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細川連立政権崩壊から一〇年以上が過ぎ、日本政治は再び自民党の長期政権の様相を呈している。しかしその内実は、かつての派閥による「支配」とは全く異なる。目の前にあるのは、一九九〇年代半ばから進んだ選挙制度改革、政治資金規正法強化、行政改革などによって強大な権力を手にした首相による「支配」なのだ。一九九四年以降の改革のプロセスを丹念に追い、浮かび上がった新しい日本の「政治体制」をここに提示する。
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Posted by ブクログ
平成以降の政治改革の流れや、それが実際にどのように機能してきたを知る上では必読だと思う。 昨今、首相のリーダーシップについては様々な課題も指摘されるようになっているが、首相のリーダーシップが強くなったそもそもの背景や経緯の理解につながる一冊。 また、官邸機能強化、省庁再編、選挙制度改革など、平成期の...続きを読む様々な行政改革・政治改革が一つの理念に貫かれていたことが理解できる。
1990年代、細川護熙政権の発足と選挙制度改革により小選挙区・比例代表並立制が導入されたことにより、従来の55年体制は崩壊し政治体制は変化の時を迎えた。小選挙区制の下では選挙基盤を持たない小政党は不利なため政党の改変が進み、小沢一郎を中心とする細川政権の重要人物は新進党を結成する一方、自民党内では政...続きを読む治資金改革により議員個人や派閥の資金力が低下し政党交付金への依存度が高まり、また総裁の公認権が認められたことで小選挙区制のもとで公認を得ることと当選が結びついたことにより総裁の人事権が増したことで、旧来自民党を動かしてきた派閥の影響力が弱まり、首相に権力が集中することになった。この動きは橋本龍太郎内閣のもとでの行政改革でさらに加速し、世論の大きな支持を持つ首相が族議員や派閥の有力者に配慮することなく行政改革を断行することが可能になった。一方で新進党は民主党に再編され、日本の政治体制は二大政党制になった。またこの過程で、首相が解散権を持たず自民党の議席数も少ない参議院の自民党議員が影響力を持つようになる。こうした一連の変化は2001年の小泉純一郎の首相就任により定着を見せ、彼の行った郵政解散により世論の支持を集めた首相への権力集中は確立することとなった。 この本は2006年に書かれており、その後の民主党の分裂やインターネットによる選挙運動の変化はフォローしていないが、安倍政権の長期化や自民党の一極化を考えると、ここで言われている2001年体制、すなわち首相に一元的な権力が存する二大政党制、というものは、二大政党制を除きまだ続いていると言えるだろう。ここでは世論の支持が首相の資質となったことが言及されているが、これは安倍晋三を考えた場合さらに大きくなっているように感じる。
橋本さんの業績に対して大きな誤解をしていた。 マスコミが植え付けるイメージと実態とのギャップに、今更ながら驚く。 しっかり情報を精査しないとね。
『首相支配―日本政治の変貌』(竹中治堅、2006年、中公新書) 本書は、55年体制以降はじめて自民党が下野した細川政権の頃から、小泉首相の郵政解散までの日本政治史を詳細に研究した書である。この間の政局や政界再編の流れを詳しく見ることができる。 (2010年5月17日 大学院生)
小泉政治をどのように評価するか、というのは非常に難しい問題だが、この本では、その意義が明確に描かれている。小選挙区制・省庁再編と大蔵省解体によって出来上がった「制度」を最大限に活用した最初(で最後?)の首相としての小泉純一郎。それが単純なポピュリズムにしか見えないのなら、そんな国にこの制度は不要だ。...続きを読む しかし、「日本政治の変貌」と銘打ったものの、実際には首相や大臣のリクルートメントやトレーニングが追いついていないことがすでに「小泉後」によって明らかになった。それをどうするか、は明確な回答がない。 著者のように、海外でトレーニングを受けてくる、といったことが文系の学問では未だに盛んである(すでに理系は「日本で英語の論文を書く」事が出来るのだが)。まさか古代ローマのように、政治家も留学してくるのがいい、なんてね。あ、安倍氏も麻生氏も一応留学組か(笑)
これは分かりやすいし、面白いですよ!!総選挙や総裁選やら、そういう政治のイベントに物を申したい人のうち、僕みたいにあまり物を知らない人はこれを読むべきです。簡単に言うと、小泉政権は今までとどう違っていて、どうやって確立されたのか、ということが書いてあります。彼は55年体制を意識して、2001年体制と...続きを読む名づけた上で、小選挙区+比例代表であること、派閥が弱くなって首相の権力が強くなったこと(公認権と政治資金配分において)、大蔵省が弱くなったこと、参議院が強くなったこと(ただし小泉が裏技を発明した)・・・あれ、あとなんだっけ?手許にないから分からん。これらは全て互いに結びついているわけです。参議院の影響力が強くなったのはどういうわけかについて知らなかったので勉強になりました。また、橋本政権が新進党のもたつきに乗じて政治改革を行ったおかげで今の小泉体制ができたって話も相当面白かったです。政策というより政局好きな僕にとってはたまりませんでした。これくらい簡単だと僕でも面白いです。
自分が学生時代からの政治の動きがわかりやすくまとめられていて参考になった。 「田中角栄」からこの本で「小泉純一郎」までの流れ。この次は、民主党政権から第二次安倍政権までの流れがわかる新書はないものか? (108)
小泉首相が、あんなにリーダーシップを取れていた理由が解けて面白かった!即ち、法改正によって、人と金を握る人物が首相になったから。また、首相になるにあたり、それまでは派閥の力が必要だったのが、国民の人気が必要になったというのも面白かった。確かに、属人性だけであんなに強権を振るうのは無理があるよな。 あ...続きを読むと、責任と権力の所在が一致しているのが良いというのも、眼から鱗だった。
小泉政権が、なぜかくあり得たか。選挙制度の変遷と、首相の支配力の強化を平易な言葉で分かりやすく示した解説本。読みやすく分かりやすい。
小泉政権で首相のリーダーシップが叫ばれたが、それは細川政権の選挙制度改革、政党補助金、橋本政権の行政改革、加藤の乱などの歴史があってこそ、首相に権力が集中し、世論を味方につけた政治が可能であったことを証している。 ただし、歴史的にはそこで終わっているのが問題である。
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首相支配―日本政治の変貌
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