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ひとは、「独り」から逃れられない。 著者史上最もグロテスクで怖い10の物語から成る、最高精度の短編小説集。 バイト先のコンビニに現れた女から、青年は「ある頼みごと」をされて――「ぴぴぴーズ」 男を溺れさせる、そんな自分の身体にすがって生きるしかない女は――「みみず」 刺繍作家の女は、二十数年ともに暮らした夫の黒い過去を知ってしまい――「刺繍の本棚」女たちは連れ立って、「ドクターF」と名乗る男との待ち合わせに向かうが――「錠剤F」 ……ほか、あなたの孤独を掘り起こす短編10作を収録!
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Posted by ブクログ
井上荒野って呼んでも気分が晴れるわけじゃないのに読みたくなって、それでも読んで気分は沈む……みたいな。そんなところが癖になるんだろうか。お気に入りはドクターFから怪しい薬買う表題作「錠剤F」と、夫の20年ごしの秘密が明るみに出てしまった刺繍家の「刺繍の本棚」。
井上荒野にハズレなし。「著者史上最もグロテスクで怖い」という帯の言葉通り、ゾクゾクしながら読む短編10。
これを「ホラー小説」と感じる人もいるかもしれないけど、私はなんだか、こんなことが自分の身にも起こるかもしれない…と思ってしまった。 いやむしろ、この作品で描かれていること以上に怖いことが、実際に今の世の中で怒起こっている気がする。 この作品がファンタジーであるからこそ、現実の恐ろしさが対比される感じ...続きを読む。 怖いんだけど、決して後味が悪いわけではない読後感。
おどろおどろしい表紙のイラストが、「覚悟して読んでください」という感じ。 特別な、あるいは凶悪な事件が起きるわけではないが、日常に潜む、じわじわ来る恐怖が描かれている。 刑事事件と違って、「解決」される事がないのも、終わった感がなくて却って恐ろしい。 人に話しても、へ〜え、とか、よくあるよね、みたい...続きを読むに人ごとにされてしまうかもしれないところが、当事者たちにとっては胸がモヤモヤするのでは? 作品中、はっきり書かれていない事も多く、はっきり書かれていないけれど、読者が察するべき事項と、この先どうなるか本当にはっきりしない事項、そして、本当に起こったのかどうかも曖昧な事項・・・といろいろある。 もしかしたら、読み返した方がいいかもしれない。 隠れている何かが見つかるかも。 個人的には、目の前に立ちはだかって、自分の言いたいことを、強圧的に、あるいは泣き落とし的に、あるいは下心を持って、ずいずいと主張してくる「老夫婦」たちが怖いです。 並んだ老夫婦の、止め絵のまま近づいてくるような覇気のない立ち姿にぼんやりとした恐ろしさを感じます。 『乙事百合子の出身地』 コロナ禍の中ならではの、飛び込み営業の、騙すか騙されるかの緊張よりも・・・ 『ぴぴぴーず』 触らずに孕ませる特殊能力? 『あたらしい日よけ』 いやらしい想像して言いがかりつけてる自分たちをむしろ恥じなさいよ! 『みみず』 地味な女の、ぬるぬるした内面 『刺繍の本棚』 夫の隠し事より、個展に乱入してきた女の主張が気になる 『墓』 いなくなったテルにそっくりな茶トラの猫が現れる 『スミエ』 切ないけれど、いい話かもしれない 『ケータリング』 孤立する者は、誰かを取り込もうと必死 『フリップ猫』 可愛い物への愛と、興味本位の悪意が同じ場所にあること 『錠剤F』 これも、誰かを取り込もうとした孤独・・・の話だったのかな
見事に後味の悪い話しかない短編集。面白いのか面白くないのか、オチはなんなのとか、そんなことはどうでもよろしい。これぞ井上荒野、といった風情の日常の一コマ?が表現されている。お気に入りは比較的オチが落ちている以下4作。『墓』→死んだはずの猫に生き写しの猫が来てくれたけど...『ケータリング』→食に興味...続きを読むがなさそうなのにやたら料理人の俺にケータリングを頼んでくる夫婦。『フリップ猫』→フリップ猫、という存在そのものがなんか今時。昔でいえばなめ猫か。『錠剤F』→楽に死ねる薬をめぐる一悶着。これは深い話かも。切ない。
短編というより掌編という感じのショートストーリー。だから言葉一つ一つに込められた意味が、まるで宝探しのようです。 後味があまりよろしくないものが多かったので、☆5個は出せません。ほとんどホラーみたいなのもあったね。 余韻がありすぎて、それはもう欲求不満にも似たものになってしまうので、やはり荒野...続きを読むさんには、長編を書いてほしいなあ。
『錠剤F』を初め、タイトルにそそられた。孤独の寂しさを埋めようと踠く人、鬱憤晴らしに因縁をつける人、執着心から抜け出せない人…常軌を逸した人がわんさと登場。陰湿な物語だが後を引かない。
やっぱり、陽が当たる部分だけって事は無いですよね。 そんな事を痛烈に伝えて来ます。心して読まなくては負けてしまいそうです。
「乙事百合子の出身地」 「ぴぴぴーズ」 「あたらしい日よけ」 「みみず」 「刺繡の本棚」 「墓」 「スミエ」 「ケータリング」 「フリップ猫」 「錠剤F」 10篇収録の独立短編集。 井上ワールド全開。 物語全体から気怠さが漂い、孤独と闇を感じた。 明るさは微塵もない。 心地良さは皆無だが独特な世...続きを読む界観が癖になる。 240頁の中に10篇の物語が収録。 1篇が僅か20数頁の作品であるというのに、冒頭で読み手の心を捉え結末まで目を逸らす事が出来なくなる。 どの短編も秀逸で甲乙付け難いが、衝撃的だったのは「フリップ猫」と「錠剤F」。 闇の深さに慄く。
10編収録されている短編集。日常の中に不穏な空気が広がっていく。自分の中に、他人との間にそれはあってそこでは孤独のように独りでその空気感が怖い。それが何気ない日常から不意に現れるからゾッとするしこの作品たちに惹かれていってしまう。ずっと不気味さや恐怖感のようなものが付き纏っている作品集。
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