころ」、ドストエフスキー「罪と罰」、赤坂真理「東京プリズン」、イアン・マキューアン「贖罪」、フィリップ・クローデル「ブロデックの報告書」
自然科学:主題 神・・・吉田洋一「零の発見」(春日真人「100年の難問はなぜ解けたのか」)、大栗博司「重力とは何か」、ヴィクトル・I・ストイキツァ「絵画の自意識」、山本義隆「磁力と重力の発見」、リチャード・ファインマン「光と物質のふしぎな理論」・ブライアン・グリーン「エレガントな宇宙」
なお、実務的に書くを扱った章も新鮮。「思考は書くことで完結する」は名言。
(原稿の依頼 執筆 公表 などの実務的問題)