ちょうど百年前に退位・亡命したドイツ最後の皇帝の評伝。人生がとてもドラマチックで引き込まれる。
ビスマルクとともにドイツ統一を成し遂げた祖父のヴィルヘルム一世の後,父フリードリヒ三世の治世が僅か百日で終わって即位というのも劇的。
その皇帝個人を軸にして第二帝国の隆盛と落日を辿る。特に落日が詳しく,主
...続きを読む人公の晩年と併せて哀愁を誘う。
ロシア最後の皇帝ニコライ二世は義理の従弟で,ウィリー,ニッキーと呼び合う仲。その従弟はロシア革命で銃殺されてしまっているから,さすがの権威主義者も退位・亡命の道しかなかったのだろう。本書冒頭で紹介される,一次大戦開戦時の演説が彼の絶頂期だった。
「ホーエンツォラーン家」って表記には初めて接したけど,めちゃくちゃ良い本だった。
(「ホーエンツォレルン家」の方がなじみがある)