羅刹国通信

羅刹国通信

1,980円 (税込)

9pt

4.2

叔父を殺したことは固く秘しておくべきだった。自殺するなんてと母が泣き続けるものだから、本当はわたしが崖から突き落としたのだとわかれば、すこしは気が楽になるかと思ったのだ。震災で妻を失いPTSDに苦しむ叔父との同居に疲弊する家族のために、小学六年生の左右田理恵(そうだりえ)は叔父を殺した。その四年後、理恵は奇妙な夢を見るようになる。荒れ果てた灼熱の地で岩蔭と食糧を求める「鬼」の集団。かれらは二つの勢力に分かたれ争い殺し合う――その法則を理恵に教えたのは、同じ夢を共有する一人の少年だった。鬼才の幻視文学の頂点となる幻の傑作、初単行本化。/【目次】羅刹国通信/続羅刹国報/続々羅刹国――雨の章――/続々羅刹国――夜の章――/解説=春日武彦/津原国通信=北原尚彦

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羅刹国通信 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    どうやら未完らしい。確かに続きを感じさせるラスト。ルピナス探偵団の人がこういう幻想小説も書くなんて知らなかったな。連載が2001年ってことは出てきた震災は東日本じゃなくて阪神淡路なのか。当時に比べると、鬼になることがポジティブに捉えられる世の中になったかもね。

    0
    2025年05月17日

    Posted by ブクログ

    不思議な感覚で意識が曖昧、頭にモヤがかかった状態で読むとなんとなく理解できる。そして文豪作家より読みやすいと思ったら少女向けの小説も書いていた作家。羅刹国という夢の中の精神世界とでもいうのか、そこは砂漠で最終を探すため歩き続ける。留まる事は死を意味する。
    死に至った主人公はまた羅刹国に戻っていたそこ

    0
    2024年09月01日

    Posted by ブクログ

    理恵は十二歳のとき、崖から叔父を突き落として殺した。高校生になった理恵は、見知らぬ少年に「人殺しのくせに自分が鬼だと気づいていない」と言い放たれ、自分の額に二本の角が生えているのを知る。それから理恵の夢は角を持つ者たちが互いを貪り合う〈羅刹国〉へと通じるようになった。2000〜2001年に発表された

    0
    2024年06月02日

    Posted by ブクログ

    解説の方は自己完結的なフィクションだと最初思ったと書いていたけれど、私には最初からこれは社会と人のありようを示した寓話のように思えた。本当は対立がないかもしれないところに二項対立を自ら作り出し、どちらかの側に着くと決めて戦う。それがいつの間にか生きるよすがになっている。多分、そうしている方が楽だから

    0
    2024年05月04日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    彼女には異常であるという正常性バイアスがある
    殺したのか殺していないのか
    詳らかににすることで得られる正当性
    不確定すぎると得られない心の平穏
    どちらか一方への依存

    妄想なのか現実なのか
    薄いブルーグレーの世界
    この物語の素晴らしさは筆舌に尽くしがたく、反面、読んでしまったことへの後悔は計り知れな

    0
    2024年05月28日

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