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15歳、一生忘れられない人に出会った。
『ふたりを誰よりも深くむすびあわせ、同時に破滅をもたらしたもの。
それが、セックスだった。』
17歳で「女による女のためのR-18文学賞」で鮮烈なデビューを飾った雛倉さりえ。あれから6年たった今、満を持して刊行する衝撃作。
高校受験のために勉強に励む冴は、学年で2位を誇り、クラスの中で近寄りがたいと浮いた存在。ある日、クラスの女子に掃除当番を押しつけられた冴は、学年トップの土屋くんと教室で二人きりに。受験のストレス、クラスで浮いた存在、姉へのコンプレックス、様々な鬱屈が絡み合い、好きでもない、ただそこにいただけの土屋くんにキスをしてしまう。二人は、その後、学校や家の人に隠れて逢瀬を重ね、危険な遊びへ身を投じていく。二人に切なすぎる結末が待ち受ける。
刊行前から話題騒然。3月よりデジタル少女漫画誌「&フラワー」でコミカライズ連載開始。4月よりCanCam.jpでも大型試し読みを予定。装幀写真は今、話題沸騰の写真家、岩倉しおり氏。(2019年4月発表作品)
Posted by ブクログ 2024年01月27日
十代の、恋愛とも呼べないような性の熱。あの頃特有の渇き、脆さ。友達には話せない、ひっそりと心のうちに秘めた激情。大人になると忘れてしまう感覚を、鮮やかによみがえらせてくれる作品。
短編『ジェリー・フィッシュ』を読み終えたあとの、胸を掻きむしられるようなせつなさを、この『もう二度と食べることのない果実...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年04月12日
中学三年生、多感なあの時期。
繊細な感情の波、
家族や友人との関係、その中にある自分の位置。
随分前に通り過ぎた年齢なのに
読んでいると心がその頃に引き戻されて
胸がキュッとなります。
苦しい、でもない…甘くもない。
ただ、締め付けられる気持ち。
懐かしさを感じました。
私はすごく引き込まれまし...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年02月07日
綺麗に終わった恋、醜く終わった恋、蒸発するように消えた恋。どんな別れも、もう味わうことはできない。
届かない代わりに消えない、あの日常。
渇き、熱を帯びた疼き、崩れゆく脆さ。
薄昏く、消えそうに儚く、そして、ほわほわと光っている物語でした。
とっても好み。
時が経ち、この渇きを忘れた頃に、もう一度...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年02月14日
雛倉 さりえさん、初読み。
「女による女のためのR-18文学賞」を機にデビューされた1995年生まれの作家さん。
本作の主人公は高校受験を控えた15歳の冴。
成績こそ学年2位でありながら、心の中には姉や友人へのコンプレックス、両親への承認欲求を隠している。
受験勉強だけの満たされない毎日の、救...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年05月11日
うん。すごかった。
本の中の世界は、青色でも緑色でもないような
グレーが少し混ざったようなドブのような色。
一度入ると抜け出せない世界。
一気に読んでしまわないと
自分のこの現実の世界にもそのドブ色が
侵食してきそうな感じがして、
一気に読み進めました。
大人でもない、かといって子供でもないあの時期...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年05月06日
恋と呼ぶには あまりにいびつで
愛と呼ぶには あまりに早熟で
危う過ぎるその手を けれども取った人は
弱くても 愛だったのかもしれない
恋だけでは 呼吸はできない
優しさは淡くも儚い泡のよう
だから夢みたいな恋は いつか終わるもの
目が覚めたら 日常は寒くて 冷静だった
いつも通りの日々を...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年04月28日
主人公が
キスとセックスにのめり込んでいく過程も
そこから何事もなかったかのように
日常へ戻っていく過程も。
そうして劣等感に苛まれていた姉への
鬱屈した思いの瓦解も。
まるで昭和のよう。
そうして目新しさのない予定調和。
要するに最後まで驚きはなかった。
ただし。作者の文章力は本物だと思う...続きを読む
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