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Posted by ブクログ
知っている言葉でどんどん遠くに運ばれていくわくわくする読書体験だった!のに読んだ直後に感想書かなかったせいで感動したディテールの多くを忘れてしまった…「さわる」と「ふれる」の違い、前者は主体と客体との間に相互作用の発生しないもの後者は発生するものと位置付け特に後者を倫理的(一般解を求める道徳とは異なり、個別具体的な事例にひとつずつアドリブでよく対応しようとする姿勢)なものと評する序盤のくだりから目が開かれる心地だったけど、聞きながら本当にどきどきしたのは 週末医療の現場で、高度に倫理的な「ふれる」はやがて「さわる」に変わっていく 「ふれる」は客体とと主体とをコミュニケーション可能な存在どうしと前提して達成されるが、相手の身体の中に異質さ・他者性・分かり合えなさ(たとえばそれは死という形でやってくる)を見つけるときひとは相手の身体を「さわる」ことしかできない つまり「さわる」は劣位「ふれる」は優位という話ではけしてなく、「さわる」の中に「ふれる」があり「ふれる」の中に「さわる」があるのだ というくだり
伴走の話も面白かった これでよく知ったおかげでこの間光が丘公園で「視覚障害者」「伴走者」のゼッケンをつけたふたりをすぐ見つけられた 伴走した方がひとりより早く良く走れることがある、という事実がなんてことない奇跡のようで希望のようでぐっとくる 少しやってみたいなと聞きながら思ったけどまずひとりできちんとしたペースで走れない限り無理だ(なんの象徴なんだか)
他にも触覚は不埒なものである 簡単にすり替わってしまうものである だから介護士が夜の寝床で恋人のシャツのボタンを外そうとしたとき手は違う記憶を想起する みたいな話も面白かったし、19歳で全盲になった女性が「安全」より「信頼」を選ぶ戦略を取り道ゆく人たちの助けを積極的に取り入れた話、砂連尾理さんの即興ダンスの棒が実現させた「距離マイナス」の触れ合いの話とかも面白かった 他にもおもしろい!と膝を打ったところがたくさんあったはずだけど…またオーディブルで聞き返したい
Posted by ブクログ
倫理は原則として一般化されたことがらを対象とするのではなく、個別の文脈の中で極めて現実的な態度としてのジレンマ、悩み、迷いとともに生じるものであり、明確な答えがない不安定さと隣り合わせである。しかしこのような不確かな時代だからこそ、倫理的である姿勢は重要なのであり、またそうであることで創造的な議論ができるのであるから、私たちが倫理について考えることは極めて重要なことだろう。
本書では、多様な意見があるときに、「多様性」という言葉をもって相対主義的な不干渉の姿勢を示すことの無責任さを、まさしく倫理の観点から指摘している点が印象深かった。つまりどれほど多様でも、私たちはなおも考え続け、語り続けなければならないのであり、これこそが倫理的なふるまいであると。
そしてもちろん本書の議論の主題である触覚についての洞察も興味深い。西洋哲学における触覚についての解釈の潮流と変遷に触れたうえで、不確実性を乗り越える信頼にはじまる接触、そしてその後のコミュニケーションとしての「ふれる」の特性へと議論が展開されていく。ふれることは極めて生成的な物理的メディアであると結論づけられるかと思いきや、その極致には絶対的な距離感のある「さわる」の伝達の要素があるという指摘は興味深かった。
わかりやすい解説で読みやすく、なおかつ学びの多い良書でした。
Posted by ブクログ
倫理と道徳を区別して、倫理とは一般の存在しない、個人が線引きを行うことで作られる、ある種の創造性を含んだものであることが提示される。「多様性」のような、ビッグワードやスローガン的なものに吸収されていく、あわいのある存在を見落とさないようにしたいと考えようになったのは、本書の指摘が大きかったかもと思う。
具体的な状況と普遍的な価値のあいだを行き来することで、倫理的な行為を深化させることや、他者性についても言及があり、一章だけでもパンチライン多数。ってかまえがきの時点でめっちゃおもしろい。
ふれるという行為の相互性、また介入性が、いかにさわるという一方向的なものと異なるか。
伊藤さんは利他という概念について話すときも、常に自己へと向かう矢印に他者を経由させるようなイメージを展開している気がする。
信頼と安心の違いについて、安心というものは保険をかけるような一方向性の願望であり、信頼とは一方向の願望の中にも、相手がそれを裏切ったとしてもよしとする、双方向的な考えがあることを指摘している。これも自分にとって人間関係の大きな指針になる考えだった。
100%の安心はありえず、それを求めるがために複雑化するシステムの無限後退を、信頼というものがどこかで堰き止めてくれる。仕事しててもめちゃくちゃ感じる。
例として挙げられる注文を間違えるレストランや、ブラインドランの話などもとても興味深い。
ユマニチュードという革命を読みながら、改めて手に取った一冊
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