中公新書作品一覧

  • 人はなぜ結婚するのか 性愛・親子の変遷からパートナーシップまで
    4.0
    結婚のあり方が大きく揺らいでいる。離婚・再婚、選択的夫婦別姓、共同親権、同性婚、パートナーシップ、事実婚、生殖補助医療、養子縁組……。リベラル派と保守派に分断され、個々の論点についてすれ違う議論がなされがちななか、本書では共同性、性愛関係、親子関係の3点で議論を整理し、一貫した視点から本質とこれからを見通す。結婚をめぐる自由化がもたらす「しんどさ」も指摘する。本質を知りたい人のための羅針盤。 はじめに――議論の見通しをよくするために 1章 結婚のない社会? 結婚には歴史的にどういう意味があったのか 母子関係と父子関係 結婚制度は消滅するのか 父親のいる社会、いない社会 母系社会における結婚 結婚のない社会は設計可能か 2章 結婚はどう変わってきたのか 結婚の意味を探求してみよう 愛かお金か 生殖から性愛へ 家長の力が強かった時代 家族が会社組織のようだった時代 結婚は社会に埋め込まれていた 性別と性愛をめぐる言語表現 家族から「仕事成分」が抜け出した時代 結婚観の変化と同性婚 結婚を問い直す哲学的な考察 3章 「結婚の法」からみえる結婚の遷り変わり 自由婚はほんとうに自由か 国や支配者が結婚に介入する理由 現代の秩序維持と人口コントロール 法規制は何のためにあるのか 事実婚以上、法律婚未満 結婚の入口要件 婚姻期間中の要件(共同性) 結婚の出口要件(離婚) 有責離婚から無責離婚へ 「内部化」する現代の結婚 同性婚は結婚の法をどう変えたか 結婚と性愛関係の結びつきは強いのか 事実婚と法律婚 4章 同性婚、パートナーシップ、事実婚 結婚とシビルユニオン 分業する核家族 近代的な結婚の意義 保護対象とされた女性と子ども 選択肢としての結婚へ 結婚のベネフィットは何か 相続における法律婚と事実婚の差 政府の方針や民間企業の都合 なぜ性愛関係に基づいた結婚をするのか シビルユニオンの登場 PACSと性愛関係 シビルユニオンの特徴 三つの共同性の違い 制度と実態のギャップ 5章 結婚と親子関係 結婚の争点は親子関係にもある 結婚と父子関係の確立 DNA鑑定はどのような影響を及ぼすか 生殖補助技術と親子関係の複雑化 親の複数性をもたらすパターン 代理懐胎をめぐる課題 養子縁組とブレンドファミリー さまざまな「親子関係」の内実 「親性」を構成する要素とは 一律判断から個別配慮の時代へ 同性婚における親子関係 同性カップルが子を持つ事例 親子関係の制度がめざすところ 6章 乗りこえられるべき課題としての結婚 オプション化する結婚 共同性のコスト 自由という不自由 倫理的問題と行政・司法コスト 保守的な価値観 差別問題の難しさ 厄介な固定観念 選択肢が多いがゆえの悩み リベラルと保守の対立を再考する 同じ方向を向いて議論をするために 7章 残された論点 前近代の結婚 前期近代の結婚 後期近代の結婚 非性愛的共同性はなぜ稀なのか 同類婚の謎 成人親子関係と結婚 姓の問題(選択的夫婦別姓) 複婚の可能性 共同性を広く持てる社会とは
  • イタリア食紀行 南北1200キロの農山漁村と郷土料理
    4.0
    隣町に行けば言葉もパスタも変わる――。 イタリア料理は味わいのみならず、多様性が魅力。地域の風土・歴史に根ざした食材や伝統料理法が受け継がれているのだ。 著者は南・北・中央・島々をめぐり、ポベラッチャ(貧乏食)の知恵を足と舌で探る。 またアグリツーリズムや有機農業、スローフード運動など、地域再生のソーシャル・イノベーションにも注目。 人口減少が進む日本の地方にとって、有益なヒントが満載。写真多数。 はじめに―食と社会の未来を求めて 世界初・食をテーマにしたミラノ万博  日本とイタリアの類似性  農村が未来を切り拓く 第1章 身土不二―地域に根ざした食の多様性 ランチは家でマンマの手づくり  まちにあふれるメルカート―野菜・畜産・魚介  隣町に行けば言葉もパスタも変わる  ハレとケ―イタリア料理の誕生と南北問題  資本主義競争に打ち勝ってきたブランド力  知と融合するス ローフード運動  よみがえる農業/農村―その背景 第2章 北イタリア―トリノ・ヴェネト州・ボローニャ 1アルプス(山)とパダーノ(平野)が育む芳醇な食 自治都市国家の形成と経済発展  アルプスの麓・丘陵地帯 の極上食材  全世界から若者が集まる小さな田舎町・ブラ  エトルリア時代から伝わるポー平原の食文化 2伝統×若者―食の新たな価値創造へ 過疎地のワイナリーで景観を守る二人の若者  伝統手法によるシャンパーニュよりも上品に―プロセッコ  暮らしの質を保障するスローシティ  肥沃な土地が極上生ハムを生み出す伝統  食のテーマパークFICOと食問題を解決するボローニャの企業  障がい者雇用と廃棄食削減に挑戦する世界的シェフ  脱工業から持続可能な都市へ 第3章 中央イタリア ―ローマ、トスカーナ、ウンブリア州 1アグリツーリズムが育む地域食と農村コミュニティ 実はローマは田園都市  素朴で等身大のアグリツーリズム  トスカーナとフィレンツェ  トスカーナの持続可能なアグリツーリズム  トスカーナの世界最高牛―誕生秘話   無駄なく美味しく農村を守る田舎料理・リボッリータ 2上質の暮らしをブランディングする都市農村の戦略 下町文化あふれるトラステヴェレ  ローマ発の屋内ファーマーズ・マーケット  イタリアを有機農業先進国にした小さな農村・ウンブリア  異業種のつながりが地域を盛り立てる 第4章 南イタリア―バーリ・フォッジャ・ファザーノ 1 イタリアの胃袋を支える農業地帯プーリア ギリシャ時代以来の異国支配ゆえの伝統  イタリアの胃袋 を支えるオリーブの一大産地  デュラム小麦と極上のパン  日本人より生魚介を食べる唯一の地域  「最も美しい村連合」  人口二万以下のまちに四〇軒以上のレストラン  ラティフォンド(大地主制度)解体の余波  アフリカからの移民受け入れをめぐる試行錯誤 2 ポベラッチャ(貧乏食)の知恵 粉挽き場という公共空間  一六世紀以来の石窯―藁焼きの懐かしい香り  大地に誇りを取り戻すカリスマシェフ  水車で挽き立て小麦の絶品フォッカッチャ  人間関係が広がる若手集団ヴァザップのワークショップ  「農地でどれだけ多くの関係性を築けるか」 第5章 島々―アグリジェント(シチリア)・サルデーニャ 1 多様な文化が交錯する島々 文明の十字路・属国としての島々  サルデーニャとシチリア―異なる歴史  マフィア・山賊を生み出した統治  伝統的食材の宝庫・シチリア  世界五大長寿地域サルデー ニャの食文化  景観を公共財として保護するガラッソ法 2 時空を超えてよみがえる伝統食と暮らし 伝統的製法による塩づくり(トラーパニ)  女性が守るサルドの伝統的チーズ、カーチョ・カヴァッロ  一二人の若者がよみがえらせた小さな村  過疎地でたった一人始めた若者の挑戦  ITを駆使したミクロミュージアムで地域再生  シチリアの保存すべき無形資産・穀物  移民少年たちをイタリア食農文化で包摂する おわりに―日本は何を学ぶべきか 農業・農村に求められるソーシャル・イノベーション  ソーシャル・イノベーションとは  EUのボトムアップ型食農政策―補助から革新の支援へ  イタリアから日本が学べること コラム パスタの種類(ロングパスタ)  EU地理的表示(GI)とは  自家用魚醤コラトゥーラで地域おこし  イタリアワインの格付け  進む若者移住―トリノ大学と限界集落の連携  69  EU地域開発政策―LEADERプログラム
  • 悪名の論理 田沼意次の生涯
    4.0
    ナポレオンはメッテルニヒを「世紀最大の嘘つき」と呼んだ。 一度はその愛人だったこともあるリーフェン公爵夫人さえも、「世にも稀れな偽善者」とののしった。 田沼意次の場合も嫌われかたがよく似ている。 徳川の為政者中、彼ほど世間から口汚く罵倒され、あげくは汚辱の淵に蹴落されて深く沈淪しているものはない。 東西をとわず悪名高い為政者には共通の政治的性格の特徴があるが、不評の条件とは何か。 意次の生涯をたどって追究する。
  • 幕末の会津藩 運命を決めた上洛
    4.0
    文久2年12月、会津藩主松平容保は京都守護職として、風雲急を告げる京に入った。 “薪を背負って火に飛び込むような”悲壮な決意のもと、容保と藩士は孝明天皇と都の警護に専心する。 だが一橋慶喜らによる改革は実を結ばず、大政奉還、鳥羽伏見の戦いへと転落の道を辿る。 幕府と運命を共にせざるを得なかった会津藩の悲劇は、ここにはじまった。 新発見の『幕末会津藩往復文書』が明かす会津藩主従の苦渋の日々とは。 目次 第1章 京都守護職 第2章 激動の京都 第3章 薩摩・会津同盟 第4章 長州との確執 第5章 禁門の変 第6章 容保の政治 第7章 孝明天皇崩御 第8章 徳川絶対主義国家 第9章 慶喜逃亡
  • 胃の病気とピロリ菌 胃がんを防ぐために
    4.0
    1982年、オーストラリアの医師二人が発見した「ピロリ菌」。 30年近く経った今、胃の病気に関する常識は根底から変わった。 胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、さらには胃がんに至るまで、もはやピロリ菌抜きでは説明できない。 ピロリ菌感染の診断および除菌方法から、胃の病気の最新治療法、さらには胃がんを撲滅する道筋まで、第一人者が明解に解説する。東アジアの強毒性ピロリ菌に悩まされている日本人、必読の書!
