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乳母車・最後の女 石坂洋次郎傑作短編選
戦後、一世を風靡した大流行作家・石坂洋次郎。小説『青い山脈』は映画化され、1949(昭和24)年に封切られると同時に大ヒットし、その主題歌とともにほとんど戦後民主主義の代名詞と見なされるにいたりました。以後、石坂原作の映画が封切られない年は、1960年代後半までありませんでした。それほどの流行作家だったのです。しかし、70年代に入るやいなや、その流行はあっという間に衰えてしまいました。かつて『青い山脈』を明朗健全であるがゆえに評価し、暗くなりがちな戦後に爽やかな風を送ったとして称賛した読者が、こんどはその明朗健全さに飽きてしまったのでしょうか? いずれにせよ、石坂は「忘れられた作家」のひとりとなりました。しかし、石坂には、明朗健全以上に重要な特徴があると編者の三浦雅士さんは言います。それは「女を主体として描く」という特徴です。主人公と言わずに主体と言うのは、女は主人公であるのみならず、必ず、主体的に男を選び主体的に行動する存在として描かれているからです。女は見られ選ばれる客体である以上に、自ら進んで男を選び、男に結婚を促し、自分自身の事業を展開する主体なのです。明朗健全な爽やかさはこの主体的な女性が結果的に醸し出すのであって、逆ではありません。この特徴に誰も気づかずにいたのは驚くべきこと、「明朗健全なるがゆえに売れっ子となり、またそれゆえに忘れられた作家」などというのがいかに浅薄な見方であったか、いまや思い知るべき時が来たと三浦さんは説きます。かくして選び出された「女性の主体的な生き方の最終的な姿を示してほとんど常識を覆す域に達している」短編9編。いまこそふたたび石坂作品の魅力を多くの読者に知ってほしいとの思いから選ばれた傑作です。 -
窓の外を見てください
江國香織さん、陶酔! 小説風に書くと、“「革新的? 確信犯的? なんといっていいかわからないわ、でも、すみずみまでほんとうにおもしろい」と香織は言った。「小説のなかで何度も発生するのね、小説が」そう続け、「それにしても、きび団子」と感に堪えたように呟いて、「こんな小説、片岡義男にしか絶対に書けないわ」と、幸福そうなためいきをついた”のでした。デビューしたばかりの青年作家・日高は、勝負の2冊目執筆のため、かつて親しかった3人の美女を訪ねようと思い立つ。その間にも、創作の素材となる出会いが次々に舞い込んできて……。小説はどのように発生し、形になるのか。めぐり逢いから生まれる創造の過程を愉しく描く。瑞々しい感性を持つ80歳の“永遠の青年”片岡義男、4年ぶりの最新長篇。 -
ミッテランの帽子
舞台は1980年代。時の大統領ミッテランがブラッスリーに置き忘れた帽子は、持ち主が変わるたびに彼らの人生に幸運をもたらしてゆく。うだつの上がらない会計士、不倫を断ち切れない女、スランプ中の天才調香師、退屈なブルジョワ男。まだ携帯もインターネットもなく、フランスが最も輝いていた時代の、洒脱な大人のおとぎ話。 -
ザ・シークレット 人生を変えた人たち
理想の仕事、恋人、家族、富、健康--。あなたが望むものならなんでも、現実に引き寄せる「ザ・シークレット」。その秘密が世界に公開されて以来、夢を叶えてきた何百万という人たちの中から、著者のもとに寄せられた特に奇跡的な体験を紹介。彼らはどう「ザ・シークレット」を使ったのか。人生に奇跡を起こした人たちの本当のストーリー。次はあなたの番です! 【もくじ】 第1章 私はどのようにお願いし、信じ、そして受け取ったか:創造のプロセス 第2章 幸せのために「ザ・シークレット」をどう使ったか 第3章 富を得るために、「ザ・シークレット」をどう使ったか 第4章 人間関係を変えるために「ザ・シークレット」をどう使ったか 第5章 健康のために「ザ・シークレット」をどう使ったか 第6章 仕事のために「ザ・シークレット」をどう使ったか 第7章 人生を変えるために「ザ・シークレット」をどう使ったか -
