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逆鱗
新宿区百人町の探偵・氷川凜(ひかわりん)。彼女のもとに、やくざに追われる女子高生が逃げ込んできた。兄の隼斗が暴力団事務所に火を放つ現場に居合わせ、その罪を着せられているという。隼斗は行方不明のまま。凜は幼なじみの元マル暴刑事・赤峰重樹(あかみねしげき)を呼び出すが、時を同じくして、河川で男性の頭部のみが見つかる連続死体遺棄事件が発生する。被害者たちの下唇の裏にはひし形の刺青が入っていた。 消えた隼人を追う凜と、猟奇殺人を追う赤峰。交わるはずのない事件は、やがて東京の裏社会を二分する巨大な抗争へと繋がっていく。絶体絶命の危機の中、幼なじみの二人が己の流儀を貫く。東京を舞台に放たれる、傑作ハードボイルド! -
乃埋商店街の渦【電子版特典付き】
さびれた商店街のトラブルや謎を解決してくれる、喫茶店の二人の美形男性。 一見素敵な彼らだが、でもこの二人、なんだかちょっと、いや、すごく、変……!? 乃埋(のうず)商店街は、地方のさびれた商店街。シャッター通り化が進みつつあり、いつまで持つか未来が見通せない。 そんな商店街に、喫茶「うずまき」はある。 店長の藤谷保(ふじたに・たもつ)も、副店長の中之瀬圭一(なかのせ・けいいち)も美形男性で、歳は三十歳前後か、年配の店主ばかりになった商店街のなかでは、とびぬけて若い存在だ。 二人はひょんな流れで、商店街で持ち上がったトラブルや謎の解決をしていくことに。 酒屋の盗難騒動、駄菓子屋の万引き事件、総菜店の親子トラブルなどの、謎を解き解決していく藤谷と中之瀬。 最初はよそ者だった彼らを評価する人たちが着々と増えてきたが、彼らの本当の思惑は、この商店街を彼らのための「渦」に巻きこむことだった。 二人の絆と執着に身悶えする、バディストーリー! 驚愕のラストに二度読み必至! == 藤谷 保(ふじたに・たもつ) 考え中の癖は喉をさすること 絞められたことがあるからさする 中之瀬圭一(なかのせ・けいいち) 毎回違う夢を言う 本当の夢はもう叶っている ◆目次 プロローグ 第一章 上柳酒店の守り神 第二章 駄菓子の葛和と枠の中 第三章 鳳惣菜の跡取り 第四章 菅澤書店の傍観者 第五章 喫茶うずまきと乃埋の未来 エピローグ 装画=星野ちいこ *電子書籍版特典として、書き下ろし番外編ショートストーリーを収録。 -
箱の中の羊
もし、また、会うことができたら――。 少し先の未来。 息子を亡くした夫婦が迎え入れたのは、 亡き息子と同じ姿、同じ声を持つ ヒューマノイド――。 『そして父になる』(2013)でカンヌ国際映画祭審査員賞、『万引き家族』(2018)でパルムドール、『怪物』(2023)でクィア・パルム賞受賞と、世界的に高い評価を受けてきた是枝裕和監督。そんな是枝監督が、監督・脚本・編集を手がけた最新作『箱の中の羊』(2026年5月29日公開)、保存版の珠玉のシナリオブックが登場! 日本映画では『万引き家族』以来、8年ぶりとなるオリジナル脚本を完全収録した一冊です。この本でしか読めない設定資料や、巻頭カラー16Pで心に響く場面写真も収録、さらに特別収録で是枝裕和の画コンテも掲載! 是枝裕和監督が描く新たな代表作を、シナリオブックというかたちでお届けします。 <あらすじ> 少し先の未来。 息子を亡くした夫婦、甲本音々と健介は、亡き息子・翔と同じ姿、同じ声を持つヒューマノイドを迎え入れる。 その存在によって、止まっていた家族の時間は、ふたたびゆっくりと動き始める。 だが、それは失った日々を取り戻すことではない。 思い出と現実のあいだで揺れながら、二人はあらためて家族であることの意味に向き合っていく。 やがて一家を待ち受ける、想像を超えた未来とは――。 喪失と記憶、愛と違和感、再生と祈り。 静かなまなざしで家族と人間のその先を問いかける、是枝裕和監督の新たな到達点。 映画『箱の中の羊』 2026年5月29日(金)全国ロードショー 監督・脚本・編集:是枝裕和 出演:綾瀬はるか、大悟(千鳥)etc 配給:東宝・ギャガ (c)2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro. -
梅咲く頃にまた会おう
★★★第19回小説現代長編新人賞 選考委員特別賞受賞作★★★ 凪良ゆうさんの大プッシュで選ばれました! 「この物語は“小説は楽しい”ということを伝えられる強さがあり、 最後は気持ちの良い涙に着地する。」 「いつまでこの身体を借りられるのかな」 ある夏の夜。仲間と肝試しをした帰り道に、大学生の若梅は声をかけられる。 「ひさしぶり、梅ちゃん」。それは仲間の身体に乗り移った、死んだはずの初恋の人だった。 アルバイトに夏祭り、そしてデート。失った時間を取り戻すように、若梅は彼女とささやかな願いを一つひとつ叶えていく。いつかは身体を返さなくてはいけない、それでも――。 「もう一度会いたい」。真っ直ぐな願いが起こす奇跡は、一つじゃない。 純度100%のタイムリミット・ラブストーリー!。 -
冷蔵庫探偵
冷蔵庫を見れば、持ち主のすべてがわかる――。 ミステリー史上、もっともクールで生活感のある探偵、登場! 新人刑事の涼は思慮の浅い行動ばかりして上司に叱られっぱなし。「次に問題があればクビ」と言われて失意のなか、友人の小川が主催するホームパーティーへ参加する。だが、その場で突然小川が倒れてしまう。誰かが意図的にアレルゲンのそばを混入させたようだ。全く手がかりがつかめず途方に暮れる涼だったが、ケータリング業者として来ていた怜子が、冷蔵庫を見てプロファイリングし、たちまち謎を解いてしまう。 その深い洞察力に涼は感銘を受け、彼女に弟子入りを志願するのだった。 二人は仕出し先で次々と事件を解決し、やがて怜子が過去にパワハラの濡れ衣を着せられ退職した「スワンビューティーカンパニー」の闇に挑む! 第1話 ニンジンフライの正体 第2話 不屈のレモンおむすび 第3話 おからケーキの秘密 第4話 ピザ・カプリチョーザの選択 第5話 再生のラタトゥイユ -
殺し屋の営業術
