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Posted by ブクログ
資本主義社会に置かれ、そのなかで生きていく男性について、「弱者男性」や「性差別」などをふまえながら、メンズリブを目指す方向で著書を発表している杉田俊介氏の『マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か #MeTooに加われない男たち』を読んだ。
世界的な潮流となった #MeToo 運動や、男性社会への疑義を背景に、性別に伴う差別や不平等への意識は、今、かつてないほどに高まっている。
その一方で、「男性特権」への開き直りは論外としても、多くの男性たちは、時にむき出しの敵意にさらされながら、自分の立ち位置や向き合い方に戸惑っているのではないか。
自らの男性性や既得権、そして異性との向き合い方に迷い、怯えながらも、それでも何とか向き合おうとするすべての男性たちへ。
本書は、そうした彼らに応えると同時に、女性や性的マイノリティに向けても、性差を越えた運動の可能性を提示している一冊だ。
この本は決して「なんか最近いろいろ言われているけど、男もつらいんだよ〜」とのたまうような人たちの溜飲を下げるためのものではない。
むしろ、女性や性的マイノリティ、その他の社会的マイノリティの人たちを傷つけたくない。でも、不見識な発言をしてしまえば、そのこと自体が誰かを傷つけるし、苛烈な批判を受けることもある――それが怖い。
そんな、まっとうで善き人間でありたいと願いながらも、この社会でマジョリティ男性としてどう自覚的に生きるかに悩む人たちへ向けた、思考と行動のためのガイドラインになっている。
『ズートピア』や『ジョーカー』、『パラサイト』や『万引き家族』などの有名な映画を取り上げながら、そこに描かれた社会を掘り下げていく。
現代に蔓延する複合差別と、それにぶつかる資本主義の構造。その中で、マジョリティ男性でありながら社会からはじかれてしまう人々の苦しみを照射し、剥奪感や被害者意識に陥らないための手がかりを紐解いてくれている。
この著作で特徴的なのは、杉田氏が男性の抱える苦しみを否定していない点だ。
本書内でも明確に書かれているが、マジョリティ男性は被差別者とは言えない。しかし彼らもまた、ジェンダー秩序や家父長制的なシステムに順応することを課せられている“犠牲者”である。
差別はされていない、しかし抑圧は受けている。そう、はっきりと書かれている。
多数派である男性たちにも、痛みがある。傷があり、恐怖がある。まずはそれを認めることから始めよう――と、杉田氏は力強く主張している。
私はこの杉田氏の主張に同意する。
私は女性であり、ジェンダー秩序や家父長制的なシステムにおいて差別を被ってきた側だ。
けれど、このシステムがすべての男性にとって心地よいものではないことも理解している。
他者を差別したくない、誰かを加害したくない――そんなふうに思っている男性ほど、昨今のマジョリティ男性の特権性について、迷いや不安を抱えているように思う。
何かがわからないというのは、怖い。不安だ。
ましてや、その「わからなさ」が誰かの権利を侵害し、苦痛を与えていると知れば、その状況をどうにかしたいと願う男性ほど、恐怖や不安で身動きが取れなくなるはずだ。
そんな男性に「自分で学ぶべきものを見つけろ、どうにかしろ」と突き放すのは簡単だし、それを言う権利もあるとは思う。
でも、私はそう突き放したくないし、もうこんな社会の状態にうんざりしている。
だからこそ「さっさと良書を紹介するので、とっとと読んでくれ」というのが本音だ。
この一冊で終わりではなく、大事なのは考え続けることにある。
杉田氏は本書以外にもメンズリブを目指す書籍を執筆しているし、西井開氏や伊藤公雄氏の著作にあたるのもいい。
私は女性で、フェミニストだけど、マジョリティ男性が抱える苦しみを知りたいと思う。
男性の特権性を批判するにしても、その苦しみや状況をふまえたうえで批判したい。
現実味のないことを言うようだけど、私はあらゆる属性も属性に括られたくない人も「みんなで幸せになろうよ」と本気で思っている
Posted by ブクログ
なかなか読むのに時間がかかったが、面白い本ではあった。
特に最初の2章が良かった。常々葛藤していたこと、『交差的な複合差別」、が、書かれていた。
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多くの人は、複数の社会的アイデンティティを持ち、特権集団(支配集団)と劣位集団(従属集団)のいずれにも属しうるし、ある面では支配的だが他面では被支配的でもありうるからです。
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男性ではないが、ある場面では、この本の言うところの“支配集団“であったりすることで、どう向き合うことが「正しい」のか葛藤することが多いゆえ。
なお、中盤はいささかマジョリティ男性の今後にやや楽観的すぎるように感じ、終盤は世界に対してやや悲観的すぎるようにも感じたが、他の文献への入門としても、面白い本でした。
#マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か #metooに加われない男たち #杉田俊介 #読書記録
Posted by ブクログ
タイトルに引かれて読んでみたんだけど、正直なところ小難しくてわたしにはよくわからなく、斜め読みに終わってしまったという感じ。
でも、とかく男は正しさを主張したがるけど、「正しい男」ではなく、弱さを見せることができ、他者の弱さも受容できる「まっとうな男」になるべきだというのはうなずける。とはいえ、「まっとうな男」でなく「まっとうな人」でいいんじゃないのとも思うけど。
この本は基本的に「私たち」という人称で書かれている。「私たち」とはマジョリティ男性である私たちということだろうけど、ちょっとズルいな、腰が引けてんじゃないのと思う。同じことを『さよなら俺たち』という本でも思ったんだけど、「私たち」「俺たち」とすることで広く「達(たち)」に訴えかけたり、「達」の意見表明という色合いがつくけど、こういうのって一緒くたにしていいものなのって思うからだと思う。「たち」にすることで自分が直接矢面に立つのを避けているような。自分の意思・意見なんだから「たち」はなくていいんじゃないだろうか。男ってよく「男はみんなエッチなことばっか考えてんだよ」みたいに、自分を含む自分たちを囲いたがるけど、そういうのと同じ感じがしてしまって残念。
Posted by ブクログ
正に学ぼうという感覚で。先輩から借りました。
少なくとも自分より圧倒的多くの知見に触れてきた人が現在ホットなジェンダー的話題をどのように捉えているのかが気になって。
以下、感想。
自分は無意識の優生思想がある人間なのでしょうか。学び続ければそれは無くなるのでしょうか。
都合の良いところだけ切り取って男女平等だ!とか自分も言っちゃってるのかな、、なんだかゾッとした。
自分は異性愛者ですが、仮に愛する者に女性らしい何かを求めたとしてそれは何だ。それを何と捉える。
日常に活かしきれない内容だなぁという正直な印象だけど、活かしきれないのは自分の知見の無さなのかなぁとも思うわけで、なんだか釈然としないのです。
映画を用いた説明はとても興味深く面白かった。
全体的に思想つよっ!でも目を背けてはいけませんね。
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