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二〇二〇年、世界的なコロナ禍でライブやコンサートが次々と中止になり、「音楽が消える」事態に陥った。集うことすらできない――。交響曲からオペラ、ジャズ、ロックに至るまで、近代市民社会と共に発展してきた文化がかつてない窮地を迎えている。一方で、利便性を極めたストリーミングや録音メディアが「音楽の不在」を覆い隠し、私たちの危機感は麻痺している。文化の終焉か、それとも変化の契機か。音楽のゆくえを探る。
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Posted by ブクログ
コロナ禍の最中における、またコロナ禍の終息後におけるクラシック音楽のあり方について、今までのクラシック音楽の歴史を踏まえつつ、今後の展望が語られている。それは、ある意味でひどく勇気のあることであると言えよう。後出しジャンケンでは何とでも言えるからだ。その点だけを取ってみても、この小冊が持つ意味はたい...続きを読むへんに大きい。
緊急事態宣言下の2020年4~5月という極めて短期間に執筆された新書。コロナ禍での音楽というテーマを通じて、現代文化自体の問い直しが試みられている。コロナ禍での思想を後世に伝えるドキュメントとしても、貴重な作品になるだろう。
コロナ禍の今コンサート活動はもとより、そも人が集って何かを為すことが憚られる。何とも音楽にとって不幸な状況を通して、社会にとって音楽とは何かを考察する。 音楽だけでなく美術や演劇も「閉じた空間で見知らぬ人と肩を寄せ合う営み」で、まさに三密そのもの。衛生観念の前には屈服するしかない。そんな中でもネット...続きを読むの力を利用して、新しい音楽の演奏スタイルや、配信といった発表の場が講じられている。けどこれによって、音楽自体も変わっていくのかもしれない(変わって欲しくないけど)。
コロナ渦中にあって三密の音楽活動はライブが不可能になった。音楽はネット配信で大丈夫という声の中、そもそもの音楽の存在理由や成り立ちから空気の共有の必要性を説く。必要な三密をどのように解消するか課題である。
コロナ禍を音楽の歴史を踏まえて眺める、新たな観点を得られる本。ベートーヴェンの第九を主題に持ってきているのも新鮮だった。
読書会課題本。「今はコロナだからしょうがない」との名目で活動の機会を完全に奪われてしまった音楽家たち。「今はコロナだから」と、仕事と収入を絶たれ、出口の見えない状況の中、精神を病んで自らの命を絶ってしまった俳優や音楽家たち。そもそも劇場やコンサートホールとはどういう場所だったのか?芸能活動の歴史はど...続きを読むういうモノだったか?感染対策をうるさく言われる昨今、音楽活動はどうあるべきか?を論じた本。共感するところ反発を覚えるところが半々という感じだった。
社会・経済・哲学・歴史と音楽を結びつける論考はなかなか興味深い。同時に、いくらなんでもこじつけが過ぎる部分も多い。
現在のコロナ渦にあって、3密のより被っているクラシック音楽のダメージを分籍すると共に、3密を逆手に利用して新たな音楽ないしは芸術を創造できない物かという提案が書かれている。提案にはなかなか興味深い点はあるのだが、現代音楽の紹介的な側面も持っていることは否定できない。 我々は、今まで聴いてきた音楽では...続きを読む無く、新たな音楽を望むばかりではない。これからも、ベートーヴェンやバッハやシューベルトやワーグナーが聴きたいのだ。そのための3密防止下での演奏可能・鑑賞可能な方法論の提案を本書に期待していたのだが、どうも演奏空間の問題として論じられていて現実性に乏しい感があったことは否定できない、ちょっと残念な一冊であった。
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