レテの汀

レテの汀

小説・文芸
2,090円 (税込)

10pt

それは、私の人生をもう一度、
歩き出すための旅だった。

東京郊外の大きな家で、ひとり暮らしをしている柑(かん)。なるべく人付き合いを断ち、規則正しく無機質な日々を送っているが、ある思いを胸に、亡き母の故郷である与那国島を訪ねることを決意する。それは、柑自身も覚えていないほど幼い頃に犯した、大きな罪と向き合うためだった。しかし思いがけず、小学6年生の甥っ子・伊吹もついてくることになり……。忘れられない痛みを抱えながら生きていく、すべての人に贈る物語。

【装幀】岡本歌織(woven tale)

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    講談社
  • タイトル
    :
    レテの汀
  • タイトルID
    :
    2170413
  • ページ数
    :
    160ページ
  • 電子版発売日
    :
    2026年02月18日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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レテの汀 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    優しさが人に与える影響を知れる小説。

    3歳の時に芸術家の母が病で亡くなってしまう。
    そして時が流れ、なぜ母が亡くなってしまったのか。その秘密を知ることに・・・

    姉に息子の息吹の思考があまりにも優しく切ない気持ちが漏れる場面は、
    個人的には共感し辛く感じました。
    ・人は相手には興味がなく、自分のことを多く語る。
    ・またちょっとした一言で人の人生を左右する恐れのある怖さ。

    柑は自分が犯した罪との向き合い方に葛藤する姿は、自分自身でどのように向き合っていいのか本当にわかりませんでした。それでも現状に満足せずに変化を起こすための行動には尊敬を感じました。

    この小説からは、人それぞれ感じる部分は色々あると感じるいい小説でした。

    ありがとう。約束どおり、「感想に対する感想」として話すね。

    0
    2026年08月01日

    Posted by ブクログ

    インマヌエル。神は我とともにあるとは、私たちへの庇護であり、制約であると思っていた。同行者としての役に立たない神ではあるが、常に寄り添う神というのはとても印象的なテーゼだ。贖罪の物語、とても内省的で静かでピンと糸を張ったような素晴らしい物語でした。

    0
    2026年06月06日

    Posted by ブクログ

    湖永さん、こっとんさんのレビューを読み、とても気になっていた本書。

    原罪をテーマに描かれていて、哲学的でありながら文章の美しさも素晴らしく、読み進めるうちに気持ちが凪ぐような小説。
    装丁の美しさだけでなく、表紙、テキスト、フォント、空白など視覚的な印象すべてが物語の世界観にフィットしている。だから、心が落ち着いてくるのかもしれない。

    記憶にない罪を贖うというとてつもなく難しいテーマはまさに原罪を抱えて生きること。
    柑のように、家族から記憶のない罪を知らされた人だけでなく、原罪を抱えて生きている人は少なくないと思う。
    苦しみの中にいても、インマヌエル―神は私たちとともに在りつづける―ということが救いとなるという概念が少しわかった気がする。

    柑とエンマの会話は、不条理の罪を背負った人にとってわずかな救いとなるかもしれない。

    そして、柑が姉との対話を持つことができたことは物語の救いだったし、私にとっても救いだった。
    姉の粋夏の言葉
    「もしわたしが、母さんと同じ事故にあったら―(中略) わたしは伊吹を怒ったり、責めたりなんかしない。ただ、心配する。わたしのいない世界をちゃんと生き延びて、大人になれるのかって。それで、できることなら近くにいたいと思う。あの子の目には見えなくても、何もできなくても、ただずっとそばに」

    母を病で亡くして26年。
    ずっと母の死の責任を感じながら生きているけれど、またこの本に母からの言葉をもらったような気がする。

    0
    2026年05月31日

    Posted by ブクログ

    読み始めた瞬間にこれは自分の好きな作品だと直感しました。心をさぁっとさらわれるってこういう事かと。

    どこを読んでもこの表現好きだなと思いながら読み進め、気づけばずっと言葉を味わうように読んでいて、読み終わるのが本当に惜しく感じられました。
    静かな物語ですが、その分一文一文の重みが強く残っていく作品だと思います。
    この作品は、自我が生まれる前の罪への向き合い方が描かれています。きれいに割り切ることはできなくても、そのまま生きていく事への覚悟を感じました。
    読み終えたあとも言葉が何度もよみがえり、これからも繰り返し思い出す大好きな作品となりました。

