この著者は眼科医なんだけど、自分の専門以外に探索する領域を作れ的な事を言ってて、異業種交流みたいな話になったんだけど、ほんとこれわかる。東京でビアンハイキングオフやったらがちで100人集まったのびっくりした。その中で大学の研究者の人とか、有名大卒からのコンサルとか、IT系、医療従事者、アーティスト系とか色んな職業とか趣味を持ってる人と話せて有意義さが半端なかったな。東京ってあんまり好きじゃないんだけど、人が集まるという意味で物凄いものがあると思った。
坪田 一男(つぼた かずお)
株式会社坪田ラボ 代表取締役 CEO/慶應義塾大学名誉教授/慶應義塾大学医学部発ベンチャー協議会代表/医学博士/...続きを読む 経営学修士(MBA)1980年、慶應義塾大学医学部を卒業し、医師免許取得と共に同学部眼科学教室に入局。87年、米国医師免許を取得し、ハーバード大学角膜クリニカルフェローを修了した。東京歯科大学眼科を経て、2004年から2021年まで慶應義塾大学医学部眼科学教室教授。研究面ではドライアイや近視の領域で多数の論文を発表。発表した論文の数とその被引用数をベースに研究者のその分野への貢献度を示すh-index(h指数)は125を超え、医学分野で国内トップクラスに位置する。教育面では慶應義塾大学医学部の「Best Teacher Award」を3度受賞した。15年、株式会社坪田ラボを創業し、22年東京証券取引所グロース市場に上場させた。現在も経営者、そして研究者として継続してドライアイ、近視、老眼の課題解決のための研究、開発を行っている。
「広くビジネス界で流布している目指すべき人材像として、かねてから T型人材が挙げられてきました。あるひとつの分野を極め、専門的な知識や知見、経験、スキルを持つだけでなく、ほかの分野にも優れた知見を持つ人材。これが T型人材と呼ばれています。私が現在の日本人に目指していただきたいと思うのも、この T型人材です。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「縦軸は、専門性を深掘りする深化です。横軸は、何でも体験したことがプラスになるという探索です。左右に分かれているのは、片方が現在の仕事に関係がありそうな分野、もう片方が現在の仕事とはまったく関係のない分野と考えてください。企業が陥る罠と同じように、多くの人は縦軸の深化をことさらに重視します。営業が得意なビジネスパーソン、マーケティングに秀でたビジネスパーソン、経理や財務などお金まわりを専門とするビジネスパーソン。私の場合は眼科医です。これらの能力を極め、そのなかで最大利益を得ようとします。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「ところが、先ほども申し上げた外部環境が激変する VUCAの時代では、緩い角度の成長などは突然意味をなさなくなることがあります。日本と日本人が置かれた状況がまさにそうです。にもかかわらず、日本人は自分の専門領域の外に出る探索をおろそかにしてしまう傾向が見られます。深化の領域に偏るのは、リスクがないように見えてかえってリスクが高くなってしまうのです。これに対して探索は、コンフォートゾーンを出て「ラーニングゾーン」「パニックゾーン」に出ていく(ゴーアウトする)ため、リスクがあります(図 3)。心理的に不安な状態に置かれ、予測できないことが起こるためにミスを犯します。努力しても、必ずしも成果が出るとは限りません。コンフォートゾーンで深化させると即効性(企業の場合は損益計算書 P/ Lに反映される)が上がりますが、コンフォートゾーンを出て探索をしたとしてもすぐには成果(儲け)は出ません。だから、つい深化に走って自分の収入を 1万円でも増やし、周囲の評価を 1ミリでも上げようとする行動を選択してしまうのです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「しかし、冒頭でお話ししたように、コンフォートゾーンを出て探索していくと、これまでに経験したことがない出会いに恵まれ、何らかの新しいものを生み出す未来につながります。そのため、将来的な大きな成功の確率が上がる可能性が高まります。また、リンダ・グラットン教授とアンドリュー・スコット教授が指摘するように、人生 100年時代になって人生がワンステージからマルチステージ化してくると、単一の価値だけでは通用しなくなります。現時点では優位性を持っていても、その優位性は持続可能な長期的なものではなく、あくまでも短期でしか通用しないものとなります。だとすると、アジャイルに自分を動かし、新たな情報を集め、自分のなかで選択と集中ができるようにしなければならなくなるでしょう。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「企業に所属するビジネスパーソンの場合、ゴーアウトして探索することなく深化にばかり偏っていると、その会社では通用しても、広く世界に目を向けたときにまったく通用しない人材になってしまいかねません。シャープが液晶だけにリソースを集中させて行き詰ったのと同じで、現在のコンフォートゾーンだけに適応して深化し、自分の会社のなかで利益の最大化、給料の最大化ばかり狙っていると、取り残されてしまいます。あなたは常識的に生きているつもりでも、世間では非常識のなかで生きてしまうことにもなりかねません。