ふたつの海のあいだで
ティレニア海とイオニア海を見下ろす場所に、かつて存在した《いちじくの館》。焼失したこの宿の再建を目指す祖父と孫を中心とする数世代にわたる旅は、時に交差し、時に分かれて、荒々しくも美しい軌跡を描いてゆく――。豊饒なイメージと響き渡るポリフォニー。イタリアの注目作家による、土地に深く根差した強靱な物語。 -
機龍警察 狼眼殺手
経産省とフォン・コーポレーションが進める日中合同プロジェクト『クイアコン』に絡む一大疑獄。特捜部は捜査一課、二課と合同で捜査に着手するが何者かによって関係者が次々と殺害されていく。謎の暗殺者に翻弄される警視庁。だが事態はさらに別の様相を呈し始める。追いつめられた沖津特捜部長の下した決断とは――生々しいまでに今という時代を反映する究極の警察小説シリーズ、激闘と悲哀の第5弾。 -
評伝・河野裕子:たつぷりと真水を抱きて
平成の与謝野晶子とも譬えられ、恋や家族を高らかに歌い上げた歌人が他界したのは2010年8月。だが没後「河野裕子短歌賞」が創設されるなど、その評価はますます高まっている。 夫の永田和宏や娘の永田紅などによって、家族の肖像は多く明らかになっているが、今回その息子が初めて母の生涯を丹念に描いた。 誕生から幼少期を過ごした熊本時代、精神を病みながら作歌に目覚めた青春時代、永田和宏との出会いと結婚、多くの引っ越しを重ねながら子育てに勤しみ、短歌にも磨きがかかった時代、アメリカでの生活や晩年の闘病、そして最期……。 これまで未発表だった日記や、関係者への取材を通して明らかになる歌人の日々から、著者は新たな作家像を浮かび上がらせる。精神を病みながらも、同姓だった無二の親友と築いた文学的信頼関係。しかも彼女の自死。また最期を看取りながら病床で一首一首を口述筆記した様子は、読む者を深い感動へと導いていく。 対象への距離感と親子の親密感とがみごとに融合した、評伝文学の傑作である。 -
見えざる敵
「ゴシップガール」著者、絶賛!! 全世界同時発売!! NYタイムズベストセラー作家新作!恋と裏切り、欲望と嫉妬が渦巻く、青春ガールズ・ミステリー。 夢をつかむためなら、どこまで許される? あらゆる成功をつかめる街、LA。その街で今をときめく“アイコン”、マディソンがある夜失踪した。容疑者はリッチなクラブに出入りする10代の3人――夢を叶えるためにきわどいゴシップサイトで金を稼ぐライラ、自分を捨てた父親を見返したい、アーティスト志望のトミー、厳格な家庭で育てられた女優志望のお嬢様、アスター。マディソンはこの中の誰かに殺されたのか? -
さよなら、ママ
コリーナはワシントン郊外に住む13歳の女の子。いたって普通のはずだったのに、コリーナの世界はある夏を境に突然崩れてしまった―そう、ママがガンで亡くなってから。悲しみで抜け殻みたいになったパパ。何事もなかったようにふるまう友だちもいれば、無神経な言葉を投げつけるクラスメートもいる。がんばって普段の生活を続けようとするけれど、ふとした瞬間にママを思い出して、涙が止まらなくなったりする。恋だってしたいし、おしゃれだってしたいのに、「ママがいない」ことが、コリーナの生活を変えてしまった……。母親を亡くしたひとりの少女が、心の痛みを受け止め、恋や日本への旅を通して悲しみを乗り越えていく姿を四季を通して追った、心せまる小説。対象年齢、10歳以上。 -
わが闘争(上下・続 3冊合本版)
