身体の美学入門 感性から捉えなおす人間の本質

身体の美学入門 感性から捉えなおす人間の本質

ビジネス・実用
1,100円 (税込)

5pt

4.3

「目の綺麗な人だな」「あの人は怖そうだから」。
私たちは、人の見た目の違いを美で判断する生き物である。
顔つき、しゃべり方、匂い、肌の色、肥満・痩せ、障害。

本書では人の身体をめぐる美的判断を探究し、いかに美しさ・醜さが歴史的に創られてきたかの軌跡を追う。
そこから人が心に抱くエロス、愛の真価を突きとめる。
違いをうまく扱う知恵を手に入れ、ルッキズムや多様性の限界をこえる。
心に美をまとうための美学入門。


【目 次】
はじめに
違いについての学問 バラバラになる社会 身体を介して他者に出会う 本書の構成

第1章 美学、「私の中の他者」との出会い
下位の認識能力 眼を閉じ、耳をふさぐデカルト ライプニッツによる認識の分類 識別できるが説明できない 日常は「渾然」「曖昧」だらけ 過去の経験と「傾き」 私の中の他者 より良く/善く感じるための学問 ソマティック・マーカー仮説将来のシナリオの評価 生物学的次元と社会的次元のからまりあい

第2章 感性、このやっかいであなどれないもの
無関心性(没関心性) 関心まみれの出会い 身体の評価=人物の評価? サイズ、形、動き、色、匂い、服装 口笛でヴィヴァルディ 自分の身体にくつろげない 感性の保守性 鏡としての感性 法律の限界 権利ではなく魅力で ふくらはぎに見惚れる 感性の逸脱 差別化と他者化 自然化される趣味

第3章 醜による他者化
科学と哲学 ルネサンスの豊満な女神 「人種」の創造 ホッテントット・ヴィーナス 見世物小屋=他者化の装置 プロテスタント的禁欲主義 「健康リスク」と「私らしさ」のあいだ歴史のレンズを通して見ている 醜とは何か

第4章 美による差別化
遅れてやってきた運動 彼らとは違う「私たち」 トニ・モリスン『青い眼がほしい』 醜さのマント ディックとジェーン「二重のまなざし」に殺されないために アフリコブラの輝き 象徴としてのアフロヘア 画面を埋め尽くす文字 黒人の美学日本語の「美学」のニュアンス

第5章 逸脱する感性
規範的感性と逸脱的感性 再認=既知への取り込み 知覚=未知の発見 個別性との出会い 知覚は自由に展開していく 対象に降伏(surrender) 慣習にあらがう能動性 見方が市民権を得るまで 山の「醜さ」 つるつるでゆがみのない球 天文学の衝撃無秩序で複雑で無限の世界 崇高さの発見 グランド・ツアー 日誌や手紙のライブ感 正義のプロセス/エロス的プロセス

第6章 エロスから愛への進化
きよしさんの指隠し撮影 「感染」の倫理性 スタイルとは何か 自然にはスタイルはない 表出ではなくパターン 選択なぜこのやり方なのか? 基準のゆらぎをうけとめる 愛への進化 アイデンティティ・ポリティクスを降りる

おわりに
参考文献

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身体の美学入門 感性から捉えなおす人間の本質 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    最初読み進めて「難しいな...」というのが、率直な感想でした。
    しかし、「難しい」と感じながらも、その中で理解できる言葉を一つ一つ拾っていくと、凝り固まった自分の頭がほぐれていくのがわかりました。

    ・醜い、美と思うのは、それぞれの考え方!と断言するのは危険。文化(何千年もの歴史)が大きく関係している。
    ・一つ一つの選択によって、それぞれのスタイルが決まる。つまり、複雑。たとえば、女性といったマジョリティラベルで括ることこそ危険。
    ・その人のためにしてあげよう...ではなく、自分さえも変わってしまうほどの体験をしよう。(枠組みから出る)

