【感想・ネタバレ】身体の美学入門 感性から捉えなおす人間の本質のレビュー

あらすじ

「目の綺麗な人だな」「あの人は怖そうだから」。
私たちは、人の見た目の違いを美で判断する生き物である。
顔つき、しゃべり方、匂い、肌の色、肥満・痩せ、障害。

本書では人の身体をめぐる美的判断を探究し、いかに美しさ・醜さが歴史的に創られてきたかの軌跡を追う。
そこから人が心に抱くエロス、愛の真価を突きとめる。
違いをうまく扱う知恵を手に入れ、ルッキズムや多様性の限界をこえる。
心に美をまとうための美学入門。


【目 次】
はじめに
違いについての学問 バラバラになる社会 身体を介して他者に出会う 本書の構成

第1章 美学、「私の中の他者」との出会い
下位の認識能力 眼を閉じ、耳をふさぐデカルト ライプニッツによる認識の分類 識別できるが説明できない 日常は「渾然」「曖昧」だらけ 過去の経験と「傾き」 私の中の他者 より良く/善く感じるための学問 ソマティック・マーカー仮説将来のシナリオの評価 生物学的次元と社会的次元のからまりあい

第2章 感性、このやっかいであなどれないもの
無関心性(没関心性) 関心まみれの出会い 身体の評価=人物の評価? サイズ、形、動き、色、匂い、服装 口笛でヴィヴァルディ 自分の身体にくつろげない 感性の保守性 鏡としての感性 法律の限界 権利ではなく魅力で ふくらはぎに見惚れる 感性の逸脱 差別化と他者化 自然化される趣味

第3章 醜による他者化
科学と哲学 ルネサンスの豊満な女神 「人種」の創造 ホッテントット・ヴィーナス 見世物小屋=他者化の装置 プロテスタント的禁欲主義 「健康リスク」と「私らしさ」のあいだ歴史のレンズを通して見ている 醜とは何か

第4章 美による差別化
遅れてやってきた運動 彼らとは違う「私たち」 トニ・モリスン『青い眼がほしい』 醜さのマント ディックとジェーン「二重のまなざし」に殺されないために アフリコブラの輝き 象徴としてのアフロヘア 画面を埋め尽くす文字 黒人の美学日本語の「美学」のニュアンス

第5章 逸脱する感性
規範的感性と逸脱的感性 再認=既知への取り込み 知覚=未知の発見 個別性との出会い 知覚は自由に展開していく 対象に降伏(surrender) 慣習にあらがう能動性 見方が市民権を得るまで 山の「醜さ」 つるつるでゆがみのない球 天文学の衝撃無秩序で複雑で無限の世界 崇高さの発見 グランド・ツアー 日誌や手紙のライブ感 正義のプロセス/エロス的プロセス

第6章 エロスから愛への進化
きよしさんの指隠し撮影 「感染」の倫理性 スタイルとは何か 自然にはスタイルはない 表出ではなくパターン 選択なぜこのやり方なのか? 基準のゆらぎをうけとめる 愛への進化 アイデンティティ・ポリティクスを降りる

おわりに
参考文献

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Posted by ブクログ

エロス的感性、うっとりする、surrender、感服する、逸脱する。
規範と知覚とクリシェに覆われた値付けがされる資本主義において、それに対抗し得る、大きな価値観である。障害の有無、ちゃんとすること、なども全て再認識、規範、などなどに依る。

すごくいい本。情報による知性の働きでしかなかなか物事をとらえてこなかった。物事の解体は、歴史の参照によってしかなかなかしてこなかった。でも、まっさらに見る、事は大事。
美術鑑賞において、注釈を読む事ではなく、絵を見ること。心がけたい。
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感じる対象と感じる感性の違い。
他者の身体。どう感じてどう対処するか。
黒人男性に身構える、差別は反対する、とか。
4美学は、下位の認識能力を扱うこと。
9ライプニッツの認識の分類樹形図
16明晰で判明な認識を必要とするのは例外的なケース
18意識できるレベルにまで達していない。微小表象ビュリダンのロバの否定。なんらかの傾きはあるはず。
45感性は、自分の信念と矛盾するようなことを続けてしまう。
57感じ方を法律で律することはできない。→でも嫌いなことをやめられる、ことはあるよね。