◎2026年本屋大賞ノミネート◎ ◎王様のブランチBOOK大賞2025 受賞◎ (TBS系 毎週土曜日 あさ9時30分から生放送) ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 大大大反響!! 大大大重版!!!! テレビ、新聞、ラジオ、雑誌で話題沸騰! 第71回江戸川乱歩賞受賞作 異例の超ハイレベル最終候補作の中で、ぶっちりぎり第1位! ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 有栖川有栖 「乱歩賞作品の中でも異彩を放つ一作だろう」 貫井徳郎 「この物語に惚れ込みました」 東野圭吾 「読み手の心を掴む力に満ちていた」 湊かなえ 「主人公の内面の変化にワクワクしました」 横関大 「新人賞のレベルを超えた優れたエンターテインメント作品」 「営業ノルマ」は、2週間で2億円。 稼げなければ、全員まとめて地獄行き。 〈あらすじ〉 営業成績第1位、契約成立のためには手段を選ばない、凄腕営業マン・鳥井。 アポイント先で刺殺体を発見し、自身も背後から襲われ意識を失ってしまう。 鳥井を襲ったのは、「ビジネス」として家主の殺害を請け負っていた「殺し屋」だった。 目撃者となってしまった鳥井は、口封じとして消されそうになる。 絶体絶命の状況の中で、鳥井は殺し屋相手に「ここで私を殺したら、あなたは必ず後悔します」と語り出す。 「今月のノルマはいくらでしょう? 売上目標は?」 「契約率は25%……、残念ながら、かなり低いと言わざるを得ません」 「どうしてこんな状況になるまでプロの営業を雇わなかったんですか?」 そう……これは商談なのだ。 研ぎ澄まされた営業トークを矢継ぎ早に展開し、場の空気を掌握する鳥井。 「あなたは幸運です。私を雇いませんか? この命に代えて、あなたを救って差し上げます」 契約成立。 鳥井は、殺人請負会社に入社することに。 前代未聞の、「命がけの営業」が始まる――。 常識を覆す発想から走り出す、ジェットコースター・ミステリー! -
ポピュリズム
「あなたの一票が、首相を決める」 20XX年、第5回首相直接選挙、開幕! 十数年前から日本に取り入れられた直接民主制。 国会は廃止され、議員は20歳以上の国民からランダムに選ばれる。 首相選に立候補するための条件は「日本国籍を持つ30歳以上の人」で、供託金は1億円。 投票するのは全有権者――。 立候補が見込まれる人物は、女性首相を目指す新日本党の政治家、関西を中心に絶大な人気を誇るTVタレント教授、SNS総フォロワー数800万人以上のインフルエンサーなど。 全国民を巻き込んだ“選挙ショー”の結果はいかに。 社会派小説の旗手が提示する、有り得るかもしれない「未来」。 【著者略歴】 堂場瞬一 どうば・しゅんいち 1963年生まれ。新聞社勤務のかたわら小説を執筆し、2000年、野球を題材とした「8年」で第13回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。スポーツ小説のほか、警察小説を多く手がける。「ラストライン」シリーズ、「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ、「警視庁追跡捜査係」シリーズなど、次々と人気シリーズを送り出している。ほかにメディア三部作『警察回りの夏』『蛮政の秋』『社長室の冬』、『弾丸メシ』『幻の旗の下に』『デモクラシー』「ボーダーズ」シリーズなど著書多数。 -
王将の前で待つてて
作家として次々と物語を生み出す傍ら、コツコツと詠んできた句を集めた著者待望の第二句集。 2010年~2023年の220句に加え、過去30年に詠んだ句から特にお気に入りの句を選んだ「自選一年一句」と、俳句に興味を持っている「あなた」へと向けた巻末エッセイを収録。日常から銀河まで、豊かなスケールで広がる川上弘美ワールドを堪能しながら、俳句の喜びに心から浸れる一冊。 ●収録句より10句 不機嫌に人ほめちぎるさくらかな たうがらし死んだともだちに会ひたい メロン切るときをんなの目酷薄に 沖遠く鯨を呼びて鯨鳴く 交む前ザトウクヂラはみつめあふ ラムネ痛しけふも朝より何もなし ヒトやがて示準化石や冬銀河 掌の中の枇杷潰すなりはればれと スマホ買ひ即罅入れる夜寒かな レンジの中の小爆発も夏の果 【著者略歴】 川上弘美 (かわかみ・ひろみ) 1958年東京都生まれ。94年「神様」でパスカル短篇文学新人賞を受賞。96年「蛇を踏む」で芥川賞、99年『神様』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞、2000年『溺レる』で伊藤整文学賞、女流文学賞、01年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『水声』で読売文学賞、16年『大きな鳥にさらわれないよう』で泉鏡花文学賞、23年『恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ』で野間文芸賞を受賞。19年紫綬褒章、23年フランス芸術文化勲章オフィシエを受賞。 その他の小説に『なめらかで熱くて甘苦しくて』『ぼくの死体をよろしくたのむ』『某』『三度目の恋』など、句集に『機嫌のいい犬』がある。 -
ロスト7
旧ソ連製の超小型核爆弾、通称“レベジの核”が、新潟の原発付近に持ち込まれたことが判明した。突如、核テロの脅威にさらされた日本政府は、国際謀略のエキスパートにして伝説のスパイマスター・冴木治郎に対処を依頼。調査に乗り出した冴木たちのもとに“ロスト7”を名乗る正体不明の人物から犯行声明が届く。核を持ち込んだのは、現職の総理大臣・高畠千陽への「警告」だというのだ。新潟の事件を皮切りに、過激派組織の女性テロリストの帰国、CIAによる内政干渉、政府高官を狙った襲撃と、国を揺るがす事態が次々に巻き起こる。混迷する状況の中、核の行方と“ロスト7”の正体をつきとめることはできるのか。未曾有の事態に直面した日本を描く、本格謀略小説。 -
時の辞典 365日の短歌
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【歌人・岡野大嗣、10周年記念ベスト作品集!】 365日、その日その季節にぴったりの短歌を並べてみたら、大切な記憶のとびらを開いてくれる「時の辞典」ができました。 短歌とは、五七五七七の三十一音にことばを映して、時を掬(すく)い上げうるもの。 (3月27日)あとがきにかえて、みたいに咲いている桜 そういう気持ちの夜に あの日、見上げた空を思い出したり。 (5月18日)方言をほころびあっていくふたり五月の川を並び歩いて 出会えた喜びに、目を細めたり。 (9月14日)沿道のコスモスざかりに押し歩く自転車 長く生きてきたよな 現在地を知って、ふと立ち止まったり。 (10月24日)ひさしぶりに食べるとおいしいねと話すあなたはひさしぶりが同じひと かけがえのなかった瞬間に、気づかされたり。 (12月27日)ファミレスは小さな足湯 近況をどこまでさかのぼって話そうか いつか見たい景色を、思い浮かべたり。 365日並べた短歌は、わたしたちが生きてきた「時間」そのものでした。 時の流れが止まることはありません。 けれど、忙しい日々の中で、1日1つだけでも短歌を読んでもらうことができたなら。 こぼれ落ちていった記憶を少しでも掬い上げてもらえるかもしれない。 まるで、見つからないことばの在り処を教えてくれる「辞典」のように。 そんなことを思って、この本をつくらせていただきました。 今日の日付でも、誕生日でも、たまたま開いた日でも、お好きなページからお楽しみください。 1年に始まりのカレンダー代わりに、あるいは、大切な人へのプレゼントにもぴったりの本です。 【こだわりの仕様】 ・短歌は1日1ページ、1つずつ。初めて短歌の本を読む方にも気軽に読んでいただけるよう、できるだけ文字も大きくしています。 ・四六版を少し細くしたサイズはT188mm × Y120mm。かわいくて、持ちやすく、読みやすいサイズです。 ・カバーデザインにある鍵のフチは、キラキラのホログラム箔加工です。 ・本文用紙は12色の色紙になっています。1ヶ月ごとに色が変わる、季節感ある読書体験をお楽しみください。 -