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「とはいえ、深化を深めている人がいないわけではありません。それが現在の日本企業における「エリート」です。彼らは周囲よりも深化を掘り下げているので、人よりも成果を挙げることができるからです。あるいは、いわゆる「オタク」と呼ばれる人も、ある分野で深化を掘り下げるだけ掘り下げて現在の状態を形づくりました。ただ、いずれにしても探索が不十分なため、新たな出会いがなく、新しい何かが生まれることは難しいでしょう。日本企業のエリートがイノベーションを起こせず、オタク界隈の人たちが狭いコミュニティにとどまっているのは、そういう理由です。たとえば、オタクだった人が、あるときに自分の収集しているものや知識の価値に気づき、それをビジネスにしようとして成功した人もいます。ブリキのおもちゃ博物館館長の北原照久さんは、自分だけの楽しみのためにブリキのおもちゃをコレクションしていました。ところが、あるときそれを多くの人に楽しんでもらいたいと思ったといいます。それは、さまざまな人と交流したりするなど外に向かってゴーアウトした結果だと思います。北原さんは、ついに横浜の山手にブリキのおもちゃ博物館を開きました。深化だけでは到達できなかったはずです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「多くの日本人は、とくにビジネスパーソンは、どちらかというと深化に偏り、探索が不足しています。本書でゴーアウトを強調しているのはそのためですが、基本的には探索と深化のバランスが必要なのです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「とはいえ、なかなかゴーアウトに踏み切れない要因として、周囲の環境に問題があることが考えられます。私が慶應義塾大学医学部を卒業し、国家試験に合格して慶應義塾大学医学部眼科医局に入ったとき、先輩から「とにかく眼科について勉強しろ」と言われました。これは、当然のことです。私も眼科についての勉強にいそしみました。ただ、生来の性質でさまざまな分野に関心を持っていた私は、ほかの分野の勉強もしたいと思っていました。それを伝えると、先輩からこう言われたのです。「そんな暇があったら、もっと眼科を勉強しろ。おまえが勉強しなくて、患者さんに迷惑がかかったらどうするんだ?」一見すると、ごく当たり前で正当な物言いのように見えます。ところが、このロジックは人を思考停止にさせる破壊力を持っています。もちろん、眼科医が眼科の勉強をするのは当然のことです。日本では、経験の浅い人ほどこの圧力をまともに受けることになります。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「もちろん、専門性を深化させる行為は、避けては通れません。専門性を深化させずにゴーアウトしても、何ら新しいものを生み出すことができないのは、名刺コレクターやナンパ師の例を見れば明らかです。それでも、深化一辺倒で進んでいったとして、いざゴーアウトしようと思ってもそれなりに時間がかかります。突然ゴーアウトしようとしても、なかなかうまくいかない現実は認識しておく必要があるでしょう。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「このように、物理的に外に出る(ゴーアウトする)ことは、脳にとっても極めて重要な行動なのです。スウェーデンでは、国内に 30万人いるゴルファーとゴルフをしない人の平均寿命を比較した研究が行われました。その結果、ゴルファーの平均寿命のほうが 5年も長いという研究結果が出たといいます。それだけでなく、認知症の発症も少ないことがわかっています。私の考えるところでは、まさにバイオレットライトの効果です。ゴルフを 1ラウンド回ると、少なくとも 4、 5時間は外にいることになります。バイオレットライトを浴びる量は、ゴルフをしない人より極めて多くなるからです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「狩猟と採集が中心の文化だったため、 1日に 20キロほど走っていたと言われています。そのため、運動不足による肥満もありません。そもそも食料が少なく、現在のように飽食ではないため、生きながらにしてダイエットをしているようなものだったのです。電気がなかった当時は、陽が沈むとともに 1日のさまざまな活動は終わります。睡眠時間は十分で、睡眠障害などもありませんでした。人類は、産業革命以降、それまでのように外に出なくなりました。部屋のなかにいることが、新しい生活習慣病を引き起こしていると考えられます。その明確なエビデンスはこれから明らかになっていくでしょうが、急激に増えている近視をはじめ、うつ病や認知症の原因になっていることは、ほぼ間違いのない事実です。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「よく考えてみれば、血の巡りが悪いことは、人間の体にとってどう見ても良いことではなさそうです。モチベーションや注意力と血流の関係に関する研究はまだ確立されていませんが、血流が上がったほうがモチベーションが高まり、やる気が出る可能性は高いと私は考えています。