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巣鴨プリズン 教誨師花山信勝と死刑戦犯の記録
敗戦直後、連合国軍によって巣鴨プリズンと名づけられた巣鴨拘置所に、数多くの人々が「戦争犯罪人」として収容された。ここの初代戦犯教誨師となった花山信勝は、彼らと接し、三四名の死刑囚の最期を看とった。東条英機、広田弘毅、そして若いBC級戦犯たちを見送る懊悩の日々の中、彼はこの過酷な任務をいかにとらえ、戦争犯罪をどううけとめて教導活動にあたったのか。回想をもとに心の軌跡を辿り、太平洋戦争について考える。 -
トルコのもう一つの顔
言語学者である著者はトルコ共和国を一九七〇年に訪れて以来、その地の人々と諸言語の魅力にとりつかれ、十数年にわたり一年の半分をトルコでの野外調査に費す日々が続いた。調査中に見舞われた災難に、進んで救いの手をさしのべ、言葉や歌を教えてくれた村人たち。辺境にあって歳月を越えてひそやかに生き続ける「言葉」とその守り手への愛をこめて綴る、とかく情報不足になりがちなトルコという国での得がたい体験の記録である。 -
サハリン棄民
戦前・戦中、炭坑資源開発のためサハリン(樺太)に渡った労働者の中には強制的・半強制的に募集・連行された韓国・朝鮮人が数万人いた。終戦とともに始まった引き揚げ事業はサハリンにも及んだが、その中に帝国臣民として徴用された朝鮮人は含まれていなかった。彼らはソ連統治下のサハリンに残されたのである。冷戦・南北朝鮮対立という国際環境、そして日本の戦後責任への無自覚に抗し、故郷訪問に至るまでの四十五年の足跡を克明に辿る。 -
恐竜大絶滅 陸・海・空で何が起きていたのか
6600万年前、生態系の頂点を極めた恐竜類が地球上から姿を消した。大量絶滅事件の原因は、隕石だとするのが現在の定説である。 ただ、その影響は一様ではなかった。突然のインパクトを前に、生存と滅亡の明暗は、いかに分かれたのか? 本書は、恐竜、翼竜、アンモノイド、サメ、鳥、哺乳類などの存亡を幅広く解説。大量絶滅事件の前後のドラマを豊富な図版とともに描き出し、個性豊かな古生物たちの歩みを伝える。 各章監修:後藤和久、小林快次、高桒祐司、相場大佑、冨田武照、田中公教、木村由莉 目 次 はじめに 第1部 大量絶滅事件、勃発 第1章 隕石落下というはじまり―謎多き大事件 第2部 滅びに至る物語 第2章 陸の王者――恐竜類の1億6000万年 第3章 空の主役――翼竜類の1億6000万年 第4章 世界の証人――アンモノイド類が歩んだ3億年 第3部 滅びを超えた物語 第5章 絶滅しなかった海の主――役者は交代するも舞台は続く 第6章 恐竜類の生き残り――絶滅と生存の分水嶺 第7章 私たちへの道―霊長類、現る おわりに もっと詳しく知りたい読者のための参考資料 索引(種目) -
続・日本軍兵士―帝国陸海軍の現実
先の大戦で230万人の軍人・軍属を喪った日本。死者の6割は戦闘ではなく戦病死による。 この大量死の背景には、無理ある軍拡、「正面装備」以外の軽視、下位兵士に犠牲を強いる構造、兵士の生活・衣食住の無視があった。 進まない機械化、パン食をめぐる精神論、先進的と言われた海軍の住環境無視……日中戦争の拡大とともに限界が露呈していく。 本書は帝国陸海軍の歴史を追い、兵士たちの体験を通し日本軍の本質を描く。 【目次】 はじめに 序 章 近代日本の戦死者と戦病死者――日清戦争からアジア・太平洋戦争まで 疾病との戦いだった日清戦争 戦病死者が激減した日露戦争 第一次世界大戦の戦病死者 シベリア干渉戦争の戦没者数 伝染病による死者の激減 軍事衛生の改善・改良と満州事変 退行する軍事衛生――日中戦争の長期化 アジア・太平洋戦争の開戦 陸海軍の戦没者数 日露戦争以前に戻った戦病死者の割合 第1章 明治から満州事変まで――兵士たちの「食」と体格 1 徴兵制の導入――忌避者と現役徴集率 徴兵令の布告 現役徴集率二〇%の実態 徴兵忌避の方法 沖縄の現実、徴兵忌避者の減少 軍医の裁量権――高学歴者への配慮と同情 2 優良な体格と脚気問題――明治・大正期 明治の兵士――身長一六五センチ、体重六〇キロ 脚 気――総人員三割から四割の罹患 兵士たちを魅了した白米 3 「梅干主義」の克服、パン食の採用へ 