小説
我々は、なぜ小説を読むのか。 五歳で読んだ『走れメロス』をきっかけに、内海集司の人生は小説にささげられることになった。 複雑な人間の昇華体であり、人の心を掴んで離さない、人の心が作り出した物語の結晶。 そこには望むもののすべてがあった。 十二歳になると、内海集司は小説の魅力を共有できる生涯の友・外崎真と出会う。二人は小説家が住んでいるというモジャ屋敷に潜り込む。 そこでは好きなだけ本を読んでいても怒られることはなく、小説家・髭先生は二人の小説世界をさらに豊かにしていく。 しかし、その屋敷にはある秘密があった。 小説を書くことで失われる世界の均衡、読むことで広がる無限の心。 宇宙最高の愉悦のすべてが、今明らかになる。 -
飽くなき地景
土地開発と不動産事業で成り上がった昭和の旧華族、烏丸家。その嫡男として生まれた治道は、多数のビルを建て、東京の景観を変えていく家業に興味が持てず、祖父の誠一郎が所有する宝刀、一族の守り神でもある粟田口久国の「無銘」の美しさに幼いころから魅せられていた。家に伝わる宝を守り、文化に関わる仕事をしたいと志す治道だったが、祖父の死後、事業を推し進める父・道隆により、「無銘」が渋谷を根城にする愚連隊の手に渡ってしまう。治道は刀を取り戻すため、ある無謀な計画を実行に移すのだが……。やがて、オリンピック、高度経済成長と時代が進み、東京の景色が変貌するなか、その裏側で「無銘」にまつわる事件が巻き起こる。刀に隠された一族の秘密と愛憎を描く美と血のノワール。 -
あじろ
新橋の立ち呑み居酒屋「あじろ」 頑固な店主と美味しいモツ煮と雑な雰囲気。最高の人情酒場で起きた悲劇とは!? 「あじろ」の常連でマドンナだった真由美さんが、突然失踪してまう。常連の和歌子がライターをしている週刊誌編集部に「真由美はパパ活ビジネスに手を染めている」とう謎の投書が寄せられる。毎日お店に通っていた真由美はしばらく姿を見せていない。心配した常連客と店主が彼女を捜し始めると、その美貌と笑顔からは計り知れない邪悪な一面が見えてくる。 偽りの職業、パパ活斡旋、恐喝……和歌子は彼女の本性を知って逡巡するのだが、やがて真由美は殺されていたことがわかり、あじろに不穏な空気が漂いだした。犯人は常連客の誰かなのか。平和で楽しいはずの酒場の人間関係に何があったのか。 大藪春彦賞作家の鬼才が描く、人情と愛情の居酒屋サスペンス! -
ミノタウロス現象
近い将来、人類はこの怪物に駆逐されるのか。そんな世界で、不可能犯罪が起こった。 目の前には三メートル超えの怪物、背後には震える少年。好感度を何よりも重視する史上最年少市長・利根川翼は、人生最大のピンチに陥っていた。だが、その危機からの脱出直後、「異様な死体」が発見される――。容疑者の一人になってしまった翼は、自身の疑惑を晴らすために謎解きを始める。『スイッチ 悪意の実験』『時空犯』で話題の新鋭が挑む、渾身の本格ミステリ。 〈著者・潮谷験さんからのメッセージ〉 この現代に突然、ファンタジーに登場するような怪物が現れたら、社会はどんな風に変わるだろう? しかも一体や二体ではなく、とんでもない数だったら? そんな空想を膨らませて書き上げた作品です。楽しんでいただけましたら幸いです。 -
予測不能の1秒先も濁流みたいに愛してる
黒木渚、ベストアルバムと同名小説、ついに発売! 不純な動機から始まった音楽は、私のすべてになった。 「私の歌で、こんな世界ぶち壊してやる!」 誰にも話したことがないけれど、私は光と共に生きてきた。 未来について想像するとき、私の頭の中には必ず白い光のイメージが浮かぶ。 高校二年の「シッポ」は中学時代からの片思いの相手、森園太陽に接近するために軽音部に入る。 好きな音楽はパンク、好きなバンドはクラッシュ、セックスピストルド、ダムド、ニルヴァーナ…… これ、全部嘘。 だけど太陽に近づくためにシッポが周到に用意した「設定」は、徐々に彼女の中にあった「音楽の光」をとらえて、 追い越していく。 眩しくて白いーーあの光はスポットライトか、それとも恋か。 音楽を始める動機なんて、不純だっていいじゃないか! 音楽×小説×青春 歌手兼小説家・黒木渚が初めて描く青春と音楽。 青春はエゴイスティックで汚くて、生々しい。それでも眩しい一瞬の光だ。 -
大いなる眠り
私立探偵フィリップ・マーロウ。三十三歳。独身。命令への不服従にはいささか実績のある男。ある午後、彼は資産家の将軍に呼び出された。将軍は娘が賭場で作った借金をネタに強請られているという。解決を約束したマーロウは、犯人らしき男が経営する古書店を調べ始めた。表看板とは別にいかがわしい商売が営まれているようだ。やがて男の住処を突き止めるが、周辺を探るうちに三発の銃声が……。シリーズ第一作の新訳版 -
中上健次 電子全集
熊野の風土と溶け合い、肉体労働に至福の時を過ごす「路地」の私生児・竹原秋幸を主人公とする『岬』、『枯木灘』、『地の果て 至上の時』の三部作。その幕開き『岬』で、戦後生まれの作家として最初の芥川賞作家となった中上健次は、そこに停滞することなく、織田信長に反旗を翻した一向宗団の頭目・浜村孫一の伝説を携えて「路地」に流れ着いた秋幸の実父・浜村龍造を『枯木灘』で造型する。成り上がり者のこの男の視線を強く意識しながら、再婚した母と別宅で暮らす秋幸は、血を分けた妹との近親相姦を実父に告白、予期に反して鷹揚にそれを受け流す龍造にはぐらかされた彼は、やがてその後継と目される異母弟の殺害に及ぶ。『覇王の七日』は、この息子を失った龍造が、失意のうちに自宅の一室に引きこもった、『枯木灘』の後日譚。『地の果て 至上の時』に至り、出獄の後に龍造に接近し父殺しの機会を窺う秋幸に対し、龍造は義父・実母らのいる実家に寄り付かない実子を庇護するうちに、二人は敵意と親密さの入り交じった特異な父子関係を築いてゆく。やがて不意打ちのようにやって来る龍造の自殺。秋幸は最早、再開発の波にさらされた「路地」に踏みとどまるべき理由を失っていた。 秋幸三部作は、われわれの文学の「現在」を規定し、「未来」を画定し、「過去」を裁定する格好のテクストとして、いま、ここにある。 また特別寄稿として、長女・紀の「回想録 家族の道端」(1)、「編集担当者だけが知っている中上健次」(1)を掲載。 付録:「中上健次写真館」(1)、生原稿や構想メモ、紀州サーガ登場人物関係図などの「特別資料」(1) 【ご注意】※立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 ※この作品にはカラー写真が含まれます。 -
人間とは何か?