    0
    2026年09月08日

    Posted by ブクログ

    感性が歴史的なものであること、感性が排除を生むこと、感性がアイデンティティを育むこと、感性が理屈を超えて、相手への愛に貫かれること。

    興味深い整理と主張だった。

    0
    2026年09月08日

    Posted by ブクログ

    エロス的感性、うっとりする、surrender、感服する、逸脱する。
    規範と知覚とクリシェに覆われた値付けがされる資本主義において、それに対抗し得る、大きな価値観である。障害の有無、ちゃんとすること、なども全て再認識、規範、などなどに依る。

    すごくいい本。情報による知性の働きでしかなかなか物事をとらえてこなかった。物事の解体は、歴史の参照によってしかなかなかしてこなかった。でも、まっさらに見る、事は大事。
    美術鑑賞において、注釈を読む事ではなく、絵を見ること。心がけたい。
    ----------
    感じる対象と感じる感性の違い。
    他者の身体。どう感じてどう対処するか。
    黒人男性に身構える、差別は反対する、とか。
    4美学は、下位の認識能力を扱うこと。
    9ライプニッツの認識の分類樹形図
    16明晰で判明な認識を必要とするのは例外的なケース
    18意識できるレベルにまで達していない。微小表象ビュリダンのロバの否定。なんらかの傾きはあるはず。
    45感性は、自分の信念と矛盾するようなことを続けてしまう。
    57感じ方を法律で律することはできない。→でも嫌いなことをやめられる、ことはあるよね。

    57権利ではなく魅力で
    骨形成不全症のキムウォニョン
    権利を発明したとこりで差別を禁止しても、魅力に不平等がある。
    美の基準から逸脱している、その身体に凝縮された人間的な魅力によって人を惹きつけるような社会をつくることをキムは望む
    〇〇すべき(差別を禁止すべき)、ではなく、一緒にいたいという欲望によって魅力によって受け入れられたい。
    60ソウルの集会、障害者収容施設の廃止を主張して地面を這うアピール。前を這っていた脳性麻痺の友人の体を観察し、見惚れ、笑いそうになる。足首とふくらはぎが筋肉として目に飛び込んでくる。発見。身体は体現する媒体。
    62感性の逸脱。私は彼の体に力と美しさを感じていた。理性ではなく感性という本音で受け入れられる。

    78人種概念は、他者化すべき相手と自分達との違いを人為的に輪郭づけるためのコンセプト
    95醜ろう法。見苦しい人を外に出さない
    114黒人は他者の目で自分を見る 美の基準から逸脱された方法で
    118アフリコブラ
    126アプリコブラの黒人の美学1美意識、何を美しいと感じるのか2生き方、自分の身体や生活が美しいものときて価値付けられる3主体性自らを価値づける側に立つ
    134規範的感性は社会的安定をもたらす一方で、歴史的に形成されたバイアスを強化する。さびつきは、歴史的に作られたものであると自覚することで防げる
    135この絵ならではの特質。なにかの魅力にうっとりする。
    175スタイルとは人の振る舞いないし人の振る舞いによって生み出された人工物におけるパターンの再製である。
    187ディボティーの概念。欠損へのフェティシズム

    0
    2026年07月28日

    Posted by ブクログ

    上位の認識能力は知性、下位は感性
    エステティカを美学と訳したのは中江兆民

    美学は私の中の他者を扱う学問

    法律や道徳の力でなく、感性の力によって、魅力あるものとして受け入れられること

    醜による他者化
    美による差別化

    0
    2026年07月19日

    Posted by ブクログ

    面白かった。
    「なんとなく素敵」「感じが悪い」
    言葉にしづらい身体感覚や感性は、
    100%個人的なものではなく
    社会的、規範的なものであるということが強調される。