  • 近代日本の対中国感情 なぜ民衆は嫌悪していったか
    4.0
    明治維新後、欧米をモデルに近代化した日本。他方で中国はその停滞から一転し蔑視の対象となった。  日清・日露戦争、満洲事変、日中戦争と経るなか、それは敵愾心から侮蔑、嘲笑へと変わっていく。  本書は、明治から昭和戦前まで民衆の対中感情を追う。  世論調査がない時代、民衆が愛読した少年雑誌に着目。赤裸々な図版から、古代中国への変わらぬ思慕とは対照的に、同時代中国への露骨な差別意識、感情を描く。図版百点収載。
  • 司馬遷の旅 『史記』の古跡をたどる
    4.0
    電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。 司馬遷は、少なくとも七回にわたって中国大陸を広く旅行した。 なかでも二十歳の第一回目の旅は、長江流域の史跡をたどり、曲阜で孔子の礼を学び、彼の人生に多大な影響を与えた。 司馬遷はどこを訪れ、何を見聞したのか。 そして、その経験は『史記』の叙述にどう活かされたのか。 著者は、司馬遷の旅行ルートをみずから踏査し、その史跡を訪ねた。 二千年の時をさかのぼり、私たちも司馬遷を追う旅に出よう。
  • ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで
    4.0
    ユダヤ教を信仰する民族・ユダヤ人。 学問・芸術に長けた知力、富のネットワーク、ホロコーストに至る迫害、アラブ人への弾圧――。 五大陸を流浪した集団は、なぜ世界に影響を与え続けているのか。 古代王国建設から民族離散、ペルシア・ローマ・スペイン・オスマン帝国下の繁栄、東欧での迫害、ナチによる絶滅計画、ソ連・アメリカへの適応、イスラエル建国、中東戦争まで。 三〇〇〇年のユダヤ史を雄大なスケールで描く。 ■目次 序 章 組み合わせから見る歴史 第1章 古代 王国とディアスポラ 1 ユダヤ教以前のユダヤ人?――メソポタミアとエジプトのあいだで 2 ユダヤ教の成立――バビロニアとペルシア帝国 3 ギリシアとローマ――キリスト教の成立まで 第2章 古代末期・中世――異教国家のなかの「法治民族」   1 ラビ・ユダヤ教の成立――西ローマとペルシア 2 イスラーム世界での繁栄 西アジアとイベリア半島 3 キリスト教世界での興亡――ドイツとスペイン 第3章 近世――スファラディームとアシュケナジーム 1 オランダとオスマン帝国――スファラディームの成立 2 ポーランド王国との邂逅――アシュケナジームの黄金時代 3 偽メシア騒動からの敬虔主義誕生――ユダヤ教の神秘主義 第4章 近代――改革・革命・暴力 1 ドイツとユダヤ啓蒙主義――同化主義なのか 2 ロシア帝国とユダヤ政治――自由主義・社会主義・ナショナリズム 3 ポグロムとホロコースト――東欧というもう一つのファクター 第5章 現代――新たな組み合わせを求めて 1 ソ連のなかの/ソ連を超えるユダヤ人――社会主義的近代化 2 パレスチナとイスラエル――「ネーション」への同化 3 アメリカと文化多元主義――エスニシティとは何か むすび あとがき 参考文献 ユダヤ人の歴史 関連年表
  • 使うための英語―ELF(世界の共通語)として学ぶ
    4.0
    英語で話す、メールを書く、会議で議論する……。 自分の考えを英語で伝えたい、「使うため」の英語を学びたい! そんな人々に本書は、ELF=「世界の共通語(リンガ・フランカ)としての英語」への発想転換を提案する。 世界の実践知を取り入れ、自分のニーズに合わせて、効果的に学び、使えるようになる方法だ。 発音やリスニングからテクノロジーの活用まで、「知っている英語」を「使える英語」に変えるための具体的な英語勉強法を紹介する。 □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ Contents はじめに 序章 ELFを概観する 第1章 ELFユーザーとして、ELF発想を考える   1.1 ELFの現場とELFユーザーたち   1.2 ELFの現場の5つの特徴   1.3 ELF発想の英語力をつける5つの「作戦」 第2章 音に浸る―英語の学び方 1   2.1 伝わる発音   2.2 リスニング力を磨く 第3章 自分のニーズから学ぶ―英語の学び方 2   3.1 スピーキング―自分の必要を言えるようになる   3.2 語彙を必要順で集中して磨く 第4章 「相手に伝わる」を考える―英語の学び方 3   4.1 英語ミーティングへの参加   4.2 伝わるメール 第5章 テクノロジーを活用する―英語の学び方 4   5.1 英語のリーディング力   5.2 AIと学んで、文法力を伸ばす 第6章 その先に―自分に合った英語を目指す あとがき
  • カナダ―資源・ハイテク・移民が拓く未来の「準超大国」
    4.0
    留学・移住先として日本での人気は高いが、実情は知られていないカナダ。 食糧やエネルギー豊かな資源大国、ノーベル賞学者を育んだAIや量子技術の開発国、地球温暖化対策の先進国、そして移民立国など多様な側面を持つ国の光と影を紹介。 「アメリカの51番目の州」との揶揄もあるが、自由・民主主義・人権重視をわが国と共有する外交パートナーとして存在感を高めている。 未来の「準超大国」の可能性と課題とは? はじめに――知られざる未来の「準超大国」の実力 序 章 カナダ――50年余の歩み 第一章 資源大国の実力―食料からエネルギー︑鉱物まで 1自給率230%を誇る世界の食料庫  2エネルギー――国家存続の核心 3重要鉱物―温暖化と地政学の交差点 コラム① 恐竜と石炭と古生物と 第二章 知られざるハイテク先進国―AIから量子まで 1AI国家戦略 2量子を制する者が世界を制す 3最先端技術をビジネスへ コラム② シルク・ドゥ・ソレイユ 第三章 移民立国の理想と現実 1移民国家カナダの誕生と発展 2現在の移民制度の概要   3「過剰な移民」という世論をめぐって コラム③ 柔道とカナダ 第四章 地球温暖化対策への挑戦と苦悩 1トルドー政権の取り組み 2グリーン・エコノミー最前線 3地球温暖化対策をめぐる国内の難題 コラム④ ジョニ・ミッチェルの音楽的冒険と予言 第五章 ミドルパワー外交の地平 1カナダ外交を読み解く3つの視点 2南の巨象・アメリカ合衆国 3インド太平洋戦略 コラム⑤ メープル・シロップ 終章 日加関係の「新しい時代」へ
  • パリとセーヌ川 橋と水辺の物語
    4.0
    ブルゴーニュ地方の山中に源を発し、ル・アーヴル近くで英仏海峡に注ぐ。全長七七六キロに及ぶ堂々たる大河、セーヌ川。 パリ市の紋章には「たゆたえども沈まず」とあり、パリとこの川の浅からぬ縁を証言している。 昔日のガイドブック、文学作品などの歴史的証言の数々を繙いて、この都市の錯綜したイメージを読み解いてゆこう。 著者とともに、河岸を散策し、船に乗り、橋に佇めば、見知らぬパリの相貌に出会えるだろう。
  • 大学改革―自律するドイツ、つまずく日本
    4.0
    2004年の法人化により、日本の国立大学は自律と教育・研究の活性化を求められた。 だが、目標を達成したとは言いがたい。 原因は国からの交付金の先細りなのだろうか。 同様の改革を進めたドイツの国立大学は、厳しい予算下でも、複数校が競争しつつ世界大学ランキングの上位を占めている。 学長のリーダーシップなど、日本で礼賛されてきた英米モデルを見つめ直し、日独の明暗を分けた大学統治のあり方を比較検証する。 はじめに――なぜドイツと対比するのか 第1章 数字に踊らされる大学人 1 数値目標の広まり 2 ドイツの大学統制のゆるやかさ 3 数値指標は有効か 4 「メリハリ論」の特異さ 5 「外国」では大学予算が潤沢なのか? 第2章 古き良き「学者の共和国」から公的サービス機関へ 1 世界的潮流のなかの法人化 2 20世紀末における高等教育の課題 3 法人化はどこでつまずいたのか 4 経営管理の強化の必要性 第3章 「ゆるやかな目標管理」でうまくいくドイツ 1 ドイツの業績協定と日本の中期目標・中期計画 2 ゆるやかな目標管理 3 ドイツの大学における本部と学部の関係 4 自己規律が働くドイツの大学 第4章 多元的な評価軸の大学間競争を 1 大学コントロールの理論的整理 2 国際的に見た日本の大学コントロール 3 ユニバーサル段階の大学コントロール 4 日本の大学間競争の何が問題なのか 5 多元的な大学間競争 おわりに――大学・行政・社会の信頼関係に向けて
  • 女たちの平安後期―紫式部から源平までの200年
    4.0