世の趨勢につれ、亡霊のように消えては現れるヒトラー・ブーム。この無気味な現象は、いったい何を意味し、何を志向しているのか。その謎を解く鍵を秘めた本書、『わが闘争』。それは、独裁者ヒトラーの出現を許した混迷の政治風土と酷似する現代において、予想外の意味をもってわれわれに迫ってくる。ヒトラーが本書で語るその恐るべき政治哲学、魔術に近い巧妙な政治技術は、現代政治の虚構を見抜く有力な手掛かりとして、今なお多くの示唆を放っている。戦争体験のない世代が増えている現代において、若者はもちろんのこと、全国民にとって、批判的必読の書といえよう。本書は『わが闘争』上・下巻と『続・わが闘争』の3冊をあわせた合本版です。 -
世界で最初の音
41歳の桜井達也は鎌倉のカフェのオーナー。以前は違法のノミ屋と金融業を営み数億の金を手にして足を洗っていた。ある日、上京した際、チェロのレッスン帰りの女性・衣公子がひき逃げに合う現場に遭遇。達也がすぐさま彼女を病院に運び大事には至らなかった。実は衣公子の父は現役大物政治家。警察は達也を表彰しようとするが拒否され、さらに達也が関係していた暴力団員の落合が行方不明になっていることから、敏腕刑事の押田が調べはじめる。衣公子が達也の店にお礼を言いに来た。境遇の差を超え、ふたりは惹かれあっていく。だが、衣公子は愛人の娘で認知もされておらず、達也にも少年時代に犯した大きな罪という秘密があった。やがて押田の捜査は進み、落合の失踪に親友の矢田が関係している疑いも生まれてくる。己の消せない過去、親友への思い、そして衣公子への愛。達也は、衣公子の奏でるチェロを聴きながら究極の選択を迫られる――。 三浦友和氏、感動&絶賛! 「全編に無償の心が溢れている。これを映像で表現するのは至難の業だ。だからこそか、挑戦したくなった」 -
さよならを待つふたりのために
ヘイゼルは16歳。甲状腺がんが肺に転移して、酸素ボンベが手放せないまま、もう三年も闘病をつづけている。骨肉腫で片足を失った少年オーガスタスと出会い、互いにひかれあうが……。生きて人を愛することのおかしみや喜びをまっすぐに描き、死をみつめながら日々を送る若者の生々しい感情をとらえた、傑作青春小説。 -
さすらい姫考
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 平安から中世にかけて、"家"のあり方が家父長制へと移りゆく頃、不慮の運命から、さすらいの旅へ向かう姫たち。さすらいの行く末に、結婚という新たな男系との接触が待ち受けるなか、彼女たちは「生きる」ために、運命にながされ、また抗っていく。『鉢かづき』『まつら長者』『しんとく丸』『をぐり』『源氏物語』『更級日記』という日本古典を題材に"家"と女の変革の"とき"をみつめ、同じ時間をいきる現代の"ヒメ"たちへメッセージを投げかける。 -
機龍警察 未亡旅団
チェチェン共和国から侵入してきた女性だけのテロリスト集団、『黒い未亡人』と特捜部との壮絶な闘いを描く至近未来警察小説。日本SF大賞&吉川英治文学新人賞受賞シリーズの最新第4弾 チェチェン紛争で家族を失った女だけのテロ組織『黒い未亡人』が日本に潜入した。公安部と合同で捜査に当たる特捜部は、未成年による自爆テロをも辞さぬ彼女達の戦法に翻弄される。一方、特捜部の城木理事官は実の兄・宗方亮太郎議員にある疑念を抱くが、それは政界と警察全体を揺るがす悪夢につながっていた――世界のエンタテインメントに新たな地平を拓く“至近未来”警察小説、衝撃と愛憎の第4弾。 -
王朝百首
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 百人一首に秀歌はない――かるた遊びを通して日本人に最も親しまれる「小倉百人一首」(藤原定家・撰)にあえて挑戦、前衛歌人にして“現代の定家”とも称されたアンソロジスト塚本邦雄が選び抜き、自由奔放な散文詞と鋭い評釈を対置した秀歌百。『定家百首』『百句燦燦』と並び塚本美学の中核であると同時に、日本の言葉の「さはやかさ」「あてやかさ」を現代に蘇らせんとする至情があふれる魂魄の詞華集である。 -
