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彼女は水曜日に死んだ
ギャングの少年による殺人を目撃した女性は、報復を恐れて通報できず、苦悩する……(「ベイビー・キラー」)。1899年のフランス。8人の子供を殺して監獄に入れられた囚人と看守の、奇妙な交流の行方は……(「ボルドーの狼」)。メアリーローズは水曜日に死んだ。売人の家で麻薬を打った直後に死んだという。キャンベルは愛する人が死んだことで、世界の一部も死んでしまったような気がした……(「本能的溺水反応」)。メキシコとの国境地帯で大規模な山火事が起こる。密入国する途中で火事に巻き込まれたらしい親戚を探すという父親に連れられ、少年は荒野に足を踏み入れるが……(「灰になるまで」)。目撃者、看守、前科者、薬物中毒者、密入国者の親戚──。さまざまな形で犯罪に関わりを持ってしまった人々の孤独と希望を、美しく切なく真摯に描く。英国推理作家協会(CWA)賞最優秀短編賞受賞作ほか全10編収録の傑作短編集!/【目次】悪いときばかりじゃない/ベイビー・キラー/ボルドーの狼/万馬券クラブ/夕闇が迫る頃/本能的溺水反応/聖書外典/すべてのあとに/甘いささやき/灰になるまで/謝辞/解説=杉江松恋 -
故郷へ、友へ、恩師へ、 風の便り 山田風太郎書簡集
「サッパリ、書けん。」 悪友親友への便りに垣間見せる素顔の風太郎。 早くに両親を亡くして世話になった親戚への消息、恩師との交流。 最も気が合った高木彬光氏との合作の相談、横溝正史氏ともども家族ぐるみの付き合い。 江戸川乱歩をはじめ、角田喜久雄、鮎川哲也、中井英夫、色川武大、筒井康隆、髙峰秀子、安野光雅、横尾忠則、中島河太郎の各氏から届いた書簡、ドイツ文学者西義之氏との往復書簡もあわせて収録。 「医者より小説の方が小生の本性には合致している」 戦時中に単身上京して、軍需工場に勤めながら受験勉強を続けて医学専門学校に合格。1947年に「宝石」の短編懸賞に応募した「達磨峠の事件」が入選。50年に新制医科大学を卒業するも作家の道を選択し、忍法帖シリーズで大人気作家に。世相に対する鋭い批評から、気のおけない仲間に漏らす本音まで飾らない魅力が満載。 山田風太郎生誕一〇〇年記念 -
ムーミン谷のしあわせレシピ
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「気持ちのいいものは、なんだっておなかにもいいのよ」(ムーミンママ) ムーミン谷のやさしさに包まれた、キャラクターたちにちなんだ楽しいメニューが満載。 名言と美しいさし絵入りで、85の北欧料理レシピをどうぞ! ●著者紹介 トーベ・ヤンソン 絵と引用文 画家・作家。1914年8月9日フィンランドの首都ヘルシンキに生まれる。父は彫刻家、母は画家という芸術一家に育ち、15歳のころには、挿絵画家としての仕事をはじめた。ストックホルムとパリで絵を学び、1948年に出版した『たのしいムーミン一家』が世界中で評判に。国際アンデルセン大賞、フィンランド国家文学賞受賞。おもな作品に「ムーミン童話」シリーズ(全9巻)のほか、『少女ソフィアの夏』『彫刻家の娘』などがある。2001年6月逝去。 末延弘子 訳 東海大学文学部北欧文学科卒業。フィンランド国立タンペレ大学フィンランド文学専攻修士課程修了。白百合女子大学非常勤講師。『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』など、フィンランド現代文学、児童書の訳書多数。2007年度フィンランド政府外国人翻訳家賞受賞。 ●主な内容 ムーミンママのロールキャベツ スナフキンのさすらい煮こみ ミムラのむすめのびっくりスープ ムーミンパパ流ヤンソンさんの誘惑 ちびのミイのさかさまこけももケーキ ムーミン谷の地下室のベリージャム など。 -