栄養学の発展――第一次世界大戦後の日本 陸軍の兵食改善 一九二〇年のパン食導入 冷凍食品の導入と大型給糧艦 洋食の普及と充実――満州事変期 壮丁と兵士の体格 4 給養改革の限界――低タンパク質、過剰炭水化物 シベリア干渉戦争の失敗 飯盒炊さん方式による給養 兵食における質の問題 陸軍でのパン食のその後 揺れる海軍のパン食――「皇軍兵食論」の登場 第2章 日中全面戦争下――拡大する兵力動員 1疲労困憊の前線――長距離行軍と睡眠の欠乏 苦闘を強いられる日本軍 萎縮し「奮進」できない兵士たち 多発する戦争栄養失調症 「殆ど老衰病の如く」 2増大する中年兵士、障害を持つ兵士 低水準の動員兵力 軍隊生活未経験者の召集 召集が原因の出生率低下 国民兵役までも 知的障害の兵士 吃音の兵士 野戦衛生長官部による批判 攻撃一辺倒の作戦思想 3統制経済へ――体格の劣化、軍服の粗悪化 総力戦の本格化、国民生活の悪化 軍隊の給養――副食の品種減少、米麦食偏重 劣化する軍服――絨製から綿製へ 向上しない体格、弱兵の増加 4日独伊三国同盟締結と対米じり貧 ドイツの大攻勢による政策転換 資源の米英依存による新たな困難 石油禁輸とジリ貧論――アジア・太平洋戦争の開戦へ 中国戦線にくぎ付けにされ続けた陸軍 第3章 アジア・太平洋戦争末期――飢える前線 1 根こそぎ動員へ 植民地兵、防衛召集、障害者 植民地から日本軍兵士へ――朝鮮・台湾から 防衛召集による大量召集 視覚障害者たちの動員開始 強制動員されるマッサージ師たち 2 伝染病と「詐病」の蔓延 戦争末期の戦没者急増 栄養失調の深刻化 マラリアの多発 「現場」での非現実的予防対策 精神病の「素因」重視 詐病の摘発 詐病の増大 戦力を大きく削ぐ皮膚感染症 3 離島守備隊の惨状 「自給自足の態勢」強化の指示 不十分なままの海軍の給養 兵員の体格劣化、栄養失調による死者 違法な軍法会議と抗争 食糧をめぐる陸海軍の対立 4 かけ声ばかりの本土決戦準備――日米の体格差 野草、貝類、昆虫…… 「こんな軍隊で勝てるのだろうか」 兵士たちによる盗み 体格・体力のさらなる低下 アメリカ軍の給養と体格 第4章 人間軽視――日本軍の構造的問題 1機械化の立ち遅れ――軍馬と代用燃料車 「悲惨なともいうべき状態」――国産車の劣悪な性能 代用燃料車の現実 軍機械化の主張とその限界 断ち切れない「馬力」への依存 2劣悪な装備と過重負担――体重40%超の装備と装具 過重負担の装備 戦闘の「現場」、兵士の限界点 一〇〇日間、二〇〇〇キロを超える行軍 中国人から掠奪した布製の靴、草履一六六名の凍死者 粗悪な雨外套 3海軍先進性の幻想――造船技術と居住性軽視 造船技術は先進的だったか 居住性の軽視 一般の兵員に対する差別 「松型駆逐艦」の居住性 「世界に類のない非常対策」高カロリー食の失敗 特殊環境下の乗員の健康 アメリカ海軍 の潜水艦との比較 ドイツ海軍Uボートの徹底検証 4犠牲の不平等――兵士ほど死亡率が高いのか 兵役負担の軽重 大学生の戦没率 召集をめぐる贈収賄 食糧の分配をめぐる不平等 戦死をめぐる不平等 メレヨン島とパラオ本島 長台関での階級間格差 正規将校の戦病死率 おわりに 日中全面戦争下、野放図な軍拡 宇垣一成の陸軍上層部批判 騎兵監・吉田悳の意見書 日本陸軍機械化の限界 追いつかなかった軍備の充実 コラム ①戦史の編纂――日清戦争からアジア・太平洋戦争まで ②戦場における「歯」の問題再び ③軍人たちの遺骨 ④戦争の呼称を考える――揺れ続ける評価 ⑤軍歴証明と国の責任 あとがき 参考文献 近代日本の戦争 略年表 -
脳の本質 いかにしてヒトは知性を獲得するか