    平安後期、天皇を超える絶対権力者として上皇が院政をしき、それを支える中級貴族や源氏・平家などの軍事貴族、乳母が権力を持つようになる。そのなかで巨大な権力を得た女院たちが登場、莫大な財産は源平合戦のきっかけを作り、武士の世へと移って行く。紫式部が『源氏物語』で予言し、中宮彰子が行き着いた女院権力とは? 「女人入眼の日本国(政治の決定権は女にある)」とまで言われた平安後期の実像がいま明かされる。 ■目次■ はじめに 平安時代後期二〇〇年の年表 序章 平安後期二〇〇年の女人たちとは   武人貴族と日本中を走り回る人々、そしてその妻たち   乱立する権門――政治・権力の多チャンネル化、忖度とロビー外交の時代   「女人入眼の日本国」――平安後期を生きる女性権力者の新しい道   『百人一首』の女流歌人たちのスポンサーが女院たちだった   紫式部の描いた「女院」の予言――『源氏物語』のもう一つの〈サクセスストーリー〉 第一章 寛仁三年に起こった大事件――〈刀伊の入寇〉   刀伊の襲来   〈刀伊入寇〉と「暴れん坊」藤原隆家   〈刀伊の入寇〉についての太政官会議   刀伊の攻撃を防いだ者は   〈刀伊の入寇〉と『源氏物語』と現地の女性たち 第二章 彰子が宮廷のトップに立つまで   『源氏物語』のころの彰子   一条天皇亡き後の彰子   彰子、道長を任命する   望月の歌と三人の后   そして彰子がトップに立つ   上東門院をめぐるある事件    第三章 道長の孫、禎子内親王が摂関政治を終わらせた   三条天皇皇女、禎子内親王   姉たちとの格差   道長の野望と新たな計画   禎子内親王の結婚と摂関家   藤原頼通とその妻、隆姫女王の動向――具平親王の子供たち   藤原嫄子、入内する   具平親王家を継いだ人   禎子内親王の自立と藤原能信   藤原頼通と斎王と伊勢神宮   斎王良子をいじめたのは誰だ   我慢する禎子の切り札とは   禎子、勝利の時    第四章 貴族と武者と女房と――〈斎王密通事件〉と武士   斎王を襲った武者   平致光と平致頼   九州の海の武者と平致光   武人貴族が社会のスキマを埋めていく   「朝家の守護」、源頼光と渡辺綱の関係   清原致信殺害事件とその立ち位置   歌人としての武者と女房たち――相模の立ち位置   そして、斎王を襲った男ふたたび    第五章 躍動する『新猿楽記』の女たち   『新猿楽記』に見える芸人たち   「あるある下級貴族」の日常コント   どんどん個性的になる女性たち   たくましい女性たちが語るもの    第六章 院政期の中心には女院がいた   「行き当たりばったり」白河天皇と母と妃と皇子たち   未婚女院第一号、郁芳門院――白河天皇の暴走①   未婚の高位内親王――白河院の暴走②   閑院流の姫、待賢門院と白河院――白河院の暴走③   藤原親子と六条藤家――「天皇の乳母」の力①   藤原光子と「夜の関白」――「天皇の乳母」の力②   鳥羽院と「九尾の狐」にされた傍流藤原氏の美福門院   女院の熊野詣    第七章 源平の合戦前夜を仕切った女性たち   奥州合戦と安倍氏と藤原経清の妻   〈保元・平治の乱〉と女性たち   源義家から平忠盛へ   祇園女御という謎   平滋子と平時子――「平氏」から「平家」を生み出した女性たち   フィクサー藤原成親と女性たち    第八章 多様化する女院と皇后、そして斎王たち   女院が歴史に埋もれたのはなぜか   二条天皇と育ての親、美福門院   二代の后になった若き太皇太后多子   六条天皇准母藤原育子、外戚のいない天皇の母として   悲劇の女院、建礼門院徳子、そして斎宮・斎院をめぐる変化    第九章 究極のお嬢様――八条院暲子内親王と源平合戦   いきなり女院の八条院   八条院の財産と武力   八条院と源平合戦   女院と結びつく清和源氏   「女人入眼の日本国」の裏で   もう一度八条院に戻って見えてくること   八条院たちが残した華麗な文化   八条院領の終わり 第十章 それから――鎌倉時代以後の女性の力   『百人一首』の語る平安時代の折り返し点   消された定子皇后   女性は家長になれない時代   しかし女性家長はいた   それでも女院には力があった   斎宮は物語の中へ おわりに あとがき 主要参考文献 付録 歴史を描いた女たち(『栄花物語』一口紹介)
  • カラー版 日本画の歴史 現代篇 アヴァンギャルド、戦争画から21世紀の新潮流まで
    4.0
    昭和十年代、前衛美術集団の離合集散が続いた。だが、新しい絵画の胎動は戦時体制に飲み込まれ、富士山や軍人など国威昂揚を意図した絵画が制作されるようになる。戦後は国粋主義への批判から「日本画滅亡論」が唱えられ、新しい道の模索を余儀なくされた。本書は、前衛として戦前に注目された吉岡堅二らから、戦時中、そして復興に寄り添って人気を博した東山魁夷や平山郁夫の活躍、さらに、平成以降の新潮流までを描く。
  • カラー版 日本画の歴史 近代篇 狩野派の崩壊から院展・官展の隆盛まで
    4.0
    開国後、大和絵、狩野派、浮世絵など日本伝統の絵画は、西洋絵画と出遭い、「日本画」と称すようになった。フェノロサに評価された日本画は、岡倉天心、橋本雅邦らが新設の東京美術学校で確立。のちには日本美術院の横山大観や菱田春草らが技法を追究し進展させる。本書は、幕末の横浜浮世絵や南画から、国家主導で堂々たる作品が制作された明治期、そして、今村紫紅に代表されるのびやかな画風の大正期を描く。
  • アメリカ黒人の歴史 増補版 奴隷貿易からオバマ大統領、BLM運動まで
    4.0
    1巻1,078円 (税込)
    黒人たちはアメリカ社会の底辺にいるとされてきた。だが二〇世紀後半、徐々に社会的地位を高め、中産階級の仲間入りをする者も現れる。文化や芸能、スポーツなどの分野での活躍は目覚ましく、政財界に進出した例も少なくない。本書は、アメリカ独立以前から南北戦争、公民権運動を経て現代まで、差別に直面しながらも境遇改善の努力を積み重ねた彼らの歩みを辿る。二〇一〇年代に勃興したBLM運動を概観する新章を収録。
  • 独仏関係史 三度の戦争からEUの中核へ
    4.0
    ドイツとフランスは、19世紀から20世紀にかけての70年間に3度も戦争を繰り広げ、不信と憎悪を募らせた。しかし、その後の両国は徐々に和解への道を歩み始め、EUの基盤を築いていく。なぜ、協調は可能だったのか?本書は、ド・ゴール、アデナウアー、ミッテラン、コール、メルケル、マクロンなどの政治指導者の政策、民間外交の動きなどを一望。因縁深い両国の関係を通し、欧州の歴史をたどり、展望を示す。
  • 在野と独学の近代 ダーウィン、マルクスから南方熊楠、牧野富太郎まで
    4.0
    近代に入り、大学をはじめ研究機関が整備される中、在野で独学に打ちこむ道を歩んだひとびともいた――。本書は、柳田国男に「日本人の可能性の極限」と評された南方熊楠を軸に、ダーウィン、マルクスから福来友吉、牧野富太郎、三田村鳶魚ら、英日の独学者たちの姿を活写する。さらに郵便、辞書、雑誌、図書館といった「知」のインフラやシステムにも着目。彼らの営為と、変化する環境を通し、学問の意味や可能性を探る。
  • 明治の技術官僚 近代日本をつくった長州五傑
    4.0
    電子版は本文中の写真の一部をカラー写真に差し替えて掲載。 幕末、先進技術を習得すべくイギリスに留学した若き長州藩士たちがいた。伊藤博文、井上馨、山尾庸三、井上勝、遠藤謹助の五人である。 出発点を同じくしながら、やがて有力政治家となった伊藤・井上馨と、官僚人生を全うした他の三人。 その運命を分けたものは何だったのか。 高度な専門知識により工業・鉄道・造幣の分野で活躍した山尾・井上勝・遠藤の足跡を軸に、近代国家形成期に技術官僚が果たした役割を明らかにする。
  • 剣士 伊庭八郎の生涯
    4.0
    中公新書『ある幕臣の戊辰戦争』を改題し、電子書籍として配信するものです。 名門・伊庭道場の嫡男に生まれた八郎は、卓越した剣の腕を買われ、将軍家茂の親衛隊に加わる。だが戦乱は間近に迫っていた。 八郎は新設された遊撃隊に属し、鳥羽・伏見の戦いを皮切りに各地を転戦。東下する新政府軍を迎え撃った箱根の戦闘では左手首を失う不運に見舞われる。のち蝦夷地で旧幕府軍に合流し、死の間際まで抗戦を続けた。 天才剣士を戦いへ駆り立てた思いとは何だったのか。 二十六年の短くも鮮烈な生涯を描く。
  • 昭和歌謡史 古賀政男、東海林太郎から、美空ひばり、中森明菜まで
    4.0
    日本人の心を躍らせ、泣かせてきた昭和の歌謡曲。その礎は中山晋平、西條八十が築き、三大作曲家の古賀政男、古関裕而、服部良一によって確立する。時代は戦争、敗戦と復興、高度成長へと進み、視聴手段もレコード、ラジオからテレビへと変化する。本書は作詞家、作曲家、歌手らが残した膨大な史料を用いて実証的に考察。数々の名曲が生まれた背景とその特徴を炙り出す。人はなぜ昭和歌謡に魅了されるのか。
  • 消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで
    4.0
    SDGs、応援消費、カスハラなど、消費者にまつわる用語に注目が集まっている。背景にはどのような潮流があるのか。本書は、一九六〇年代の消費革命から、平成バブル、長期経済停滞、現在までを、消費者を通して読み解く。生産性向上運動、ダイエー・松下戦争、堤清二とセゾングループのビジョン、セブン‐イレブンの衝撃、お客様相談室の誕生などを論じ、日本経済の歩みとともに変貌してきた消費者の姿と社会を描き出す。
  • 吾妻鏡―鎌倉幕府「正史」の虚実
    4.0
