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ナチによるユダヤ人虐殺といった史実について、意図的に歴史を書き替える歴史修正主義。フランスでは反ユダヤ主義の表現、ドイツではナチ擁護として広まる。1980年代以降は、ホロコースト否定論が世界各地で噴出。独仏では法規制、英米ではアーヴィング裁判を始め司法で争われ、近年は共産主義の評価をめぐり、東欧諸国で拡大する。本書は、100年以上に及ぶ欧米の歴史修正主義の実態を追い、歴史とは何かを問う。
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Posted by ブクログ
個人メモ ・イデオロギー要素なくフラット ・ナチス関連の記述がメイン ・ヴィシー政権へのフランス国内での複雑な評価を背景にドイツだけでなくフランスにかなりページを使ってる ・EU共通アイデンティティとしてのホロコースト認識
大変勉強になった。SNSで、国際的な場で、嘘大げさ紛らわしいが拡散されている現代こそ読むべき一冊だと思う。
歴史修正主義。著者はこれを、歴史的事実の全面的な否定や意図的な矮小化、一側面のみを誇張することなどと定義している。この主義に立つ人たちは、ランケ以降の可能な限り客観的にまた価値中立的に歴史を記述するという歴史学の合意事項を受け入れることがない。また主張の際にその証拠を示すことがない(むしろ、証拠を示...続きを読むせと繰り返し主張することさえある)。 従って彼らは、そもそも学問の枠内で議論する相手ですらないのだが、繰り返し主張することにより、当初取るに足らないようなものが「ひょっとして正しい主張なのかもしれない?」という印象をもつものに変化し得る。これは陰謀論などにも通じることであり、SNSなどで盛んに主張すると、同調する者が少なからず現れ、社会を不安定化する要因にもなると著者は指摘する。 では、学者でない我々のような一般人は、こうした歴史修正主義にどのような姿勢でいればよいのだろう。まず、学問の成果は尊重すべきだろう。すなわち、歴史修正主義のような主張があったり、そのような本が書店に並んでるような場合には、主張のソースがどのようなものか(あるのかないのか)、ある場合にもそれが主張する者の恣意的な解釈に依っていないかなど考慮する必要があるだろう。後者は、一般人には難しいかもしれない。しかし、関連するトピックの主張なり論文なりをいくつか当たれば、少なくとも多様な見方が存在することがわかり、それらの見方の一つに過ぎないことくらいは分かるだろう。我々一般市民も、昨今は特に情報を分別する力を求められていると実感する。
「歴史修正主義」と書くと何か歴史学という分野の一つのような印象を受けます。 でも、この本を読むと、それはただ自分の思想というか政治信条を発言するだけの戯言だとわかりました。 歴史学というものは、事実を様々な角度から捉えて、過去の事象をより良く理解しようとするものです。 対して「歴史修正主義」は、結論...続きを読むありきで、都合のよい言説だけをとりあげたり、そもそも、なんら証拠を提示しないものです。 このような「歴史修正主義」を信じている人が、いまの社会に一定数いる、ということが、哀しいというか、考えさせられます。
近年、「もうひとつの事実」「フェイク」「陰謀」という言葉がメディアに頻繁に登場するようになりました。また、今年5月の対独戦勝記念日で、米ホワイトハウスのサキ報道官はプーチン大統領を「歴史修正主義者」と批判しています。本書は「歴史とは何か」という切り口から歴史修正主義の実態、発生、法規制、司法での争い...続きを読むを記した中公新書の力作。歴史修正主義概論入門書というような性質の本ですが、事例が多く、面白く読みました。 著者の武井彩佳さんの専門はドイツ現代史とホロコースト研究。したがい、本書は主にヨーロッパで発生した事例がメインであり、慰安婦問題といったアジアにおける歴史問題は触れられていません。 本書で記されているのは下記の通りです。 1)歴史学の観点から歴史とはどのように記されるのか、その基本的な姿勢や手段についての記述。 大雑把に言えば「歴史学とは過去が全体としてどうであったかを示す学問であり、一点から、一個面からのみ解釈することはしない。また複数の証拠を付き合わせることで判断する。これには専門性と長年の訓練が必要とされる」。一方、歴史修正主義は全体を見ず、ごく一部しか見えていないにも関わらず過去を結論付けてしまいます。「自分の考えと矛盾する事実は単純に無視することが多い。学術的には極めて適切であるだけでなく、事実に対して不誠実なのだ」。 さらに「最初から事実と異なる歴史像を広める意図で、あからさまに真実を指定する主張を欧米では歴史修正主義ではなく否定論と呼ぶようになっている。日本では歴史修正主義と否定論は必ずしも区別されていない」。例えば、「ホロコーストは存在しなかった」という類の主張が否定論です。 2)ナチズムとホロコーストについて歴史修正主義(および否定論)は何を目的としどのような形態で現れたのかを検証。