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Posted by ブクログ
「戦艦大和」とは異なり民間企業の製品である「戦艦武蔵」を深い理解するための決定版ともいうべき内容。
同型艦の大和と異なり、武蔵の映画などのメディアに取り上げられない、何故か?という疑問へ1つの回答をくれる。
大量の資料に裏付けられた大和との比較。
ドラマじみた戦場における感動シーンの戦記物に「あり得ない」という鋭い指摘には脱帽せざるを得ない。
本作終盤において、男臭い・ミリタリーとは真逆の美少女・萌えのゲーム「艦これ」にも触れ、現代に生きる我々に、社会比較学者として鋭い指摘を与える。
吉村昭の名作「戦艦武蔵」で納得していた浅はかな自分に、刺激を与えてくれた作品。
Posted by ブクログ
1944年に完成、46センチの巨砲を備え、日本海軍の切札として期待された戦艦武蔵。しかし、資源不足の日本で武蔵はその巨体を持て余し、活躍することなく沈没。
武蔵の存在は悲劇なのか、喜劇なのか。本書では武蔵の不幸な運命の原因を探る。
よく比較されるのが戦艦大和。戦果をあげず沈没した点では共通しているのに、武蔵のストーリーはあまり知られていない。その理由は武蔵の沈没が物語性として陰鬱だったからだ。ゆっくりと沈没したため、爆発した大和に比べて生存者は多かったのだが、その生存者が日本へ送還された者と島に残って補充兵となった者に分かれたことで、生存者同志の一体感が失われた。戦後、生き残った者が武蔵のことを語りにくい雰囲気が生まれてしまったのだ。
大和と比較される不幸な戦艦武蔵。主人公となった吉村昭の小説でも戦闘中のことが触れられないのは、聞き取り取材ができなかったせいなのだろう。
Posted by ブクログ
「なぜ大和は脚光を浴び、武蔵は忘れ去られたのか?」という惹句を見て手にした一冊。
両艦について書かれた大量の文献を読み込んだことがよく分かる力作であるのはまちがいないのだが、どうにも違和感を禁じえない。その理由は二つある。
ひとつは、本書の目的が上記の疑問に答えることを通じて、なぜ人々が戦争にリアリティを持てなくなっていったのかを論じることにあるからだ。つまり、本書のタイトル、および惹句は、著者が書きたいことのイントロにしか過ぎないのだ。
もうひとつは、著者が凝った(妙な?)形容やフレーズを連発することだ。冒頭で大和が擬人化(アニメ・キャラクター化)されている事例を取り上げ、それ以降、本書の中では、戦争も大和も武蔵も「ファンタジー」だったという表現が多用される。また、両艦の乗組員が、戦後になって、戦争中の事実がゆがめられることへの反駁を覚えることを「事実への逃避」と表現する。いい形容やフレーズをひらめいたと思って自画自賛しているのだろう、という想像をしてしまうくらいの多用には、正直、辟易としてしまう。
「なぜ武蔵は忘れ去られたのか?」という冒頭の疑問には明確な答えを出しているだけに、こうした違和感から本書の価値が大きく損なわれてしまっているのが残念でならない。たとえページ数が半分になっても、両艦の差異だけに絞って書いた方がよかっただろう。
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