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二〇〇九年九月に国民の期待を集めて誕生した民主党政権は、一二年一二月の総選挙での惨敗により幕を閉じた。実現しなかったマニフェスト、政治主導の迷走、再建できなかった財政、米軍基地をめぐる混乱、中国との関係悪化、子ども手当の挫折、党内対立、参院選敗北――。多岐にわたる挑戦と挫折は、日本政治にどんな教訓を残したのか。ジャーナリスト・船橋洋一を中心としたシンクタンクによる、民主党政権論の決定版。
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Posted by ブクログ
熱狂的な政権交代からわずか3年3ヶ月で幕を閉じてしまった民主党政権。2010年7月に参院選で敗北したことが崩壊の始まりであったことを考えれば、民主党政権が主導権を握れていた時期は1年に満たなかった。何が悪かったのか。本書は、マニフェスト、政治主導、経済と財政、外交・安保、子ども手当、政権・党運営、選...続きを読む挙戦略と章を分け、それぞれの章で担当の識者が、(評価すべきは評価しつつ) 厳しく批判する。主体的意識のない無責任な夢を掲げ、頓挫していく様子はとても儚く、ベンチャー企業の始まりから終わりまでを見ていくようであった。
3年3ヶ月に渡って民主党は政権を運営したが、それは誰もが認めるように失敗に終わった。現在の自民党第2次安倍政権でも未だ民主党員として活動している議員を中心にインタビューし、民主党の失敗を検証する。鳩山、管、小沢ら元重鎮や落選議員にインタビューをしていないのは残念だが、恨み辛みや自己防衛の言葉ばかり並...続きを読むべられるから、その選択はしょうがないか。 党首のリーダーシップのなさや小沢派と半小沢派の対立、官僚を使いこなせなかったこと、東日本大震災など、失敗の原因は様々にあげられるが、結局はマニフェストに書いていることを実行せず、書いていないことにやたら力を注いだことが問題だったように思う。 普天間基地移設、消費増税、TPPなどマニフェストに書いていないことに力を注ぎすぎて、書いていることを疎かにしてしまった。マニフェストの達成をアピールし、達成できなかったことを謝る。それだけで、民主党政権ももうちょっと違った目で見られたのではないだろうか。やはり有限実行って大事なことだ。
私は民主党のリベラル思想には馴染めないが(したがってこれまで一度も民主党に投票したことはない)、船橋洋一氏は元朝日新聞であり、民主党にシンパシーをまだ持っている様子。 そういった方がまとめた本ではあるが、中身は、客観的に、公正に民主党政権の何がダメだったのかを検証している。各章の担当者は船橋氏ほど...続きを読む民主党ラブではなく、この「失敗」の教訓は国民すべてが共有してこそ、日本の将来のためになる、という考えを共通して持っているようだ(民主党が復活しようが消滅しようがそれ自体はどうでもいい)。 そういった視点から書かれているので、非常に興味深く、かつ有意義な本になっていると思う。
政権を担える野党が必要、と言われて久しいが、先の民主党政権の失敗から(本書含めて)多々の教材を得た筈だが、昨今の野党の動きを見るにつけ、それらへの反省と改善の取り組みが為されず、官僚機構を使いこなしたり、幼稚な自己主張を取り下げることもせずに離合集散を繰り返す様は、かつての民主党政権の惨状を繰り返し...続きを読むているようにしか見えないのは甚だ残念であり、本書はその考えを新たにするのに視野を与えてくれる良書である。
民主党政権が失敗であった事は、本書のタイトルにもあるように議論の余地は無いが、だからといって、未来永劫自民党政権が続くことが良いわけは無い。与党と異なる選択肢を我々が持つためには、民主党政権の何がまずかったかをきちんと検証することが必要である。そのための基礎作業として本書は重要である。 あと気がつい...続きを読むたのは、現在の官邸主導の流れを、民主党政権が加速させたものの、当の民主党はそれをうまくコントロールできなかったが、安倍政権はそれをうまくコントロールして、今の強力な権力基盤を築いていると言うことだ。官邸主導の政治が、官邸から遠い人々の声を無視する形で進められている今、政治のあり方がどのようであるべきか考える必要があると思った。
民主党政権が政権を握った後如何にして 下野することになったのか 色々な視点から書かれている。 大臣の失言という点からでなく政策面や党の問題から 書かれていて勉強になった。