「中でも1980年代以降にホロコーストの否定が拡散し、これに欧米社会が対応を迫られる経緯」を追います。この部分は非常に面白いと思いました。ドイツ親世代の自己防衛からくる問題となる歴史の矮小化、イスラエルの軍事強国化がきっかけのようです。ただ、その動機にはサルトルの「反ユダヤ主義は情熱である」を引用して、合理性はないと分析します。 「歴史が被告席に」置かれたとするアーヴィング裁判については詳述されています。歴史改竄の方法は興味深く、ちょっと笑える箇所もあります。 3)現在、欧米社会は歴史修正主義や否定論とどのように向き合っているのか? 欧州では多くの国がホロコースト否定論を法的に禁止しています。それと言論の自由の侵害について考察します。 歴史修正主義者は自分たちにとって都合の良い過去を繰り返し、人々の認識の揺らぎを呼び起こすことを意図しています。ファクトとフェイクの間の境界が曖昧になれば、当然視されているあらゆることの土台が緩み、その上にある社会制度が軋む恐れすら生じると言われています。 SNSでいろいろな主張が拡散している現在、本書は読むべき1冊と思いますが、何よりも読み物として面白い本書はお勧めです。
「アウシュビッツにガス室はなかった」「南京事件は捏造」「慰安婦はみんな職業的な娼婦」といった話しを耳にしたことがあるだろうか?歴史的な事実の全面的な否定を試みたり、意図的に矮小化したり、一側面を誇張したり、何らかの意図で歴史を書き換えようとすることを「歴史修正主義(revisionism)と呼ぶ。...続きを読む日本の団体の中には「歴史戦」などと叫び、歴史修正主義を「戦い」とする愚かな発言が物議を呼んでいる。 本書は、世界史が専門の著者が、あえて日本の歴史には触れず、世界史の中での歴史修正主義との闘いを、各国の情勢や司法の判断などの事案も交えて紹介する。ニュンベルグ裁判、ホロコースト否定論者の勃興とツンデル裁判、アービング裁判などを通じて、ヨーロッパです進む歴史修正主義への法規制が歴史的経過と共に整理される。 著者は、「歴史修正主義は、表面上は歴史の問題を扱っていても、本質的には政治的・社会的な現象であり、歴史修正主義はむしろ社会と民主主義との関係から考える必要がある。」との説明には、我々が考えるべき点ではないだろうか?
ちょうど鎌倉時代の歴史を読んだ後に読んだ。歴史はいろいろと利用される。学術的なお勉強は騙されないために大切だな。 あと、歴史を歪めなきゃならんほどの体験をするってのもなかなか気の毒だと思った。 それと、確信犯的に嘘だとわかってて自分のために利用するの賤しいなと…
この本から特に得たことは「特定の歴史言説が社会の前面に押し出されるとき、背後にある政治的意図や経済的利害を読み取るメディアリテラシーが必要となる」という部分だ。 特に、個人での発信が容易になった現代において、その人物が発信しているコンテキストも理解した上で、判断をするリテラシーの重要性が特に顕著であ...続きを読むると思う。 この重要性を、歴史修正主義という視点から指摘した良書。上記なコンテキストも含め、善悪のような単純化された二項対立をわかりやすさから簡単に迎合する我々の弱さを認知し、それに対抗していく意思を持ちたいと思った
新書では珍しく満点評価。とても良い本だった。最近の動向から歴史修正主義について知りたくなったのだが、ナチスドイツ以降、長い歴史修正主義の問題がある事を初めて知った。非常に勉強になったし、歴史学という学問にも興味を覚えた。良書。
ヒトラー賛美、ホロコースト否定論を例に挙げながら、歴史修正主義の勃興、衰退について考察した新書。排外主義が台頭する近年において、この本は歴史というものがどのように形作られていくのか、なぜそれが真実として語り継がれることになるのか、手法的なアプローチを教えてくれる。 「フェイクニュースは無視」「ホロ...続きを読むコースト否定=やばいやつ」のような雑な処理をすると、ますます勢力拡大を助長する羽目になるので、いかにして向き合っていくべきか、なぜこういった発想になるのかを理解する一助となる。歴史学は批判検証が絶えず繰り返されている学問だからこそ、陰謀論のような思考が停止した発想とも向き合っていく必要があるのだと思った。 表現の自由の制限の観点では、欧州と米国では法規制の度合いが異なる点も興味深い。ヨーロッパではヘイトスピーチをはじめ、表現の自由を制限するケースも少なくなく、ホロコースト否定論を唱えると違法なる場合がある。一方アメリカでは合衆国憲法修正第1条で表現の自由が言及されているように、言論の自由に対する介入は消極的な姿勢。
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歴史修正主義 ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで
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