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1888年にドイツ皇帝として即位したヴィルヘルム2世(1859~1941)。統一の英雄「鉄血宰相」ビスマルクを罷免し、自ら国を率いた皇帝は、海軍力を増強し英仏露と対立、第一次世界大戦勃発の主要因をつくった。1918年、敗戦とともにドイツ革命が起きるとオランダへ亡命、その地で没する。統一国民国家の草創期、ふたつの世界大戦という激動の時代とともに歩んだ、最後のドイツ皇帝の実像。
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Posted by ブクログ
ドイツ帝国最後の皇帝、ヴィルヘルム2世の評伝。 帝国の隆盛と斜陽へと向かう様子とともに、当時の国際情勢などを交え、ヴィルヘルム2世の「カイゼル髭」と称されるような威厳のある皇帝の姿を描き出す。 ひとつの劇的な人生物語を読んだ気持ちだった。 生い立ちがどれくらい影響したかは、はっきりわからない。...続きを読む しかし、子どものころに受けたスパルタ教育や母との確執もあり、イギリスへの憎しみ・反発はあっただろう。そして、同時に、イギリスへの憧れ、愛着もあり、イギリス風の政治を取り入れようとした。 それが、晩年、イギリスを意識し過ぎて海軍増強に力を入れ過ぎた。結果、周辺諸国の均衡を崩し君主制の崩壊を早めてしまう皮肉。 高すぎる自己顕示欲、高慢、多すぎる(そして、深刻な)失言の数々。 筆者は”生まれる時代を間違えた王様”と評するが、“生まれた時代も場所も間違えた王様”のような悲哀を感じる。 しかし、生まれるべくして生まれ、第2帝国をよくも悪くも導いた皇帝の姿である。 意外に、ヴィルヘルム2世についての評伝が少ないことにも驚き。 もちろん、本国にはたくさんあり、日本においてもあるようですが、入手しにくい状況だったりするので、『ヴィルヘルム2世』(中公新書)は、個人的には、手がかりになる1冊になるのではないか、と。
ちょうど百年前に退位・亡命したドイツ最後の皇帝の評伝。人生がとてもドラマチックで引き込まれる。 ビスマルクとともにドイツ統一を成し遂げた祖父のヴィルヘルム一世の後,父フリードリヒ三世の治世が僅か百日で終わって即位というのも劇的。 その皇帝個人を軸にして第二帝国の隆盛と落日を辿る。特に落日が詳しく,主...続きを読む人公の晩年と併せて哀愁を誘う。 ロシア最後の皇帝ニコライ二世は義理の従弟で,ウィリー,ニッキーと呼び合う仲。その従弟はロシア革命で銃殺されてしまっているから,さすがの権威主義者も退位・亡命の道しかなかったのだろう。本書冒頭で紹介される,一次大戦開戦時の演説が彼の絶頂期だった。 「ホーエンツォラーン家」って表記には初めて接したけど,めちゃくちゃ良い本だった。 (「ホーエンツォレルン家」の方がなじみがある)
ヴィルヘルム2世の評伝。小説を読むように面白く流れていく。著者の筆力に脱帽。時代とともに振り回されつつも、つくづく幸せな人生を鑑みる。こういうリーダーは結構いる。
第1次大戦がどうして起こったのか、3国同盟と3国協商陣営の対立などと昔から一方的に類型化されているが、その中でドイツの指導者であった「カイザル」がどのような人物で、彼が開戦へ向かう中でどういう役割を果たしていたのか、あまり考えたことがなかった面である。英ビクトリア女王の孫として生まれ、英国への憧れ...続きを読む、英国風の生活・政治をしようとした人物、そして両親への反発から反英主義者でもあるという全く矛盾した顔を持ち、また男性的を装いつつ、女性的な性格が強かったという人でもあった。国民には酒場談義でむしろ人気があった君主だった!そして敗戦後はオランダに亡命し、1941年に死亡するまでどのような日々を送り、ナチスドイツの台頭への受け止め方は…。私たちからすれば、平穏な仕合せな晩年と思うのだが、本人はそうでもないと思っていた!ドイツ帝国がプロイセンその他との連合国という2重帝国の形をとっており、単純な帝国ではない!との説明には驚き。オーストリア皇太子暗殺事件が第1次大戦に結びつくとは誰も!ドイツ皇帝も夢にも思っていなかった!歴史の流れの恐ろしさを痛感する。このような中で戦争責任としてウィルヘルム2世を訴追する動きもあったとは、まるで30年後の日本を彷彿させる話だった。世界史の常識を崩された本であった。
キャラクターが想像していたよりも濃い。 皇帝として自分なりの理想はあるのに考えが足りなかったり失言だらけだし、戦争をちらつかせているくせに実際に戦争になりそうになると弱気になったりなんだか子供のような皇帝。ビスマルクの対仏政策とか当時のヨーロッパのパワーバランスとか面白いな~。
世界史の教科書で一度は見たことのあるヴィルヘルム2世。まえがきでも言及されていたあの立派なお髭が特徴の皇帝(「カイゼルの髭」と呼ぶそう)。 ところが、思いの外ヴィルヘルム2世は立派な皇帝とはかけな離れた人物のようだ。プライドが高く、自分は頂点に立つのであるから自分自身の中身もそれに相応しいものと過信...続きを読むしていたようだ。私自身このような人にはならないように戒めて生きる。 そして、個人的にビスマルクと併せて読みたい。祖父のヴィルヘルム1世とは比較的良好な関係のようだが、ヴィルヘルム2世とはそうでもなかったようだ
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ヴィルヘルム2世 ドイツ帝国と命運を共にした「国民皇帝」
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竹中亨
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