タフィー
父さんの暴力から逃れ,家を飛びだしたアリソン.古い家の納屋に身を隠すが,家主のマーラという老女に見つかってしまう.認知症のマーラは,彼女を昔の友人・タフィーと間違えているようで――.孤独を抱えたふたりが出会い,思いがけない同居生活がはじまる.カーネギー賞作家が詩でつむぐ,友情と再生の物語. -
開化奇譚集 明治伏魔殿
歴史の大きな変わり目には、社会は流動化し、人間関係にも平時には起こりえず、想像もつかない変動が生じる。そんなときにひょっこり生まれる人びとの予想外の取り合わせは、貴重な“歴史の偶然”として現出するが、多くの場合たちまち短命に消え失せてしまい、人びとに記憶されず、ましてや記録として書き残されることもない。わたし筆者(わたし)がこれから書こうとしている物語は、ことによったら歴史の流れを異なる水路に導いたかもしれないひとつのエピソードである(「明治天皇の馭者」より)。 文明とは、ある可能性の粉砕であり、開化とは、挫折した夢と怨みの上に咲いた花である。新時代の到来に必然はない。ありえたかもしれない未来と希望のもつれを解きほぐす、5つのネオフィクションの試みが見せる光景とは? -
理不尽ゲーム
欧州最後の独裁国家ベラルーシ。その内実を、小説の力で暴く。群集事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスク。老いた祖母だけがその回復を信じ、病室で永遠のような時を過ごす一方、隣の大国に依存していた国家は、民が慕ったはずの大統領の手によって、少しずつ病んでいく。10年後の2009年、奇跡的に目覚めたツィスクが見たものは、ひとりの大統領にすべてを掌握された祖国、そして理不尽な状況に疑問をもつことも許されぬ人々の姿だった。時間制限付きのWi-Fi。嘘を吐く国営放送。生活の困窮による、女性の愛人ビジネス。荒唐無稽な大統領令と「理不尽ゲーム」。ジャーナリストの不審死。5年ごとの大統領選では、現職が異常な高得票率で再選される……。緊迫の続く、現在のベラルーシの姿へとつながる物語。 -
黒魚【クロウオ】都市
感染症〈ブレイクス〉が流行している北極圏の街クアナークでは、さまざまな事情を抱えた人々が暮らしていた。そこでなかば伝説として語り継がれるのは、シャチやホッキョクグマといった動物と意識を共有し一体になれる女の物語だった。キャンベル記念賞受賞作 -
遠藤周作短篇名作選
『沈黙』から『深い河』にいたる代表的純文学長篇小説の源泉ともいえる短篇の数々――遠藤周作には、代表的長篇小説が多くあるが、それぞれの長篇には、源泉となる短篇作品がある。その遠藤文学の核となる13の名短篇を集めた。「シラノ・ド・ベルジュラック」「パロディ」「イヤな奴」「あまりに碧い空」「その前日」「四十歳の男」「影法師」「」「母なるもの」「巡礼」「犀鳥」……遠藤周作の文学・人生・宗教観がすべてわかる短篇集。 ※本書は、『遠藤周作文学全集 第6~8巻』(1999年10~12月 新潮社刊)を底本としました。また『天国のいねむり男』は全集・文庫など未収録作品です。 -
工学的ストーリー創作入門
書けないのは、才能のせいではない! 直感に頼らず、物語に必須の要素から書き始める、 天才以外は必読の「工学的」創作入門。 【6つの要素】 コンセプト/人物/テーマ/構成/シーンの展開/文体 売れる物語を書くために必要な6つの要素はこれだ! ストーリー創作に必要な部品と技術がすべて揃った最強の「まとめ」本。 作品を生み出すための最適な経路をデザインする=工学的メソッドの画期的創作入門書! 小説・ストーリー創作術の最良の入門書にして、最終決定版がついに邦訳!! 世の中にたくさんあふれている小説のハウツー本を読んでもうまく小説が書けないのはなぜなのでしょうか。ハウツー本を読むと「心を込めなさい」「人生の旅を描け」「テンポと文体を磨こう」などというアドバイスが書かれています。