57権利ではなく魅力で
骨形成不全症のキムウォニョン
権利を発明したとこりで差別を禁止しても、魅力に不平等がある。
美の基準から逸脱している、その身体に凝縮された人間的な魅力によって人を惹きつけるような社会をつくることをキムは望む
〇〇すべき(差別を禁止すべき)、ではなく、一緒にいたいという欲望によって魅力によって受け入れられたい。
60ソウルの集会、障害者収容施設の廃止を主張して地面を這うアピール。前を這っていた脳性麻痺の友人の体を観察し、見惚れ、笑いそうになる。足首とふくらはぎが筋肉として目に飛び込んでくる。発見。身体は体現する媒体。
62感性の逸脱。私は彼の体に力と美しさを感じていた。理性ではなく感性という本音で受け入れられる。

78人種概念は、他者化すべき相手と自分達との違いを人為的に輪郭づけるためのコンセプト
95醜ろう法。見苦しい人を外に出さない
114黒人は他者の目で自分を見る 美の基準から逸脱された方法で
118アフリコブラ
126アプリコブラの黒人の美学1美意識、何を美しいと感じるのか2生き方、自分の身体や生活が美しいものときて価値付けられる3主体性自らを価値づける側に立つ
134規範的感性は社会的安定をもたらす一方で、歴史的に形成されたバイアスを強化する。さびつきは、歴史的に作られたものであると自覚することで防げる
135この絵ならではの特質。なにかの魅力にうっとりする。
175スタイルとは人の振る舞いないし人の振る舞いによって生み出された人工物におけるパターンの再製である。
187ディボティーの概念。欠損へのフェティシズム

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2026年07月28日

Posted by ブクログ

上位の認識能力は知性、下位は感性
エステティカを美学と訳したのは中江兆民

美学は私の中の他者を扱う学問

法律や道徳の力でなく、感性の力によって、魅力あるものとして受け入れられること

醜による他者化
美による差別化

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2026年07月19日

Posted by ブクログ

AIの時代に対抗するには、または支配されないためには、人間が持つ「感性」を研ぎ澄ますしか方法はないのだろうか?
もしかしたら、近い将来にこの「感性」さえもAIに奪われてしまうのかもしれない。

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2026年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

お盆休みに読書をじっくりしたい、と思い本屋で30分ほど悩み手に取った1冊。

人間の感性に興味があり、特に身体の美意識というテーマに興味深さを感じ買って早速読み切った。

新書に読み慣れていないので所々学術的な記述や表現は頭に入りづらく苦戦したが、面白かったところがいくつかありあたらしい考え方や観点を発見できたので読めてよかった。

・身体的な特徴を持つ人々が見世物として晒されていた場所に足繁く通っていた人間の多くは、上流階級の人間よりもそこに虐げられ差別も味わっていたような移民や下流労働者であった事実。ただ身体の特徴で笑いものにする、というよりはその見世物として晒された人間を見て自分は見世物とは違う、自分はちゃんと「人間」なのだ。と自分のアイデンティティや価値認知を消化するために利用していた。

・昔はふくよかな女性が理想像であったことは中世の絵画を見ても感じ取れるが、その感性の裏には女性蔑視も含まれていたこと。当時「知的な存在である男性は食欲のような感覚的な欲望に身を任せるべきではない」とういう規範があり、ジェンダーによって美の基準が分かれていたこと。

美意識はただ説明し難い感覚だけによるものではなく、
複雑な社会的背景や状況によって形成される考え方や物の見方なのだな、と感じた。

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2026年08月11日

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