なぜ細胞の集合体である脳から自我が生まれ、感情が湧くのか。 どうして相手の心がわかるのか。脳はいかに言語を操るのか。 そもそもなぜ生命を維持できるのか。鍵は、脳がする「予測」と予測誤差の修正だ。 本書では、知覚、感情、運動から、言語、記憶、モチベーションと意思決定まで、脳が発達する原理をひもとく。 子どもの学習や障害、意識の構造も一望。 人類に残された謎である、高度な知性を獲得するしくみを解き明かす。 まえがき 第1章 脳の本質に向けて 脳科学の祖ヘルムホルツ 世界が止まって見える理由 幸運な出会いから科学の爆発へ サイバネティクス 悪魔的天才と呼ばれたフォン・ノイマン シャノンの情報理論 人間の能動性と心の発達 予測と模倣 シュレーディンガーの仮説 第2章 五感で世界を捉え、世界に働きかける 知覚・運動機能に関する脳研究の夜明け ホムンクルスの発見 知覚とは何か 脳内の階層的処理によって生まれる知覚 脳はどのように推論するのか 推論の基本――ベイズ推論 脳の推論メカニズムを探る フリストンの自由エネルギー原理 予測誤差最小化を実証する 運動制御 知覚と運動の循環 注意機能とニューロン反応の同期 視覚と運動を統合するミラーニューロン まとめ コラム1 感覚統合――異種感覚を統合する 第3章 感情と認知 感情に関する脳研究の夜明け 感情はどのように決定されるのか外環境と内環境 内臓状態の知覚と運動 ホメオスタシスとアロスタシス アロスタシスの仕組み 内受容予測符号化 内臓感覚皮質の構造と感情 内受容感覚と自閉症 感情の発達 まとめ 第4章 発達する脳 発達・学習研究の夜明け 人間の視覚野の臨界期 ヘブ則からBCM理論へ 赤ちゃんの手腕運動 じーっと見る赤ちゃん 発達の原理 動機づけのメカニズム 滑らかな運動を司る小脳知識を書き換える赤ちゃん GABAの役割と神経発達症(発達障害)との関係 まとめ コラム2 ヘブの洞察力 第5章 記憶と認知 記憶研究の夜明け 海馬損傷の患者 過去の記憶は海馬にはないのか エピソード記憶は多感覚である 海馬の役割 二つの発見――エピソードの予測と時系列化 記憶を再構成する 睡眠は記憶の強化と要約を行う 概念細胞の発見 場所細胞の発見 運動予測――ボールを見てバットを振る 身体化による 認知 メンタルシミュレーションの仕組み まとめ コラム3 海馬の機能――出来事の順序を記憶し、再生する 第6章 高次脳機能――知識、言語、モチベーション モノがわかるとは何か 二つの視覚系経路 動的概念の獲得から言語獲得へ 意図の理解 言語の基礎とブローカ失語 名詞と動詞の理解 目的語の理解 文の意味理解 チョムスキーの生成文法 予測しながら会話する モチベーション(動機づけ)とは何か 人間行動の基礎理論へ 再び注意と視線移動行動の決定とモチベーション 予測誤差とドーパミン 好奇心はどこから来るのか まとめ 第7章 意識とは何か 意識の科学 意識の神経相関 意識の芽生え ホメオスタシス感情と痛み 自己意識――自己主体感・自己所有感・自己存在感 錯覚 後付け的再構成(ポストディクション) 認知や意識の上書き メタ認知 人工知能と脳科学の接点――対照学習 まとめ 終 章 脳の本質 あとがき 参考文献 索 引 -
大東亜共栄圏 帝国日本のアジア支配構想
大東亜共栄圏とは、第2次世界大戦下、日本を盟主とし、アジアの統合をめざす国策だった。それはドイツ・イタリアと連動し世界分割を目論むものでもあった。日本は「自存自衛」を掲げ、石油、鉱業、コメ、棉花などの生産を占領地に割り振り、政官財が連携し、企業を進出させる。だが戦局悪化後、「アジア解放」をスローガンとし、各地域の代表を招く大東亜会議を開催するなど変容し、迷走する。本書は、立案、実行から破綻までの全貌を描く。 目次 序 章 総力戦と帝国日本―貧弱な資源と経済力のなかで 第1章 構想までの道程―アジア・太平洋戦争開戦まで 第2章 大東亜建設審議会―自給圏構想の立案 第3章 自給圏構想の始動―初期軍政から大東亜省設置へ 第4章 大東亜共同宣言と自主独立―戦局悪化の1943年 第5章 共栄圏運営の現実―期待のフィリピン、北支での挫折 第6章 帝国日本の瓦解―自給圏の終焉 終 章 大東亜共栄圏とは何だったか -
身体の美学入門 感性から捉えなおす人間の本質