バイオレットライト以外にも、陽の光によって人間の皮膚ではビタミン Dが生成されることがわかっています。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「私は外出をするとき、ある目的地にたどり着くためにビルなどの建物のなかを通るコースと、建物の外を歩くコースがある場合は、必ず外を歩いています。真夏の暑さや真冬の寒さはこたえますが、外を歩くほうが健康に良いことがわかっているので、それを習慣にしています。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「具体的には、 1ヵ月にひとり興味を惹かれた人に会いに行くと決めています。おおむね年間 12人を目安にしています。その対象は、自分のアンテナに引っかかってきた人でかまいません。有名であろうと無名であろうと、会いやすかろうと会いにくかろうと、自分の興味関心が唯一の基準です。その点では、自分の興味関心を人に言って回ることは重要かもしれません。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「転職や結婚や就職などを決めるにあたって、たとえば父親が教えてくれたと答える人はあまりいません。たまたまお葬式で会ったおじさんに教えてもらった、知り合いの友だちが「こういう面白いところがあったよ」と言ってくれたなど、緩い関係の人が情報を持ってきてくれる。だからこそ、親しい関係と緩い関係を両方持つ必要があるというのが今の関係性理論です。興味深い人に会いに行くのは、自分にとっての緩い関係を広げていくということなのです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「たとえば、ビジネスパーソンがセミナーや講演会に行って情報を得ようとします。あるいは異業種交流会などで人脈をつくろうとします。緩い関係からの情報が重要だという観点に立てば、その行動は大切です。そういう会に参加してゴーアウトしようとしているわけですから、その点では評価できる行動だと思います。ただ、一度名刺交換をしただけで緩い関係ができたと思うのは間違いです。そこできっかけをつくり、名刺コレクターで終わるのではなく、何らかのコミュニケーションを取って継続させていくことで、緩い関係として定着するのです。よく言われているのは、緩い関係性は 3回会ってようやく構築できるという考え方です。そうしなければ、本当の意味で顔と名前が一致しないからです。少なくとも、顔と名前が一致した人を緩い関係と呼べるのだと思います。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「LinkedInは基本的にビジネス上のつながりが中心なので、より攻めたアプローチができるのではないでしょうか。 SNSを駆使して、探索の旅に出るのもいいと思います。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「話題の内容よりも、まったく知らない人と 1時間話せる能力が問われます。その相手がどのようなことに興味を持っているかわからないので、会ってすぐに双方が話せる話題がなければ会話が続きません。すでに触れたように、どのようなボールが来ても打ち返せるだけの引き出しを用意しておくことが大切です。それは読書であり、数多くの経験値であり、ゴーアウトして常に深く考える癖をつけておくことから得られるものです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「もちろん、ゴーアウトするのはそういう人だけでなくてもかまいません。ただ、未知の出会いによって何かを生み出そうと考えるには、自分が知らない世界をのぞくことが必要だといえるかもしれません。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「早い段階で失敗し、損害を最小限で食い止めながら学ぶ。その学びを生かし、大きな成功を手にするという考え方です。ゴーアウトは、まさにその考え方で臨んでみてください。失敗するのを恐れるのではなく、いつも成功するとは限らないという余裕を持つのです。たくさん失敗するということは、たくさんゴーアウトしたということ。まずはゴーアウトした自分を褒め、何度もゴーアウトしているうちに数打てば当たるという余裕を持ったスタンスで臨んでいただければと思います。日本人は、失敗を恐れる傾向がとくに強いと思います。ゴーアウトすると失敗するかもしれないと思うから、なかなか踏み切れないのです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「日本は農耕民族だったため、掟や慣習を破った者に課される「村八分」という制裁を恐れていました。田植えや収穫は、村民の協力なくしてできないからです。村八分にならないようにするにはどうするか。みんなに合わせ、変わったことをしないという不文律ができ上っていきます。しかし、時代は変わりました。変なことをする、合わせない、空気を読めない人のほうが結果を出し、評価されているように思います。ゴーアウトするとは、そういうことなのです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「その認識さえあれば、もともと持っている「いわれなき万能感」を発動し、積極的にゴーアウトできるはずです。