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二〇二〇年一月十五日に日本で最初の罹患者が確認された新型コロナウイルス感染症。中国・武漢での発生から日本への到来、一斉休校、緊急事態宣言とその解除、そして安倍政権の退陣まで。この九か月に及ぶ経緯から見えてきたのは、強大な権力を手に入れて「一強」とまで言われた「首相支配」への制約だった。安倍政権と知事らの対応のプロセスを丹念にたどり、危機が明らかにした日本の政治体制とその問題点を描く。
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Posted by ブクログ
本書では、日本国内における新型コロナウイルス感染症への対応過程を、2020年1月から9月にかけて順を追って詳細に記録されている。 こうした詳細な記録が、今後、政府や自治体の対応方法を検証する上で重要になってくることは間違いないと思われる。 本書では、日本でのコロナ対策が円滑に進まなかった要因の一つと...続きを読むして、地方分権化が局所的に進められたことをあげている。局所的な分権化は、様々な施策と不整合を起こし、今回のコロナ対策における対応の遅れにつながったと本書では指摘している。 政治家それぞれの思惑ではなく、大局観を持った制度設計が必要だということを改めて実感させてくれる一冊。 こうした詳細な記録を記した本は、今後重要になってくるだろう。
新型コロナウイルス対策に翻弄された安倍前政権と当時の知事たち。法律との関係で、国の権限が及ぶ範囲、そうでなく同等で知事の権限とされている部分がフィードバックされて国の政策立案に影響した部分が書かれる。
昨今のコロナ禍の政治についてまとめた新書。この状況下では、中央政府のコロナ対策に焦点が当たりがちだが、日本の地方自治体の権限は割と強いため、with コロナにおいては知事のリーダーシップも重要になる。 にもかかわらず、2021年の県知事選の投票率が高くないのは非常に気がかかり。
2020年1月に日本で最初の新型コロナ罹患者が確認されてから9月の安倍政権の退陣までのコロナ危機への対応に係る政治過程を首相と知事の動きに着目して振り返っている。そして、感染症対策の分野における都道府県をはじめとする地方自治体の法的権限により首相の指導力が制約されたこと、感染症に対処するための様々な...続きを読む「キャパシティー」(検査、医療機関、保健所の各キャパシティーなど)の制約が政策の選択肢を狭めたこと、新型コロナ対応における「先例」や「モデル」の重要性などについて指摘している。 2021年4月時点から見て、我が国におけるコロナ危機対応の前半期の政治過程がよくまとまっており、何がどのように起こっていたのかを頭の中で整理することができた。リアルタイムの出来事について、このように丁寧に整理し、分析された本を出されたことに敬意を表したい。 感染症対策に係る政策の制約要因や、感染症対策など分野によっては「首相支配」が貫徹しない制度的構造があることなど、本書で指摘される内容も日本政治に対する示唆に富んでおり、興味深かった。
新型コロナ感染者が中国で出てから菅内閣が誕生したあたりまでを対象に、新型コロナに対応する政治・行政・首長の動きを追っている。 学者らしくソースを明示した記述であり、忘れていたり記憶が勝手に書き換えられたりするところを再度確認するにはいい。 ただ、記述が単調でおもしろみがないとも言える。 出され...続きを読むる結論もありきたりなものにすぎないし。知事の権限が制度的にも強かったとか、医療や検査のキャパシティが行動や政策を制限したとか。
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