    電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。 鎌倉幕府草創から中期までの事績を記した『吾妻鏡』。源頼朝挙兵に至る経緯、二代将軍頼家の暗愚、三代執権北条泰時の武勇と仁徳ほか、小説やドラマが描く挿話の多くはこの史料に基づく。幕府の公式記録とも言われるが、史実の錯誤や改変も少なくない。本書では平家追討、奥州合戦、実朝暗殺、承久の乱など主要な合戦や争乱の叙述を、近年の研究も踏まえて検証。「正史」に潜む虚構を洗い出し、隠された意図を明らかにする。
  • カラー版 ゴッホ〈自画像〉紀行
    4.0
    三七歳で自ら命を絶ったヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。彼の画家人生は、わずか一〇年あまりにすぎない。その短い歳月に、四〇点を超える自画像を遺した。なぜゴッホはこれほど多くの自画像を描き、そしてそこに何を見いだしたのか――。ゴッホ研究の第一人者が、その求道的な生涯とともに、自画像を一点ずつたどっていく。丹念な作品の読解によって浮かび上がる、新しいゴッホの世界。自画像全点カラー収録。
  • 元朝秘史―チンギス・カンの一級史料
    4.0
    電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。 蒼き狼と白き牝鹿の伝説に始まる『元朝秘史』。チンギス・カンの生涯と事績を中心に、はるかなる祖先の系譜から第二代君主オゴタイの治世までを綴った、モンゴル帝国研究に不可欠な文献である。史書ながら、異母弟殺し、妻ボルテの誘拐、後継の座をめぐる息子たちのいさかいなど、生々しいエピソードも少なくない。魅力に富む壮大な歴史絵巻を、現地での発掘調査に長年携わってきた考古学者が、新知見を踏まえて解説する。
  • 日本の財政―破綻回避への5つの提言
    4.0
    コロナ禍、ウクライナ危機を経てインフレ転換した世界経済。有事対応で財政出動を繰り返した日本は、債務残高対GDP比で先進国最悪である。デフレ下でこそ持ちこたえられた財政には新たな破綻シナリオもよぎる。日本の危機的状況を再確認するとともに、立て直しの方策として、税制と財政ルールの改革、成長戦略、セーフティネット構築、ワイズスペンディングなど5つを提言。未来につなぐ財政民主主義のあり方を問う。
  • オッペンハイマー 原爆の父はなぜ水爆開発に反対したか
    4.0
    第二次世界大戦中に原子爆弾を誕生させたオッペンハイマー。計画成功でヒーローとなったが、広島・長崎への原爆投下後、「科学者は罪を知った」とくり返し、「私の手は血で汚れている」と震えた。巨大なエネルギーを得た一方、人類を滅亡させうる最大級の矛盾に彼は直面したのである。後に核の国際管理を構想し水爆開発に反対した彼は、赤狩りの渦中で公職から追放される。「原爆の父」と呼ばれた天才物理学者の生涯を追う。
  • 忘れられた哲学者 土田杏村と文化への問い
    4.0
    西田幾多郎門下の哲学者、近代の可能性を追求した文明批評家、日本画家・土田麦僊の弟、自由大学運動の主導者……、土田杏村(一八九一~一九三四)。「文化とは何か」を問い、大正から昭和初期にかけて旺盛な著作活動を展開したにもかかわらず、戦後、人々の記憶から消えた。この〈忘れられた哲学者〉に光を当て、現象学と華厳思想に定位する「象徴主義」の哲学を読み解き、独自の「文化主義」の意義を問いなおす。
  • 軍神 近代日本が生んだ「英雄」たちの軌跡
    4.0
    かつて「軍神」と呼ばれる存在があった。彼らは軍国主義的思潮の権化として意図的に生み出されたわけではない。日露戦争における廣瀬武夫少佐の例をみればわかる通り、戦争によって強まった日本人の一体感の中から、期せずして生み出されたのである。だが、昭和に入ると、日本人が共感できる軍神像は変化し、それは特攻作戦を精神的に支えるものとなる。本書は、軍神を鏡として戦前の日本社会の意識を照射する試みである。
  • コラーゲンの話 健康と美をまもる高分子
    4.0
    電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。 細胞と細胞の橋渡しを担うコラーゲンは、骨格や筋肉をつくり、からだを支える重要なタンパク質である。また、皮膚の弾力を保つ働きは、健康と美を測る大きな指標ともなっている。コラーゲンはどのようにつくられ、どう働くのか?コラーゲン繊維の向きと並び方を明らかにした著者が、からだの仕組み、タンパク質の働きの視点からこれらの疑問に答える。さらに、合成高分子の機能、新しい皮膚移植法の提案など、新展開も紹介。
  • 現代日本の地政学 13のリスクと地経学の時代
    4.0
    国家の行動を地理環境と結びつけて考える「地政学」が復活している。米国主導の秩序と日米同盟に守られていた日本だが、中国の軍拡による脅威は深刻だ。さらに経済力で地政学的利益の実現を目指す中国の手法は「地経学」時代の到来を示す。北朝鮮の核やロシアの動向のほか、エネルギー、サイバー戦争、気候変動など地球規模のリスクの影響も大きい。トランプ米政権のもと、日本がとるべき戦略を俊英13人が描く。
  • 民主党政権 失敗の検証 日本政治は何を活かすか
    4.0
    二〇〇九年九月に国民の期待を集めて誕生した民主党政権は、一二年一二月の総選挙での惨敗により幕を閉じた。実現しなかったマニフェスト、政治主導の迷走、再建できなかった財政、米軍基地をめぐる混乱、中国との関係悪化、子ども手当の挫折、党内対立、参院選敗北――。多岐にわたる挑戦と挫折は、日本政治にどんな教訓を残したのか。ジャーナリスト・船橋洋一を中心としたシンクタンクによる、民主党政権論の決定版。
  • ナチ親衛隊(SS) 「政治的エリート」たちの歴史と犯罪
    4.0
    ヒトラーの護衛に過ぎなかった親衛隊は、ナチ政権発足後、党や全国の警察組織を掌握。強制収容所を創り敵対勢力を弾圧する。第2次世界大戦開始後は行動部隊、アウシュヴィッツなどの絶滅収容所を起動しユダヤ人の大量殺戮を主導、80万人の巨大な軍事組織・武装親衛隊も併せ持った。本書は、ヒトラーに最も忠実な「エリート」たちの選抜から、ホロコーストの実行、カルト的信仰、戦後の姿までその全貌を描く。解題・芝健介
  • 在日の耐えられない軽さ
    4.0
    父は一九二〇年代に来日した、日本語小説を書いた最初の朝鮮人で、のちに皇道思想家。戦後は心の病に冒され、六〇年にひとり帰国した――。父や母の歴史と子供たちの人生との間にはどのようにつながりがあるのか。本書は、ひとつの「在日」家族の誕生から終焉まで、そして、そのひとりひとりの生き方を、戦前から現在にいたる日本と韓国の関係と重ね合わせて描くことによって、新たな認識と洞察を読者にもたらす。
  • 物語 ストラスブールの歴史 国家の辺境、ヨーロッパの中核
    4.0
    世界遺産にも指定された旧市街をもつストラスブールは、ケルト人の集落に端を発し、ローマ→ゲルマーニア→フランク王国と西ヨーロッパの典型的な文明を経験した。その後、ドイツ、フランスによる争奪が繰り返されるなか、ルネサンス、市民革命、ナショナリズム、世界大戦など、ヨーロッパ史を象徴する出来事をすべて体現する。寛容と自由、排他主義と戦火――もっとも壮麗にヨーロッパ史を生きた都市の歴史を鮮やかに描く。
  • 在日米軍基地 米軍と国連軍、「2つの顔」の80年史
    4.0
    世界で最も多くの米兵が駐留し、米軍施設を抱える日本。米軍のみならず、終戦後一貫して外国軍の「国連軍」も駐留する。なぜ、いつから基地大国になったのか。米軍の裏の顔である国連軍とは。本書は日米の史料をふまえ、占領期から朝鮮戦争、安保改定、沖縄返還、冷戦後、現代の普天間移設問題まで、基地と日米関係の軌跡を追う。「日本は基地を提供し、米国は防衛する」という通説を覆し、特異な実態を解明。戦後史を描き直す。
  • 生き物の「居場所」はどう決まるか 攻める、逃げる、生き残るためのすごい知恵
    4.0
    世界は広いが、それぞれの生き物が生きることができるのは、ほんの小さな場所である。チーターは開けた草原にしか棲めないし、モンシロチョウはもっぱらキャベツ畑を飛んでいる。生き物の居場所は、なぜ決まっているのだろう。これまで餌や配偶者の存在などの理由が考えられてきたが、実は天敵がいないことが何よりも大事だ。様々な生き物を例に、生き残るための巧妙な知恵を紹介する。
  • 沖縄の殿様 最後の米沢藩主・上杉茂憲の県令奮闘記
    4.0
    謙信の流れをくみ、鷹山を中興の祖と仰ぐ名門、米沢藩上杉家。最後の藩主・茂憲は明治十四年、琉球処分から日が浅い沖縄に県令として赴く。本島をくまなく巡り、宮古・石垣両島まで及んだ視察で目撃したのは、困窮にあえぐ庶民の姿であった。再三の改革意見は政府から黙殺され、志半ばで解任される茂憲。だが、情熱を傾けた人材育成は後年になって実を結ぶ。今日もなお沖縄で敬愛される上杉茂憲の二年にわたる奮闘の記録。
  • 英語の発音と綴り なぜwalkがウォークで、workがワークなのか
    4.0