にもかかわらずゴーアウトしないのは、日本人がまだその環境変化に気づいていないということになります。あるいは、気づいていながらも、なんとかなると思っているのかもしれません。その結果、日本には「失われた 30年」が起こり、失われ続ける年数がさらに長くなっているのです。現時点では、国家や地域の置かれた環境として「恵まれる」ことが期待できないアフリカ諸国やアジア諸国などは、このままコンフォートゾーンにとどまっていては絶対に未来の展望はないと思っています。だからこそ進んでゴーアウトし、海外に活路を見出す選択をしているのです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「40代後半から 50代前半の人は、おおむね 10年も経てば、つつがなくサラリーマン生活を終えられると本音のところで考えています。いまさらリスクを冒してゴーアウトするのは、勇気もなく意味も見出していません。驚くことに、ビジネススクールでイノベーションを学びに来ているビジネスパーソンでさえ、そう考えているのです。表面上、彼らは従来の仕組みや構造にとらわれずに新しい仕組みや構造を再構築しようと学び、それを企業に持ち帰って組織として「イノベーション推進部」などの部署を立ち上げています。それを足がかりにイノベーションを起こそうという動きをしていますが、そうは言いながらも、心の底では「何もしなくても大丈夫」と考えている自分を意識しながら、ビジネスパーソンという立場を続けています。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「「ごきげん」は、本当に奥深いものです。人は基本的にネガティブなところばかりを見てしまい、記憶でもネガティブなことのほうが鮮明に残っているからです。これも、歴史的な理解が必要です。人類は、ホモ・サピエンスが東アフリカに出現した 20万年前を起点に 19万 9900年間は、ネガティブな考え方をしている人のほうが生存確率が高かった。だから、私たち人間はネガティブな考え方に慣れています。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「ゴーアウトするときに「壁」となるのが、いわゆる常識です。会社の常識、業界の常識、役割の常識─。当たり前だと思っていること、当たり前だとは思っていないけれど、ずっとそれでやってきたから逃れられないこと、絶対に違うと思っているものの、違うと言う勇気がないこと─。こうした常識の壁からゴーアウトすることで、新しい世界が開けるのです。日本人は、どのような常識にとらわれていて、それによってどのようなことが弊害として起こっているのでしょうか。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「ほかのジャンルの本を読むと、自分の専門の本が読めなくなる。そうなると、専門性を深化させることができなくなる。ほかのジャンルの本など有害だ。自分の専門の分野だけに特化し、深掘りしたほうが絶対に良くなる。こうした「思い込み」「常識」は、どの業界にもあると思います。しかし、そういう常識はあてはまらないと考えるのが私の主張するゴーアウトの考え方です。専門領域とは異なる分野を勉強すればするほど、専門性も深められると思っています。なぜなら、専門と専門外では、ものの見方が違うからです。専門性を深める場合、勉強した量と知識は比例するように深まっていきます。ところが、ゴーアウトして専門外の知識を自分のなかに蓄えていくと、あるとき専門領域の知識と専門外の知見が突然結合し、理解や思考がジャンプするのです。その結合の結果として、専門領域は急激に深化します。最近、私はトランペットを始めました。トランペットも練習すればするほどうまくなると思ったら大間違いだと感じています。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「冒頭でお話しした読書で考えてみましょう。年間 200冊の本を読むことは、私がやりたいことです。さまざまなジャンルの本を読みますが、仕事に関連するものもあれば、遊びに関連するものもあります。そう言い切ったところで、仕事に関連するものが遊びになり、遊びに関連するものが仕事につながることもあります。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「私は、やりたいことが遊びで、やりたくないことが仕事、やりたいことはお金を稼げず、やりたくないことでお金を稼ぐなどという分け方は無意味だと思います。やりたいことでお金が入ってくることもあれば、出ていくこともあります。やりたくないことでお金が入ってくることもあれば、お金が出ていくこともあります。そもそも、人生はすべてお金で換算できるわけではありません。大事なのは、好きなことをやることです。必ずしも仕事と遊びを完全に分ける必要はないと思います。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「仕事も遊びであり、遊びも仕事であり、仕事でお金を稼ぐこともできれば、遊びでもお金を稼ぐことができる。言わば「入り乱れている」のが本当の姿だと思います。