しかし私たちが欲しいのは、このような抽象的な助言ではなく、もっと具体的な方法や手順のはずです。 売れるストーリーには原則があります。つまりストーリー創作には工学的な面があるということです。まずストーリーの要素を知り、そのうえで設計図を描くことが何より大事なのです。ストーリーの設計を「形式的」と毛嫌いする人がいるかもしれません。しかし、形式的と思うからそう見えるのであり、ストーリー作りの原則や要素を意識することとは違います。 ストーリー創作に際して知るべきことは山ほどありますが、本書ではそれらを6つのカテゴリーに大別することで、謎めいたものの本質を明確に提示しています。つまり、それが「6つのコア要素」と呼ばれるものです。「6つのコア要素」にはストーリーに必要な部品や技術が全て揃っています。書き手として知るべきことを集め、包括的に秩序立ててストーリーを作ることができます。 「紹介するモデル(作家として成功するための6つのコア要素)は僕がまとめたが、基本は誰もが知っていることだ。いわば真理で、僕の発明ではない。だが、この本のような「まとめ」は他になかったはずだ。」と著者がいうように、これまで断片的に語られてきたストーリー創作の秘訣が、網羅的に「まとめ」られているため、小説入門者が最初に読む本として最適の一冊となっています。 -
特捜部Q―吊された少女―
引退間際の警官からかかってきた一本の電話は、カールたちQのメンバーを十数年前に起きた異常な交通事故の捜査へと導くのだが……。デンマークの人気警察小説、第六弾! -
イエロー・バード
その春、戦争は自分らを殺そうとした。イラク、アル‐タファル。21歳の三年兵バートルは、18歳の初年兵マーフィーを無事に故郷に連れ帰ると約束していた。しかし、凄惨を極める戦闘を次々と経験していくうちに、二人は予期せぬ運命をたどることになる。イラクで戦うとはどういうことだったのか。元兵士が戦争に直面した若者たちの感情を、痛切に、瑞々しく描いたデビュー作。 兵士の鮮烈な成長譚でもあり、イラクの戦場で生き残ろうとする二人の青年の友情の物語でもあり、無垢の喪失と記憶の意味を語る哲学的な寓話でもある。並外れた作品だ。――ミチコ・カクタニ(《ニューヨーク・タイムズ》紙) 必読の書だ。イラク戦争をリアルに描いているからというだけではない。その不名誉と理解しがたい暴力から、弱々しくはあるが確かに生きている人間性の証を紡ぎだしているからだ。――《ガーディアン》紙 -
兵士たちの肉体
アフガニスタンに派兵されたイタリアの若者たちの孤独、性、葛藤を瑞々しい筆致で描きながら、現代の矛盾に鋭く迫る二十一世紀の戦争小説。世界的ベストセラー『素数たちの孤独』著者の最新長篇。 灼熱の大地の真ん中、アフガニスタンの紛争地域に派兵されたイタリア軍の若き兵士たち。危険ではあるが、たった数カ月の任務のはずだった。故郷から逃げだしてきた者、ひとりぼっちの母親を残してきた者、妊娠した女を残してきた者、オンライン上の仮想恋人に依存する者……それぞれの事情を抱え、孤独を噛みしめ、性をもてあます彼らの中には、愛情と憎しみが芽生えつつあった。そして、ようやく任地に慣れてきた頃、その後の人生を大きく変えることになる、忘れえぬ出来事が起こった――。 砂漠への強行軍にのぞんだ若者たちは、何を見たのか? 世界的ベストセラー『素数たちの孤独』の著者が紡ぐ、21世紀の新しい戦争文学。 -
詩人のラブレター