一笑を大切に 大西高広 処女詩画集
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 TV、新聞などにも紹介された、話題の新宿路上書家(Calligraphy Street Artist)大西高広の心温まる作品(販売可、書、詩、絵)、路上エピソード、活動記録、写真、ファンの声などで編む詩画集。 ある人が僕に肩書きを考えてくれた。 Calligraphy Street Artist 日本語にすると「書道の街頭芸術家」と言ったところでしょうか。書道も独学、言葉も独学。ただ、路上で墨を磨り、色紙サイズの画仙紙に想いを込めた言葉を書く。そしてそれを買って頂くことを生業としています。 路上では、そこを通れば垣根なく、誰からでも見てもらえる。作品を書く僕と、見てくれる人との、生身のやりとりがある。 僕が伝えたい想い。 それは、仏教を信心する中で感じた「あたたかさ」。 その「あたたかさ」をひとりでも多くの人に伝えられたらなぁ。(本書「ご挨拶」より) http://www.rai0024.com/ -
ブルームズベリーふたたび
「人生のやりなおしがあり得ないぶん、自分のなかに出来上がっている枠組みは不動で、内なるレンズはすでに透明度を失っている。どれほど対象が新しかろうと、自分に備わった尺度で風景を切り取り、意味を与えがちである。…日常のなかにいるかぎり、それが繰り返される。日常の外に出るとき、わずかではあっても、自分の認識が揺さぶりをかけられる瞬間がある。立ち止まってレンズの曇りを払い、歪みの理由を探ろうとする。空間の旅が時間の旅へと転化し、外側の風景が内なる風景を照らすに至るのは、そのようなときである。カンヴァスを前に非日常の風景が必要なのは、自分の内側をより効果的に映し出すためではないだろうか」(夕映えの旅景)休暇を待ち切れぬようにしてトルコとクレタ島へ出かけ、ネパール旅行に加わり、ふた夏をイギリスのケンブリッジで過ごす。旅行の影の同行者はブルームズベリー・グループの人々、わけてもE・M・フォースター、ケインズ夫妻、ヴァネッサ・ベル…しかし旅とはついに自分自身との対話である。カトマンズであれクノッソスであれチャールストンであれ、旅先での出会いや出来事はおのずと自身の過去につながり、ときに思いがけない記憶が蘇る。この過去と重なる現在のなかで、著者は他ではあり得なかった自分を再確認する。まずは軽快に、そしてときに辛辣ときにユーモアを交えて、三つの旅はその意味を深めつつ転調してゆく。旅に重ね合わせて、軽妙にしかし力強く語られた個人史…本書はまぎれもなく第一級の文学的紀行=エッセーである。 -
小さな町で
フィリップは早すぎる死の一年あまり前から、パリの大新聞ル・マタン紙に短い物語を書いた。依頼したのはのちに劇作家になるジロドゥーである。「わずかな枚数のうちに人生の断面が、いやときには一つの人生がみごとに描き出されている。…貧困、不幸な恋、病気、老年、死――こうした暗い題材を扱いながらも、フィリップはどこかにとぼけたようなおかしみ、人生そのものの諧謔をしのびこませるのを忘れない。そのエスプリというか奇妙なやさしさ、人生を低い視点から、狭く限って、鋭く眺める、そこが日本人の感受性、美意識に合ったのではないか。」(訳者)小さな町セリイを舞台にした短編集28篇の全訳に『朝のコント』からの5篇を付した改訳決定版。 -
口笛吹きと音楽の犬
