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緊張で体が固まったり言葉が出なかったり。そう、体は思い通りにならない。でも体にだって言い分はある。しゃべること歩くことがどんなに大変か私たちは知らない。さあ体の声に耳をすまそう。思いがけない発見が待っている。きっと体が好きになる14歳からの身体論。
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匿名
視野が広がった作品
学校の感想文の課題がきっかけで読みました。 わかりやすく噛み砕いて伝えてくれて、シンプルな言葉だからこそ心に刺さる内容でした。 出会えて良かったと思える、そんな作品です。
#深い
Posted by ブクログ
素敵な本でした。 群像10月号で「悪は存在しない」の考察をされていたのを読み、どんな方なのかなと、著書を検索し読みました。 気持ちが軽くなりました。 最近思っていたことが出てこない、頭と口が連動していない経験をして、老化かなと思っていましたが、言い換えも頻繁に行っていて、何だかおんなじ!と。 この本...続きを読むで引用されていた三島由紀夫の金閣寺は再読したいと思いました。こんな表現をされていたとは。発見でした。 また著者の本を読んでみたいと思います。
30分〜1時間くらいあれば読み切れるくらい、中学生でも読みやすいライトな新書。 最後の章がとてもよかった。メタファーか。考えたこともなかった。自分は左利きなので、ちょっと時間がある時に考えてみようと思う。
最近気になる伊藤亜沙さんの著作。 目の見えない人は世界をどう見ているのか、も伊藤さんの著作だった。 自身のもつ吃音という現象を例に、人の体は自分の思う通りにはならないもので、その思う通りにならないところを観察して、言葉で言い表してみようと書かれている。 YA向けだからすぐ読める。
〈自分の体の感覚を言葉にする〉 『どもる体』『目の見えない人は世界をどう見ているのか』などを執筆し、本人も吃音当事者である筆者による、「吃音」を例にしながら体と世界の関わり方について記した一冊。 そもそも「吃音」とは、しゃべろうとしたときに同じ音を連続して言ってしまったり、言葉につまったりする症状...続きを読むのことです。「どもり」とも言われています。 第1章で筆者は、自分の「体」というものは「思い通りにならないもの」だと言っています。 どんな顔になるのか、どんな運動が得意なのか、どんな障害を抱えるのかなど。化粧、美容整形、トレーニングなどで理想に近づくことは可能ですが、思ったままにすることは不可能です。 けれど「思い通りにならないこと」が「思っても見なかったこと」を連れてくると筆者は言っています。では、どのような「思ってもみないこと」を連れてくるのか。筆者は吃音の経験と研究を通じて学んだことを教えてくれます。 第2章から第5章までは主に吃音に関する解説です。 筆者はそもそも「しゃべれるほうが変」だと言っています。 声帯から出てくる音をなめらかな喉や舌、口の動きで新たな音に変えて、その後に続く音との連続を想定しながらスムーズな音の運びにして言葉にしていくことは、当たり前ではあるけれど簡単なことではないと言っています。 吃音の人はそれらの口周辺の体の動きにエラーが起き、体と心が連動しなくなり、それらをなんとかしながら言葉にしている。つまり、その試行錯誤の結果が吃音の症状として出ているのだそうです。 本書の中では吃音の以下の症状を紹介しています。 「ててててててがみ」のように最初の音を続けて言ってしまう「連発」 「連発」を隠そうとして、体が石のように固まってしまって言葉が出なくなる「難発」 「難発」を対処しようとして、ある言葉がつまりそうになったら、その言葉を似た意味の言葉に換える「言い換え」 吃音の症状でイメージしやすい、最初の音を繰り返す「連発」が、実は体がリラックスした状態で起こると答えている人が多いと筆者は紹介しています。つまり、体が先行してしまっている、言い換えれば体が開放されている状態で起こっているということです。それを隠そうとして「難発」が起こり、「難発」をごまかそうとして「言い換え」が起こるということでした。 私は「連発」の原因が体の緊張によるものだと思っていたため、その解説には驚きました。また前の症状をなんとかしようとして、「体」が次の症状を生み出していると知り、「体」の影響の大きさを知りました。 「言い換え」に関しては、吃音が治ったようにも思われるためにその症状を受け入れている人がいるそうです。