“ソクラテスになったマーク・トウェイン”。老人と若者との対話形式で、近代社会を支える人間存在を、自らの欲望で動く「機械」にすぎないと断言するパラドックス的人間論。作者晩年の代表作でペシミズムの影が現れた哲学的な作品。 -
短歌ご一緒しませんか
音楽界の異端児・岡村靖幸×現代短歌のトップランナー・俵万智による 「読んで詠える」短歌教室 短歌完全初心者の岡村ちゃんと、短歌のこころを基礎から学びます。 5・7・5・7・7というたった31文字から切り拓く表現の無限の可能性に、 音楽界のカリスマも大興奮&大苦戦。投稿者にも強者があらわれ……!? 「自分のハートを短歌で仕上げられるようになるためのテクニックを伝授します!」――俵万智 岡村靖幸オフィシャルファンクラブサイト「DATE」好評対談連載、待望の書籍化! <目次> Lesson 1 短歌の基本ルールと裏ワザ Lesson 2 たくさん読んで、たくさん詠む! 題詠:食べ物 Lesson 3 強者現る!! 題詠:青 Lesson 4 自由で楽しい日本語の響き 題詠:オノマトペ Lesson 5 自分だったら……を考える 題詠:笑う Lesson 6 動詞の掛け算 題詠:夏 Lesson 7 楽しむ音こそ音楽だ! 題詠:音楽 LETʼS TAKE A WALK ~吟行しませんか Lesson 8 職業と人生 題詠:仕事 Lesson 9 短歌の王道は〈恋〉! 題詠:約束 Lesson 10 主語を絞る 題詠:故郷 Lesson 11 キラーフレーズを活かせ! 題詠:雨 Lesson 12 短歌の時代 題詠:風 -
平安文学の謎を解く
平安文学についての常識は、調べてみると謎だらけ。小野小町は絶世の美女だったかどうかも、在原業平が東国の放浪の旅をしたのかどうかも謎。紀貫之による『土左日記』は日記でも紀行でもない謎の文章だし、『枕草子』のようなスタイルの随筆は後にも先にも存在しない。『源氏物語』の作者も謎に包まれているし、その作者とされる紫式部の『紫式部日記』の清少納言に向けた悪口も謎に満ちている。こうした謎を解き、平安文学を深く知ることができる、楽しい古典再入門。 【目次】序章 現像を探る/第一章 小野小町とは誰だったか/第二章 在原業平の「東下り」――伊勢物語/第三章 和歌という謎との格闘――土左日記/第四章 「随筆」性の温床――『枕草子』/第五章 紫式部は清少納言の悪口を書いた?――『紫式部日記』/第六章 源氏物語プロジェクト/第七章 「光源氏」という呼称/あとがき/参考文献/人名索引 -
ほんのかすかな光でも
『ショウコの微笑』『わたしに無害なひと』などで人気を博し、数々の賞を受賞してきた実力派作家の最新短編集! 手をのばし、すれ違う、 二人に差しこむひとすじの光。 人間関係の感情の機微を卓抜した力で描くチェ・ウニョン。 〈書くこと〉を使命とする強い意志。問い直される女性への差別。 【収録作】 大学で研究者を目指す私と女性講師を描く、表題作/基地村での女性殺害問題と校内誌編集部を描く、「役割」/雇用形態の異なる二人の車中での会話を描いた、「一年」/DV問題を扱った、「返信」/「夫と妻と子ども」という「一般家族」を超えた繋がりを描く、「種まき」「伯母さんへ」「消える、消えない」 2018年から2023年までに書かれた中短編全7編。 -
【合本版】高遠動物病院へようこそ!
独立したてのWEBデザイナー、日和は、海外転勤する姉夫婦から頼まれ、2年間だけ雑種犬「安藤さん」と暮らすことになった。 安藤さんの予防接種のため、初めて訪れた動物病院は、診察券すらなくスタッフは獣医の高遠のみ。彼は動物だけを愛し、人間のことは名前さえ覚えない男だった。 病院の人手不足から、日和はお客さんにスタッフと間違われ奔走するはめに。そこを高遠の知人に見込まれ、正式に勤めることになった。しだいに日和は、高遠の採算度外視で治療をする不器用さや、前の病院を辞めた事情を知り…? ※本電子書籍は『高遠動物病院へようこそ!』全3巻を1冊にまとめた合本版です。 -
岩波書店の時代から ――近代思想の終着点で
1960年代からポストモダンの時代を通じ岩波書店で多彩な出版活動を展開した大塚信一に、同じく編集者だった堀切和雅が問う――脱魔術化され、人間の精神が寄る辺をなくした近代において学問や芸術は何と格闘してきたのか。河合隼雄・中村雄二郎・大江健三郎・山口昌男・宇沢弘文・木田元・磯崎新らとの仕事を組織しつつ、何を理解しようとしてきたのか。近代の思考もまた新手の魔術だったのではないか。我々はなぜ地球的破局に向かう終着点にいるのか――人類の思想史を対話でたどる。 【目次】はじめに 堀切和雅/第1章 「敗戦」のアンビバレンス/第2章 「近代」という問題群をまるごと問う/第3章 日本近世・準備された逆説/第4章 言語と「場」、そして意識/第5章 「主体」の観念、以前/第6章 「心」──変性するもの/第7章 ポストモダン思想の淵源/第8章 リアリズム・ニヒリズム・ファンタジー/第9章 トポスと人物/第10章 思考空間としての社会/第11章 「場所」から考える/第12章 脱魔術化と再魔術化/第13章 生・ロマン・崇高/終章 いま、破局に至るのか/あとがき 大塚信一/人名索引 -
オリジン【角川文庫 上中下合本版】
宗教象徴学者ラングドンは、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を訪れていた。元教え子のカーシュが、“われわれはどこから来たのか”“われわれはどこへ行くのか”という人類最大の謎を解き明かす衝撃的な映像を発表するというのだ。カーシュがスポットライトを浴びて登場した次の瞬間、彼は額を撃ち抜かれて絶命した。カーシュ暗殺は、宗教界によるものか? もしくは、スペイン王宮の差し金か? かくして、誰も信用できない中で、ラングドンと美貌の美術館館長・アンブラは逃亡しながら、人工知能ウィンストンの助けを借りて謎に迫る! ※本電子書籍は角川文庫「オリジン(上)」「オリジン(中)」「オリジン(下)」を1冊にまとめた合本です。 -
県警の番人