100年分のエモが詰まった青春音楽小説! 大滝瓶太は、口笛で大ボラを吹く 野心とたくらみに満ちたその音は、 声にならない祈りまで響かせてくる (作家・芦沢央氏) 音楽家は呪われている でも、不幸じゃない (口笛世界チャンピオン・青柳呂武氏) ・・・絶賛のコメント、続々!! あらゆる楽器を操る作曲家志望の秋と、口笛で世界を切り開こうとする春菜。芸大キャンパスで出会ったふたりが挑むのは、世界口笛コンクール――誰もが知っているのに、超マイナーな楽器の国際大会だ。クラシックからJ-POP、さらには映画音楽にボカロまで、ジャンルを横断した音楽がそこでは奏でられる。 〈きみにこの楽器を少しだけでも信じさせてあげる〉。春菜の言葉に導かれ、音楽家としての覚悟を決めようとする秋。しかし野望を秘めた前回大会覇者の登場で物語は思わぬ方角へ…… 『その謎を解いてはいけない』では本格ミステリを、『花ざかりの方程式』では数学SFを世に放った異形の作家・大滝瓶太の最新作は、“100年分のエモ”が詰まった新領域の青春音楽小説。 -
ジョヴァンニの部屋
ボールドウィン生誕100年 代表作を記念復刊! LGBTQ文学の傑作 アメリカで再注目されている黒人文学作家であり、マルコムX、キング牧師らとともに60年代公民権運動の中心的役割を担った思想家でもあるボールドウィンの生誕100年を記念し、代表作を復刊する。 小説の舞台は50年代のパリ。パリに遊学中のアメリカ人青年デイヴィッドは、婚約者ヘラが長期旅行で不在の間に、バーで知り合ったイタリア人男性ジョヴァンニと恋愛関係になり、ジョヴァンニの部屋で二人は同棲生活を送るうちに、デイヴィッドは封印してきた過去がよみがえり、苦しみを募らせる。婚約者ヘラが戻ってくると、デイヴィッドは自分の気持ちを押し殺そうとするが……。 「内なる自分と出会ったときの恐怖、罪悪感、喪失感をこんなにも激しく魅力的に描くことのできる作家がほかにいるだろうか。――いま、われわれの作品として大きく呼吸を始める」(金原瑞人「解説」より) -
天橋立物語 ~三年菊組ロリィタ先生~
その教師、人としてクズ、ロリィタじゃ最強! 「筋が通った生き方、この先生が教えてくれます!」(吉本ばなな) 国語教師・大石タネ。人としてクズ、ロリィタとして最強。 「下妻物語」竜ヶ崎桃子のDNAここにあり! 混迷の時代をレースの日傘でぶった斬る、痛快青春物語。 天橋立で知られる京都は宮津。のどかな観光地にある小さな私立高校に、臨時教師、全身ロリィタの大石タネがやってきた! 赴任早々、物議をかもしまくる彼女に何故かなつかれ、堂々ヒイキされるようになった姫山奈緒恵。 初恋、文化祭、進路、そして難病を抱える妹の瞑羅(くらら)とのこと……マイルールに生きる「ロリィタ先生」に振り回されながら、奈緒恵は、そして12人の生徒たちは、己の進むべき道を探っていく。 嶽本野ばら作家デビュー25周年記念長篇。 (底本 2025年11月発売作品) -
未来散歩練習
新しい世界を信じて夢見た 彼らが練習した未来へ 著者は、社会問題に独創的な想像力で対峙する、韓国で最も注目される新鋭作家である。 光州事件、釜山アメリカ文化院放火事件からの時間を、歩きながら思索し、つながりあう五人の女性たち。今を生きる・過去を理解する・未来を思うことを重層的に描く物語。 スミと幼馴染のジョンスンはホテルで会って話している。東京の大学院に留学し、仕事に追われる自分に不安になるスミ。ジョンスンは東京で結婚し離婚して、育児の悩みや経済的な苦労を抱える。スミはこの日の朝まで、親戚のユンミ姉さんと一緒にいた。ユンミ姉さんのことをしっかり記憶にとどめておきたいとスミは強く思う。 1980年代、釜山に住む中学生のスミの家に、刑務所を出た大学生のユンミ姉さんが突然やってきた。彼女がアメリカ文化院放火事件の実行犯の一人だと教えてくれたのはジョンスンだった。ある日、ユンミ姉さんがバスで光州へ行くと言い、スミが同行することになる……。 ソウルに住む作家の「私」は釜山を訪れた際、不動産を所有しながら一人で暮らす六十代の女性、チェ・ミョンファンと出会い、その生き方に刺激を受ける。そして、ずっと興味を持っていた釜山アメリカ文化院放火事件に、チェ・ミョンファンも遭遇していたと知り……。 釜山アメリカ文化院放火事件に関わる人々は「来たるべき未来を練習した人」とされ、「私」は現地周辺を歩きながら、当時の人々が何を思い、記憶し、来たるべき未来の練習をしていたか、息をするような等身大の感覚で肉薄していく。 「私」は『チボー家の人々』を心の拠り所にし、ジャックの存在を自身の内にあたたかく感じ取る。人々が練習した未来は今日に続き、悩みながら懸命に生きる読者一人一人と強い信頼を結ぶ。 -