そうした考え方に至ったのは、私のサラリーマン経験からです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「新しい世界をのぞいてみる。これまで会ったことのない人に会いに行く。今まで見たことのない映画や演劇を見てみる。こういう行動を遊びととらえることから始めてみてはいかがでしょうか。この行動こそが、ゴーアウトにほかならないのです。読書好きの私は、読書を通じて常に新しい世界をのぞいています。だから、読書については新たな遊びの要素はないと思われるかもしれません。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「当たり前ですが全編英語、しかも、 576ページもの大著です。これは、私にとっては壮大なる知的冒険です。これを、私は仕事とはとらえません。ただ本を読む行為でもありません。大いなる遊びの一環で、しかも読んだ内容がいつか仕事や人生にも大きな影響を及ぼすかもしれないと考えるのです。既存の限られたバイアスから世界を見るのではなく、仕事でも遊びでもなくゴーアウトしてたどり着いた新たな領域を通じて世界を見直してみる。そうすれば、今まで見たことのない新たな地平が広がっているはずです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「中心に対して、両端にあるのが異端です。私は日本の異端に位置づけられています。ところが、世界は日本の中心や異端とは大きくずれています。むしろ、日本の異端が世界の中心であり、日本の中心は世界の異端となっています。日本の異端である私は、世界においては中心的な考え方をしているかもしれないのです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「日本で変わり者と扱われる坪田が、実は世界の中心にいる。そういう現実もあると考えられるのです。このことは、 30歳のときにハーバード大学に留学したときに実感しました。日本にいたときは、いつも「坪田って変わっているな」と言われていました。しかし、ハーバードの中では私は「変わり者」ではなかった。ごく普通の、スタンダードに位置する平凡な男だったのです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「たとえば、私が「大学教授」という役割に縛られてしまったら、新しい領域にゴーアウトしたときにわからないことが出てきたとき、気軽に質問できなくなってしまいます。人に教える大学教授は、わからないことがあってはならないという思い込みに縛られてしまうからです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「67歳の私は、 3067歳である。その根拠は、人類の長い歴史の流れのなかに自分が存在している事実です。私の娘は 3032歳です。 67歳と 32歳を比較するとだいぶ差があるように感じますが、 3067歳と 3032歳は、ほんのわずかな誤差にすぎません。誤差にすぎないのであれば、私がすべてのことを知っていて、娘が私よりも知らないということはあり得ません。年齢は単なる役割にすぎないのです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「67歳の私は、 3067歳である。その根拠は、人類の長い歴史の流れのなかに自分が存在している事実です。私の娘は 3032歳です。 67歳と 32歳を比較するとだいぶ差があるように感じますが、 3067歳と 3032歳は、ほんのわずかな誤差にすぎません。誤差にすぎないのであれば、私がすべてのことを知っていて、娘が私よりも知らないということはあり得ません。年齢は単なる役割にすぎないのです。年齢という役割からゴーアウトすることができれば、娘のような年齢の人からも孫のような年齢の人からも、多くを学ぶことができます。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「規定するという意味で、私は好きなことしかやらないと自ら規定しています。人生はおもちゃ箱のようなものですから、そのなかから好きなものを選んで好きに遊べばいいと考えているからです。このおもちゃ箱の話は、私が尊敬する慶應義塾大学医学部の先輩の上野隆司先生がアールテック・ウエノという創薬ベンチャーを起業したときに聞いた話です。「坪田先生、アメリカに行ったら本当に面白いことばかりで、まるでおもちゃ箱をひっくり返したみたいなんだよ。坪田先生だったら大きいおもちゃで遊ぶ? それとも小さいおもちゃで遊ぶ?」私は、いちばん大きいおもちゃで遊びたいと思いました。大きいおもちゃとは、社会をより良くするインパクトのあることをやりたいという意味です。反対に小さなおもちゃとは、身近な人を幸せにすることをやりたいという意味です。四角いおもちゃもあれば丸いおもちゃもある。三角でもいい。どれがいいかという問題ではなく、すべては好き嫌いで選択すればいいのです。一橋大学大学院経営管理研究科(一橋ビジネススクール)の楠木建教授の著書に『すべては「好き嫌い」から始まる 仕事を自由にする思考法』(文藝春秋)という本があります。簡単に言うと、良し悪しよりも好き嫌いで経営したほうがうまくいくというのがその論旨です。この論には、私も同意します。