    0
    2026年03月22日

    Posted by ブクログ

    この人の文章 本当に好き。

    宮地尚子さんの『傷を愛せるか』のテーマとも共鳴する話も描かれてて良かった。

    あと作中に出てくる
    本とか音楽の趣味が私と似てて
    地味に嬉しかった。

    0
    2026年02月28日

    Posted by ブクログ

    以下ネタバレ含みます。



    天才的な画家だった母を、記憶にない事故とはいえ、自分が殺してしまったことを苛む柑。

    慎ましく、求めない暮らしを続ける中で、彼は母の絵が飾られている与那国島の美術館を訪れようと決意する。

    そこに付いてきたのが、甥の伊吹だった。

    二人と一つの人形の旅を読んでいると、巡礼の旅という言葉を思い出した。
    目的地は決まっているのだけれど、そこに辿り着くまでに、自分の手触りを何度も確認し続ける柑。
    そして、そんな柑の側で、彼にガイダンスし続ける伊吹の存在が面白い。

    きっと、ミミズクは伊吹だったんだろうな。

    取り返しのつかない罪を、背負ってしまえば、誰かが下ろしてくれるわけではなくて。
    ずっとずっと、自分の中に、それは蠢き続ける。
    自分を暗く、照らし続ける。

    まるで、『こころ』の先生のように。

    伊吹は伊吹で、自分の言葉が他者に「影響」することが、唐突に怖くなってしまう。
    それも、少し分かる。

    そんな自分を、いつかの自分を、自分の中で切り離しながら、共にあり続けること。
    時間があるから、昨日と今日は、分けることも可能であるということ。
    そんな感覚的なものを、うまく言葉にしているなあとしみじみ感動して、星5をつけた。
    良かった。

    0
    2026年02月21日

    Posted by ブクログ

    3歳の時結果的に画家である母を殺してしまった柑が許せない自分自身と向き合い再生する物語。キリスト教の寄り添う神の姿が尊い。甥の伊吹くんの大人な対応と子どもらしい生き生きした様子に感心した。

    0
    2026年10月11日

    Posted by ブクログ

    主人公の柑は32歳。東京郊外の大きな家で一人暮らしをし、古本屋でアルバイトをしながら、人付き合いを断って淡々と暮らしています。

    心を閉ざす理由は幼い頃の事故で、天才画家だった母と、まだ胎内にいた妹を死なせてしまったという罪悪感でした。

    母が柑を産んだ年齢になった柑は、母の故郷・与那国島を訪れる決心をします。母の絶筆を見て、自分が損なってしまったものと向き合うために。

    ところが、小学6年生の甥・伊吹が旅に同行することになり、思わぬ二人旅が始まります。

    物語は本当に淡々と進み、大きな事件は起きません。それでも、すーっと引き込まれてページをめくる手が止まりませんでした。

    あれだけの覚悟で旅に出たのだから、柑はきっと変わるはず。そう思って読み進めましたが、柑は姉にこう言います。
    「与那国まで行っても、なにも変わらなかった。でも、行ってよかったと思う。なにも変わらないことに気づけたから」。
    ここまで引っ張って「変わらなかった」なのか、と一瞬、拍子抜けしました。

    でも、すぐに思い直しました。人はそう簡単には変わらない。真剣に向き合ったつもりでも変わらないことはあるし、簡単に変われるのなら、それはやはり物語の世界の話です。

    そして、変わらなくても、覚悟を決めて歩き出すことはできる。なかったことにしたい過去が消えなくても。

    柑が得たのは、苦しみが消えなくても、ひとりで苦しみ続けなくてよいという気づきではないかと思います。

    旅先で出会ったエンマは、キリスト教の「インマヌエル(神は私たちとともに在る)」という言葉を紹介します。それはまた、「同行する神」という意味でもある。
    同行することは苦しみを取り除くわけではなく、その意味で神は無力です。それでも、傷を癒すのではなく傷のそばにいてくれる。それは確かに救いなのだ、と。

    身に覚えのない罪をどう贖うのかという柑の問いに、この言葉が静かに響きます。
    ひとりだと思っていたけれど、そうではなかった。だから柑は「3歳の私といっしょに生きていく」と言えたのだと思います。

    自分を省みても、変わりたいのに同じところで何度もつまずき、分かっているのに変えられないもどかしさがあります。
    それでも、何かを知ることで、すぐには変わらなくても、内側に育つものがあり、それが未来の自分につながっていく。

    焦ることはない。変わることだけが、前に進むことではないのだから。
    静かに背中を押してくれる一冊でした。

    0
    2026年10月04日

    Posted by ブクログ

    ゆっくりと歩いてあげたい。リラックスとはまた違う、気持ちのペースを落としくれるような文体がとても良い。

    0
    2026年08月20日

    Posted by ブクログ

    これは生きていくのが辛い。こういう地獄のようなニュースはたまに見るが。お姉さんが親の立場からの意見を聞かせてあげることができたのが救い。そして難しい言葉が沢山出てきて日本語が美しい。よくこんな文章書けるな。

    0
    2026年07月06日

レテの汀 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    講談社
  • タイトル
    :
    レテの汀
  • タイトルID
    :
    2170413
  • ページ数
    :
    160ページ
  • 電子版発売日
    :
    2026年02月18日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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