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Posted by ブクログ
久々に文学を味わった気分。
臨時校舎──少女たちは戦火を逃れるため、疎開のようなかたちでそこに集められている。生活に不自由はないが、外の世界からは隔絶され、恋人とも会えない。
「あなたたちは幸せで、恵まれているのだと、まずは自覚してください」
「この状況下にもかかわらず、静かな安全地帯で、何不自由なく学びに打ち込むことができるなんて、通常なら考えられないことです」
やがて、生徒たちのあいだに「森をひらく」という遊びが流行り始める。むせ返るような、青々とした森。文字通りの森。自分だけの空間に、彼女たちは思い思いの森をひらく。森は大人たちには認識できない。
現実の私たちは、戦禍に見舞われてはいない。でも、国家や会社、学校や大小のグループといった、制度や支配の中を生きている。私たちは安全や安心の代償として、みずからの自由を差し出す。不自由を呪いながらも、そこそこに快適な日常を維持するために、支配に甘んじて日々を送っている。
支配といっても、自由がないわけではない。デスクトップを飾る推しの写真。仕事帰りの電車でプレイするスマホゲーム。週末限定のネイル。学校の外に出てから短くするスカート。ままならない現実の中で、そこだけは自由に遊ぶことのできる庭。それを作者は物理的な森として描いている。
ネット上のレビューを読んでいて、「結婚(マリアージュ)が何なのかわからない」という意見を多く見た。でもこれは文学なので、自由に想像すればいいと思う。たとえば上に書いた推しの壁紙のデスクトップだったら、偶然それを見た同僚に「じつは私も好きなんです。今度一緒にライブ行きませんか?」と誘われたりとか。これはひとつの結婚と言っていいのではないだろうか。
Posted by ブクログ
自分の好みにピタっときたおはなしでした!
森の解釈が自分の中で読み進めるごとに揺れていったのですが、揺の怒りが表面化したシーンで、自分の中でストンと落ちました。自分は怒っていいのだろうかっていう気持ちはすごく共感したし、怒りだけじゃなく感情ってすぐには身体に馴染まないというか、一種の防衛で自分を入れ物にして自分を眺めてるかんじ。でも自分の気持ちは自分で決めていいんだよね。わたしを私の中に落とし込んで、感情ジェットコースターになったりしつつ、森をつくりながら私は私の中にいたのね、って気づく。読みながらきっと私が森をつくるとしたら、ごちゃごちゃしてるだろうなあと思いました。ハウルの部屋みたいなかんじになりそう…
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小説・文芸
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