伏線完全回収の連作×警察組織ミステリー! ・ Q県警の誰もが逃れられない、首席監察官・鏡真人とは何者だ? ・ 【推薦コメント】 繋がってからが真の闇。これが《連鎖式》警察ミステリの新定番だ! ──法月綸太郎氏 ・ 見たいもの、信じたいこと、守るべきなにか。それぞれの正義が事実を少しずつ歪め、事件を解くべき者たちが、次々と事件に搦めとられてゆく。すべては首席監察官・鏡真人の描いたシナリオなのか──? 高密度の謎解きに、一筋縄ではいかない警察組織の論理と倫理が絡み、連作ミステリーとしての読み応えは抜群だ。短編ひとつひとつが高い完成度を誇っているうえ、新たな視点で各エピソードをみつめなおした最終話は圧巻。なにより、読み進めるほど虚像のように思えてくる鏡真人という人物の実体を知りたくて、本を閉じることができなかった ──櫻田智也氏 ・ 【内容紹介】 Q県警内の不祥事を容赦なく暴き出し、市民からの信頼を劇的に回復させた異能の監察官・鏡真人。 〈県警の番人〉の異名を持つ彼に狙われた者は、絶対に逃れられない……。 定年前のハコ番巡査部長、所轄の生活安全課捜査員、刑事課の女性警部補、県警本部監察官警視、鏡の直属部下──五人の警察官視点で浮上する、〈県警の番人〉の正体とは。 ・ *本作は伏線上の意図により、必ず第一話から順にお読みください。 ・ [目次] ●第一話 組織の論理 定年目前の交番巡査部長の元へ、十年前に同僚が発砲した事件を想起させる手紙が送られてきた。 ・ ●第二話 正義の味方 鏡の命で、週刊誌の取材を受けさせられた生活安全課捜査官。彼に思い当たるのは、一本の通報だった。 ・ ●第三話 虚像の選択 鬱病で休職中の刑事課女性警部補が、痴漢容疑をかけられた同期警部補について再捜査を行う決意を。 ・ ●第四話 人事の波紋 女性がストーカーに襲われたらしき事件。監察官警視が、所轄の事前対応状況を鏡に報告すると思わぬ答えが──。 ・ ●第五話 番人の番人 鏡の直属部下である女性巡査部長は、彼の失脚を狙う。〈あの事件〉の真実を隠蔽させないために。 ・ 眼前の“真実”は、必ず第五話でくつがえる。 -
観測者の杜
自然の声に耳を傾け、自身の身体を通過した珠玉の言葉をメッセージとして、厳選の写真と共にお届けします。 コンサルタント、セミナー講師として講習生累計70 万人の実績を携え企業経営の傍らサンマリノ共和国大使館の特別顧問として活躍している著者。拠点は地元鹿児島県鹿屋市に置き、自然と共に自然が発する声に耳を傾け、自然の微かな変化に目を凝らし続け自身の身体を通過した自然からの60のメッセージを珠玉の言葉につむぎました。どんなに社会が変化しようと人間は自然の中で生かされていて、混沌の時代であるからこその自然回帰を思い起こさせる、現代人に必携の書を和文英文オールカラーで、館野二朗氏の写真と共に世界中にお届けします。 【著者】 藤山 邦子 -
海の乙女の惜しみなさ
2017年に没した著者が死の直前に脱稿した、26年ぶりの短篇集。『ジーザス・サン』の流れを汲みつつ、どん底から救済を夢見る人々の姿を通して、アメリカ的精神のゆくえを冷徹に見つめる5篇を収録。 「海の乙女の惜しみなさ」 広告代理店に長年勤務した60代前半のビル・ウィットマンの人生の瞬間をめぐる断片的な物語。老境に差しかかった語り手にのしかかる「老い」と「死」という主題が全体を貫く。 「首絞めボブ」 1967年、主人公はささいな非行により刑務所に収監される。そこで目にしたのは、無秩序の寸前で保たれている秩序、それぞれの受刑者が語る虚構すれすれの体験談だった。 「ドッペルゲンガー、ポルターガイスト」 詩人である大学教師ケヴィンが、才能豊かな教え子マークのエルヴィス・プレスリーに対する強迫観念を振り返る。マークはエルヴィスに関する陰謀説を証明しようとしていた。 「老い」と「死」という主題と、老いつつある「アメリカ」そのものを視野に入れた描写が、どの短篇にも色濃く現われている。生前、「現在においてもっとも影響力のある作家」と呼ばれた著者の集大成と呼ぶにふさわしい作品。 -
「彼女~フリーライター銀次郎」シリーズ 3巻セット【電子版限定】
浦賀和宏の傑作ミステリー「彼女~ライター銀次郎」シリーズ3タイトルが電子版限定で、合本になって登場! ※本書は、『彼女の血が溶けてゆく』『彼女のため生まれた』『彼女の倖せを祈れない』を1冊にまとめた電子書籍限定の合本版です。 ■彼女の血が溶けてゆく ライター・銀次郎は、元妻・聡美が引き起こした医療ミス事件の真相を探ることに。患者の女性は、自然と血が溶ける溶血を発症、治療の甲斐なく原因不明のまま死亡する。死因を探るうちに次々と明かされる、驚きの真実と張り巡らされた罠。はたして銀次郎は人々の深層心理に隠された真相にたどり着けるのか。ノンストップ・ミステリーの新境地。 ■彼女のため生まれた 母親を高校の同級生・渡部に殺されたライターの銀次郎。犯行後自殺した犯人の遺書には、高校の頃、銀次郎が原因で自殺した女生徒の恨みを晴らすためと書かれていた。なぜ母は殺されたのか。母の死の真相と身に覚えのない汚名を晴らすため、奔走する彼を次々と襲う衝撃の真実。どんでん返しの連続に、一時も目が離せない傑作ミステリ! ■彼女の倖せを祈れない ライターの銀次郎の同業者、青葉が殺された。青葉が特ダネを追っていたことを知った銀次郎はそのネタを探り始める。手がかりはカメラに写っていたボンデージ姿の女性。辿り着いた衝撃の真実――それは政界をも揺るがす、暴いてはいけない秘密だった。中毒性200パーセント! 思わず息が止まる、驚愕の大どんでん返しミステリ! -
中華食堂ひばり亭
クリニック勤務の小松原菜々子は、今日のランチに悩んでいた。結婚を考えている彼との将来のため、毎日地道に自炊して節約してきたのに、作ったお弁当を家に忘れてきてしまったのだ。谷中の路地まで辿り着いた菜々子が選んだのは、老姉妹の春美と雪子が営む町中華「ひばり亭」だった。ひょんなことから怪我をした雪子の代わりに、菜々子はここでアルバイトをすることとなり……。ふわふわのチャーハン、焼き目の香ばしい餃子、サクサクまろやかなカツカレー、関西風の天津飯に隠された秘密とは――。人生に迷っても「ひばり亭」の美味しいご飯が前を向かせてくれる。お腹も心も温まる、美味しい人情物語。 -
「しんがり」の意地 ドラフト最下位指名からの下剋上
プロ野球のドラフト会議で、各球団の「最後」に名前を呼ばれた男たち。本書は、期待値もチャンスも最下位というどん底の評価から這い上がり、名を残した「しんがり」選手たちを描いたノンフィクション。厳しい生存競争の中で、彼らがいかに己を磨き、運命を切り拓いたのか。その知られざるドラマと入団エピソードに迫る。さらに、現役スカウトが明かす「しんがり」指名の狙いや獲得戦略も必読。評価はいくらでも覆せる。男たちの逆転劇を読む1冊。 収録選手:小林至(91年・ロッテ8位)/田畑一也(91年・ダイエー10位)/鶴岡慎也(02年・日本ハム8巡)/平石洋介(04年・楽天7巡)/佐野恵太(16年・DeNA9位)/山本祐大(17年・DeNA9位)/愛敬尚史(楽天・スカウト) -
初髪下ろし
――樟脳の匂い。それは僕にとって、大事な死者の忘れ形見だった。 その村では人が死ぬと、霊は徐々に若返り、やがて赤子に戻る。死者が女なら「初髪下ろし」の儀式を行い、成仏を促すという。 将来に悩む美大生・洞口航は、漆掻きのアルバイトの面接を受けた。謎めいた女性に採用されて山村に向かったものの、到着するなり思いもかけぬ事態に遭遇する。集落の長に「初髪下ろし」の役目を押しつけられたその夜から、不穏な影が身辺に忍び寄る。 「お前、このままだと死ぬぞ」 怯える航を見かねた漆掻きの親方が明かしたのは、村が隠してきた想像を絶する闇だった。 -
