小中学生の生存率、99.8%(学校管理下では100%)。東日本大震災で大津波に襲われた岩手県釜石市で、子どもたちはなぜ命を守ることができたのか。そこには、震災前から地道に積み重ねられてきた、画期的な「防災教育」の効果があった。本書では、2004年から釜石市の危機管理アドバイザーを務めてきた著者が、主体的な避難行動を可能にした「防災教育」のノウハウを余すところなく、公開するとともに、いつ災害に襲われるかもわからない私たちすべてが知っておかなくてはならない「生き残るための指針」を提起する。【目次】はじめに/第一章 人が死なない防災―東日本大震災を踏まえて/第二章 津波を知って、津波に備える―釜石高校講演録(2010年7月2日)/第三章 なぜ、人は避難しないのか?/第四章 求められる内発的な自助・共助―水害避難を事例に/おわりに
Posted by ブクログ 2022年01月02日
☆10個くらい付けたい本。
片田さんは、津波防災の研究者だが、それにとどまらず、釜石市など全国での講演により、住民の防災意識の向上を図ってきた。
東日本大震災、甚大な被害をもたらしたが、それでも、彼の取り組みによって救われた命はいくつあったことか・・・。
この本はたしかに素晴らしい本だが、実際...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年10月09日
2011年の東北大震災
その時、釜石の小学生中学生はなぜ助かったのか?
そこには防災の基本とされていた多くの秘訣がある。
想定外だったということは後でいえる事。
死なない為には当たり前だと思われていることを当たり前と思わないこと。
助かるためにはどうすればよいかということが本書を読むことで多いにその...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年03月11日
シンプルに、「何のために防災に取り組むのか」「そのために何をすべきか」ということがテーマ。
人が死なないためにやるのが防災であり、いつか必ず来る「その時」に、主体的に最善の振る舞いができることが大切なのだということを、本書から学びました。
また、防災を考える時に、災害の恐ろしさを強調するのではな...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年03月10日
■避難の三原則
①想定にとらわれるな
・端的に言えば「ハザードマップを信じるな」
②最善を尽くせ
③率先避難者たれ
■一家滅亡,地域滅亡という悲劇ばかりを繰り返してきた中でできた言い伝えが「津波てんでんこ」
■明治三陸津波では震源地では大きい地震があったがゆっくり動く地震であったため,釜石のあたりは...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年09月01日
本書は教授が東日本大震災前から取り組んだ防災講演会を元に上梓されたものだ。なので、敢えて震災前の第2章から読み始め、第1章「釜石の奇跡」と称される「人が死なない防災」へと読み進めた。教授の論は震災前後でブレることがなく、その論旨は明快で爽快だ。災対基本法成立後、国・地方自治体は総力を挙げて防災対策を...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年11月28日
東日本大震災の大津波で、釜石ではほとんど小中学生が犠牲にならなかったのは、彼らが自分たちで避難をきちんとしたからだ――、という実績をもとにして、防災教育や防災情報、ひいては防災というものについて市民一人一人が抱くべき考え方を説く。
東日本大震災直前に釜石で高校生らに講演された記録なども含まれていて、...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年07月23日
・自然災害は想定を超えるから災害となるのだが、想定を際限なく上げることが防災の本質ではない。そんな財源がどこにもないし現実的ではない。
・”想定外だったから”でも、”想定が甘かったから”でもなく、”想定にとらわれすぎていた”ことが問題。(→「これだけ巨大な防潮堤があれば安心」「ハザードマップでうちは...続きを読む