クライストの作品一覧
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「クライスト」の「ペンテジレーア」「ペンテジレーア」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
発売日に「名著新訳」の帯に釣られて買って1年。Penguinさんのレビューを見るまで、すっかり忘れてました。こんな名作を1年積んでいたことを後悔しきりです。ありがとうございます。
収録は三作品。どれもグイグイ読ませる名作だと思います。ところで帯に「名著新訳」とありますが、岩波文庫の”青・白”は「名著」でも、”赤”はフィクションなので「名作」ですよね。
以下、あらすじと感想。
『ミヒャエル・コールハース』
舞台は16世紀のドイツ。馬商人のミヒャエル・コールハースは、取引先のユンカー(地主貴族)に理不尽な方法で馬を奪われます。後日、その馬や馬と一緒にいた下僕の酷い扱われように憤慨した彼は、法
Posted by ブクログ
筆者のクライストは18世紀末生まれ、この作品は19世紀(1800年代)初頭。
古い。しかも岩波の赤帯。構えるよね。わかる。わかるよ。
ただ、その先入観を一切捨てて読んで欲しい。
まずはとにかく最初の「ミヒャエル・コールハース」を読んで欲しい。
確かに舞台は古い。19世紀のクライストがさらに昔の中世のドイツを描いている。
やばい私この感覚理解できるかなって一瞬不安になる。
しかしそんなのは杞憂に終わる。コールハースが馬と妻を失ってからの復讐劇。
本から溢れ出る復讐へのパッション。打ちのめされる。
続く「チリの地震」と「サント・ドミンゴでの婚約」も同様。
舞台は古い。ただ、そこで生まれる、本に
Posted by ブクログ
おそろしく速いテンポ、オレでなきゃ見逃しちゃふね
1807年にドイツ語で発表された短篇「チリの地震」から読んでゐる。おもしろい。ストーリーのテンポが早く、なほかつ迫力がある。
ヘロニモとホセファの恋愛がホセファの父親にバレて、彼女が修道院に連れて行かれるところから始まる。しかしその修道院でふたりはヤッてしまひ、それがバレてホセファは斬首の刑、ヘロニモは牢獄につながれる。いよいよ執行の瞬間、その時、「チリの地震」は起きた……
ここまで冒頭、たった3ページの出来事である。そしてチリの地震の描写がすさまじい。圧倒的にうねるやうな文体で、名作である。
Posted by ブクログ
明確な歴史的背景をもつ中・短編を三編収録。原文がそもそもかなり特異な文体を駆使しているようで、それを生かすよう腐心した訳文も多分に複雑怪奇をきわめ、読むのにかなり骨がおれた。一行がやたらと長く、改行が少なく、ページ全体が文字でびっしり埋めつくされているため、さほど長い文庫ではないのに読むのに時間がかかること。集中力を要するという点でも、多分に玄人向けの作品と思う。「クライストの文章は副文が多く(……)勝手ににょきにょきと生えていく」とは多和田葉子の言だが、実に言い得て妙と思う。情報がどうつながっているのか、それを解読するのに大変苦労した。
「ミヒャエル・コールハース」:200ページ弱の中編