こうふくろう
社会派ミステリの名手によるクライム巨編! 後味最凶の作家デビュー20周年記念作品! 2020年5月、大学生の芹沢涼風はコロナ禍の影響で息が詰まりそうになる毎日を過ごしていた。ある日、彼女が池袋の公園を訪れると、そこには同じように孤独に苛まれ、行き場をなくした者たちがいた。 血がつながっていなくても、戸籍上は同じ家族でなくても、強い絆で結ばれた「本物の家族」を作りたい――。涼風は親しくなった者たちと「こうふくろう」を立ち上げる。 しかし、いつしか想像を超えて巨大になった集団の内部では、日常的に犯罪行為が繰り返されるようになっていく。 不穏な日常、酷薄な悪い奴ら、鳥肌必至のラストシーン……これはあなたのすぐ隣にある物語。 人々の心に巣くい、世に蔓延る「闇」の根源を炙り出す、戦慄のクライム巨編! 「今までで一番ダークな作品になったかもしれません」(著者) (底本 2025年6月発売作品) -
砕かれた四月
「生者とは、生の許しを受けた死者にすぎない」 二十世紀初頭のアルバニア北部の荒涼たる高地。この土地を支配するのは「カヌン」と呼ばれる、先祖伝来の終わることのない復讐の掟である。兄の血を奪い返した山岳民の若い男ジョルグは、三十日間の休戦の猶予ののちに自らの死を待つ身だった。しかし、この土地を新婚旅行で訪れた作家の妻ディアナと、馬車の窓越しにただ一度視線を合わせたことで、ふたりは命を賭してその運命を交錯させてゆく――。伝説と神話の影をまとった悲劇の時空間が立ちのぼる、忘れがたく美しい叙事詩的散文。 現代のアルバニア文学を、そして世界文学を牽引したカダレの作品は、フランス語を筆頭に四〇以上の言語に翻訳され、ノーベル文学賞の候補にたびたびその名が挙がったが、作家は二〇二四年七月に惜しまれつつ八十八歳で亡くなった。カダレの創作全体を見渡す井浦伊知郎氏(アルバニア語学・翻訳)による解説を巻末に付す。 -
立秋
匂い立つ情感、大人の恋愛小説の極北。 諏訪湖の花火大会の日、光岡は駅に降り立った。漆工の涼子とのつきあいは十年以上になる。二人の生が交差したきっかけは、漆器だった。シンプルで控えめな佇まいと、官能的とも思える光沢に魅かれ、光岡は盛器を購入。伝統工芸展の入賞作品であった。 そして、精神の疲れをいやす旅で、塩尻・奈良井に赴き、光岡は漆器店で作者の涼子と出会う。若い涼子の漆器創作に刺激を受け、彼は、かつて文学賞を受賞したものの、挫折していた小説執筆を再開した。 以来、二人は造形や執筆の傍ら、時に二人で憩いつつ、深い想いを育んできた。 やがて、涼子は漆芸作家として、パリで開催される漆器二人展に招聘される。もう一人は、沈金や蒔絵の輪島塗りの男性作家だという。成功したパリの二人展を契機に、光岡は人生の秋期を意識するが……。 -
友
北朝鮮の市井の人々が描かれた文学を読む。 北朝鮮の市井の人々を描いた作品。 1988年に北朝鮮で刊行され、後に韓国で出版。さらにフランス、アメリカでも翻訳出版された。 アメリカの「ライブラリー・ジャーナル」で、2020年のBest Books翻訳文学部門の10冊に選出。 離婚を望む歌手である妻と、寡黙な技術者の夫。そして、その離婚の審議に当たる判事と、野菜の研究者として生きる妻。二組の夫婦の姿を軸に、地方都市の情景や、そこに生きる人々の心情を描く。 「北朝鮮の人が読む北朝鮮の文学とは何か? 1988年に出版されたペク・ナムリョンの小説『友』は、“北朝鮮”という言葉から思い浮かべるロケット弾や軍事パレードではなく、日常を呈している。〈中略〉 小説は、投機的なニュースよりも恒久的な事実を提供するかもしれない」 ――― New York Times Book Reviewより -