「目の綺麗な人だな」「あの人は怖そうだから」。 私たちは、人の見た目の違いを美で判断する生き物である。 顔つき、しゃべり方、匂い、肌の色、肥満・痩せ、障害。 本書では人の身体をめぐる美的判断を探究し、いかに美しさ・醜さが歴史的に創られてきたかの軌跡を追う。 そこから人が心に抱くエロス、愛の真価を突きとめる。 違いをうまく扱う知恵を手に入れ、ルッキズムや多様性の限界をこえる。 心に美をまとうための美学入門。 【目 次】 はじめに 違いについての学問 バラバラになる社会 身体を介して他者に出会う 本書の構成 第1章 美学、「私の中の他者」との出会い 下位の認識能力 眼を閉じ、耳をふさぐデカルト ライプニッツによる認識の分類 識別できるが説明できない 日常は「渾然」「曖昧」だらけ 過去の経験と「傾き」 私の中の他者 より良く/善く感じるための学問 ソマティック・マーカー仮説将来のシナリオの評価 生物学的次元と社会的次元のからまりあい 第2章 感性、このやっかいであなどれないもの 無関心性(没関心性) 関心まみれの出会い 身体の評価=人物の評価? サイズ、形、動き、色、匂い、服装 口笛でヴィヴァルディ 自分の身体にくつろげない 感性の保守性 鏡としての感性 法律の限界 権利ではなく魅力で ふくらはぎに見惚れる 感性の逸脱 差別化と他者化 自然化される趣味 第3章 醜による他者化 科学と哲学 ルネサンスの豊満な女神 「人種」の創造 ホッテントット・ヴィーナス 見世物小屋=他者化の装置 プロテスタント的禁欲主義 「健康リスク」と「私らしさ」のあいだ歴史のレンズを通して見ている 醜とは何か 第4章 美による差別化 遅れてやってきた運動 彼らとは違う「私たち」 トニ・モリスン『青い眼がほしい』 醜さのマント ディックとジェーン「二重のまなざし」に殺されないために アフリコブラの輝き 象徴としてのアフロヘア 画面を埋め尽くす文字 黒人の美学日本語の「美学」のニュアンス 第5章 逸脱する感性 規範的感性と逸脱的感性 再認=既知への取り込み 知覚=未知の発見 個別性との出会い 知覚は自由に展開していく 対象に降伏(surrender) 慣習にあらがう能動性 見方が市民権を得るまで 山の「醜さ」 つるつるでゆがみのない球 天文学の衝撃無秩序で複雑で無限の世界 崇高さの発見 グランド・ツアー 日誌や手紙のライブ感 正義のプロセス/エロス的プロセス 第6章 エロスから愛への進化 きよしさんの指隠し撮影 「感染」の倫理性 スタイルとは何か 自然にはスタイルはない 表出ではなくパターン 選択なぜこのやり方なのか? 基準のゆらぎをうけとめる 愛への進化 アイデンティティ・ポリティクスを降りる おわりに 参考文献 -
ノーベル賞で語る 現代経済学 巨人たちの生涯と学説
電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。 1968年に創設されたノーベル経済学賞。 当初は計量経済学や一般均衡理論の構築など、手法確立への基礎理論への貢献に授与されることが多かった。 70年代には新自由主義を標榜するシカゴ学派が席巻。 その後はゲーム理論や行動経済学、さらには貧困問題や気候変動など幅広い実証分野に授与されるようになった。 サミュエルソンからフリードマン、ナッシュ、スティグリッツ、アセモグルまで、44人で現代経済学の潮流を一望。 □ ■ □ 目次 □ ■ □ 前書き 序章 経済学の神々の黄昏――スミスからケインズまで 第1章 ノーベル経済学賞の誕生――フリッシュ、サミュエルソン 第2章 ミクロ経済学の新展開――ヒックス、アロー、ナッシュ 第3章 マクロ経済学の新展開――ソロー、ルーカス、プレスコット 第4章 計量経済学の説明する力――クライン、ヘックマン、シムズ 第5章 シカゴ学派の反ケインズ革命――フリードマン、スティグラー、ベッカー 第6章 金融経済学の功罪――トービン、マーコヴィッツ、ショールズ 第7章 国際経済学の巨星たち――オリーン、マンデル、クルーグマン 第8章 情報経済学の説明する力――アカロフ、スティグリッツ、ティロール 第9章 市場と組織の経済学のはざま――コース、ウィリアムソン、ハート 第10章 社会経済学が見据える射程――ミュルダール、ハイエク、セン 第11章 歴史と政治の経済学との交差点――ノース、シェリング、ディートン 第12章 市場を設計する経済学――スミス、ヴィックレー、ロス 第13章 行動経済学の下克上――サイモン、カーネマン、セイラー 第14章 21世紀のミクロ経済学――インベンス、デュフロ、ゴールディン 第15章 21世紀のマクロ経済学――ノードハウス、バーナンキ、アセモグル 第16章 ノーベル経済学賞の忘れもの――ハロッド、森嶋通夫 -
世界の英語 5大陸に広がる多様なEnglishes