第1章 マニフェスト なぜ実現できなかったのか 中北浩爾 から考える。 民主党政権交代前、意外にも、選挙民にバラ色な政策を増やし、財源を増加させて来たのは、長年政権政党についていた自民党に在籍していた小沢であるという。 はっきり言って、この人は、選挙は上手だが、そして、どこかボンボン的選挙手法を行な...続きを読むっていた民主党に、ドブ板選挙を持ち込んだ功績は、大きいのだが、老練な政治家ながら、『何とかなるって。金なんていっくらでも、あるんだから。』と嘘ぶいていたところを見ると、政治家としての資質に欠けるんじゃなかろうか。 政権政党の経験に乏しい民主党の中において、小沢に期待されるのは、政策実現性であるはずなのだが。 あと、この本には、まだ出て来ていないが、市民運動家を師匠に持つ菅直人の首相時代のボトムアップである民主主義を無視した独善迷走振りもイタい。 全体に。 マニュフェストが、一部議員により作成され、所属議員に浸透しておらず、共有されていなかった。 子供手当は、保育施設の整備の方が順位が高く、そもそも国民が望んでいる政策の中で順位が低かった。
あの「悪夢」を冷静・中立に分析した一冊。本書は、わずか三年三ヶ月の短命に終わった民主党政権の「失敗」を様々な角度から分析したものである。いずれの章もイデオロギー色はなく、データに基づいた議論が行われている。 本書を読むと、民主党政権は様々なシステム(「政治主導」や「子ども手当」など)を掲げて無党...続きを読む派層の支持を得たものの、導入のプロセスに関する検討はあまりにも楽観的過ぎたことが分かる。彼らの政策が妥協・挫折を余儀なくされた要因として「財源の確保」・「党内人事」・「選挙対策」などのキーワードが挙げられているが、現代の政治においてこれらの問題はどの政権にも起こり得るものである。結局、そうした“現実”を、あくまで自民党政権による“古い政治”の問題だとして直視することなく、理念先行のシステムの導入を推し進めたことが、民主党政権崩壊の根本にあったと言える。 惜しむらくは、これらの教訓が今日の野党勢力に活かされているとは必ずしも言えない状況にあることである。ただ、あの三年三ヶ月の日々に感じていた「不満」や「もどかしさ」を理論的に解き明かしてくれた点で、非常に勉強になった一冊である。
当初は期待を集めた民主党政権だが、日に日に国民の失望は高まり、3年3か月で政権から転落することとなった。本書は、民主党政権はどこで失敗したのか、それは、誰の、どういう責任によるものなのか、どこから何を教訓として導き出すべきか、ということについて、マニフェスト、政治主導、経済と財政、外交・安保、子ども...続きを読む手当、政権・党運営、選挙戦略と多角的に分析している。各章で執筆者は異なるが、いずれも民主党関係者のヒアリング結果も活用しながら、感情的にならずに、民主党政権の功罪が冷静かつ客観的に検証されており、今後の日本政治を考えるうえでも有益な内容だと思われる。 本書では様々な「失敗」の要因が指摘されているが、そのなかでも以下の5点が重要だと感じた。1点目は、国家戦略局の設置など、政治主導を実現するための主要な制度改正が後回しになって実現できず、政治主導が政治家の個人的資質に依存する属人的なものになってしまったことである。2点目は、民主党政権には日米同盟の資産を削ることへの同意はあっても、他の積極的な外交政策を展開させる能力が欠けていたことである。3点目は、子ども手当をはじめとして、党内での理念の共有が十分にされていなかったということである。4点目は、民主党議員が、「みんながリーダーになろうとし、誰もフォロワーになろうとしない学級委員体質」であったことが、組織マネジメントにとって致命的な欠陥になったことである。5点目が、政権運営に不可欠である「実務と細部」の欠如である。また、本書で指摘されているマニフェストの内在的な矛盾も、民主党政権の蹉跌の構造的な要因であったであろう。 一方で、民主党政権には、予算編成プロセス改革としての「事業仕分け」や社会構想としての「子ども手当」など日本政治をよりよくする可能性を持つ芽が生まれたことも確かだと思う。現在は民主党政権時代のことはばっさり否定されるような風潮を感じるが、本書で示されているような民主党政権の功罪を教訓として、今後の日本政治に前向きに活かしていくべきだろう。
戦後日本政治史における初めての本格的政権交代は、自民党の復権というよりも、民主党の自滅という形で3年3カ月で幕を閉じた。果たして、何が問題だったのか、民主党員へのアンケートや書籍などを通じて、その原因と内部で行われたことを丹念に新書にまとめている本。 内容は、それぞれ頓挫した、マニフェスト、政治主...続きを読む導、経済と財政、外交・安保、子ども手当、政権・党運営、選挙対策、政権担当能力を磨け の7章と序・終章の10章を分担執筆している。どれも肩入れすることなく冷静に分析していると感じた。 アベノミクス解散として、衆議院は2年で安倍首相は解散させたが、民主党の自滅を本書で学ぶとともに今の自民党にもより厳しい目をもって、有権者としての責任をこれから果たしたいと思った。
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民主党政権 失敗の検証 日本政治は何を活かすか
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