マーダースクール
大学四年生の葉月真由は、卒業が近づく一月のこと、内定が決まっていた母校の私立小学校が突如閉校となり教員採用を取り消されてしまう。 急遽、新たな就職先を探しているところ、小学校教師を募集している全寮制の小学校から声がかかる。 寮費、光熱費、食費はすべて学校負担で、初任給は新任教師の平均給与の2倍という好条件から、教育実習を受けに寮が併設されている山奥の学園へと向かう。 ところが、実習初日に「ハヤクニゲテ」と書かれた付箋を授業で使用するタブレットの裏に見つける。 礼儀正しく、先生の言うことを静かに守る不気味な生徒たち、真由の部屋に届くSOSのメッセージ。 同僚の事故死や生徒の不審死から学校の方針や対応に違和感を持ち始める真由だが……。 予測不能の一気読み学園サイコホラー! -
〈メディア〉シリーズ
140年の歴史を誇る全国紙・日本新報が発行を停止した。世間の新聞離れに歯止めがかからず、経営改善の努力も虚しく倒産してしまったのだ。 同僚たちが次の就職先を模索するなか、社会部の記者・南康祐にはある画策があった。それは志を同じくする同僚と、日本新報の後継としてネット専門メディア「日新ネットS」を立ち上げることだった。 新聞社やテレビなど「オールドメディア」との確執、人員・人材不足、記者クラブ問題、広告収入の減少・・・・・・立ちはだかる諸問題を乗り越え、ネット専門メディアとして成立させることができるのか。 『警察(サツ)回りの夏』『蛮政の秋』『社長室の冬』に続く〈メディア〉シリーズ、真の完結編! 【著者略歴】 堂場瞬一(どうば・しゅんいち)1963年生まれ。新聞社勤務のかたわら小説を執筆し、2000年、野球を題材とした「8年」で第13回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。スポーツ小説のほか、警察小説を多く手がける。「ラストライン」シリーズ、「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ、「警視庁追跡捜査係」シリーズなど、次々と人気シリーズを送り出している。ほかに『弾丸メシ』『幻の旗の下に』『デモクラシー』『ポピュリズム』「ボーダーズ」シリーズなど著書多数。 -
5秒で完全犯罪を生成する方法
重岡大毅が主演を務める映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』(2026年9月11日全国公開)を「シナリオブック」として刊行。 人間の選択とAIの完璧さが交錯する新たな完全犯罪サスペンス。AIを誰もが手軽に使える時代に忍び寄る便利さの裏側にある恐怖。かつてSFの世界だったAIが、日常の暮らしに溶け込もうとしている今こそ読むべき最も危険な物語。 そんな緊迫感あふれる本作において、主演の重岡大毅はじめ、共演の原菜乃華、田中みな実の場面撮影写真を、印象的なシーンを中心に巻頭カラーで16ページ掲載します。 脚本は『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』(2010年)や『マスカレード・ホテル』(2019年)など多くのヒット作を手掛ける気鋭の脚本家・岡田道尚が担当。映像では捉えきれないト書き、台詞の“間”、演出意図、感情の揺らぎを読書体験できる一冊です。 また、本書では巻頭カラーの場面写真、シナリオに加え、この物語がどのように生まれたのか、脚本家自らが解説。本作が動き出すことを導いた企画書第一弾や脚本執筆のために試行錯誤したAI生成文などの資料も公開。その物語とともに、制作過程にも迫ります。 シナリオ制作の過程がわかる資料を収録することで、映画を“観た後”にも“観る前”にも楽しめる立体的な構成の一冊となっており、映画ファンはもちろん、脚本・演出・映像制作に関心の高い読者層まで幅広く楽しめます。 -
月とワンテイク
山内昌人第一歌集 永遠の青年は、山内昌人という名前の仮面をかぶり、「顔なき男」として泣いて笑うのだ。――山田航(歌人) 山田航解説『素顔のピエロ』収録 〈5首選〉 今日という異物を包み込むために受け取っているデイリーニュース 遠回りすることでしかたどり着くことのできない青空がある 我という入り江に寄せてまた返す喜びと哀しみにようこそ まもなくの夜に向かいて木漏れ日のひかり溜め込む夕暮れのバス 影としてコンクリートに溶けていくことだけが許された夕暮れ 【目次】 序奏~プロローグ 合わせ鏡 ポケット 空回りする役回り 表札以前 音階のカルテ 役名 解説 素顔のピエロ 山田航 あとがき 【著者】 山内昌人 1966年北海道生まれ 「辛夷」に所属 -
敵
デビュー句集『膚』で田中裕明賞と俳人協会新人賞をW受賞した俊英・岩田奎。今年、Forbesが選ぶ「30 Under 30 Asia 2026」にも選ばれた著者による待望の第二句集! 叫ぶおやすみとか氷るおやすみ 挽肉のあらければ咲く辛夷かな 辛夷が咲くのは、この挽肉が粗いからだったのだ。ひとつの死である挽肉が、粒の粗さのために口の中で弾ける逆説的な生命感。辛夷が咲くことはまさにそのような現象ではないか。私たちの世界の、思いもよらないきらきらしさと残酷さを、『敵』はこうして取り出してみせるのである。──服部真里子(歌人) 【収録句より】 蟻地獄蟻がはこびしものも落ち 「皆」 星祭われら虚業のビル灯す 「舌や腸」 春の雨いのちちぢめの飯を食ふ 「力」 鹿啼けり無数の黒い扉のやうに 「ライフ」 枯木コロシアムかならずだれか勝つ 「敵」 氷柱落ち砕けてそこにありつづけ 「水の熱」 残るあぢさゐこれからも見て暮す 「冗談」 【目次】 1 皆 2 舌や腸 3 力 4 ライフ 5 敵 6 水の熱 7 冗談 あとがき 【著者】 岩田奎 一九九九年京都生。二〇一五年、開成高校俳句部にて作句開始。櫂未知子、佐藤郁良に師事。第一句集『膚』(二〇二二、ふらんす堂)にて田中裕明賞、俳人協会新人賞。ほか著書に『田中裕明の百句」(二〇二四、同)、受賞に石田波郷新人賞、俳人協会新鋭評論賞、角川俳句賞など。「群青」「オルガン」同人。俳人協会幹事。日本文藝家協会、現代俳句協会、パフォーマンスコレクティブ「やる」に所属。NHK文化センター青山教室(オンライン開講)、梅田教室講師。二〇二六年現在大阪在住。 -
地の果て、砂の祈り