英語はイギリスやアメリカ、カナダといった母語圏だけでなく、アジア、アフリカ、カリブなど世界各地で公用語となっている。その形は一様ではなく、発音や綴り、語彙、文法が地域ごとに異なる。本書では、世界各地で使用されているさまざまな英語や、その多様性の背景にある歴史について詳細に描く。さらに、グローバル化する世界の中で共通語(リンガ・フランカ)として話されている英語のあるべき今後の姿も記す。 【目次】 まえがき 第1章 複数形の英語――世界に広がる多様な英語変種 第2章 ブリテン諸島――英語の形成と浸透 Ⅰイングランド Ⅱウェールズ Ⅲスコットランド Ⅳアイルランド 第3章 北米――新大陸での定着と拡大 Ⅰアメリカ合衆国 Ⅱカナダ 第4章 オセアニア――南半球へと広がるフロンティア Ⅰオーストラリア Ⅱニュージーランド 第5章 アジア――多文化を結ぶ第二言語 Ⅰ南アジア Ⅱ東南アジア 第6章 カリブ海地域とアフリカ――クレオールと共通語のダイナミズム Ⅰカリブ海地域 Ⅱアフリカ 第7章 世界の英語の繋がり――変種を超えた共通性 Ⅰ綴りと発音 Ⅱ語彙 Ⅲ文法 終章 英語の未来――分裂か収斂か? Ⅰリンガ・フランカとしての英語 ⅡEnglishesかEnglishか? Ⅲどのような英語を学習・教育すべきか? あとがき 文献案内/図版出典/世界英語対照年表/用語解説 人名・作品名・事項索引/語句索引 -
アフリカ―「経済大陸」の行動原理と地政学
人口増、鉱物資源など潜在力への注目から、各国が関与を強めるアフリカ。覇権が揺らぐ米国、歴史問題を抱える旧宗主国、進出する中露、地政学的な緊張関係にある中東など、複雑に絡む利害を繙く。アフリカは独立から現在まで、食料難、環境問題、強権化などを抱えつつも、国際情勢の変動にしたたかに対処してきた。その独自の行動原理を読み解く。地域大国エジプトvs.エチオピア、崩壊国家ソマリア、「優等生」ボツワナなどを一望。 第1章 希望と絶望の交錯する経済大陸 1 人口増加と経済市場の拡大 2 人の移動と食料問題 第2章 国家と政治体制の変容をとらえる視座 1 脱植民地化から冷戦崩壊後まで 2 「外向」という分析概念 3 アフリカにおける民主主義体制? 第3章 旧宗主国からの再離脱――サヘル地域、西アフリカをめぐる国際関係 1 「アフリカ+1サミット」開催の動き 2 アフリカへの関与を深める中国 3 サヘル・アフリカとロシア 4 旧宗主国の「撤退」と第二の「脱植民地化」 5 揺らぐアメリカの関与 第4章 「アフリカの角」をめぐる地政学―― 中東諸国と米中の思惑 1 エリトリア独立とソマリア問題 2 中東諸国の関与 3 不安定化するアフリカの角 第5章 南部アフリカの政治変容――「優等生」ボツワナの変化を読み解く 1 南部アフリカの地域的特徴 2 民主主義と権威主義の間で揺れるボツワナ 3 二つの選挙と民主主義 第6章 日本とアフリカ――TICADは何をめざしてきたか 1 トップドナーの地位から「ODA冬の時代」へ 2 平和構築と自衛隊派遣 3 New TICADへの転換 -
インフレの時代 賃金・物価・金利のゆくえ
世界で先行していた物価の高騰=インフレーションが、日本でも2022年春から始まった。 それまでの慢性デフレから一転したのはなぜか――。 物価研究の第一人者がその謎を解く。 物価高騰は私たちの生活を圧迫するが、同時に賃上げを達成すれば、市場は価格メカニズムを取り戻し、日本の経済は好循環で回り始める。 どうすれば賃金を上げられるのか? 政策金利は、財政はどうなるのか? 直撃するインフレの実態に迫る。 ■目 次■ 序 章 新たな時代の始まり 第1章 賃金・物価・金利の正常化 1 本章の論点 2 慢性デフレとは何だったのか 3 賃金・物価・金利の変化 コラム:日銀はなぜ2%のインフレを目指すのか 第2章 インフレは日本経済をどう変えるのか 1 本章の論点 2 価格メカニズムの正常化 3 実質為替レートの正常化 4 政府債務の正常化 第3章 インフレと日銀 1 本章の論点 2 インフレは一過性か 3 物価予測のミスを闇に葬った日銀とエコノミストたち 4 「基調的インフレ」とは何か 5 植田日銀の利上げは機会主義的 6 利下げでトランプ関税に備えよ 7 国際的な「同期」が高インフレをもたらす可能性 