<私が語る歴史のほかに、次、歴史を持つなかれ>などと言うほど、私は思い上がってはいない。私が示す歴史だけが正しい歴史であり、他のヴァージョンはみな間違っている、別の歴史像を広めたりしてはならない、などと言う権利は誰にもない。それが私が『ヒトラーの戦争』で言いたかったことだ。(『ヒトラーについての嘘』Lying about Hitler)
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ここには歴史修正主義者や否定論者がよく使う「私にとっての真実」というレトリックが浮かび上がる。歴史は一つではない(それは正しい)、どの歴史も絶対ではない(それも正しい)、したがって自分は歴史の一つのヴァージョンを示しているに過ぎない、と言う。この主張は一見したところ正しいが、内容を精査すれば、それが歴史のもう一つのヴァージョンなどではなく、単なる歪曲であることがすぐわかる。