    なぜwarmがウォームで、wormがワームなのか。Tigersはタイガースなのか、タイガーズなのか。live↓livingのように、ingが付けば取ってしまうのに読みもしないeを語末に付けるのはなぜか。不思議だらけの英語の発音と綴りだが、仕組みを知れば規則性が見えてくる。本書では、母音と子音、開音節と閉音節、母音字の読み方、「マジックe」など、学校では習わない英語の発音と綴りの仕組みを基本から解説する。
  • イルカ 生態、六感、人との関わり
    4.0
    1巻1,045円 (税込)
    イルカとは、口のなかに歯が生えた鯨類で、体長が4~5メートル以下の種を指す俗称である。6500万年前、イルカの祖先は海に戻り、哺乳類のなかでも独特な進化の過程を歩んできた。本書は、生物としての変遷、生態、視覚、聴覚、コミュニケーション能力などを説明したうえで、太古から現在にいたる各地域での人との関係、人間にも匹敵すると言われる知的な能力に目を向ける。謎が多いイルカの全貌をわかりやすく明らかに。
  • アダムとイヴ 語り継がれる「中心の神話」
    4.0
    『旧約聖書』に登場する、最初の人間アダムとイヴ。二人の名前は「禁断の木の実」「楽園追放」などのキーワードとともに語られ、日本人にとっても馴染み深い。しかし彼らの物語から生まれた、文化、思想、文学・美術作品の多様さは、私たちの想像を遥かに超えるものがある。本書では、美術史的な解説・解釈にとどまらず、アダムとイヴが歴史上いかに語られ、いかに現代社会に影響を及ぼしてきたかを探っていく。
  • 天使とは何か キューピッド、キリスト、悪魔
    4.0
    エンジェルとキューピッドは何が違うのか。キリストがかつて天使とみなされていたのはなぜか。堕天使はいかにして悪魔となったか。「天使」と聞いて、イメージが浮かばない日本人はいないだろう。しかし、天使をめぐる数々の謎に直面したとき、私たちは想像以上に複雑な陰影を彼らがもっていることに気づくはずだ。天使とは一体、何者なのか――。キリスト教美術をゆたかに彩る彼らの物語を追いかけてみよう。
  • 物語 江南の歴史 もうひとつの中国史
    4.0
    「中国」は古来、大陸に君臨した北方「中原」と経済文化を担った南方「江南」が分立、対峙してきた。湿潤温暖な長江流域で稲作が広がり、楚・呉・越の争覇から、蜀の開発、六朝の繁華、唐・宋の発展、明の興亡、革命の有為転変へと、江南は多彩な中国史を形成する。北から蔑まれた辺境は、いかにして東ユーラシア全域に冠絶した経済文化圏を築いたのか。中国五千年の歴史を江南の視座から描きなおす。
  • ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父
    4.0
    トルコ建国の父、ムスタファ・ケマル(1881~1938)。オスマン帝国が西欧列強からの脅威にさらされるなか救国の英雄として活躍し、帝国崩壊後はトルコ共和国を建国し大統領に就任する。民族主義と世俗主義を掲げて新国家の建設を進めたケマルは、議会からアタテュルク(父なるトルコ人)という姓を与えられた。今なお国民から敬愛される彼の実像を、愛する家族や、戦いを共にした同志との人間模様を交えて活写する。
  • 町内会 日本人の自治感覚
    4.0
    昭和二十二年、訓令によって廃止された町内会は、三か月後にはその八割が復活した。アメリカが自国の自治の理念を日本に移植しようとした試みは成功したといえるのだろうか。内務省と占領軍民政局との間の交渉経過は、そのまま日米両国の社会構造と人間関係の規範の原理的差異を浮かび上がらせた。戦後史を通じて日陰の位置にあった日本伝来の隣保組織のなかに、借り物ではない自治の可能性を虚心に探り始めた犀利な日本社会論。
  • 自然を捉えなおす 競争とつながりの生態学
    4.0
    私たちの身の回りにある「自然」とはなんだろうか――。科学としての生物学・生態学=エコロジーの基本から説き起こし、適応と競争をキーワードに進化論とつながりのバランスを解説し、現代生態学の立場から自然を捉えなおす。コウノトリ野生復帰プロジェクトに取り組む著者が、生物多様性の保全、健全な生態系の維持という喫緊の課題を視野に入れつつ、エコロジカルな視点から自然と人間、地域のあるべき姿を提示する。
  • フランス文学講義 言葉とイメージをめぐる12章
    4.0
    近代小説は19世紀以来、「(かけがえのない)個人」に焦点を当てて発達してきた。物語の主人公が、神や王から、ありふれた個人に替わる時、イメージこそが物語の書き手と読み手をつなぐために必須のものとなったのだ。本書では、文学とイメージのかかわりを意識的に追求してきたフランス近代文学を素材に、私たちが物語を通して「見ている」ものは何か、そして書かれているものは何かを考えていく。
  • フランクフルト学派 ホルクハイマー、アドルノから21世紀の「批判理論」へ
    4.0
    ホルクハイマー、アドルノ、ベンヤミン、フロム、マルクーゼ……。一九二三年に設立された社会研究所に結集した一群の思想家たちを「フランクフルト学派」とよぶ。彼らは反ユダヤ主義と対決し、マルクスとフロイトの思想を統合して独自の「批判理論」を構築した。その始まりからナチ台頭後のアメリカ亡命期、戦後ドイツにおける活躍を描き、第二世代ハーバーマスによる新たな展開、さらに多様な思想像の未来まで展望する。
  • 隋―「流星王朝」の光芒
    4.0
    五八一年に誕生した隋王朝。五八九年には文帝楊堅が南朝の陳を滅ぼし、長き分裂の時代に終止符を打った。草原、華北、江南に君臨する帝国の誕生である。二代目の煬帝は大運河を築き親征を行い、帝国を拡大したが、高句麗遠征に失敗して動乱を招き、六一八年には唐に滅ぼされた。南朝、高句麗、突厥といったライバルが割拠したユーラシア大陸東部の変動を視野に、北方から興隆し、流星のように消えた軌跡を描く。
  • 飛鳥の木簡―古代史の新たな解明
    4.0
    かつて日本古代史は、『日本書紀』『古事記』や中国の史書に頼らざるを得なかった。だが一九九〇年代後半以降、三万点以上に及ぶ飛鳥時代の木簡の出土が相次ぎ、新たな解明が進み始める。本書は、大化改新、中国・朝鮮半島との関係、藤原京造営、そして律令制の成立時期など、日本最古の木簡から新たに浮かび上がった史実、「郡評論争」など文献史料をめぐる議論の決着など、木簡解読によって書き替えられた歴史を描く。第2回古代歴史文化賞大賞受賞作。
  • 〈鬼子〉たちの肖像 中国人が描いた日本人
    4.0
    古来、中国人は日本人をさまざまにイメージし、歴史書に記録し、絵画に描いてきた。そのなかには、荒唐無稽なものもあるが、驚くほど現実に近く詳細なものもある。本書では、かつて日本人が「倭」と呼ばれていた時代の歴史書や地理書から、明の時代に人々が使っていた日用の辞書、日清戦争前後に発行された絵入り新聞、現代の映画に至るまで、中国人による日本人=〈鬼子〉イメージの変遷をたどる。
  • 「利他」の生物学 適者生存を超える進化のドラマ
    4.0
    生物の進化のメカニズムは、自然淘汰のなかで自らが生き残り、子孫を残して遺伝子をつなぐという「利己的」な動機に基づいて説明されることが多い。だとすれば、多くの種で観察される「利他的」な行動は、どのように説明すればよいのだろうか? 本書は、植物学者と動物学者がタッグを組み、その謎の答えに迫る。カギとなるのは「共生」という戦略である。互いの強みを融合し、欠点を補い合いながら自然淘汰に打ち克った生物たちのドラマをお届けする。
  • 御成敗式目 鎌倉武士の法と生活
    4.0
    武士社会の先例や道理に基づくとされる御成敗式目。初の武家法はどのように生まれ、どう受容され、なぜ有名になったのか。
  • ブッシュマンとして生きる 原野で考えることばと身体
    4.0
    南アフリカのボツワナに暮らす狩猟採集民、セントラル・カラハリ・ブッシュマン。丹念な会話分析と出来事を根底から把握する身体配列を手がかりに、その独特なセンスを浮かびあがらせる。権力と強制と傲慢を徹底して嫌い、みずからの生きる世界と粘りづよく交渉を重ねる彼らの社会は、私たちにもう一つ別の生の形がありうることを示している。直接経験に根ざした「等身大の思想」の実践を呼びかける、フィールドワークの結晶。
  • カラー版 廃線紀行―もうひとつの鉄道旅
    4.0
    「絶景廃線」と呼びたくなる路線がある。瀬戸大橋の見える下津井電鉄、景勝地・耶馬渓の真ん中を走る大分交通耶馬渓線などだ。他方で、ありふれた景色の中を通っているが、歩いてみると何とも楽しい路線も少なくない。鉄道をこよなく愛する著者が五年をかけて全国の廃線跡を踏破。往時の威容に思いを馳せつつ、現在の姿を活写する。北は道東の国鉄根北線から南は鹿児島交通南薩線まで、精選五〇路線を紹介する廃線案内。
  • 中学英語「再」入門 日本語と比べて学ぶ14講
    4.0
    「習うより慣れろ!」中学時代、丸暗記でテストを切り抜けた人も多いでしょう。しかし、大人になった今だからこそ、中学英語を学び直すと、英語の理屈が筋道立って見えてきます。「日本語と違って同じ単語が動詞にも名詞にもなる」「副詞は動詞の前に置くか後ろに置くか」……文の構造、修飾語や受動態などの大事なポイントを、日本語と比較しながら、理想的な順番で解説していきます。今度こそ無理なくマスターしましょう!
