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作家・姫野伸昌は妻・小雪の死を境に酒浸りだったが、突如周りで不可思議な現象が起き始め、やがて自身の肉体がプラスチック化し脱落し始める。姫野は天罰と直感するが、しかしなぜ? 微かに残る妻の死の記憶──。読者に挑戦し、挑発する先の読めない展開、圧巻のノンストップ問題作1400枚超!!
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Posted by ブクログ
この方の作品は結末が曖昧だったり、読み手の解釈に任されていたりモヤモヤすることが多いのだけど今作についてはなんだかその曖昧さも含めて不気味な雰囲気が作品全体の印象とマッチしていて良いと感じた。
これは・・・。 また一気に読み切ってしまう白石一文作品。 こんなに長くて重くて登場人物がたくさん出てきて意味がわからないのに、一晩二晩で読み切ってしまうのは何故なんだろう。 白石一文読んでる〜〜〜〜〜ってワクワクしながらもうページすっ飛ばす勢いで読んだ。ただ今回のラストはなんだか完全に煙に巻かれたよ...続きを読むね。 残りページ数少ないけど終わる気配ないよなと思ってはいたけれど。 まとめ・・・なかった!って感じ。堂々とまとめなかったな。 ちょっと笑ってしまうくらい突拍子ないSF描写が多めで、白石一文にしては珍しいかなという印象。 突然体の一部がプラスチック化する、主人公で作家の姫野信昌。数年前に「死んだ」妻の小雪。 いくつかの不思議な出来事をきっかけに、彼は自分の記憶の不確かさに気づき、本当の記憶を求めて旅をする。 やや謎解きミステリの様相。 記憶を捻じ曲げて自らのアイデンティティを揺るがしてまで、彼が忘れなければならなかったこと。とは。 彼にとっての「小説家」とは。 記憶と、事実。 ”たとえ一つの”不動の真実”が、その場その瞬間に存在したとしても、それを眺めている人々の記憶は、事実が起きた直後から各者各様に観察され理解されて一人ひとりの”憶えたいように”憶えられていく。” 過去はそれぞれの記憶の中にしか存在しない。それぞれの記憶の中に、普遍的な事実など存在しない。 語られない歴史が存在しないことと同じかな少しフェーズが違うかな。 自分が事実だと思っている過去が揺らぐと、こんなにアイデンティティが揺さぶられるのだなと考えさせられた。 自らのアイデンティティとは。自分とは。世界とは。真実とは。記憶とは。 それにしても、白石一文の小説によく出てくる、主人公の男性に付き従って色々と面倒を見てくれるのに、けっして男女の関係にはならない女性たち、なんなんだろう。 現実感なさすぎてそこがいいのだけど。男性の夢かしら。 私の中のフェミニストの部分はたまに氏の小説に対して強い嫌悪感を抱くことがあるのだけど、それでも私はなぜだか氏の小説がとても好きなんだなあ。 ・はいはいバブリーバブリー。 ・ローカルというか地域ネタがくどいくらい細かくて好きです。やたらと日本全国に住むよね。旅するよね。私は白石一文氏と同じく福岡出身なので、福岡ネタ好き。あとは東京の今住んでるとこの近くも出てきてなんか変に親近感。 ・近親相姦ネタ本当に好きですよね。私も好きです。 ・作家ネタ編集者ネタも好きですよね。私も好きです。 ・突然無理やりマジで唐突に反原発論ねじ込みますよね。好きです。
自分の認識が世界を作り上げている。 プラスチックというある意味軽くて今風なモチーフを使うことによって、吹けば飛ぶような己の存在や世界の軽さを表現したものか。 存在の残滓は残っているものの死んでいなくなった妻とそこにまつわる記憶をめぐる物語は二転三転して面白かったが、そのまま話を進めないのが評価の別...続きを読むれるところか。
読後感が不気味、面白い、興味深い、消化不良...なんとも言葉で表現できない、様々な感情が混ざり合って、気持ち悪い作品だと思ってしまいました。 ストーリーもSFのような、推理小説のような... ところどころ、主人公に語らせる認識論的な話や、存在そのものについての見方が、自分のアイデンティティを揺るが...続きを読むされるようで恐ろしい、気味悪いと感じてしまうのかもしれません。 ラストも、えっこんな終わり方なの!?と驚くようなエンドです。もやもやが残ります。 また読みたいかと言われると疑問ですが、印象的な作品であることは間違いないです。
五年前の秋、かかとのプラスチック化を初めて見つけたとき、これは天罰だと直感した。 ーあんな形で小雪を失った当然の報いに違いない。 そう確信した。
体がプラスチック化する。それが、ある日ポロリと取れる。 どんよりした気分や悲しい気分も同じように固まってポロリと取れてスッキリすれば清々しいんだろうにね〜。
本当にキツイときの記憶が失われたり、過去の思い出を友人と語ると食い違うということは実感としてわかる。 そういった齟齬を突き詰めて作品化した大作。 ラストの収束も含め、観測・認識されないものはプラスチックであるというテーゼは量子力学の観測問題のよう。
うーん。 長文だった。早く終わらないかなぁ?と読み進めると、え?え?え?の展開へ。 なんだかメビウスの輪みたいな話。 ちょっと苦手。
白石一文さん大好きで、たくさん読んできたけど、本作は、主人公が小説家で、福岡の名門公立高校出身であり、父親も作家(しかも”いちろう”の部分が自身の父と一致)という部分など、作者の来し方と重なる部分がいつになく多く、ファンとしてはそそられるものだった。 主人公は妻を亡くしてから記憶が錯綜していて、それ...続きを読むを解明していくような物語。”プラスチック化”っていうのがちょっと、SFぽくて文学的じゃないなぁ、なんか、しっくりこないなぁと思いながら読んだけど、なるほど最後まで読むと、なんかつまり、この「世の中」や、「小説というもの」が、無機質な、プラスチックのようなもの…っていう意味が込められているのかな、と思いました。それをただのプラスチックではない、温度のあるものに変えるのは、日々を生きている、私たちの意識…? 作家が小説の中に取り込まれているような妙な感覚が、とても読み応えがありました! でも非科学的な方法で癌細胞を消したり、病気を念力で治す、みたいなのってあんまり好きじゃないなぁ。他の作品にも余命宣告をされた主人公が西洋医学に頼らず自力で癌を消してしまう、っていうのがあったけど、そういうのって文学的要素よりオカルトっぽさが強調されてしまうので好きになれないな。でも、白石一文作品で私が最も好きな作品の一つである、「私という運命について」だって、オカルトっぽさが充分にあるので、白石一文作品には「科学では説明のつかないもの」って必須なのかも。 いつも、運命というか、人って自分ではどうにもならない何かに生かされているんだなということが感じられて、ドキドキして好きです。 やっぱり「私という運命について」と「ほかならぬ人へ」と「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」が好きだな。
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