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コロナ禍、ウクライナ危機を経てインフレ転換した世界経済。有事対応で財政出動を繰り返した日本は、債務残高対GDP比で先進国最悪である。デフレ下でこそ持ちこたえられた財政には新たな破綻シナリオもよぎる。日本の危機的状況を再確認するとともに、立て直しの方策として、税制と財政ルールの改革、成長戦略、セーフティネット構築、ワイズスペンディングなど5つを提言。未来につなぐ財政民主主義のあり方を問う。
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Posted by ブクログ
目新しいことは書いていないが、なぜ何人もの人が何度も言っているのにこんなに簡単で明らかなことが世論に伝わらないのか不思議だ。 国民は自分たちが受けている公共サービスと負担を結びつけていないと指摘しているが、たしかにそうだと思う。 そもそも政府が信頼されていないのが根本的な問題だが、自分の利益になる政...続きを読む治家を選ぶ国民の責任でもある。(財務省への不審感を国民に植え付けた政治家の罪は重いが) 日本人は、いつか財政破綻した時に、戦後と同じように被害者顔をするのだろう。
20240727-0815 日本の財政が危機的状況であることは、バブル崩壊以後の積極的な財政政策の結果であり、もうここ30年近く警鐘は鳴らされてきた。国・地方を合わせた政府の債務残高は対GDP比で260%に達するという。巨額な財政支出は経済対策だけでなく増え続ける社会保障費・地方財政への補填、近年で...続きを読むはコロナ禍への対策・エネルギー価格の高騰や直近では安全保障費への支出などによるものである。これまでは超低金利とそれに伴う円安が、財政負担を支えてきた。だが、2024年に入り植田日銀総裁のもとでゼロ金利政策は解除され、日銀による国債買い入れも減額されていくだろう。そうなったとき、日本の財政は持ちこたえられるのか、このままでは大いに疑問がある、というのが筆者の主張である。私も概ね賛成である。 ではどうしたらよいか?筆者は①規模ありきの財政支出から、賢く効果的な財政支出「ワイズ・ペインディング」②企業・産業の新陳代謝の促進(ゾンビ企業の退出)、雇用の流動化③抜本的な税制改革(消費税の増税はいずれ避けられぬだろう)④セーフティ・ネットの構築(筆者は「負の所得税≒給付付き税額控除」、ベーシックインカムを挙げている。このためには正確な所得情報が必要であり、マイナンバーをもっと活用すべき、ということか)⑤財政規律を安定させる「ペイ・アズ・ユーゴー」など新たな財政ルールが必要(独立した財政検証機関=歳入庁や英国のOBR、米の議会予算局(CBO)のような機関の設立)、等を提唱している。 これらの提唱は以前から論じられているし、国会でも論じられている。筆者は「日本人はどうも奇策を好むところがある」と、本書の中で述べている。いささかの皮肉が聞いているなと思う。財政再建は、MMTやヘリコプター・マネーのような奇策ではなく、やはり真っ当に愚直に進めていくしかないと思う。そのためには、例えば消費税のデメリットばかりを強調するのではなく、景気に中立的な税制であることや、企業の生産効率性を損なわない、国民全体に広く薄く税負担を求める税制であること等を広めるべきである。
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日本の財政―破綻回避への5つの提言
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佐藤主光
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