わたしのペンは鳥の翼
アフガンの女性作家たちによる23の短篇集。 書くことがこんなにも強靭な抵抗になるなんて。 この炎のような短篇集を読み、語り合うことで、彼女たちの命懸けの戦いにくわわろう。――柚木麻子 早急に、世界に届けられなければならない声がある。 そしてその声は、物語の力を借りて、何より強いものとなる。――西加奈子 どんなに過酷な現実が目の前にあっても私たちは描く。 ペンを持っている間だけ心は自由に空を飛べるから。――窪美澄 抑圧・蹂躙され口を塞がれた女性たちがペンを執り、鳥の翼のように自由に紡ぎ出した言葉の数々。女性嫌悪、家父長制、暴力、貧困、テロ、戦争、死。一日一日を生き抜くことに精一杯の彼女たちが、身の危険に晒されても表現したかった自分たちの居る残酷な世界と胸のなかで羽ばたく美しい世界。 アフガニスタンの女性作家18人が紡ぎ出す、心揺さぶる23の短篇集。 -
ゴルファーズ・キャロル
米国の人気作家が贈る感動のオマージュ小説。 1986年のアラバマ。開催中のマスターズで、J・ニクラウスが伝説の勝利を収める直前。40歳のランディは、テネシー川の橋から身を投げようとしていた。若かりし日、今は亡き父親から現実的に生きるように諭され、夢を諦めたランディ。幸せな家庭を築いていたものの、幼い息子を病気で亡くし、治療費による借金苦に陥った彼は、愛する妻とプロゴルファーを目指す娘のためには自分が死ぬしかない、と思いつめていた。そんな彼の前に、かつて共にプロゴルファーを目指し、事故で亡くなったばかりの親友の幽霊が現れ「4人のヒーロー、4つのラウンド」を贈るという。ボビー・ジョーンズ、ベン・ホーガン、アーノルド・パーマーら往年の名プレイヤーたちとの不思議なレッスンを経た先にランディが見つけたものとは…。 親子とは、夢とは、人生にもっとも大切なこととは――胸アツ法廷シリーズ『ザ・プロフェッサー』シリーズの著者が、80年代のゴルフシーンを背景にあたたかくファンタジックに描く、名作『クリスマス・キャロル』のオマージュ小説。 -
プルーストへの扉
ここからはじめる『失われた時を求めて』 2021年で生誕150年を迎えるマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』は、多くの人にとって「いつかは読んでみたい」「途中で挫折したけれど、もう一度挑戦したい」小説のひとつでしょう。3000ページからなり、500人の登場人物がいるこの作品を、プルースト自身は大聖堂に喩えています。圧倒的な大きさ、この上なく精緻な細部に、躊躇したり、読む気をなくしたりするのは無理もないことかもしれません。 この本の目的はただひとつ、そうした先入観を払拭することにあります。著者は斬新でわかりやすい3段階のアプローチで『失われた時を求めて』への扉を開いてくれます。まず、プルーストとはどういう人物だったのかを確認します。そして、厳選した引用をちりばめて基本的な登場人物たちを紹介しながら、なぜプルーストを読むのかということについて、12の理由から考えていきます。最後に「花咲く乙女たちのかげに」の断章の分析を試みることで、プルーストの書き方の特徴にふれます。巻末には訳者による固有名詞索引や関連年表をつけました。 そっと背中を押すように、この本はきっとあなたを『失われた時を求めて』の世界へと連れていってくれることでしょう。 -
陪審員C-2の情事