台湾出身で日本で暮らす思云(しうん)は、ひと月前に別れた恋人りさと共にエジプトを訪れる。手配がキャンセルできず、交際が終わった記念としての観光旅行だった。二人は、別れの原因となった事柄について言葉を交わすのだが・・・・・・(「地の果て、砂の祈り」)。 台湾に住む清猗(チンイー)と永真(ヨンジェン)は、小学生のとき一緒にRPGゲーム〈仙剣奇侠伝〉に熱中していた。大学生となった二人は、ミャンマー出身のツァイリーと三人でアパートを借りることに。卒業後、清猗と、ジーリーと名前を変えた永真は、それぞれに日本に向かった。そして、祖国に戻ったツァイリーと連絡が途切れたことをきっかけに再会し・・・・・・(「東京奇侠伝」)。 アイデンティティをめぐる思索と実践、恋愛と友情の多様なかたちを芥川賞作家が描く、連作中編小説。 【著者略歴】 李琴峰(り・ことみ) 1989年、台湾生まれ。作家・翻訳家。2013年来日。早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程修了。2017年、『独り舞』で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞しデビュー。2021年、『ポラリスが降り注ぐ夜』で第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞、『彼岸花が咲く島』で第165回芥川龍之介賞を受賞。2026年、『日本語からの祝福、日本語への祝福』で第15回梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞。著書に『星月夜』『生を祝う』『言霊の幸う国で』『シドニーの虹に誘われて』『月を見に行こうよ』他。 -
失くしても、また
大人にだって、きゅん!も、ぐっ……もある。 愛猫を失った夫婦、学校図書館で子どもたちに向き合う司書、久しぶりに集う高校の同級生たち、夢を忘れかけた会社員――。 ひとりでも、ふたりでも、みんなでも。 自分にちょうどの形を見つけて、そうして今日も、生きていく。 第1話 いくつになっても 第2話 さみしくてやさしくてかわいい 第3話 いとおしい大人たちへ 第4話 眠りに落ちるその前に 第5話 ぜんぶ自分のことだから 第6話 愛することと許すこと 第7話 大きく息を吸って 第8話 これはため息じゃない 第9話 忘れても、忘れなくても 第10話 あなたはここにいる -
なぜ人は悪役に惹かれるのか? ヴィランで読む文学
名作には、必ず忘れられない敵がいる アルセーヌ・ルパン、ハリソン山中(「地面師たち」)、悪女ミレディー、貞子―― 名作には、忘れられない悪役(ヴィラン)たちが登場します。 主人公と敵対し、悪事を働くヴィランたち。 一見、人々に嫌われてしまうようなキャラクターでありながら、私たちはどこかで彼らに「悪としての活躍」を期待してしまいます。 なぜ、私たちは悪役に惹かれてしまうのでしょうか? 怪盗、詐欺師、剣鬼、悪女、怨霊、人獣。 近現代の大衆文学に登場する、恐ろしくも魅力あふれる6つのヴィランを例にその魅力をひも解いてみましょう。 早稲田大学 人気講義を電子書籍化! -
月曜のこない部屋
もう消えたい。 でも出たい。 就職難・8050・家族クライシス 孤独と焦りを抱え続ける146万人のひきこもり。 ひきこもり支援施設RS(リアルステップ)で 交錯する、家族の闇と再生の物語。 ベストセラー『看守の流儀』の著者が、 家庭の内側に迫る社会派ドラマ! 【著者からのコメント】 「ひきこもりが長く続く原因は家族にある」 ひきこもりの取材と膨大な資料から 何度も感じたことです。 「ひきこもりというのは、 ひきこもる当人だけをいうのでなく その家族も含む」 「家族の心も当人と同じように ひきこもっているのではないか」 いろいろな方の話を聞いてそう感じました。 本人と家族をがんじがらめにしつづける 固定化した関係とは、 いったいどういうものなのか? これを溶かして、もう一度時間を動かすには、 どうしたらいいのか? 希望の物語だからこそ、きれいごとを抜きにして、 あえてザラザラした世界を描きました。 そうでなければ、現状を変える本当のヒントは 見えてこないと思ったから。 この物語が「出口のない穴でもがいている人々」の 何かのきっかけになってくれたらと 心から願っています。 【あらすじ】 ひきこもり支援施設「リアルステップ」で 働く矢島宇宙は、新人の栗本日菜子とともに、 依頼された家を訪ね、当事者を説得し、 社会復帰への道を探る仕事をしている。 ある日、疲れ果てた様子の女性が 施設を訪れる。 総合病院に勤めていた息子・敦司が、 5年前からひきこもっていて、 母親の服を切り刻む行動まで始まったという。 矢島は手紙や電話で敦司との接触を試みるが、 応答はない。 栗本とともに自宅を訪ねると――。 プロローグ 第一話 即興役者 第二話 ロスジェネの落武者 第三話 どこまでも王子 第四話 生き埋め二十年 エピローグ -
オランジェット
第一歌集『はるかカーテンコールまで』で現代歌人集会賞と高志の国詩歌賞を受賞した著者の第二歌集。 海に架かる橋はたてごとその弦をつまびく指をゆめみて待たず 「笠木拓という作者は、こんなにもふとぶとと言葉と命を太らせ、命がけで言葉の「遊び」を尽くそうとしている。怖いな、と思う」(川野里子) 「しずかで、時に大胆で、繊細で、そして果敢な戦いの歌。笠木さんの世界には、この時代を生きる人の言葉が現実と切り結ぶ、吹きぬける風のような精神がある」(黒瀬珂瀾) 「どうがんばったって、世界は悲しい。だが、悲しい世界を生きていくとき、その悲しさを自覚していることは強さだと思う」(初谷むい) 【収録歌より】 濃くうすく色づきながら夏空は慣らし保育のように暮れゆく きみといるといつもかもめが背景を奥へゆく なぜかな さよなら てのひらに立てたるあわで面の皮すなわちメンズBB落とす においから桜はひらきこの星にいつか途絶える観測史あり うつつにもゆめにもひとのおもかげのたちあおいたちあおいたそがれ 【栞】 川野里子「命がけで「きょじつひまく」を「遊ぶ」ひと」 黒瀬珂瀾「風土から心の風へ」 初谷むい「ハンドメイド・タンカ・ワールド」 【目次】 Ⅰ くす玉 ちゃんと呪いだ 銀河のほとり ゆめかようみち 愛から醒めて ゆきすぎる Ⅱ B is for 馬手に鰭、弓手は翼 Ⅲ 銀の靴 はなふるなかはてをおよがせて カピバラまんじゅう/地魚十貫 薄ら氷 可能世界のちいさなブーケ 方舟 アドベントカレンダー 幕間 Ⅳ 思い出の灰が咲くまで 奈落にてきみと甘露を Ⅴ machine washable 私淑 七つ目の道 きときと 空音 airport fiction 春の歌 【著者】 笠木拓 1987年、新潟県糸魚川市生まれ。石川県野々市市で育つ。歌集『はるかカーテンコールまで』(港の人、2019年)で第2回高志の国詩歌賞、第46回現代歌人集会賞。富山市在住。 -
無音 忌み語を紡ぐ町
