手の倫理

手の倫理

ビジネス・実用
1,980円 (税込)

9pt

人が人にさわる/ふれるとき、そこにはどんな交流が生まれるのか。
介助、子育て、教育、性愛、看取りなど、さまざまな関わりの場面で、
コミュニケーションは単なる情報伝達の領域を超えて相互的に豊かに深まる。
ときに侵襲的、一方向的な「さわる」から、意志や衝動の確認、共鳴・信頼を生み出す沃野の通路となる「ふれる」へ。
相手を知るために伸ばされる手は、表面から内部へと浸透しつつ、相手との境界、自分の体の輪郭を曖昧にし、新たな関係を呼び覚ます。
目ではなく触覚が生み出す、人間同士の関係の創造的可能性を探る。

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手の倫理 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    知っている言葉でどんどん遠くに運ばれていくわくわくする読書体験だった!のに読んだ直後に感想書かなかったせいで感動したディテールの多くを忘れてしまった…「さわる」と「ふれる」の違い、前者は主体と客体との間に相互作用の発生しないもの後者は発生するものと位置付け特に後者を倫理的(一般解を求める道徳とは異なり、個別具体的な事例にひとつずつアドリブでよく対応しようとする姿勢)なものと評する序盤のくだりから目が開かれる心地だったけど、聞きながら本当にどきどきしたのは 週末医療の現場で、高度に倫理的な「ふれる」はやがて「さわる」に変わっていく 「ふれる」は客体とと主体とをコミュニケーション可能な存在どうしと前提して達成されるが、相手の身体の中に異質さ・他者性・分かり合えなさ(たとえばそれは死という形でやってくる)を見つけるときひとは相手の身体を「さわる」ことしかできない つまり「さわる」は劣位「ふれる」は優位という話ではけしてなく、「さわる」の中に「ふれる」があり「ふれる」の中に「さわる」があるのだ というくだり

    伴走の話も面白かった これでよく知ったおかげでこの間光が丘公園で「視覚障害者」「伴走者」のゼッケンをつけたふたりをすぐ見つけられた 伴走した方がひとりより早く良く走れることがある、という事実がなんてことない奇跡のようで希望のようでぐっとくる 少しやってみたいなと聞きながら思ったけどまずひとりできちんとしたペースで走れない限り無理だ(なんの象徴なんだか)

    他にも触覚は不埒なものである 簡単にすり替わってしまうものである だから介護士が夜の寝床で恋人のシャツのボタンを外そうとしたとき手は違う記憶を想起する みたいな話も面白かったし、19歳で全盲になった女性が「安全」より「信頼」を選ぶ戦略を取り道ゆく人たちの助けを積極的に取り入れた話、砂連尾理さんの即興ダンスの棒が実現させた「距離マイナス」の触れ合いの話とかも面白かった 他にもおもしろい!と膝を打ったところがたくさんあったはずだけど…またオーディブルで聞き返したい

    0
    2026年08月27日

    Posted by ブクログ

    “清潔”という概念は、
    ツルツルとした材質が身の回りに利用されるようになってから発展したらしい。
    触覚というのは、
    ある意味で“野性的”“本能的”な感覚だからこそ、
    無意識に働きかける部分が大きくて、
    だからこそ意識的になる必要があるのだと感じた。

    具体的な事例が介護に関する部分に偏っていたり、
    格闘技は視覚で捉えているから楽しめると断言してしまっていたり(自分自身は普通に痛そうと思うだけで楽しくない)
    共感はしにくい用例ではあったけれど、
    たどり着く結論は十分読んだ価値を感じるものだった。

    0
    2026年05月01日

    Posted by ブクログ

    ふれるとさわる、道徳と倫理の違いについて書かれていて、コロナ禍において少し難しい状況ではあるけれども、人との接し方と捉えれば、学びが多い。個人的には読後感が穏やかで肩の力が抜けた感じ。自分の中の多様性というワードが響いた。

