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Posted by ブクログ
おどろおどろしい表紙のイラストが、「覚悟して読んでください」という感じ。
特別な、あるいは凶悪な事件が起きるわけではないが、日常に潜む、じわじわ来る恐怖が描かれている。
刑事事件と違って、「解決」される事がないのも、終わった感がなくて却って恐ろしい。
人に話しても、へ〜え、とか、よくあるよね、みたいに人ごとにされてしまうかもしれないところが、当事者たちにとっては胸がモヤモヤするのでは?
作品中、はっきり書かれていない事も多く、はっきり書かれていないけれど、読者が察するべき事項と、この先どうなるか本当にはっきりしない事項、そして、本当に起こったのかどうかも曖昧な事項・・・といろいろある。
もしかしたら、読み返した方がいいかもしれない。
隠れている何かが見つかるかも。
個人的には、目の前に立ちはだかって、自分の言いたいことを、強圧的に、あるいは泣き落とし的に、あるいは下心を持って、ずいずいと主張してくる「老夫婦」たちが怖いです。
並んだ老夫婦の、止め絵のまま近づいてくるような覇気のない立ち姿にぼんやりとした恐ろしさを感じます。
『乙事百合子の出身地』
コロナ禍の中ならではの、飛び込み営業の、騙すか騙されるかの緊張よりも・・・
『ぴぴぴーず』
触らずに孕ませる特殊能力?
『あたらしい日よけ』
いやらしい想像して言いがかりつけてる自分たちをむしろ恥じなさいよ!
『みみず』
地味な女の、ぬるぬるした内面
『刺繍の本棚』
夫の隠し事より、個展に乱入してきた女の主張が気になる
『墓』
いなくなったテルにそっくりな茶トラの猫が現れる
『スミエ』
切ないけれど、いい話かもしれない
『ケータリング』
孤立する者は、誰かを取り込もうと必死
『フリップ猫』
可愛い物への愛と、興味本位の悪意が同じ場所にあること
『錠剤F』
これも、誰かを取り込もうとした孤独・・・の話だったのかな
Posted by ブクログ
「乙事百合子の出身地」
「ぴぴぴーズ」
「あたらしい日よけ」
「みみず」
「刺繡の本棚」
「墓」
「スミエ」
「ケータリング」
「フリップ猫」
「錠剤F」
10篇収録の独立短編集。
井上ワールド全開。
物語全体から気怠さが漂い、孤独と闇を感じた。
明るさは微塵もない。
心地良さは皆無だが独特な世界観が癖になる。
240頁の中に10篇の物語が収録。
1篇が僅か20数頁の作品であるというのに、冒頭で読み手の心を捉え結末まで目を逸らす事が出来なくなる。
どの短編も秀逸で甲乙付け難いが、衝撃的だったのは「フリップ猫」と「錠剤F」。
闇の深さに慄く。
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