一方で「言い換え」によって言葉のニュアンスが変わってしまい、自分の本意が伝わらないことで自分を偽っていると感じ、「言い換え」をしないようにして、あえて再び「どもり」が起こるように選んだ人もいるとのことでした。 私は、自分の体の状態を把握し、どのような体の状態が自分らしいか、つまり「体のアイデンティティ」を選択するということを知りました。 第6章では、それらの具体例を通じて「メタファー(隠喩)を味方につけよう」とまとめています。 吃音の症状がどうしてメタファーの話に?と思うかもしれませんが、筆者は、メタファーを獲得することで現実を見る見方をつくりだし、人々のふるまい方を変えると言っています。 それまでの章で、吃音の症状を説明するためにパソコンでのキーボード入力のメタファーを紹介していました。また、筆者が三島由紀夫の『金閣寺』での吃音の説明で使われているメタファーを引用して、吃音患者の方が「難発」をどのように捉えているのか紹介していました。まさに自分の言葉で体の感覚を語ることで、読者の「吃音」に対する現実の見方を変えていたのです。 また、体の反応をメタファーにして周りの人に伝えることで、知識ではなく「体」の感覚で相手に理解してもらうことができる可能性を示していました。 本書を読むと、まず吃音について理解を深めることができます。 そして、自分の体を見つめ、感覚を言葉にしたり相手に伝えたりすることで、体が発している力を信頼することができるということを学べます。 この「ちくまQブックス」シリーズに共通することですが、イラストが豊富、かつ二色刷りのため、読みやすいです。章ごとに区切られ、一冊あたりのページ数も少ないため、気軽に読めます。 自分の体って何なの?と思っている人にオススメの一冊です。
中学生、高校生を対象にしたシリーズだが、大人が読んでも考えさせられる1冊。 「自分の身体は思い通りにならない」ということを考える内容。前半では著者自身の経験を中心に、吃音について説明されている。同じ音を繰り返す「連発」、言葉が出てこない「難発」の状態について語りながら、そんな身体とどう付き合うのかと...続きを読むいう視点で考える。吃音についての知識が自分になかったのもあるが、「言い換え」をするという回避法があるということ、しかし、言い換えをすることで自分のアイデンティティに影響が出る、と考える人もいるということが非常に興味深かった。 後半、最後の2章は「言葉を獲得しよう」と言い、自分の身体のままらならなさについて、メタファーで表現することで他者とつながることができると述べている。三島由紀夫の『金閣寺』を例にとりながら、自分がしっくりくるメタファーを見つけることへと話が展開していくのはとてもおもしろく、納得感もあった。
今までは、心には個性があった方がいいけど、体は平均値に近い方がよいと思っていた。 “きみの体はきみの「こうありたい」には応えてくれない” p.62 体には、どうがんばったって平均値にはなれない部分がある。それをネガティブに捉えるのではなく、あるいは白々しい前向きな言葉で語るのではなく、自分にぴっ...続きを読むたりな表現を考えること。 考えて考えて考え抜いた先に、豊かな「わたし」が作られる。自分が嫌いな人や、別の誰かになりたいと思っている人に、本書をおすすめしたい。
【目次】 第1章 体の声を聞く 第2章 体、この不気味なもの しゃべれるほうが変。 勝手にやってくれてる ふたつの「ん」 「ん」と「ぶ」のあいだ 体の身になって考える 体のアイデンティティ 第3章 体がエラーを起こす 連発 体が試行錯誤してる 吃音は「あいだ」で起こる 「伝える」と「伝わる...続きを読む」 楽にどもれている 第4章 恥ずかしいのはいやだ 難発 三島由紀夫『金閣寺』 眠る前の孤独 敵でもあり味方でもある 自分をつくる 第5章 自分らしい体 言い換え 固有名詞の壁 本当じゃない自分が出てくる ずれるから発見する どもることで自分をとりもどす 体の多様性 第6章 メタファーを味方につけよう 体について探求するために 現実の多様な見方 きみだけの「言葉」を獲得する 相手にきみになってもらう 体を信頼する
会話体でするすると読め、吃音について知ることができる。対象読者を過信しすぎない難易度と分量に感心する。ひろく中学生に読んでもらおうと思ったらこの程度のゆるさが必要。難しすぎ盛り込みすぎの子ども向け本があふれている中、しっかりと子どもを見ている人が書いている(もしくは編集している)のだろうなと感じる。
100ページもない本なのに気づきがたくさん。やはりちくまのこのシリーズは良いですね。おすすめ本も面白そう。
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