    0
    2026年01月14日

    Posted by ブクログ

    TVで観て気になり読みました。
    手の倫理とは何?何書かれていくのだろうと不思議に思い読み進めていくと、具体例にラグビー、伴走ランナー、介護、ボクシングなどが出てきて、納得させられ、倫理という難しいタイトルにも関わらず具体例がすごくわかりやすく楽しい一冊でした。

    0
    2025年01月01日

    Posted by ブクログ

    倫理は原則として一般化されたことがらを対象とするのではなく、個別の文脈の中で極めて現実的な態度としてのジレンマ、悩み、迷いとともに生じるものであり、明確な答えがない不安定さと隣り合わせである。しかしこのような不確かな時代だからこそ、倫理的である姿勢は重要なのであり、またそうであることで創造的な議論ができるのであるから、私たちが倫理について考えることは極めて重要なことだろう。
    本書では、多様な意見があるときに、「多様性」という言葉をもって相対主義的な不干渉の姿勢を示すことの無責任さを、まさしく倫理の観点から指摘している点が印象深かった。つまりどれほど多様でも、私たちはなおも考え続け、語り続けなければならないのであり、これこそが倫理的なふるまいであると。
    そしてもちろん本書の議論の主題である触覚についての洞察も興味深い。西洋哲学における触覚についての解釈の潮流と変遷に触れたうえで、不確実性を乗り越える信頼にはじまる接触、そしてその後のコミュニケーションとしての「ふれる」の特性へと議論が展開されていく。ふれることは極めて生成的な物理的メディアであると結論づけられるかと思いきや、その極致には絶対的な距離感のある「さわる」の伝達の要素があるという指摘は興味深かった。
    わかりやすい解説で読みやすく、なおかつ学びの多い良書でした。

    0
    2024年11月16日

    Posted by ブクログ

    触覚をみくびっていた自分に気付かされた
    思い返せば印象強い記憶って触覚と共に残されている
    普段、人の体に触れさせていただく数少ない職種であるからこそ、触覚についてより意識をしていきたいなと感じた

    0
    2024年07月06日

    Posted by ブクログ

    倫理と道徳を区別して、倫理とは一般の存在しない、個人が線引きを行うことで作られる、ある種の創造性を含んだものであることが提示される。「多様性」のような、ビッグワードやスローガン的なものに吸収されていく、あわいのある存在を見落とさないようにしたいと考えようになったのは、本書の指摘が大きかったかもと思う。
    具体的な状況と普遍的な価値のあいだを行き来することで、倫理的な行為を深化させることや、他者性についても言及があり、一章だけでもパンチライン多数。ってかまえがきの時点でめっちゃおもしろい。

    ふれるという行為の相互性、また介入性が、いかにさわるという一方向的なものと異なるか。
    伊藤さんは利他という概念について話すときも、常に自己へと向かう矢印に他者を経由させるようなイメージを展開している気がする。

    信頼と安心の違いについて、安心というものは保険をかけるような一方向性の願望であり、信頼とは一方向の願望の中にも、相手がそれを裏切ったとしてもよしとする、双方向的な考えがあることを指摘している。これも自分にとって人間関係の大きな指針になる考えだった。
    100%の安心はありえず、それを求めるがために複雑化するシステムの無限後退を、信頼というものがどこかで堰き止めてくれる。仕事しててもめちゃくちゃ感じる。

    例として挙げられる注文を間違えるレストランや、ブラインドランの話などもとても興味深い。

    ユマニチュードという革命を読みながら、改めて手に取った一冊

    0
    2023年09月08日

    Posted by ブクログ

    触れることは、ベクトルを感じること。
    安心というより信頼。
    伝達というより生成。
    道徳というより倫理。

    0
    2022年08月23日

    Posted by ブクログ

    手で感じた感覚、手によって感じた感覚、それはいつだって臨場感を持ってリアルに蘇ってくる。

    同じように手を触れても相手によって感じ方は違う。受け取り方が違うのもあるし、感情や環境にも影響を受ける。

    0
    2022年06月17日

    Posted by ブクログ

    全編興味深く、面白かった。前編にあった道徳と倫理の違いが、最後に私たちを揺さぶりかける。
    子供は親にさわってほしいのではなく、ふれてほしいのだろう。

    0
    2022年05月20日

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