  • 明治維新と幕臣 「ノンキャリア」の底力
    4.0
    明治維新は、西郷隆盛・大久保利通・木戸孝允ら薩長土肥の志士が中心となって成し遂げたというイメージが強い。進取の気風に富む西南雄藩が、旧態依然たる江戸幕府に取って代わったのは、歴史的必然だったとさえ捉えられている。だが本当に幕府は無為無策で、すぐれた人材を欠いていたのか。本書は、行政実務に精通し、政権交代後も継続登用された中・下級の旧幕臣たちに光を当てるものである。明治維新への新たな視座。
  • 古代マヤ文明 栄華と衰亡の3000年
    4.0
    かつて中米に栄えた古代マヤ。前一〇〇〇年頃に興り、一六世紀にスペインに征服された。密林に眠る大神殿、高度に発達した天文学や暦など、かつては神秘的なイメージが強かったが、最新の研究で「謎」の多くは明かされている。解読が進んだマヤ文字は王たちの事績を語り、出土した人骨は人びとの移動や食生活、戦争の実態まで浮き彫りにする。現地での調査に長年携わった著者が、新知見をもとに、その実像を描く。
  • 入門 人間の安全保障 増補版 恐怖と欠乏からの自由を求めて
    4.0
    一九九四年、国連開発計画によって「人間の安全保障」が提唱された。国家ではなく、一人ひとりの人間を対象とするこの概念は、頻発する紛争や暴力、世界を覆う貧困や飢餓からの自由を目指し、国際社会のキーワードとなった。本書では人道支援、地雷禁止条約策定交渉などの活動を続けてきた著者が、国際政治学の知見をふまえ、エッセンスを解説。増補版では新章を加え、全面的にデータを刷新した。SDGsなど最新動向にも対応。
  • 研究不正 科学者の捏造、改竄、盗用
    4.0
    科学のすぐれた成果を照らす光は、時として「研究不正」という暗い影を生み落とす。研究費ほしさに、名誉欲にとりつかれ、短期的な成果を求める社会の圧力に屈し……科学者たちが不正に手を染めた背景には、様々なドラマが隠されている。研究不正はなぜ起こり、彼らはいかなる結末を迎えたか。本書は欧米や日本、中韓などを揺るがした不正事例を豊富にとりあげながら、科学のあるべき未来を具体的に提言する。
  • 幕府海軍 ペリー来航から五稜郭まで
    4.0
    ペリー来航などの「西洋の衝撃」を受け、1855年に創設された幕府海軍。長崎海軍伝習、勝海舟らによる咸臨丸の太平洋横断航海、幕長戦争などを経て近代海軍として成長してゆく。鳥羽・伏見の戦いにより徳川政権は瓦解し、五稜郭で抵抗を続けた榎本武揚らも敗れて歴史的役割を終えるが、人材や構想などの遺産は明治海軍へと引き継がれた。歴史研究者・現役海上自衛官の二つの顔を持つ筆者が、歴史と軍事の両面から描く。
  • バレエの世界史 美を追求する舞踊の600年
    4.0
    バレエはルネサンス期イタリアで誕生し、今なお進化を続けるダンスの一種だ。当初、王侯貴族が自ら踊り楽しんだが、舞台芸術へと転換。観客も貴族からブルジョワジー、市民へと拡大する。十九世紀の西欧とロシアで成熟し、世界へ広がった。ダ・ヴィンチ制作の舞台装置、ルイ十四世が舞った「太陽」役、チャイコフスキーの三大バレエ、シャネルやピカソが参加したバレエ・リュス、そして日本へ――六百年の歴史を通観する。
  • 英語達人列伝II かくも気高き、日本人の英語
    4.0
    「英語は学習成功者に学ぶべし」。この鉄則は揺らぐことはない。紹介する嘉納治五郎、夏目漱石、南方熊楠、國弘正雄、山内久明ら8人の〈達人〉は、工夫と努力によって、日本に居ながらにして、英語力の基礎を築き上げた。彼らはまた日本文化への貢献でも傑出した存在である。本書は、〈達人〉たちの英語習得法を紹介するが、それは「英語使い」になる明らかな道筋だ。その過程は、英語受容をめぐる格闘の歴史でもある。
  • 天誅組の変 幕末志士の挙兵から生野の変まで
    4.0
    尊皇攘夷の大義を掲げ、幕府に立ち向かった志士たちの蜂起は、時勢を見誤った暴挙だったのか。明治維新前夜の短くも熱い戦いを描く。
  • ウイルスとは何か 生物か無生物か、進化から捉える本当の姿
    4.0
    「ウイルス」という言葉を知らない人はいないだろう。ただし、その定義は曖昧である。目に見えない極小の存在で、ほかの生物の細胞内でしか増殖できないために、通常は生命体とはみなされない。だが、独自のゲノムを有し、突然変異を繰り返す中で、より環境に適した複製子を生成するメカニズムは、生物の進化と瓜二つだ。恐ろしい病原体か、あらゆる生命の源か――。最先端の進化生物学の知見から、その正体に迫る。
  • 孫基禎―帝国日本の朝鮮人メダリスト
    4.0
    1巻880円 (税込)
    1936年のベルリン五輪マラソンで金メダルを獲得した孫基禎。日本は国威発揚に利用、朝鮮では民族の優秀性を示す英雄と扱い「日章旗抹消事件」が起きた。戦後韓国では陸連トップやソウル五輪開会式で聖火ランナーを務め、英雄視は続く。他方で、戦時中に学徒志願兵の募集など対日協力に従事した翳が近年明らかになってきた。本書は、スポーツ選手が国と民族を背負わされた20世紀、「英雄」とされた孫の生涯を描く。
  • 経済社会の学び方 健全な懐疑の目を養う
    4.0
    私たちが暮らす経済社会――経済的な関係が深く染みこんだ社会とどうつき合うべきか。その仕組みを知り、そこで起こる問題解決のために必要なこととは。データの重要性と限界、理論の功罪、因果推論の効果と弱点から、人間心理を扱う難しさ、歴史に学ぶ意義と注意点、政治との距離感まで、経済社会について学ぶためのヒントに満ちた一冊。溢れる情報に「健全な懐疑の目」で接し、社会を少しでも良くしたい全ての人々へ。
  • 平氏―公家の盛衰、武家の興亡
    4.0
    清盛ら平家一門が権力を握り、日本史の主役を務めたのはわずか十数年。だが平氏の存在感は大きい。「源平合戦」で功績を挙げて鎌倉幕府を支えた御家人(北条氏、梶原氏、三浦氏など)の多くは平氏出身とされ、後世の織田信長も平氏の末裔を称した。本書は、平朝臣の姓を賜った天皇の子孫たちに始まり、朝廷に対して反乱を起こした平将門、公卿・実務官人として京都で活躍した堂上平氏など、公家・武家にわたる平氏の全貌を描く。
  • カラー版 クモの世界―糸をあやつる8本脚の狩人
    4.0
    1巻1,100円 (税込)
    日本には1700種類のクモがいる。もともとは地中に生活していたが、網を張って待ち伏せするクモに進化し、さらにあちこち歩き回って獲物を捕らえるクモが生まれた。花の蜜を吸うクモ、投げ縄を放つクモ、花嫁をぐるぐる巻きに縛ったり催眠術をかけたりして交尾に及ぶクモ、我が子に自分の体を与えるクモなど、特徴ある生き方をするものも多い。その種類から生態、人との関わりまで全てを紹介。カラー写真370点収録。
  • 日本の国会議員 政治改革後の限界と可能性
    4.0
    国会議員への不信が高まっている。1990年代以降の一連の政治改革を経ても、議員の活動・役割は見えにくい。本書は、人材、選挙、政策形成、価値観、資金、国際比較など、あらゆる観点から国会議員の実態をデータに基づき描く。世襲や秘書出身者の増加、少数の女性議員、なお不透明な政治資金、憲法・安全保障と異なる社会経済政策を巡る対立軸の不在など、多くの問題と原因を指摘。日本政治に何が必要か改革の方向性を示す。
  • ミュージカルの歴史 なぜ突然歌いだすのか
    4.0
    物語、台詞、歌で構成される舞台、ミュージカル。ヨーロッパの歌劇と大衆的な娯楽ショーをルーツに、一九世紀アメリカで誕生した。本書はその本質を音楽に注目して探る。ティン・パン・アレーのブロードウェイへの音楽供給から、一九二〇年代のラジオの流行、統合ミュージカルの成立、六〇年代のロックの影響、八〇年代に隆盛するメガ・ミュージカル、そして2.5次元へ。歴史を辿りつつ「なぜ突然歌いだすのか」という最大の謎に迫る。
  • 肝臓のはなし 基礎知識から病への対処まで
    4.0
    現代の日本人は、四~五人に一人の割合で、肝機能に異常があるとされる。「沈黙の臓器」である肝臓の異変に気づかぬまま、慢性の病で死に至る場合も多い。本書では、健康診断以外で意識しづらい肝臓について、基礎知識をイチから解説。飲酒やダイエットとの関係、健診項目の見方、主な肝臓病と最新の治療などを、医学史の流れをふまえつつ紹介する。健康な毎日のために知っておきたい、人体最大の臓器をめぐる医学講義。
  • 戦国日本の軍事革命 鉄炮が一変させた戦場と統治
    4.0
