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OLをリストラされたことをきっかけに、祖母の形見の零細人形店「玉阪人形堂」を継ぐことになった澪。 押しかけ従業員で人形マニアの冨永くん、高い技量を持つ謎の職人・師村さんに助けられ、なんとかお店を切り盛りしている。 「諦めてしまっている人形も修理します」 こんな広告をみて、今日も傷ついた人形を抱えたお客さんがやってくる。 人形と大事な思い出を修理すべく、三人の活躍が始まる。ほのぼのミステリ。 【目次】 毀す理由 恋は恋 村上迷想 最終公演 ガブ スリーピング・ビューティ
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Posted by ブクログ
3人の個性がおもしろく、主人公の葛藤が手に取るように分かり引き込まれた。 津原泰水っぽい毒も少々加味され、ページ数年は少ないが読み応えはあった。
古い人形屋。綺麗で変わり者の青年に、訳ありの職人。そして店長。 すごく好きな要素がつまってる。 少し暗い、ドロドロした人形を巡るミステリー。
主人公がおじいちゃんから受け継いだ人形修復屋さんを舞台にいくつかの短編。 それぞれの物語もおもしろかったし、人形に関する蘊蓄も興味深かったし、終わり方も途中で読めたけど希望どおりの結末で☆4つのうえに、出てくる男性陣がみんな変人でそれぞれにいい男だっていうとこでさらに☆1つ追加(笑)。芸術家でもあり...続きを読む職人でもありって、もう私のツボに入りまくりでしょう!! この作者の本を他にも読んでみようっと。
祖母の形見の人形店を継いだ主人公。 人形マニアと、凄腕の職人の三人で、修理専門の人形店として営業中。 修理として持ちこまれた人形とそれを取り巻くミステリー短編集。 *毀す理由 *恋は恋 *村上迷想 *最終公演 *ガブ *スリーピング・ビューティ 一口に人形といっても、様々でそ...続きを読むれに対する知識というか、含蓄に圧倒される。といっても、それが嫌みではなく、本当に人形が好きなんだというその気持ちになごむ。が、それを引きだしているのは、押しかけ従業員で人形マニアの富永くんなんだが。 店主である澪はリストラされたOLってことで、祖父母の思い出は大事にしてるけど、だからといってそんなに人形が好きではない。 この温度差が、かけひきの面白さになっていると思う。 そして、二人の温度差を一気にフラットにしてしまう人形職人師村。 人形は、人の形であると、その重さは決して揺るがない。 まぁ、とにかく面白かったのだ。 なので、「ガブ」から「スリーピング・ビューティ」の展開に、びっくりしたり安堵したり…。 続編をぜひお願いしたいですm(__)m
人形の修理屋さんが舞台。 富永くんや師村さんなど個性あるキャラクターです。とにかく、人形についてかなり詳しく書かれており、初めて知ることが多かった。 なかなか面白い。
人形、という題材に興味を惹かれて手に取った一冊。 こういった、丁寧な仕事をしたいと思う今日このごろ。時代が早すぎて、窮屈だと思うことがある。
元少女小説作家さんらしい作品。少女小説というジャンルは(控え目に言うと)どちらかといえば好きなジャンルなので、あとがきに、次回作をにおわせるニュアンスがあるのはとても嬉しい。
もともとホラー畑からこの作者に入ったが、むしろこういった作品の方が断然面白い。 短編連作としての上手さが光っている。
悲しい、つらい、そこはかとなくマイナスな雰囲気を漂わせつつも、 とても後味のよい、胸に抱きしめたくなるような短編集。 後書きに、続編を考えているというような言葉がありました。 読むのがとても楽しみです。
お仕事小説というか人形小説? 3年前に広告代理店をリストラされた澪は、30代後半。 入院した祖父に、世田谷区の玉阪人形店を生前贈与された。 祖母が市松人形を作る店の跡継ぎで、祖父は職人の入り婿。 祖母に可愛がられた澪は、思い出のある店をやっていこうと思うが、特に人形に詳しいわけではない。 社員第...続きを読む一号の富永くんは、人形マニア。 気楽な勤めぶりだが、その代わり給料は安くていいという~お金持ちのボンボンらしい。 富永くん作のテディベアも人気を博すようになる。 「あらゆる人形を修復できる方」という募集に応じた職人・師村に助けられて、次第に良いコンビになっていくが…? 修理をメインにやっていくことにしたため、持ち込まれる人形にまつわるエピソードは多彩。 昭和初期、アメリカから親善のために贈られたという、いわゆる青い眼のお人形。 実は「青い眼の人形」の歌は、親善使節を送る企画よりも前に作られたので、キューピーのことだった。 親善のために贈られたのは、アメリカで募金により購入された一万数千体にのぼる色々な人形だから、青い眼には限らなかったそう。 といった豆知識も色々。 「毀す理由」 顔だけがひどく毀れた人形を持参した若い女性。元の写真と、持ち主の顔はそっくりだった… 30年ぐらい前の古い人形なのに、何故? しかも、毀したのは本人らしい。どのように修復すべきなのか? 「村上迷想」 村上市での雛祭り。 旧暦の雛祭りの日まで一ヶ月飾られている伝統ある雛人形をめぐって。 旧家のミステリ。 「最終公演」 チェコの人形芝居の名人の話。 大国に支配された時代でも、人形芝居は母国語での上演が許されたので盛んだったとか。 パラフ劇団を主催するパラフ氏は奔放な想像力を駆使して、自由な公演を行っていた。その最終公演とは? 「ガブ」 人形浄瑠璃の人形の頭をめぐって、師村の過去が…?! ああいう人形って、着物の下には身体がないんですね… 彫刻と人形との違いといった話題で、たとえば彫刻家は耳を量感で捉えるので耳には穴がない。人形作家は耳を生身に似せるので耳の穴を作る、とか。師村氏の語る仲の良い人形作家の弁なのですが。 「恋は恋」 富永くんが友人から預かったのは、ラヴドールという等身大のドール麗美。 ウェブサイトで一目惚れして貯金して買ったそうだが。 友人はカメラが趣味で、ちゃんと恋人もいるという。 亀裂の修理を依頼した所、メーカーのキャプチュアから束前という社長がやってくるが、この型は基本姿勢を誤った失敗作なので直せないという。 まだ開発途上なのだ。 新しいタイプのボディに交換することは出来るが、安くはない。 かなりトーンの違う話が入っています。 気分が変わっていいけど、期待と違うと感じる人もいるのかな? お人形にかける熱意は、一貫していますね。誰がどこに力点を置くかの違いかな。 なぜ、人は魅せられるのか… お人形は広く大好きなので、面白かったです。 私が特に好きなタイプの人形の話は全く出てきませんけど~確かに普通すぎて小説にはなりにくいと思うけど。 続編もあるそうなので、楽しみ。 この作品は2009年1月発行。 著者は1964年、広島市生まれ。89年、津原やすみ名義で少女小説作家としてデビュー。 97年、現名義で「妖都」を上梓。幻想小説の旗手として注目される。 2006年、自身の高校時代に材をとった「ブラバン」が話題となる。
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