那月がD県十櫃町に帰ってくるのは、14年ぶりのことだった。電車から降りた瞬間、背がひやりとした。この町には忌み語が多い。たがい違い、アカンボ、くっつく・・・・・・そしてタカシマサキ。那月が中学時代の同級生の名、鷹島咲も忌み語のひとつだった。彼女の死を皮切りに原因不明の自殺が続いた事実と、その葬儀で聞いたおかしな声を今でも忘れられない。「ひーい」・・・・・・この世のものとは思えない、その声を。いちばんの気がかりは再婚相手の名字になり、娘の名前が「タカシマサキ」になったことだ。忌み語なんて迷信。そう思おうとしても、あの声が今でも聞こえてくる。「ひーい」・・・・・・。 娘の異様な言動が増え、いつしか笑顔が消えた。夫の不在、母の呪詛、元夫のモラハラの記憶、どんどん大きくなるお腹・・・・・・この町は私を追い詰める。「ひーい」・・・・・・。 呪いは、暴走する――。 【著者プロフィール】 櫛木理宇(くしき・りう) 1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を、 同年、『赤と白』で第25回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。他の著作に依存症シリーズ、『死刑にいたる病』『氷の致死量』『虜囚の犬』『鵜頭川村事件』『少年籠城』『死蝋の匣』『ふたり腐れ』『七月の鋭利な破片』『鬼門の村』『氷河期のゴミ』など多数。 -
春、出逢い
正反対のふたりが目指す、三十一文字に賭ける夏。 「私はあんたなんてすぐに追い抜いてやるから」 ライバル心、淡い恋、熱い友情ーー青春ぜんぶ短歌に込めて。 『春、出逢い』につらなる、みずみずしくて王道の部活小説! 中学から文芸部で、ずっと短歌甲子園に憧れてきた東雲菜海。短歌への熱意には絶対の自信を持っていた。いっぽう、自分の好きなようにずっと一人で短歌を作っていたという、天真爛漫な神安海禾。そんな二人が、星澤高校文芸部で一緒に戦うことになる。かけがえのない日々を一秒もあまさず短歌に詠みあげる、彼女たちだけの青春。 物語を彩る、宮田愛萌さんによるオリジナル短歌を約六十首収録した、著者入魂のシリーズ第二弾! カワセミは飛ぶ一羽でもまっすぐに 人は一人でまっすぐ飛べない -
愛する男
いつしか孤独を抱きしめていた―― 誰にも知られず、思い出されることもない。 真に孤独なそのひとは、けれども愛を知っていた。 「俺が好きになった人は、みんな死ぬんじゃないか」 数奇な運命を背負った青年が絶望の果てに見出した、究極の「愛」とは。 魂をゆさぶる衝撃作! そのひとの孤独を、誰も知らない。 愛らしい顔立ちの赤ん坊は、生まれてすぐに母を喪った。立て続けに祖父母を亡くし、父も死んだ。養護施設で育ったその少年・中川宙希は、聡明な友人や心優しい大人たちに囲まれ、愛情を注がれ、大きくなる。だがひとたび宙希が好意を抱くと、彼らは死んでしまうのだった。 やがて愛することを恐れるようになる宙希。それでも数々の出会いが宙希に訪れ、その愛はただならぬ気配を帯びていく――。 -
霧に貌
第一歌集『湖とファルセット』で現代歌人協会賞&現代歌人集会賞をW受賞した著者、待望の第二歌集。 蜘蛛のようにあなたを好きで眼球にあぶら波打つ日の暮れだった 【収録歌より】 鐘みたいにからだぜんぶを震わせてみたい おおきな前歯を見せて 鈴の音の絶えてしずかな冬の田に白磁が産んだ白磁のこども 鳥の胃に溶かされてゆく青虫の暗いあおぞらいちどっきりの ながく待つことの寒さの対岸に石の扇をふる手がみえる 小神殿(エディキュール) ねむるあなたの口腔に永久歯あり書物のごとく 【目次】 Ⅰ ぬるい水 輪唱 結露 一輪車 襖 解析 氷河 雪は裸 夏の昼と夜と朝 仏間 虫みたいに胸を 長者ヶ森 夏の離島 二重跳び 塩壺 Ⅱ 公民館 構想 誤飲の秋 牛と鏡 兄の名前 Ⅲ その沼へ ひかる首輪 砂と箱 砂を吐く わらいはじめる 口蓋垂 歯を見せて 霧に貌 黒い鳥居 海の無言、空の無言 綺麗な縄 改札 あとがき 【著者】 田村穂隆 1996年生まれ、島根県出身。「塔」所属。第一歌集『湖とファルセット』(現代短歌社)で第48回現代歌人集会賞、第67回現代歌人協会賞を受賞。 -
営繕かるかや怪異譚
「家に興味がない、ということは、自分を守ってくれる場所に興味がない、必要ない、ということと同義です」建物にまつわる超自然的な現象を解決するため、営繕屋・尾端は死者に想いを巡らせ、彼らを鎮めるための方法を導き出す。恐怖と郷愁を精緻に描く、建築怪談シリーズ第4弾!単身者用の集合住宅に住む拓史は、工事現場でスマホを見つける。呼び出しに応じると、雑音に交じり男の声が。以来、耳障りな雑音が聞こえ、人影を見るように。(「忍びよる」)文美は上司から覚えのない嫌がらせを受ける。家では「内神様」が祀られ、亡き祖母と文美だけが暗がりに蹲る黒い「猿」を視ていた。やがて猿は職場にも現れる。(「迦陵頻伽」)仲川はギャラリー用に幽霊屋敷と呼ばれる廃屋を買う。リフォームを依頼された稲葉が、柱に打ち付けられた藁人形を大量に発見すると、仲川は人形を残そうとする。(「鉄輪」)他、全6篇を収録。 -
贄の森
エドガー賞、ブラム・ストーカー賞ファイナリスト 親友の結婚パーティのため、しぶしぶ故郷の寂れた町に戻ってきたリズ。そしてパーティの夜、親友の娘が会場の森で姿を消した。それはリズのトラウマにも関わる過去の事件と酷似しており、恐怖したリズは独自に捜査を開始することに。やがて、この地に潜む恐ろしい秘密が明らかになるのだが……。解説/杉江松恋 -
羽と風鈴
第三回笹井宏之賞染野太朗賞を受賞した著者の第一歌集。 それぞれの羽を揺らして風鈴はひとつの風に音を合わせる 眼差しはあくまで低く、しかし深く、表現は抑制的に。嶋さんの歌はそんな風にして作られている。それがチェーホフと似ているのだ。(大辻隆弘) 拡散と収斂が進行形で同時に発生しているようなこの日々のありようを、まるでひとりきりの測量士のように見つめる歌集。(小島なお) 歌集のどの歌についても、言葉を尽くして誰かと語り合いたくなる。一首の静謐で理性的な質感や調べに、むしろ心をあたためられたような気がした。(染野太朗) 【収録歌より】 地上までまだ少しある踊り場に桜の花が散らばっていた 乗り過ごして何駅目だろう菱形のひかりの中につま先を置く 開かれて窓の格子に吊り下がるビニール傘が通路に光る 白球がいま打ち上がる公園のヒマラヤスギの背丈を越えて 屋久島の森に置かれたマイクから配信される雨音を聞く 自動車の赤いランプの連なりが橋の終わりでほどけ始める 【目次】 羽と風鈴 大きな窓のある部屋に 四辺系 逆光 白い砂丘 常磐道 風吹く午後 伊勢湾 夏の辞令 立てかけてある 林試の森 長崎 異郷 多摩川 もっとも青い 草の匂いが 地上 灯す 思い出の色 【著者】 嶋稟太郎 1988年 宮城県石巻市生まれ。 2014年 短歌に触れる。「未来短歌会」入会。桜井登世子氏、大辻隆弘氏に師事。 2017年 未来年間賞(2016年度)受賞。 2020年 第3回笹井宏之賞個人賞染野太朗賞受賞(「羽と風鈴」50首)。 2021年 第64回短歌研究新人賞次席(「大きな窓のある部屋に」30首)。
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