作品一覧

  • 女たちの平安後期―紫式部から源平までの200年
    4.0
    1巻1,144円 (税込)
    平安後期、天皇を超える絶対権力者として上皇が院政をしき、それを支える中級貴族や源氏・平家などの軍事貴族、乳母が権力を持つようになる。そのなかで巨大な権力を得た女院たちが登場、莫大な財産は源平合戦のきっかけを作り、武士の世へと移って行く。紫式部が『源氏物語』で予言し、中宮彰子が行き着いた女院権力とは? 「女人入眼の日本国(政治の決定権は女にある)」とまで言われた平安後期の実像がいま明かされる。 ■目次■ はじめに 平安時代後期二〇〇年の年表 序章 平安後期二〇〇年の女人たちとは   武人貴族と日本中を走り回る人々、そしてその妻たち   乱立する権門――政治・権力の多チャンネル化、忖度とロビー外交の時代   「女人入眼の日本国」――平安後期を生きる女性権力者の新しい道   『百人一首』の女流歌人たちのスポンサーが女院たちだった   紫式部の描いた「女院」の予言――『源氏物語』のもう一つの〈サクセスストーリー〉 第一章 寛仁三年に起こった大事件――〈刀伊の入寇〉   刀伊の襲来   〈刀伊入寇〉と「暴れん坊」藤原隆家   〈刀伊の入寇〉についての太政官会議   刀伊の攻撃を防いだ者は   〈刀伊の入寇〉と『源氏物語』と現地の女性たち 第二章 彰子が宮廷のトップに立つまで   『源氏物語』のころの彰子   一条天皇亡き後の彰子   彰子、道長を任命する   望月の歌と三人の后   そして彰子がトップに立つ   上東門院をめぐるある事件    第三章 道長の孫、禎子内親王が摂関政治を終わらせた   三条天皇皇女、禎子内親王   姉たちとの格差   道長の野望と新たな計画   禎子内親王の結婚と摂関家   藤原頼通とその妻、隆姫女王の動向――具平親王の子供たち   藤原嫄子、入内する   具平親王家を継いだ人   禎子内親王の自立と藤原能信   藤原頼通と斎王と伊勢神宮   斎王良子をいじめたのは誰だ   我慢する禎子の切り札とは   禎子、勝利の時    第四章 貴族と武者と女房と――〈斎王密通事件〉と武士   斎王を襲った武者   平致光と平致頼   九州の海の武者と平致光   武人貴族が社会のスキマを埋めていく   「朝家の守護」、源頼光と渡辺綱の関係   清原致信殺害事件とその立ち位置   歌人としての武者と女房たち――相模の立ち位置   そして、斎王を襲った男ふたたび    第五章 躍動する『新猿楽記』の女たち   『新猿楽記』に見える芸人たち   「あるある下級貴族」の日常コント   どんどん個性的になる女性たち   たくましい女性たちが語るもの    第六章 院政期の中心には女院がいた   「行き当たりばったり」白河天皇と母と妃と皇子たち   未婚女院第一号、郁芳門院――白河天皇の暴走①   未婚の高位内親王――白河院の暴走②   閑院流の姫、待賢門院と白河院――白河院の暴走③   藤原親子と六条藤家――「天皇の乳母」の力①   藤原光子と「夜の関白」――「天皇の乳母」の力②   鳥羽院と「九尾の狐」にされた傍流藤原氏の美福門院   女院の熊野詣    第七章 源平の合戦前夜を仕切った女性たち   奥州合戦と安倍氏と藤原経清の妻   〈保元・平治の乱〉と女性たち   源義家から平忠盛へ   祇園女御という謎   平滋子と平時子――「平氏」から「平家」を生み出した女性たち   フィクサー藤原成親と女性たち    第八章 多様化する女院と皇后、そして斎王たち   女院が歴史に埋もれたのはなぜか   二条天皇と育ての親、美福門院   二代の后になった若き太皇太后多子   六条天皇准母藤原育子、外戚のいない天皇の母として   悲劇の女院、建礼門院徳子、そして斎宮・斎院をめぐる変化    第九章 究極のお嬢様――八条院暲子内親王と源平合戦   いきなり女院の八条院   八条院の財産と武力   八条院と源平合戦   女院と結びつく清和源氏   「女人入眼の日本国」の裏で   もう一度八条院に戻って見えてくること   八条院たちが残した華麗な文化   八条院領の終わり 第十章 それから――鎌倉時代以後の女性の力   『百人一首』の語る平安時代の折り返し点   消された定子皇后   女性は家長になれない時代   しかし女性家長はいた   それでも女院には力があった   斎宮は物語の中へ おわりに あとがき 主要参考文献 付録 歴史を描いた女たち(『栄花物語』一口紹介)
  • 謎の平安前期―桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年
    3.7
    1巻1,100円 (税込)
    電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。 平安遷都(794年)に始まる200年は激変の時代だった。律令国家は大きな政府から小さな政府へと変わり、豊かになった。その富はどこへ行ったのか? 奈良時代宮廷を支えた女官たちはどこへ行ったのか? 新しく生まれた摂関家とはなにか? 桓武天皇・在原業平・菅原道真・藤原基経らの超個性的メンバー、斎宮女御・中宮定子・紫式部ら綺羅星の女性たちが織り成すドラマとは? 「この国のかたち」を決めた平安前期のすべてが明かされる。
  • 斎宮―伊勢斎王たちの生きた古代史
    3.5
    1巻1,012円 (税込)
    天皇の代替わりごとに占いで選ばれ、伊勢神宮に仕える未婚の皇女――それが斎王であり、その住まいが斎宮である。飛鳥時代から鎌倉時代まで六六〇年にわたって続いた斎宮を、あらゆる角度から紹介し、斎王一人一人の素顔に迫る。『伊勢物語』のモデルとなった斎王、皇后となり怨霊となった斎王、悲恋に泣いた斎王……彼女たちは都を離れた伊勢で何を祈り、何を思って人生を送ったのか。古代史の新たな姿が浮かびあがる。