    16世紀中頃、戦国日本に伝来した鉄炮。砲術師・鉄炮鍛冶・武器商人により国内に広まると、長槍や騎馬隊が主力だった戦場の光景を一変させた。さらに織田信長は検地によって巨大兵站システムを整え、鉄炮の大量保有を実現。鉄炮や大砲を活用する新たな戦術を野戦・攻城戦・海戦に導入し、天下統一へと邁進した。軍隊や統治のあり方をも変えたこの「革命」が豊臣秀吉、徳川家康と引き継がれ、近世を到来させるまでを描く。
  • 地球外生命 アストロバイオロジーで探る生命の起源と未来
    4.0
    生命はどう生まれたか。アミノ酸などが生成する過程と生物誕生の間に何があったか、いまだ明らかではない。しかし、現在その空白は、宇宙で作られた有機物が埋めるという見方が有力だ。宇宙が命のふるさとならば、地球外の惑星にも多数存在すると考えた方が自然だろう。本書は、進化のプロセスと、最新の惑星探査での知見をもとに、アストロバイオロジー(宇宙生物学)から、生命の起源と地球外生命に迫る。
  • 国造―大和政権と地方豪族
    4.0
    古墳時代から飛鳥時代にかけて地方行政のトップにあったのが、有力豪族が任命された国造である。だが、その実態は謎も多い。本書は、稲荷山鉄剣銘に刻まれた「ヲワケ」の名や、筑紫の磐井など国造と関連する豪族、記紀の記述を紹介しながら、国造制とは、いつ施行されたどのような制度で、誰が任命され、いつ廃止されたのかまでを描き出す。さらに奈良時代以降に残った国造がどのような存在であったのかなどを解説する。
  • 江戸―平安時代から家康の建設へ
    4.0
    徳川家康が入城し、将軍の本拠地として大都市へ変貌した江戸。その始まりは平安時代末、秩父平氏一族の江戸氏が拠点を置く低湿地だった。太田道灌の江戸城築城、戦国大名北条氏の支配を経て、入府した家康の大工事によって、城と町は発展を遂げる。江戸の繁栄はいかにして築かれたのか。本書では新知見をふまえ、中世から近世への変遷過程を解明。平安時代の寒村から、豪華絢爛な都市が成立するまでの500年を描き出す。
  • 韓国愛憎 激変する隣国と私の30年
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    ここ30年間で韓国は大きく変わった。独裁から民主国家へ、発展途上国から先進国へと。20世紀に日本が「弟」と蔑んだ韓国は過去のものだ。他方、元慰安婦を始め歴史認識問題が顕在化、日韓の対立は熾烈さを増す。21世紀に入り、政治、経済から韓流、嫌韓まで常に意識する存在だ。本書は、1980年代末、途上国だった隣国に関心を抱き、韓国研究の第一人者となった著者が自らの体験から描く、日韓関係の変貌と軋轢の30年史である。
  • サウジアラビア―「イスラーム世界の盟主」の正体
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    1744年にアラビア半島に誕生したサウジアラビア。王政国家、宗教権威国、産油国の貌を持つキメラのような存在だ。王室内の権力闘争や過激主義勢力との抗争、石油マネーをめぐる利権により、内実はヴェールに包まれている。中東の新興国はいかにして「イスラーム世界の盟主」に上りつめたのか。宗教・経済・女性問題は克服できるか。イスラームの国家観と西洋近代の価値観の狭間で変革に向かう、大国の実像を描き出す。
  • 北条義時 鎌倉殿を補佐した二代目執権
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    北条義時は十八歳で突如、歴史の表舞台に立たされる。義兄の源頼朝が平家追討の兵を挙げたのだ。義時は頼朝の側近として鎌倉幕府の樹立に貢献。頼朝没後、父時政に従い比企氏ほか有力御家人を排斥する。さらには父を追放して将軍補佐の執権職を継ぎ、甥の将軍実朝と姉政子を支えて幕政を主導。後鳥羽上皇と対決した承久の乱で鎌倉勢に勝利をもたらした。公武関係の変遷を辿り、武家優位の確立を成し遂げた義時の生涯を描く。
  • ドイツ・ナショナリズム 「普遍」対「固有」の二千年史
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    1巻1,056円 (税込)
    アメリカの世界覇権が翳りを見せるなか、欧州で主導権を握り、存在感を増すドイツ。だが英仏など周辺国からの反撥は根強い。そこには歴史的経緯や、経済をはじめとする国力の強大化への警戒感だけでなく、放漫財政を指弾し、難民引き受けや環境保護を迫るなど、西欧的=「普遍」的価値観に照らした「正しさ」を他国にも求める姿勢がある。二千年にわたる歴史を繙き、ドイツはいかにして「ドイツ」となったのかをさぐる。
  • 中先代の乱 北条時行、鎌倉幕府再興の夢
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    鎌倉幕府滅亡から二年後の一三三五年、北条高時の遺児時行が信濃で挙兵。動揺する後醍醐天皇ら建武政権を尻目に進撃を続け、鎌倉を陥落させた。二十日ほど後、足利尊氏によって鎮圧されるも、この中先代の乱を契機に歴史は南北朝時代へと動き出す――。本書は、同時代に起きた各地の北条氏残党による蜂起や陰謀も踏まえ、乱の内実を読み解く。また、その後の時行たちの動向も追い、時流に抗い続けた人々の軌跡を描く。
  • 政界再編 離合集散の30年から何を学ぶか
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    1993年に細川政権が発足し、日本政治は政界再編の時代に突入した。非自民勢力の結集は新進党で一度挫折するが、二度の合流で伸長した民主党は2009年に政権交代を果たす。しかし政権崩壊後、民主党は四分五裂し、「第三極」も低迷。自公政権のもと「一強多弱」に陥った。大同団結しなければ選挙に勝てず、政党が拡大すれば路線対立が激化する――。ジレンマを乗り越え、「政権交代可能な日本政治」実現の道を示す。
  • 戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで
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    第二次世界大戦の悲劇を繰り返さない――戦争の抑止を追求してきた戦後日本。しかし先の戦争での日本の過ちは、終戦交渉をめぐる失敗にもあった。戦争はいかに収拾すべきなのか。二度の世界大戦から朝鮮戦争とベトナム戦争、さらに湾岸戦争やイラク戦争まで、二〇世紀以降の主要な戦争の終結過程を精緻に分析。「根本的解決と妥協的和平のジレンマ」を切り口に、真に平和を回復するための「出口戦略」を考える。
  • 文部科学省 揺らぐ日本の教育と学術
    4.0
    文部科学省は2001年に文部省と科学技術庁が統合し、発足した。教育、学術、科学技術を中心に幅広い分野を担当する一方で「三流官庁」とも揶揄される。実態はどのようなものか。霞が関最小の人員、キャリア官僚の昇進ルート、減り続ける予算など実状を解説。さらに、ゆとり教育の断念、働きすぎの教員たち、大学入試改革の頓挫、学術研究の弱体化など続出する問題に迫る。官邸や経産省に振り回される現状は変えられるか。
  • 院政 増補版 もうひとつの天皇制
    4.0
    院政とはすでに譲位した上皇(院)による執政をいう。平安後期に白河・鳥羽・後白河の三上皇が百年余りにわたって専権を振るい、鎌倉初期には後鳥羽上皇が幕府と対峙した。承久の乱で敗れて朝廷の地位は低下したが、院政自体は変質しながらも江戸末期まで存続する。上皇が権力を行使できたのはなぜか。その権力構造はいかなるものだったか。ロングセラーに終章「院政とは何だったのか」を収録し、人名索引を付した決定版。
  • もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年
    4.0
    モノノケは、古代・中世では、正体不明の死霊を指した。病気や死をもたらす恐ろしい存在で、貴族らは退治や供養に苦心した。近世になると幽霊や妖怪と同一視され、怪談や図案入りの玩具を通して庶民に親しまれる。明治以降、知識人のみならず政府もその存在を否定するが、新聞に掲載される怪異や文芸作品で語られる化物たちの人気は根強かった。本書は、豊富な史料からモノノケの系譜を辿り、日本人の死生観、霊魂観に迫る。
  • ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相