◆ふらんす堂ホームページ連載コラム、待望の書籍化! ―伝えたい言葉― ボードレールやランボー、マラルメ… 詩人たちからあなたへの素敵なラブレター ◆収録作品より そこ深い 池の鏡に 映る影、 その黒い柳に 風は泣き…… さあいまは、夢みる時。 (詩集『よい歌』 第六歌 渋沢孝輔訳 ポール・ヴェルレーヌ「(白い月)」より) ◆著者あとがきより 書いていくうちに大学で勉強したフランス語の詩人だけでなく、子供時代に知り、ずっと記憶に残っているフランス以外の歌やフレーズも抑えがたく浮かび上がってきました。「おおスザンナ」や「ソルヴェイグの歌」、「四つ葉のクローバー」など作者の名も知らないまま記憶の中に住み着いているのでした。正統派のフランス詩でも、ヴィヨンやネルヴァルなど、なぜ入れないのかと文句を言いに顕れた朝方の夢もありました。残念ですがまた別の機会まで待ってもらいましょう。 -
未だ本能寺にあり
魔王の首を探せ。 織田信長はどこへ消えたのか? 羽柴秀吉、信長を刺した明智兵、使用人の少女、阿弥陀寺の僧……。 「あの日」を巡る8人の証言が集まる時、 400年、誰も見たことのない〝答え″が、導き出される。 天正十年、本能寺の変が勃発。天下の主を失った日ノ本は混沌に陥った。そんな中、羽柴家家臣・駒井八右衛門は、秀吉からある密命を授かる。上様を探せ――。 逆賊・明智光秀を討った秀吉は、今や織田の後継と目されていた。だが、信長の遺骸は見つからずにいる。もし他者が先んじて遺骸を探し出し弔えば、その座が奪われかねない。まして信長が生きているとなれば、秀吉が描き始めた天下への絵図も霧散することになる。 一度見聞きした物事は忘れない異能を武器に、八右衛門は消えた天下人の行方を追う。織田方、明智方、そして影の目撃者……。関係者たちが語る「あの日」の真実とは? 日本史上最大の謎に挑む、超大作歴史ミステリー。 -
タイム・アフター・タイム
解像度の高い人物たちと情景描写に惹き込まれ、 どんなに遠くてもなお鮮やかな恋の記憶が立ち上る。 ――松任谷由実(シンガーソングライター) こんなに泣いたら、きっと人生が変わってしまう。そんな恐怖とともに読み終えました。 ――金原ひとみ(作家) 『国宝』の著者、待望の最新作にして、 作家デビュー30周年記念作品! 眩しい夏の初恋と、二十年後の再会―― あの日、二人は何を守り、何を手放したのか? 純粋なものに向き合ってみたいと思った。 眩しいくらい純粋なものに向き合った時、自分の心がまだちゃんと動くのか確かめてみたかった。 『タイム・アフター・タイム』は私なりの純粋なものをたくさん詰め込んだ小説です。 ――吉田修一 「取り返しのつかない間違いをした。 でも、大切な人のそばからは離れなかった」 建設会社に勤める尾崎颯は、土砂降りの雨のなか、高校の同級生だった久遠愛と再会する。二人は同じプロジェクトの担当者として再び言葉を交わすようになるが、建築家のデザイン盗用疑惑によって計画は暗転。さらに尾崎の家庭にはスキャンダルが迫り、久遠もまた、癒えない心の傷を抱えていた。 揺れ始める心はやがて、二十年数前の夏へと引き戻されていく。 青く輝く海と空に歓喜したあの頃と、眩しさを見つめ返せない今――東京と長崎、現在と過去を往還しながら、痛みも後悔も優しさも、すべてを抱きしめてあたためる長編大作。 -
春かずら
父の仇を十二年間追う侍と、仇の息子。 交わらないはずの二人を繋ぐのは、“侍”の矜持。 直木賞作家が初めて挑んだ、武家小説。 仇討ちとは、いったい何なのだ――。 十二年前に父が殺され、以来、仇討のために諸国を巡る清史郎。しかし、仇の手掛かりは見つからない。病死した母の弔いに故郷・安良藩に戻った清史郎は、ある少年を助け、彼に剣の手ほどきをすることに。しかしその少年・隼人は、仇の息子だった。出会うべきではなかったと思いつつ、見限ることのできない感情のもつれ。仇の行方、そして藩内政治――。清史郎が最後に下した決断とは。 江戸時代を生きる「人」を描いた、傑作ドラマ。 -
工房の季節