コラム:日銀の追加利上げは「全く理解できない」 第4章 インフレと賃上げ 1 本章の論点 2 安いニッポンに賃上げと値上げの自粛は必要ない 3 最低賃金の引き上げはなぜ必要なのか 4 実質賃金改善のために労使は何をすべきか 5 「自然」実質賃金という考え方 6 トランプ関税を負担するのはいったい誰なのか コラム:賃上げを社会に定着させる方法 第5章 インフレと財政 1 本章の論点 2 賃金と物価を上げるための財政支出をためらってはいけない 3 インフレ率2%経済への移行で得られるインフレ税収 4 消費税減税で潤うのは買い手ではなく売り手なのか? コラム:高市政権の「積極財政」の可能性とリスク 第6章 インフレの変動要因 1 本章の論点 2 令和の米騒動の原因は需要か供給か 3 黒田日銀総裁が語った70万字 4 パンデミックで迷走した物価統計 5 消費者が「見た」価格と「買った」価格はどう違うのか あとがき 図表出所一覧 初出一覧 参考文献 -
イスラームが動かした中国史 唐宋代から鄭和の大航海、現代回族まで
中国とイスラーム世界が邂逅した7世紀以降、西方や南方から来華したムスリムは、歴代中国の諸勢力が躍進する原動力となり、各地に豊かな文化を根づかせた。 彼らは、中華文明とどう向き合い、中国社会をどう変えたのか。 本書は、唐宋代の交易からモンゴル帝国の統治、鄭和の大航海、清への反乱、辛亥革命と日中戦争、現代新疆の実相までを一望。 時空を超えた1400年の軌跡を、世界史の視座のもと照らし出す。 【目次】 まえがき 序 章 中国ムスリムの概要 民族別の人口と居住地 三つの主要な集団 ①漢語を話すムスリム回族を中心に 「回族らしさ」とは何か 回族の宗教信仰 移動と定住 ②新疆のテュルク系ムスリムウイグル族を中心に ③サラール族・東郷族・保安族 第1章 外来ムスリムの往来と定住唐代から元代 1 唐とイスラーム世界の邂逅 2 沿海部における交易活動 3 中央アジアのテュルク化とイスラーム化 4 元朝と色目人 第2章 土着化の進行明代 1 社会的地位の変化 2 混血と入信 4 鄭和の大航海 第3章 苦難と変革清代 1 政策と制度 2 思想の深化 3 諸イスラーム集団の形成 4 ムスリム反乱 5 近代的覚醒と国際関係 第4章 民族意識の形成中華民国期 1 新国家への期待と現実 2 馬家軍西北地域の回民軍閥 3 ナショナリズムの喚起 4 民族と宗教 5 ウイグル・アイデンティティの芽生え 第5章 社会主義時代を生き抜く中華人民共和国期 1 宗教の破壊と再生 2 中国共産党と新疆ムスリム社会 3 国際化する新疆問題 4 政治宣伝と文化変容 終 章 中国ムスリム史が伝えるもの あとがき 参考文献 イスラームが動かした中国史 関連年表 -
ラフカディオ・ハーン 異文化体験の果てに
一八九〇年四月、紀行文作家として来日したラフカディオ・ハーンは、松江中学へ英語教師として赴任し、そこに理想の異郷を見出した。しかし、その後、熊本で近代化の実態に触れて、彼の美しき日本像は崩壊する。本書は、他のお雇い外国人と異なり、帰るべき故郷を持たない彼が、神戸、東京と移り住むうちに、日本批判へ転ずることなく、次第に国家・民族意識を超越し、垣根のない文化の本質を目ざしてゆく様子を描く評伝である。 -
読む技法 詩から法律まで、論理的に正しく理解する
あふれる情報の中で時間に追われ、なおかつプレゼン能力が重視される昨今、読むという行為が疎かになっていないだろうか。本来、書き手の意図を正しく汲み取れて、初めて議論や思索は成り立つのに。本書は解釈学、構造主義、ナラトロジーなど、西欧で発展した読む技法を紹介。詩、小説から評論、法律まで多様なテクストを例示し、技法を応用して読み解く。より深い読解力を身につけたい読者のための、実践的な入門書。 