無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
表紙の絵が全てを物語っているような気がします。
雪降る町の中で微笑む少女。後ろには踏切が見えています。あの時の踏切か‥‥。
一冊まるまる、こんな雪の降る灰色の空のような、どんよりとした雰囲気です。文章一つ一つが、開けっぴろげではなく抑えられていて、主人公達が中学生とは思えない重さ、灰色感を演出しているのです。
中学生の頃の親友と好きな人。どちらも唯一無二の存在で、出逢えたことが奇跡で、いなくなるなんてことは想像することさえ辛い。
自分にとってのそんな存在が、偽りのものだったとしたら‥‥中学生じゃなくたって、大人だって気が狂ってしまうほど苦しい。
なんて残酷な設定なんだ、と思いつつ読んでいたのですが、終盤になるともっと切ない展開に‥‥令和版『こころ』(夏目漱石)に私には思えました。
恋愛、友情、そして信じること、いつの時代も、どの年代においても普遍的なテーマなのだろうな、と思います。
Posted by ブクログ
三秋さんの新作が出たと聞き、本屋に駆け込んだのに一年以上読めてなかった。活字に苦手意識のある自分ダメだなあー、読も読も
最近また読書を始めて読むことにした。
決してハッピーエンドにはしないけど、残された者に生きる意味を見出してくれる核の部分が三秋さんの中でずっと一貫していて好きだな。
この物語ではサクラ制度があるけど、この世の中こういうことって透明化で行わられ続けていることだと思ってる。
自分の利益の為に誰かを欺いたり、演技したり。
もちろん誰も教えてくれないけど。
その上で自分はこの人を信じようとか、この人を好きだなと思えるかどうかっていうのは結局自分の軸次第だなっ思った。
相手がどんな人間であろうと、その人に対する自分の気持ちが揺らがなければ、人はまっすぐ向き合えるような気がします。
それは怖いことかもしれないし、勇気のいる事かもしれないけど、そうやって軸のぶれない自分を作ることが偽りだらけの世の中では大切なんじゃないかなと思いました。
単純に私が、美和さんサイドの考え方していて根本明るいからっていうのもあるけど。
久々に読む三秋さんの文章はやっぱりとても良くて、本当に空気感とか季節の匂いを感じました!
始めて読んだのは小学生の頃で、当たり前にその頃から価値観も考え方も変わっているはずだけど、これが好きだなあって思える感性が自分の中で健在だということが、とても幸せ!
Posted by ブクログ
うーん、怖い。ただただ怖い。『サクラ』は出会い系であったり、普通に存在するけど、このシステムがこのようなカタチで根付いていると、人間不信に陥ってしまうだろうなと思う。
尾上の元に一本の電話が入る。『高砂澄香が自殺しました』。高砂澄香とは、尾上がかつて一番愛した女性で、一番憎んだ女性だった。
高砂澄香が本当に死んだのかを確認するために昔住んでいた『さくらのまち』に戻り、澄香の家の前に行くと、そこに澄香と同じ顔をした女性が立っていた。
澄香の妹の霞だ。やがて、尾上は霞のプロンプターに指名される。プロンプターとは、自殺志願者に寄り添い、自殺をさせないようにする友だちのフリをする『サクラ』だ。
中学生の頃、尾上には2人の友人がいた。澄香と鯨井という男子だ。その2人には心を許していた尾上だったが、2人とも自分のプロンプターではないかという疑問が生まれる。2人に疑問をぶつけたところ、あっさりと肯定され、以後、2人とは決別し、特に澄香への愛情は恨みとなり、澄香に果たせなかった恨みを霞で果たそうとする。
それにしても、あまりに辛い結末。ただ、この世がこの物語と同じシステムで動いているなら、私もきっと尾上と同じ行動をしていたように思えてならない。この世の中で良かったとホッとする。とか思っていたら、周りの人たちが『サクラ』だったりして。
Posted by ブクログ
★3.7
咲いていたと思っていた桜は、咲いていなかったのかもしれない。
――そんな記憶と、信頼の崩れた痕がこの物語には残っている。
人間関係なんてのはそもそも不安定で、システムはそれを可視化させたに過ぎない。
政府が導入した「プロンプター」制度、通称"サクラ"。自殺リスクが高いと判断された人に、見守る役割が市民に割り振られる。
善意のようで欺瞞か。
救いのようで監視か。
この制度は単なる物語装置にとどまらず、「信頼とは何か」を問う刃でもある。
かつて裏切られた少女の死をきっかけに、故郷に戻った主人公・尾上。そこで出会ったのは、その少女の妹・霞だった。
欺くつもりで接していた彼の心は、いつしか少しずつ浸食されていく。
信じさせていたはずが、気づけば信じたい側にまわっていた――
その構造的逆転こそが、この物語の本当の怖さかもしれない。
たとえそれが"サクラ"だったとしても、心が本物だった瞬間は、確かにそこにあった。
傷つくとわかっていても、孤独の底で誰かとつながりたくなる。
その想いに理由はいらない。
静けさに支配された、優しくて残酷な物語。
嘘のようで、本当のようで、曖昧な輪郭の物語は、「つながり」の形だけはっきり残していく。
喪失の中に、まだ咲くはずのなかった桜が、ほんの少しだけ風に揺れているように感じた。
「さくらのまち」なんて、どこにもない。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
少年・青年マンガ
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
少年・青年マンガ
少年・青年マンガ