何度も作り直せばいい。器を焼くことは、心に明かりを灯すようなもの。 テレビ局の放送作家の仕事を突然辞めるはめになった30歳のジョンミンは、何ヵ月も抜け殻のようになり家に引きこもっていた。 ある日久しぶりに外に出て、歩いているうち、彼女はカフェと間違えて陶芸工房の扉を開ける。突然現れたジョンミンに、工房の主ジョヒは珈琲をふるまう。コーヒーのおいしさのわけは器にある、自分で作ってみない? というジョヒの誘いを受け、ジョンミンは陶芸教室に通い始める。 土の匂い、手を動かしてものを作る喜び、人懐こい猫、年代も悩みもさまざまな仲間たち。自分に向き合い、人生を見つけていくということ……。工房を舞台に繰り広げられる癒しと希望の物語。 手を動かすこと食べること。それが、力をくれる。 -
エステルの手紙教室
《みなさんの感情や意見には一切口出ししません。手紙の書き方、つまり文章の書き方を教えるのがわたしの役割です》北フランスのリールで書店を営むエステルは、亡くなった父を偲んで手紙教室を開くことにした。参加者を募る新聞広告を出すと、5人から応募があった。孤独な老婦人、重度の産後うつに苦しむ夫婦、仕事にやりがいを見いだせないビジネスマン、そして進路に悩む青年。性別も年齢も異なる参加者とエステルは、手紙のやりとりを通して新しい言葉との出会いに飛び込んでゆく。言葉の力を賛美した小説。"Le Prix Du Roman Qui Fait Du Bien"(癒やしの小説賞)を受賞。 -
動物城2333
長く人間に支配されていた動物たちは、人間と伍すだけの知能を得て独立した。 しかしかつての支配者である人間たちはそれを受け入れることができず、戦争を起こした。 長く続いた戦闘jの後、西暦2333年、動物と人間との間は冷戦状態にある。 動物王国の首都・動物城にある、街一番の探偵・ブレーメンのもとに、和平派・ワニのネロ将軍がやって来た。 人類から派遣された親善大使が殺害される殺人事件が発生したという。 いち早く真犯人を見つけ正しく公表しなければ戦争勃発につながりかねない。人間も動物も休戦の期間中も超兵器の開発に取り組んだため、今戦火を交えたら、世界は消え去ってしまう。 ブレーメンはネロ将軍ととともに調査に乗り出した! -
東京駅の建築家 辰野金吾伝
東京駅を作った人!―― 唐津藩の下級武士・辰野金吾は上京し、英国に留学。日本銀行や東京駅を手がけて、近代日本の魂をも作った! 見事な人間讃歌、書下ろし特別作品。 ● わが国近代建築のなかで、東京駅はおそらく最も多く小説に取り上げられてきたものであろう。とくに私の記憶に残っているのが、江戸川乱歩『怪人二十面相』である。 怪盗が帝都に跳梁する状況下、待ちに待った名探偵明智小五郎が帰朝し、颯爽と東京駅に降り立つ。この名探偵を外務省の役人に変装した二十面相がプラットホームで出迎え、二人はステーションホテルの一室で対決する。 「この駅はあたかも光線を放射する太陽のようなものだ。あらゆるものの中心となって、ここから光を四方八方に放ってほしい」と、開業の祝賀式で時の首相大隈重信が述べた言葉は、まさに以後の東京駅と近代日本の行く末を言い当てることになった。――(あとがき) -
ザ・シークレット
「偉大な秘密」の片鱗は何世紀にもわたり文学、宗教、哲学等の口承伝説の中に見出されてきました。今回初めてこの本で「秘密」の断片が集められ、驚くべき形で世に明らかにされることになりました。これを体験する全ての人々にとって、本書は人生の大きな転機となることでしょう。この本では、あなたのお金、健康、人間関係、幸せ、世の中との関係など人生のあらゆる面において、「秘密」をどのように使うかを学ぶことができます。あなたは自己に内在する未開発の力を理解し始めるでしょう。それが明らかにされるに連れて、あなたの人生のあらゆる面が喜びで満たされるでしょう。この本には、「秘密」を実践して、健康、富、幸せを手に入れた現代の師達の叡知が紹介されています。また、本書の中で明らかにされている知識を応用することで、病気を治したり、莫大な富を手に入れたり、障害を克服したり、不可能と思われたことを達成した経験など説得力のある話が紹介されています。 -
