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Posted by ブクログ
ペリー来航と開国を扱った歴史学の書籍は数多いが、本書はペリー来航に至る経緯、来航当時の日本人の反応、徳川幕府の海防体制、神奈川条約締結過程について、非常にわかりやすく明快に叙述されており、現状入門書としては第一に推薦しうる良書といえる。特にアメリカの開国要求について、従来経済的要因に比して軽視されがちだった、漂流民(特に捕鯨船員)保護の観点を具体的な事例を通して示している点、やはり従来の一般的な通史では正当に位置づけられているとは言い難い琉球の開国過程について詳述している点は特に注目される。アメリカの砲艦外交や幕府の避戦外交に対して後知恵的な解釈や評価を行っていないのも重要であろう。
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著者の西川武臣氏は現・横浜開港資料館館長。横浜の歴史を中心に研究多数。とくに生糸貿易体制の研究で知られている。
本書は176ページと新書としては薄い部類だが、ペリー来航の政治史、経済史の叙述は最低限に抑えて、その「衝撃」を人びとがどのように受け止めたのかを中心にコンパクトにまとめている。ペリー来航の予告情報がどこからどのように幕閣に伝わったのか、そして実際に1853年の浦賀来航はどのように伝えられ、それが民衆にどう伝わり、彼らがどのように反応したのか。
「日本の近代化は、幕府や明治政府の主導だけで成し遂げられたわけではない。多くの人びとが次の時代に向けて活動し始めたからであり、その原点がペリー来航である。」(はじめに ivページ)
そして、その活動の広がり方が面白い。第4章では幕府が一般に意見を求めたのに反応して、さまざまな建白書などが出された経緯がその内容とともに一部紹介されているが、そこに登場する信州の内藤正義の建白書の話などは非常に興味深い。また、高島秋帆と在野の蘭学者のネットワーク、海防掛に任命された幕府官僚の影響力増大など要点が明快に指摘されている。
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