はじめに 「読めたつもり」の危うさ 序 章 「読解力の教室」開講の目的と意義 読解力とは何か/さまざまなレベルの暗黙知/暗黙知を自覚する/前提としての文化的コンテクスト/日本語と「論理」/西洋で発展した読む技法/速読・多読は役に立つのか/文学はむしろ実用的 第一講 自己解体としての読書 〈地平の融合〉-- 村上陽一郎「自己の解体と変革」を読む 「読む」意義はどのように変容してきたか/地平の融合/評論の基本構造/結論を先に押さえる/村上陽一郎「自己の解体と変革」を読む/文章から骨組みを抜き出す/「喜ばしき学問」とは/まとめと発展 第二講 論理は書き手の意図を探るために 〈法的解釈〉-- 日本国憲法を読む 法解釈の理論はなぜ役立つのか/法令用語ならではの特徴/法令の「及び」「並びに」「かつ」はどう違うのか/法体系の構造化/文理解釈と論理解釈/論理解釈の種類/同性婚に関する法廷の憲法解釈/まとめと発展 第三講 読みの可能性を広げる〈精読・注釈〉--岡倉天心『茶の本』を読む 「馬鹿」は罵倒のことばなのか/注釈をつけながら読む/1 文彩(レトリック)/2 アイロニー/3 引用/4 時代状況/5 土地の刻印/まとめと発展 第四講 同じテーマや同じ書き手を比較する〈テクストの横断〉-- 佐藤春夫「愚者の死」と与謝野鉄幹「誠之助の死」を読む テクスト論の現在/同じテーマをめぐるテクスト1 「愚者の死」/同じテーマをめぐるテクスト2「誠之助の死」/伝記的読解/書き手の意図に辿りつくために/同じ書き手によるテクスト1「レーダーホーゼン」/同じ書き手によるテクスト2「風の歌を聴け」/まとめと発展 第五講 作者や歴史を超える思想〈構造主義〉--芥川龍之介「蜜柑」と梶井基次郎「檸檬」を読む ソシュールの一般言語学/構造主義と文学/小説の構造=筋/共通構造を抽出する/「構造」の意義/色彩の物語としての「蜜柑」/「蜜柑」に秘められた複雑な構造/「檸檬」の文学性/まとめと発展 第六講 語っている/聴いているのは誰?〈ナラトロジー〉--芥川龍之介「藪の中」を読む ナラトロジーとは何か/1 時間/2 叙法/3 態/オースティンの言語行為論/芥川最大の「問題」作/比較断章法 藪の中の論点整理/解消されない齟齬/ナラトロジー 藪の中へ/「藪の中」のリアリズム/傍証としての言語行為論/傍証としての伝記的読解/まとめと発展 第七講 味読のための堂々めぐり〈解釈学的循環〉--神吉拓郎「ブラックバス」を読む 「循環」と呼ばれる理由/なぜ繰り返し読む必要があるのか/深く読むために通る道/神吉拓郎「ブラックバス」を読む/「ブラックバス」のミステリ構造/タイトルの意味/まとめと発展 最終講 声なき声に耳を澄ます--宇野邦一『反歴史論』を読む 難解なテクストに挑戦する/中島敦「文字禍」の注釈/問題を正確に捉える/主張を先取りする/歴史と歴史学/歴史と記憶/闘争の場としての歴史学/歴史と自由/ナポレオンをめぐって/歴史の喜びと苦しみと重さと/まとめと発展 おわり -
日本のバス問題 高度成長期の隆盛から経営破綻、再生の時代へ
電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載 公共交通の最後の砦・バス。しかし現在、あちこちで減便や路線の廃止、さらには会社の清算が相次いでいる。なぜこのようなことになってしまったのか。本書は日本におけるバスの誕生に始まり、戦後のモータリゼーションとその対抗策として生まれた様々なサービスを解説する。さらに既存バス会社の保護から規制緩和へという流れと、新たに生まれた独創的なバス会社も紹介。日本のバス事業の課題と将来を展望する。 □■□目次□■□ はじめに 第1章 現在のバス業界の問題 1 危機に立つバス事業の現状 2 コロナと2024年問題で運転士不足に 3 全国的にバスが減便 コラム バスの運転免許 第2章 高度経済成長期までのバス事業史 1 バスの誕生 2 戦後のバス事業規制 3 道路運送法の制定 コラム 戦後復興とトロリーバスの普及 コラム バス事業の種類 法律・制度 コラム ボンネットバスからリアエンジンバスへ 第3章 モータリゼーションの進行――昭和40年代 1 モータリゼーションとは 2 公共交通側の問題 3 バス事業の動向 コラム バス事業の種類 実際 コラム バスの乗り方 第4章 オイルショック後のバス事業――昭和50年代 1 昭和50年代の取り組み――バス事業の転換点 2 大都市近郊地域の路線バス 第5章 都市バス路線の1980年と現在の比較 1 市内線未分化――第1段階・横手市/今治市 2 市内線の拡充――第2段階・唐津市 3 市内線の面的な拡大――第3段階・岐阜市 4 大都市におけるネットワーク――第4段階・岡山市 第6章 