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「その点で、山口周さんが『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)で書いていることは、的を射ていると思います。山口さんは、グローバル企業の幹部トレーニングが美術系大学院大学で行われるようになってきたことから、世界のエリートが「美意識」を鍛え始めたことに着目します。それは次のような理由があると書きます。「グローバル企業が世界的に著名なアートスクールに幹部候補を送り込む、あるいはニューヨークやロンドンの知的専門職が、早朝のギャラリートークに参加するのは、虚仮威しの教養を身につけるためではありません。彼らは極めて功利的な目的のために『美意識』を鍛えている。なぜなら、これまでのような『分析』『論理』『理性』に軸足をおいた経営、いわば『サイエンス重視の意思決定』では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスの舵取りをすることはできない、ということをよくわかっているからです」(山口周著「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」光文社新書)」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「「好きなことばかりしていたら、やるべき仕事ができなくなるじゃないか」この言葉が、単なる言い訳にすぎなかったことが明らかになりました。好きなことをやりたい仕事に変換すれば、二人のように成功を手にする可能性は高まります。そのためには、ゴーアウトして常に探索を続けることが最善の選択なのです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「明治時代の農学者であり、ビジネスでも大成功をおさめた、当時東京大学農学部教授の本多静六氏の言葉に、こんなものがあります。「自分を生かす人生」の一節です。「人生の最大幸福は職業の道楽化にある」つまり、仕事を遊びにできた人は幸せだと言っています。私の頭のなかには、常に本多静六氏の言葉があります。どうすればこの仕事を遊びや道楽にできるだろうかといつも考えるのです。遊びや道楽にするためには、ゴーアウトして常識にとらわれないことが大切です。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「そこには、日本の教育制度が関わってきます。戦後、ある程度豊かな中流階級をつくっていこうという方針のなかでは、決められた勉強をして、ある程度の大学に行ってある程度の企業に入ることを目指します。その大前提のなかでは、言うことを聞いていればいいという考え方が支配します。関係ないことをやったり、自分勝手に新しいことをやったりするのは、厳しく指導されます。そういうマインドセットを小学校のころから植えつけられると、ある一定数は自分のやりたいことをやる独創的な人になりますが、多くの人は牙を抜かれた獣のように、おとなしく従順な存在として枠のなかにとどまります。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「私の考えは、右側には自分の仕事に少しでも関連すること、とはいえ業務とは違うことをやる領域を置きます。たとえば建築を専門にしている人が世界の芸術を学んだり、幾何学や統計学を学んだりすることがそれにあたります。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「私たちは『 American Journal of Ophthalmology』にその事実を報告します。レーシック手術をすると、目が大きくなるから若返るという論文です。しかし、調べていくうちにどうもそれだけではなさそうだということになり、 1997年から「人はどうして若返るのか」について調べ始めます。すると、アメリカにアンチエイジング学会があり、アンチエイジングの学問があることを知りました。そこから、アンチエイジングについての本を 10冊、エイジングについての教科書を 10冊、そのほかにさまざまな論文を読み始めます。十分に勉強したうえで、 2000年にアメリカとヨーロッパの専門家に会いに行きました。自分でリストアップし、ハーバード大学や、全米でもっとも優れた病院のひとつに数えられるメイヨークリニックなど、さまざまな人に会いに行き、アンチエイジングについてインタビューを重ねました。そのときにもっとも波動が合ったのが、デンバーにいたテリー・グロスマンという先生でした。これこそが、まさにゴーアウトです。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「一方、反対の左側には仕事とはまったく別の領域、たとえば私のようにトランペットの演奏を始めたり、トライアスロンに挑戦したり、洋の東西を問わず映画を見まくったりすることを指します。先ほど挙げた『 Dark Horse』では、ウェイトレスをしていたジェニーが天文学を学び、不動産ビジネスをしていたジャックが紳士服のテーラーを学んでいます。そうした「距離」が専門性との間にあればあるほど、左側は効果をもたらす可能性が含まれています。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「このうちのひとつが「自分はすごいと思う幻想」です。