    4.0
    ロヒンギャは、ミャンマー西部に住むイスラーム系民族のひとつだ。軍事政権下、国籍が与えられないなど長く差別されてきた。2017年の国軍による掃討作戦以降、大量の難民が発生し、現在100万人が隣国のキャンプで暮らす。民主化運動の指導者アウンサンスーチーはなぜ「虐殺」を否定するのか。本書は、複雑な歴史的背景やミャンマーをめぐる国内・国際政治を通し、アジア最大の人道・人権問題の全貌を示す。
  • カラー版 ラファエロ―ルネサンスの天才芸術家
    4.0
    ラファエロ(1483~1520)は、イタリア・ルネサンスの巨人である。37年の短い生涯にもかかわらず、聖母子画やローマ教皇らを描いた肖像画などの傑作を残した。本書は、その歩みと作品をたどって、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロら芸術家たちとの交流や、古代ローマへ向けた関心などを読み解く。そして、後世に巨大な影響をもたらした彼の知られざる多面的な実像を明らかにする。
  • 新型コロナの科学 パンデミック、そして共生の未来へ
    4.0
    未曾有のパンデミックはなぜ起きたか――。世界を一変させた新型コロナウイルス。本書は、治療薬やワクチン開発を含む研究の最前線を紹介。膨大な資料からその正体を探る。ロックダウン前夜のベネチア、雲南省の洞窟、武漢ウイルス研究所、ダイヤモンド・プリンセス号と舞台を移してウイルスの変遷を辿り、見えない敵に立ち向かう人々のドラマを生き生きと描く。日本政府の対応にも鋭く迫り、今後の課題を浮き彫りにする。
  • 現代日本を読む―ノンフィクションの名作・問題作
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    「非」フィクションとして出発した一方、ニュースのように事実を伝えるだけでもないノンフィクション。本書では、水俣病を世に知らしめた『苦海浄土』、ベストセラー『日本人とユダヤ人』に始まり、『テロルの決算』や『捏造の科学者』、大震災や核密約を扱った作品など、一九七〇年代から現在に至る名作・問題作を精選。小説とも報道とも異なる視点から同時代を活写した作品群を通して現代日本の姿を浮き彫りにする。
  • コロナ危機の政治 安倍政権vs.知事
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    二〇二〇年一月十五日に日本で最初の罹患者が確認された新型コロナウイルス感染症。中国・武漢での発生から日本への到来、一斉休校、緊急事態宣言とその解除、そして安倍政権の退陣まで。この九か月に及ぶ経緯から見えてきたのは、強大な権力を手に入れて「一強」とまで言われた「首相支配」への制約だった。安倍政権と知事らの対応のプロセスを丹念にたどり、危機が明らかにした日本の政治体制とその問題点を描く。
  • 米の日本史 稲作伝来、軍事物資から和食文化まで
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    日本人にとって特別な食・コメ。稲はどこから日本列島にきたのか、最初の水田を作ったのは誰か、なぜ東北地方で栽培が遅れたのかなど、稲作の起源を解説。インディカ米が盛んに作られていた中世、地下水路を建設するほど水利に力を入れ、和菓子や酒づくりなど米食文化が花開いた近世の実態を紹介。さらに富国強兵を支えた近代を経て現代まで、農学や文化の視点を交えながら「米食悲願民族」の歴史を解き明かす。
  • 音楽の危機 《第九》が歌えなくなった日
    4.0
    二〇二〇年、世界的なコロナ禍でライブやコンサートが次々と中止になり、「音楽が消える」事態に陥った。集うことすらできない――。交響曲からオペラ、ジャズ、ロックに至るまで、近代市民社会と共に発展してきた文化がかつてない窮地を迎えている。一方で、利便性を極めたストリーミングや録音メディアが「音楽の不在」を覆い隠し、私たちの危機感は麻痺している。文化の終焉か、それとも変化の契機か。音楽のゆくえを探る。
  • デジタル化する新興国 先進国を超えるか、監視社会の到来か
    4.0
    デジタル技術の進化は、新興国・途上国の姿を劇的に変えつつある。中国、インド、東南アジアやアフリカ諸国は、今や最先端技術の「実験場」と化し、決済サービスやWeChatなどのスーパーアプリでは先進国を凌駕する。一方、雇用の悪化や、中国が輸出する監視システムによる国家の取り締まり強化など、負の側面も懸念される。技術が増幅する新興国の「可能性とリスク」は世界に何をもたらすか。日本がとるべき戦略とは。
  • 数学する精神 増補版 正しさの創造、美しさの発見
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 数学における「正しさ」とは何だろうか。公式や証明は絶対的に正しいもので、揺るぎない「神の知」だと思っている人も少なくないだろう。しかし数学を創ったのが人間である以上、究極的には仮説的で暫定的であることを免れない。ならば「正しさ」「美しさ」は、数学という営みにおいてどんな意味を持つのか。数学の「真の正しさ」「美しさ」に正面から対峙した稀有の書に、「数学とは何なのか」を論じる「後奏曲」を加筆した増補決定版!
  • 新種の発見 見つけ、名づけ、系統づける動物分類学
    4.0
    現在、地球上で名前が付けられている生物は約一八〇万種。だが、まだ数百万から数千万以上もの未知種がいると言われていて、誰でも新種に出会う可能性がある。採集の楽しみから、新種を新種と見抜く方法、動物分類・命名の基本、新種として公式に認められるための論文発表の苦労まで。「珍しい生物」好きが高じて深海生物テヅルモヅルの研究者となり、実際に新種を発見してきた著者が綴る、動物分類学への招待。
  • マックス・ウェーバー 近代と格闘した思想家
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    『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』『仕事としての政治』などで知られるマックス・ウェーバー(一八六四〜一九二〇)。合理性や官僚制というキーワードを元に、資本主義の発展や近代社会の特質を明らかにした。彼は政治学、経済学、社会学にとどまらず活躍し、幅広い学問分野に多大な影響を及ぼした。本書は、56年の生涯を辿りつつ、その思想を解説する。日本の知識人に与えたインパクトについても論じた入門書。
  • 現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル
    4.0
    20世紀以降、芸術概念は溶解し、定義や可能性を拡張した新しい潮流が続々と生まれている。アーティストは、差別や貧困のような現実、震災などの破局的出来事とどう格闘しているのか。美術は現代をいかに映し、何を投げかけたか。本書は難解と思われがちな現代美術を、特に第二次世界大戦後の社会との関わりから解説、意義づける。世界中の多くの作家による立体、映像、パフォーマンスなど様々な作品で紡ぐ、現代アート入門。
  • 徒然草 無常観を超えた魅力
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    鎌倉時代末期、兼好法師が著した日本文学屈指の古典『徒然草』。自然の移ろいに美を見いだし、死や老いが主題の随想を含むため「無常観の文学」という理解が主流だ。しかし、ベストセラーだった江戸時代には多様な読み方がなされた。江戸幕府に仕えた儒者の林羅山は儒教に基づく注釈書を作り、近松門左衛門は浄瑠璃で兼好を色男として描いた。本書は『徒然草』の知られざる章段や先達の読みを通して奥深さと魅力に迫る。
  • 鉄道のドイツ史 帝国の形成からナチス時代、そして東西統一へ
    4.0
    1815年、大小さまざまな主権国家の集合体・ドイツ連邦が誕生。以降、ドイツは帝国、共和国、ナチス、東西分裂、そして統一へと、複雑な軌道を疾走した。本書は、同時代に誕生した鉄道という近代技術を担った人びとと、その組織からドイツを論じる。統一国家の形成や二度の世界大戦などの激動に、鉄路はいかなる役割を果たしたのか。「富と速度」(ゲーテ)の国民経済を模索した苦闘とともに、「欧州の盟主」の実像を描き出す。

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