昭和60年代~平成初期――規制緩和以前 1 都市バス整備の新制度 2 公営バスの民営化 3 コミュニティバス 4 今日的な政策課題――バリアフリー政策 5 環境政策の進展 第7章 新自由主義的交通政策と規制緩和 1 規制緩和の考え方 2 規制制度の変化 3 規制緩和による高速バスの新規参入 4 ツアーバス形態による参入 5 都市路線への新規参入 6 住民主体の路線バス 7 都市内バスの再編とBRT コラム バスの大きさ 第8章 経営破綻と再建 1 産業再生機構による再建 2 企業再生支援機構による再建 3 企業再生支援機構・地域経済活性化支援機構による再建 第9章 これからのバス 1 競争から協調へ 2 MaaSを構成する新技術 3 自動運転バスの開発 4 さまざまな自動運転バス 終章 路線バスは社会的ベーシックサービスである -
英作文の技術 “3世界・24文型”で伝える
英作文は難しい。学校ではあまり習わず、大学入試や各種試験での出題も多くはない。そのため、訳してみてもそれが正しい答えなのか、よく分からない。しかし、メールでも会話でも、相手の言っていることを理解できても、返事ができなければ困る。和文英訳も必須の能力なのだ。本書は英作文の型を「3世界・24文型」に分類、どれに当てはまるかを見抜いて英訳する方法を伝授する。自在に英語で表現する確実なメソッドとは? □ ■ □ 目次 □ ■ □ はじめに 澤井康佑 オリエンテーション 講義 第1部 名詞と動詞の世界[項の世界] 第1講 1項動詞と2項動詞 第2講 3項動詞 第3講 2つ目の項,3つ目の項の動詞内容への拡がり 講義 第2部 イコールの世界 第4講 be動詞を用いたもの 第5講 一般動詞を用いたもの 講義 第3部 「SV+文内容」の世界 第6講 6つの型 第7講 6つの型の文型,伝達相手の付加,7つ目の型 第8講 その他の型 本書を読んでできるようになった5つのこと 問題演習 あとがき 澤井康佑 あとがき マーク・ピーターセン -
帝国陸軍―デモクラシーとの相剋
陰湿、粗暴、狂信的……と語られてきた大日本帝国陸軍。 しかし実際には、建軍当初から、国際的視野を持つ開明的な将校などは多く存在していた。一九四五年の解体までの七十余年で、何が変化したのか――。 本書は、日露戦争勝利の栄光、大正デモクラシーと軍縮、激しい派閥抗争、急速な政治化の果ての破滅まで、軍と社会が影響を与え合った軌跡を描く。 陸軍という組織を通し、日本の政軍関係を照らす、もう一つの近現代史。 目次 はしがき 第1章 栄光からの転落 第2章 第一次世界大戦の衝撃 第3章 ポスト大戦型陸軍への挑戦 第4章 「大正陸軍」の隘路 第5章 「昭和陸軍」への変貌 第6章 陸軍派閥抗争 第7章 政治干渉の時代 第8章 日中戦争から対米開戦へ 終 章 歴史と誤り あとがき 主要参考文献 関連年表 -
日本政治学史 丸山眞男からジェンダー論、実験政治学まで
「科学としての政治学」は、どのような道み程をたどったのか――。 本書は、戦後に学会を創り、行動論やマルクス主義の成果を摂取した政治学が、先進国化する日本でいかに変貌してきたのかを描く。 丸山眞男、升味準之輔、京極純一、レヴァイアサン・グループ、佐藤誠三郎、佐々木毅などの業績に光を当て、さらにジェンダー研究、実験政治学といった新たに生まれた潮流も追う。 欧米とは異なる軌跡を照らし、その見取り図を示す。 目 次 まえがき――科学としての政治学の百年 序 章 本書の方法 第1章 民主化を調べる――占領から逆コースまで 1 蠟山政道グループの選挙調査 2 岡義武グループの政治過程分析 第2章 英雄時代――講和独立から高度成長期へ 1 石田雄の圧力団体論 2 升味準之輔の一九五五年体制論 3 京極純一の政治意識分析 第3章 近代政治学の低迷と挑戦者――豊かな社会の到来・・・ 1 田口富久治のマルクス主義政治学 2 三宅一郎の投票行動研究 第4章 新しい流れ――一九八〇年代の断絶と連続 1 レヴァイアサン・グループ 2 佐藤誠三郎の自民党研究 第5章 制度の改革――平成の時代へ 1 政治改革の模索 2 新制度論 第6章 細分化の向かう先――二一世紀を迎えて 1 ジェンダー研究 2 実験政治学 終 章 何のための科学 あとがき 参考文献 主要人名索引