幻想と言っていますが、自分は周りよりも優れているという優越感は、まさにポジティブ・イリュージョンです。二つ目が「自分にだけいいことが起こるという幻想」です。周りの買った宝くじははずれるけれど、自分の買った宝くじだけは当たるというポジティブ・イリュージョンがあるからこそ、多くの人が当選確率の限りなく低い宝くじを買うのです。三つ目が「自分が物事をコントロールしているという幻想」です。宝くじは連番で買う人が多いと思いますが、バラでも買えます。そうしたほうが自分で選んだ感覚が強くなり、本当は関係ないとわかっているのに、なんとなく当たる感覚が強くなるというポジティブ・イリュージョンです。田中社長には、このポジティブ・イリュージョンがあるのではないかと思います。自分はすごいと思う幻想は人類の DNAに刻み込まれた強みにほかならず、それがあるからこそゴーアウトできるからです。田中社長は子どものころ、夏にはカブトムシを誰よりも多く採ったといいます。カブトムシやセミを捕まえにいくとき、田中社長には「俺だけには捕まえられる」という優越感があったそうです。本来は誰もが持っているはずのポジティブ・イリュージョンを封じ込めることなく、田中社長のようにどんどんゴーアウトしていただきたいと思います。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「普段、まったく本を読まない人が私のように年間 200冊を読んでも、読んだ努力は賞賛されたとしても、読んだ 200冊の本の内容はほとんど覚えていないのではないでしょうか。そればかりか、苦行のように読んだ経験が読書嫌いを招き、読む前より本嫌いになってしまっては元も子もありません。ジョギングでも、今日からジョギングを始めた初心者がいきなり 20キロを走ろうとしても、マイナスでしかありません。適度にインプットしたら「間」をつくり、自分の頭で消化してからアウトプットをしてみる。アウトプットできるほどインプットした情報が整理できたら、さらにインプットを探し求めてゴーアウトする。そうしたサイクルを構築し、探索の重要な要素であるインプットを質の高いものにしていただきたいと思います。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「私の感覚では、行きたいところに行こうとしている人、やりたいことをやろうとしている人は強いと思います。なぜなら、少々うまくいかなくても、さまざまな障害があっても、転んでも傷ついても立ち上がり、また行きたいところ、やりたいことにチャレンジすることがわかっているからです。だから、それは失敗ではありません。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「ビジネスの現場でもそれは同じです。会社内での飲み会でも、少し遠い関係の人も参加する会合でも、日本人は「一緒にいて気が楽な人」と常に行動をともにする傾向があります。人間は意識しなければ、そうなってしまいます。海外に行くと、とくにその傾向が顕著に出る。これこそが、コンフォートゾーンから出られない人の特徴です。それは、「語学の壁」が最大の要因かもしれません。私は英語で不自由することはありませんが、まったく話せない人はともかく、少し話せる人も日中の学会で自分の英語力を使い果たし、夜の会食の時間までもたない。夜は日本語を話したいと思う人もいるようです。英語のレベルの高い人でも、英語を使って連日外国人とコミュニケーションを取っていると、 5日目ぐらいには疲れてしまい、日本語が恋しくなる。その居心地の良さを知ってしまうと、なかなか戻れなくなるのです。長期の留学で、周囲に日本人のいない環境であれば、嫌でも英語だけの世界になります。その環境に慣れてしまえば、そこがコンフォートゾーンに変わります。しかし留学でも周りに日本人がいると、やがて心が折れて日本人で群れるようになる。短期の留学や学会や出張などの短い時間では、英語のコミュニケーションがコンフォートゾーンになるまでには至らないのが実情です。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「コミュニケーションの手段としての英語を完璧にしても、肝心の会話の中身がなければ、話が続きません。日本人が外国人との会話を躊躇するのは、世界の人々が持っているだけの教養や知識の勉強が不足していることもあるかもしれません。私は若いときからリスクを恐れず、興味を持った人に対してはナンパをするように積極的にコミュニケーションを取ってきました。そのときに痛感したのは、会話の引き出しの多さの必要性です。国際的な「ナンパ」になると、かなり広範囲で深い教養が試されます。それは、スペイン人の眼科医の女性とコミュニケーションを取ったときに強く感じました。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著
「東京には、さまざまな人が集っています。あなたが積極的に声をかければ、すべての場をパーティー会場にできると思います。 T型人材を目指してゴーアウトするには、自分でパーティーを企画し、自分の会いたい人を招待すればいいのです。やりにくければ、ぜひ少人数から始めてみてください。」
—『GO OUT (ゴーアウト) 飛び出す人だけが成功する時代』坪田一男著