米女性作家によるリアルで残酷な法廷と恋愛。 フロリダ州で起きた乳児焼死事件。放火の疑いをかけられた裁判の被告は、乳児の義理の姉である十代の少女だった。陪審員として7名の男女が集められるが、裁判期間中は郊外のモーテルに隔離、名前も伏せられ番号で呼ばれる。陪審員同士の個人的交流も固く禁じられていた。そんな中、老齢の夫を持つ50代のカメラマンC-2は、年下の解剖医と禁断の情事に身を投じていく。被告の運命を握る重責と正義に対する思い、女性としての焦燥や欲望の間で揺れるC-2の運命の歯車が狂い出す…。 M・フリーマン、D・キートン主演のヒット映画『眺めのいい部屋売ります』の原作著者が乾いた筆致で描く、リアルな法廷小説にして残酷な恋愛小説。 -
【合本版】明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業
日がな一日サロンで惰眠を貪る日陽新聞社の記者、久馬。そんな彼も好奇心が疼けば記事を書く。傍に用意するのは、怪談奇談に妖怪本。彼が書く記事は全て妖怪にまつわるものなのだ。ある春の日、少女が新聞社へ乗り込んできた。彼女の名は香澄。久馬の記事が原因で、友人が奉公先を追い出されたのだという。冷たい対応の久馬に代わり香澄に声を掛けたのは、妖美な男・艶煙。曰く、むしろ妖怪記事は人助けになっており、友人は貞操の危機を免れたのだというが!? ※本電子書籍は、『明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業』全3巻を1冊にまとめた合本版です。 -
白鯨 MOBY-DICK【上下合本版】
土佐の中浜村で漁師の次男として生まれ育った万次郎は、兄と釣りに出たときに見て以来、鯨に魅せられる。胸の内に棲み着いた鯨の存在は、日に日に大きくなっていった。やがて宇佐浦の鰹船に預けられた万次郎だったが、仲間たちと漁に出た際、足摺岬の沖合で遭難してしまう。さらに銛打ちの師匠・半九郎の形見の銛を追ってひとり、大海原に飛び込む。そんな万次郎を救出したのは、アメリカの捕鯨船ピークオッド号だった。船長エイハブは、自分の片足を喰いちぎった巨大な白いマッコウクジラ“モービィ・ディック”への復讐に異常な執念を燃やしていた。白い化け鯨の存在を銛打ちの師匠である半九郎から聞いていた万次郎も、彼らと同様、その熱狂へと身を投じていく……。海と鯨に心を奪われた男たちが神の生き物に挑む。ジョン万次郎とハーマン・メルヴィルによるアメリカ文学の金字塔『MOBY-DICK』が融合した超大作! 上下合本版。 ※本商品は1冊に全巻を収録した合本形式での配信となります。あらかじめご了承ください。 -
【合本版】からくさ図書館来客簿
京都の一角に佇む「からくさ図書館」は、優しげな図書館長の青年と可憐な少女とが二人きりで切り盛りする、小さな私立図書館。紅茶か珈琲を味わいながら読書を楽しめる、アットホームなこの図書館には、その雰囲気に惹かれて奇妙な悩みと出会ったお客様が訪れる。それぞれに悩みを抱えるお客様に、図書館長・小野篁が差し出すのは、解決法が記された不思議な書物で―。悠久の古都で綴られる、ときにほろ苦く、けれど温かなライブラリ・ファンタジー。 ※本電子書籍は、『からくさ図書館来客簿』全6巻を1冊にまとめた合本版です。 -
ジャッカルの日【上下 合本版】
黒幕は秘密軍事組織、プロの殺し屋が狙う〈大統領暗計画〉。フランス、秘密軍事組織が企てたドゴール大統領暗殺――。依頼を受けたのは、一流の腕を持つ外国人殺し屋、暗号名“ジャッカル”。国内全土で頻発する強盗事件を捜査するなか浮かび上がってきた暗殺計画に、政府には激震が走った。殺し屋の正体を突き止め、計画を阻止すべく、極秘捜査が始まる。国家最大の難題に挑むのは、国内一の刑事、クロード・ルベル。国際謀略小説の巨匠フォーサイスのデビュー作にして最高傑作。 ※本作品は『ジャッカルの日』シリーズ全2巻を収録しています。 ※本商品は1冊に全巻を収録した合本形式での配信となります。あらかじめご了承ください。