割れたグラス
現代アフリカ文学の最前線を紹介する、新海外文学シリーズ《アフリカ文学の愉楽》創刊! 小社の海外文学路線を切り拓いた《世界幻想文学大系》、のちのブームを決定づけた《ラテンアメリカ文学叢書》の刊行開始から約半世紀。 これまで日本で語られることの少なかった20世紀後半から現代までの芳醇なアフリカ文学の世界を本格的に紹介すべく、そして遠く離れた日本の読者が抱くアフリカへの印象をより豊かなものとすべく、《アフリカ文学の愉楽》が刊行開始! 第1回配本は、現代アフリカ文学随一のヒップスター、コンゴ共和国出身のアラン・マバンクによる代表作! コンゴ共和国の港湾都市ポワント=ノワールの下町にあるバー"ツケ払いお断り"。 バーの主人《頑固なカタツムリ》からの依頼で、《割れたグラス》はバーとその常連客たちとの日々を思いのまま1冊のノートに書き留めていくことになる。 何枚ものオムツを穿いた《パンパース男》、フランスかぶれの寝取られ《印刷屋》、誰よりも長く放尿できると豪語する《蛇口女》など、いずれ劣らぬ酔客たちの奇怪な逸話が次々とノートに綴られていく。 やがて、《割れたグラス》は自身についても書きはじめるのだが……。 作家としてはじめてコレージュ・ド・フランスの招聘教授に着任、また国際ブッカー賞の選考委員を務めるなど、現代アフリカ文学の最重要作家のひとりとして活躍の場を世界的なものへと広げている、アラン・マバンクが放つ驚異の傑作がいまここに! フランコフォニー五大陸賞をはじめ数々の文学賞を受賞、ルノドー賞最終候補作にして、英国ガーディアン紙が選ぶ「21世紀の100冊」にも選出された、酔いどれたちのめくるめく狂想曲! -
記憶とツリーハウス
台湾版スタンド・バイ・ミーの誕生! 少年たちは親に逆らい 自由を求める旅に出た―― 台湾版「スタンド・バイ・ミー」の誕生! 「記憶とはこんなに不完全で、暗号のように時間をかけて解読するしかないのだ」 故・天野健太郎氏絶賛! 【あらすじ】 僕の人生最初の記憶は、3歳で神棚の前に跪かされ、百元札を盗んだ咎で両親と祖母から叱責されているものだ。でも、この記憶は本物だろうか……? 台湾のとある都会の片隅、夜市と花街で名を馳せる猥雑な下町で、僕ら3人――僕、翊亞(イーヤー)、阿煌(アーホァン)は育った。12歳の夏休み、僕らは廃屋の敷地にそびえるマンゴーの樹にツリーハウスを造り、大人たちが禁じた境界線の向こうを眺めながら、この街から脱出する秘密の計画を立てた。 時が経ち、暗号学を教える大学教授の職を失い、幼い娘の世話に専念する僕の元に、ピアニストとして名声を得ていた翊亞の訃報が届く。「こんな日が来るのを俺はとっくに知ってた」阿煌の言葉をきっかけに、僕は暗号を解くように、過去の記憶を手繰り始める――。 -
ブルックリン
コスタ小説賞受賞作品 アイルランドの田舎から大都会ブルックリンへ移民した少女の感動と成長の物語。 舞台はアイルランドのエニスコーシーとニューヨークのブルックリン、時代は1951年ごろから2年間あまり。主人公アイリーシュはエニスコーシーに母と姉と共に暮らす若い娘。女学校を出て、才気はあるが、地元ではろくな職もないので、神父のあっせんでブルックリンに移民する。そしてアイリッシュ・コミュニティの若い娘たちが住む下宿屋に暮らし、デパートの店員となるが、ホームシックに悩む。やがて簿記の資格を取るため夜学に通うようになり、週末にはダンスホールへ行く。そこでイタリア移民の若者トニーと恋に落ちるが、思わぬ事情でアイルランドに帰国する。彼女はブルックリンへ戻るつもりでいたが、地元でハンサムなジムと再会する……。 当時の社会と文化の細部を鮮やかに再現し、巧みな会話と心理描写が冴えわたる。船出、奮闘、恋愛、そして思わぬ事件と結末が……。ジョイス、マクガハン、トレヴァーの系譜を継ぐ、アイルランド文学の至宝! -
