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海を見た人間が死を夢想するように、速水圭一は北条司に美を思い描いた。高校二年の春、同じクラスの北条の「美」の虜になった美術部の速水は、彼の肖像画を描き始めた。二人の仲は深まっていくが、夏休みのある出来事が速水の心を打ち砕き――少年の耽美と絶望を端正かつ流麗な文体で描き、選考会でも激論を呼んだ話題作。
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Posted by ブクログ
読んでいる自分自身が「海を覗いて」いるような、そんな感覚に浸った。散りばめられた美しい表現を砂浜に潜む綺麗な石や貝殻を拾い集めるようにして読み進め、次に海面に目を落とすと、言葉の波間に強い光を見つける。けれどそれは絶えず揺れ動き、掴めたと思ったら、次の瞬間にはほどけて見失ってしまう。寄せては返す認...続きを読む識と拒絶の応酬に、読みながら主人公が味わった幻滅や絶望がわかった気がした。正直、全てを理解はしきれていないけれど、物語全体が海を彷彿とさせる透明感、底知れなさ、魅惑的な存在感を体現しているようで凄いと思った。
芸術家になりたい人間の思考をよく描けてると思う、けど、観念的すぎて、視覚的な美の描写が乏しいのが気になった
当時17歳と考えると凄い語彙力ではある。のだけど、難しい言葉も多く読みにくさは感じた。三島由紀夫が好きらしいのだが、少し前に三島読んでたので比べると美しさと滑らかさが足りない……
17歳でこの語彙力はすごい。 たぶん純文学的な作家さんに刺激を受けているのだろうと思ったけれど、ちょっと難しい言葉が多過ぎて、前半で読むのをやめてしまう人がいるかも。 でも後半からだんだん文章に慣れてきて、美と芸術と哲学の奥深さをしとしと雨が染み込むように感じながら、ラストスパートは、芸術家ってきっ...続きを読むとこんな精神状態なんだろうな、と。 この哲学感を作中で高校生が語り合う違和感を感じたけど、著者も高校生でこの作品を書いてる訳で…。ありえるのか。すごい感性です。
史上最年少(17歳)での新潮新人賞の受賞対象となった作品。男子高校生の「美」や「愛」をめぐるやりとりを描く。 確かに三島由紀夫を思わせる高尚で耽美な文体で、高校2年生がこれを書いたのかと思うと、驚嘆を禁じ得ず、率直にすごいなと感じる。 ただ、中身としては、読み終わった後、正直、ほとんど何も残らなかっ...続きを読むた。高校生が話す内容と思えないようなあまりに観念的な会話シーンが続き、美や死、愛などについての登場人物たちの語りも、難しい言葉をこねくり回しているだけで、本質をついているように思えなかった。
17歳の言葉じゃない。この1冊に感想を書くには、語彙力が足りない。 恋とか愛という言葉があるから、どちらも1つの概念として捉えていた。けれど、どちらもいくつもの感情と性欲を四則演算した先にあるんだと思う。 「夢を応援したい」かもしれないし「殺したい」かもしれない。導かれる答えは、誰にも予測できな...続きを読むいし、誰のせいでもない。
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