ユーザーレビュー

  • 謎の平安前期―桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年

    Posted by ブクログ

    中央新書の細かすぎる歴史シリーズは良書が多いとの噂。
    一つ前の大河で紫式部やってたと思うけど、本書は平安時代の紫式部前を徹底的に考察する。

    桓武天皇の策略やら文官の出世街道、女官の活躍からの衰退といったテーマで、よく知らん話題なのに引き込まれる。大枠としては、天皇系譜との親族になることでいかに政治の中枢に入り込むかを謀るドロドロとしたドラマが垣間見れた。

    どのような血筋で氏はどこでとか、でてくる登場人物多すぎて名前はほぼ覚えられない。でも歴史学の最先端に触れることができたようで、良い読書でございました。

    0
    2025年04月27日
  • 謎の平安前期―桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    桓武から枕草子源氏物語まで200年あってその間の話があんまりないということ自体に気がついてなかった。それなりに政変があったりと化してるのだというのを初めて知ったくらい。女官が女房に、荘園が自立し、変化はそれなりにゆっくり進んでいたんだ。

    0
    2024年08月15日
  • 女たちの平安後期―紫式部から源平までの200年

    Posted by ブクログ

    日本史系の本を読んでいると、なんの前触れもなく突然「美福門院」だの「待賢門院」だのという言葉が出てきて、ため息をついた記憶が一度や二度ではない。
    本書は、その女院という存在について、形成される過程から丁寧に解説してくれた。
    そういう内容と知らずに読み始めたので存外の僥倖だった。

    0
    2025年08月13日
  • 女たちの平安後期―紫式部から源平までの200年

    Posted by ブクログ

    紫式部や清少納言の活躍した平安中期—よりも後。
    平安前期は、あまり資料もなく、よくわからないというイメージがある。
    一方、平安後期は、やたらに人がたくさんいて(裏を返せば「キャラ立ち」する人がいない)、入り組んでいて、とかく複雑、というイメージ。

    さて、私の典型的な平安イメージ=西暦1000年ごろを起点に、その後を描いているのが本書。
    西暦1000年ごろを境に、中世という歴史区分がはじまる。
    では、筆者は中世の専門家かというと、実は古代だというので、また驚いてしまうのだが、そこは斎院・斎宮を専門としている研究者であるとのことで、女院や内親王など、高貴な女性たちが「権門」となっていく状況を説明

    0
    2025年07月21日
  • 女たちの平安後期―紫式部から源平までの200年

    Posted by ブクログ

    平安後期、摂関政治から院政に移行していく時代に、女院に焦点を当て、読み解いている。

    日本の権力構造は、鎌倉幕府や室町幕府の細川京兆家のように、権力者の内側に権力を操る人物が出てくる入れ子形式になり勝ちである。天皇親政から天皇の外戚が権力を握る摂関政治へ。譲位した天皇が、上皇法皇となって権力を握る院政へと変わっていく時代に、その経済力を一手に集中させる機関として女院が機能していることがわかった。

    資料が少ない時代ながら、時には推測も交えながら、また筆者の思考が変遷していく様も書いてあり、面白く読んだ。

    0
    2025年05月15日

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