義とされた罪人の手記と告白
ゴシック・ロマンスの最高峰 17世紀末のスコットランド、地方領主コルウァンの二人の息子は、両親の不和により別々に育てられた。明朗快活で誰にでも愛される兄ジョージと、厳格な信仰をもつ母親のもとで陰鬱な宗教的狂熱の虜となった弟ロバート。自分が神に義認されあらゆる罪を免れていると信じるロバートは、17歳の誕生日に出会った不思議な力を持つ人物に唆されるまま、恐ろしい行為を重ねていく。変幻自在にその姿を変える〝謎の友人〟の正体は? そして政治的対立に揺れる議会開催中のエディンバラで、兄弟の宿命的な確執はついに衝撃の結末へ……。奇怪な事件の顚末が異なる視点から語られ、重層するテクストが読者を解釈の迷宮へと誘う。小説の可能性を極限まで追求し、アラスター・グレイらの現代作家にも多大な影響を与える、ゴシック小説隆盛の掉尾を飾る傑作にして早過ぎたポストモダン小説。(『悪の誘惑』改題) -
南海王国記
史上初、台湾侵攻!歴史小説の巨人、最新刊! 国境を脅かす騎馬民族の大軍を何度も退け、明王朝を堅守し続けた名将・袁崇煥(えんすうかん)が、私欲にまみれた宦官たちの讒言によって処刑された。明朝の終わりの始まりだった。若き崇禎帝(すうていてい)は人民の困窮などには目を向けず、自らの独裁君主権を脅かされることばかりを恐れた。ほどなく、李自成(りじせい)の反乱によって明は滅亡した。 その年、20歳を迎えた青年がいた。青年は、漢土の沿海で最も恐れられた海賊の子だった。幼い頃から聡明だったその青年は科挙の生員(受験資格者)となり、南京の太学で儒学を修めた。青年の名を、鄭成功(ていせいこう)といった。 明王朝が倒れ、満州の騎馬民族が国号を清とあらため漢土を席巻、明の旧臣らが続々と清に寝返っていく中で、「抗清復明」を高らかに掲げて青年は国を作った。 台湾島に建てられたその国は、わずか22年の間だけ幻のように耀いた。 (底本 2025年7月発売作品) -
復讐には天使の優しさを
孤立無援の少女たちに迫る悪の影 一八四〇年代のイギリス、身寄りのない少女ルーカンは勤め先の主人に言い寄られて屋敷を逃げ出し、学校時代の親友で大富豪の娘ゾジーヌのもとへ向かった。しかし、ゾジーヌの側にも大きな境遇の変化があり、財産もなく孤立無援の二人はロンドンへ出て職を探すことに。そこでフランスの田舎に住む慈善家の牧師夫妻から一年間の期限付きで養女にしたいという申し出を受ける。異国の地に落ち着いた少女たちは、老牧師から授業を受け、菜園の世話をしながら平和な生活を送り始めるが、やがて仮面の裏側に隠された恐ろしい事実を知ってしまう。圧倒的な悪の力に立ち向かうことを決意した二人の運命は? 『アフリカの日々』の作家ディネセンが、ナチス・ドイツ占領下のデンマークで変名を用いて発表した本書は、悪の支配に抗う少女たちのロマンティックな冒険を描いて、暗い時代に生きる人々の心を虜にした。 -
1フランの月
【ご注意】※この電子書籍は紙の本のイメージで作成されており、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 安西水丸、幻の未発表小説を初めて書籍化。 ニューヨークからパリ、リスボン、マドリード、ローマへ。イラストレーターである主人公のモノローグと日本にいる恋人への手紙、そして現地でのさまざまな出会い……。これまで日の目をみることのなかった幻の小説「1フランの月」(未完)を没後10年となる2024年春に初めて書籍化。「旅」をテーマにした未刊行エッセイ、イラスト、スケッチなどを加え、懐かしくも新しい、イラストレーター/作家・安西水丸の世界をこの一冊に凝縮。 ※この作品はカラーが含まれます。 (底本 2024年2月発売作品)
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