    肥満に対する否定的な感覚は
    アフリカ系アメリカ人への差別意識が関係しているという話も興味深い。

    やっかいで曖昧でうつろいやすい「感性」

    「成立の歴史を知る事は、感じ方を変えるための第一歩となる」と語られるように、歴史を知ることで当たり前を疑い、別の捉え方への可能性を開いていく。

    その姿勢は、美醜の感性だけでなく
    自分の中の「当たり前」全般にも応用できるはず。

    あなたの『良い感じ』もわたしの『微妙』も
    社会の中で作られてきたものかもしれませんね

    0
    2026年08月31日

    Posted by ブクログ

    面白かったけど少し難しい。規範的感性の他者化、差別化、そしてその理性的な規範から逸脱する感性の話など面白かった。また、黒人が、自分を否定する眼差しを内面化してしまい、その結果主体形成を難しくしているという話など興味深かった。そしてそれをブラックアーツムーブメントで、黒人の美学として同胞をエンパワメントし、主体形成の一助となる話は、なにか現代日本でも活かせる考え方ではないかと思う。ある属性から、他者からの眼差しで抑圧されていると感じている人々の解放を目指すような動きは、いろいろとありえるだろうと思う。(安易な代入は、差別構造を矮小化する危険もあるだろうことにも留意する必要があると思う)
    スタイル、対象との出会いによって既存の感性から逸脱した、内から湧き上がる新たな感覚との出会いをpregnant(妊娠する、孕む)と表現するのも面白かった。

    正直、まだ理解できていない、ピンときていない部分も多分にあるので、何回か読み直す必要がありそう。でも面白かった。

    0
    2026年08月23日

    Posted by ブクログ

    AIの時代に対抗するには、または支配されないためには、人間が持つ「感性」を研ぎ澄ますしか方法はないのだろうか?
    もしかしたら、近い将来にこの「感性」さえもAIに奪われてしまうのかもしれない。

    0
    2026年08月13日

    Posted by ブクログ

    美しさや醜さを感じる働きを感性と呼ぶ。この感性について考察するのが美学という学問だ。本書は、私たちが人間の身体を美しいと感じたり見にくいと感じたりする事態について、何が起こっているのかを哲学的あるいは歴史的に検討する。
    著者が強調するのは、感性は個人的なものではなく、社会的・規範的なものだという点だ。すなわち、私たちが何かを美しいと思う時、私たちは社会で美しいとされる基準の影響を受けているということだ。このことを論じるために、本書は「太っていること」の日的評価が時代によって変遷したことが示される。時代=社会の変化によって、個々人の美醜の判断も左右されるのだ。
    現在醜いとされるものあるいは美しいとは捉えられないものも、違う美的評価へと開かれているというのが著者の主張である。
    私自身が興味深かったのは、現在は美しいと評価される「山」の風景がかつては醜いとされていたという指摘である。滑らかな球こそが美しく、でこぼこは醜いという価値観から、自然の美しさが認められるのも、歴史的な変化である。感性がいかに揺らぐものであるかよく伝わった。

    誤植・疑問メモ
    pp.81-2 「ホッテントット」の話。急にポルトガル人が出てきて、説明不足。
    p.83 『女性弄ぶ博物学』

    0
    2026年08月28日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    お盆休みに読書をじっくりしたい、と思い本屋で30分ほど悩み手に取った1冊。

    人間の感性に興味があり、特に身体の美意識というテーマに興味深さを感じ買って早速読み切った。

    新書に読み慣れていないので所々学術的な記述や表現は頭に入りづらく苦戦したが、面白かったところがいくつかありあたらしい考え方や観点を発見できたので読めてよかった。

    ・身体的な特徴を持つ人々が見世物として晒されていた場所に足繁く通っていた人間の多くは、上流階級の人間よりもそこに虐げられ差別も味わっていたような移民や下流労働者であった事実。ただ身体の特徴で笑いものにする、というよりはその見世物として晒された人間を見て自分は見世物とは違う、自分はちゃんと「人間」なのだ。と自分のアイデンティティや価値認知を消化するために利用していた。

    ・昔はふくよかな女性が理想像であったことは中世の絵画を見ても感じ取れるが、その感性の裏には女性蔑視も含まれていたこと。当時「知的な存在である男性は食欲のような感覚的な欲望に身を任せるべきではない」とういう規範があり、ジェンダーによって美の基準が分かれていたこと。

    美意識はただ説明し難い感覚だけによるものではなく、
    複雑な社会的背景や状況によって形成される考え方や物の見方なのだな、と感じた。

    0
    2026年08月11日

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