あらすじ
二度と戻らないつもりでいた桜の町に彼を引き戻したのは、一本の電話だった。
「高砂澄香が自殺しました」
澄香――それは彼の青春を彩る少女の名で、彼の心を欺いた少女の名で、彼の故郷を桜の町に変えてしまった少女の名だ。
澄香の死を確かめるべく桜の町に舞い戻った彼は、かつての澄香と瓜二つの分身と出会う。
あの頃と同じことが繰り返されようとしている、と彼は思う。
ただしあの頃と異なるのは、彼が欺く側で、彼女が欺かれる側だということだ。
人の「本当」が見えなくなった現代の、痛く、悲しい罪を描く、圧巻の青春ミステリー!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
あらすじを知らずに読んでみたら、お勧めする人が多いのも納得の、すごい作品だった。読み終えてもぐるぐると登場人物たちの未来や、自分だったらどうしたか、考えてしまった。まず設定に驚いた。でも監視社会がもっと進んだらこんな世界もありえないとは言えず恐ろしい。
知らない番号から主人公のもとに、過去のトラウマに関係のある女性が自殺したと告げる電話がかかってくるところからストーリーが進み始めるので、彼女に何があったのか、そもそも主人公とどんな関係にあったのか、どう展開していくのか予想がつかずどんどん読み進められる。だんだんとこの世界の仕組みが明らかになっていき、いくつも衝撃の事実が浮かびあがる。とにかく悲しい、苦しい話ではあるんだけど、だからこそ中学時代の尾上、澄香、鯨井の3人での楽しい時間が美しく輝いて見えてさらに苦しくなる。終盤、過去の出来事がすべて明らかになったあとの鯨井の最後の言葉はずっしりと心にのしかかってきた。現在が苦しいほどに、過去を思い返して「あの時ああしてなければ」とたくさんの仮定を考えてしまうよね。最後に少しの希望が見える終わり方で救われた。
Posted by ブクログ
表紙の絵が全てを物語っているような気がします。
雪降る町の中で微笑む少女。後ろには踏切が見えています。あの時の踏切か‥‥。
一冊まるまる、こんな雪の降る灰色の空のような、どんよりとした雰囲気です。文章一つ一つが、開けっぴろげではなく抑えられていて、主人公達が中学生とは思えない重さ、灰色感を演出しているのです。
中学生の頃の親友と好きな人。どちらも唯一無二の存在で、出逢えたことが奇跡で、いなくなるなんてことは想像することさえ辛い。
自分にとってのそんな存在が、偽りのものだったとしたら‥‥中学生じゃなくたって、大人だって気が狂ってしまうほど苦しい。
なんて残酷な設定なんだ、と思いつつ読んでいたのですが、終盤になるともっと切ない展開に‥‥令和版『こころ』(夏目漱石)に私には思えました。
恋愛、友情、そして信じること、いつの時代も、どの年代においても普遍的なテーマなのだろうな、と思います。
Posted by ブクログ
タイトルと表紙から、なんか映画化狙った恋愛ものだろと思いつつ手に取りましたが、全く違いました。
知るすべのない本心への疑いに翻弄される人たちの誠実な純愛を描いた、それでいてどうにも悲しみに苛まれる名作と思います。素晴らしいです。
相手の好意が本物かどうかを疑ってしまう虚しくもやめられない心情を「システム」によってとても上手にストーリーの骨子に組み込んでいて、その展開には違和感がない。登場人物のそれぞれも、破綻や不自然さはなく、とても綺麗に話が収束していきました。
星本当は8つくらいつけたい。とても良かったです。
Posted by ブクログ
タイトルからの印象とは異なり、カバーからも予想できるように、冬の物語だ。物語の舞台は明示されていないが、たぶん東北地方のある冬の長い、桜の季節はまだ遠い先のことである場所だと思う。
「さくら」はこの小説では、植物の「桜」のほか、そのもう一つの「サクラ」の意味も重要なポイントとなっている。もし、「サクラ」が人間関係のなかで当然のように存在するものになったら、私たちの日常生活はどのような影響を与えられるのだろうか。
物語の設定は少しSF小説的な要素がある。けれども焦点を当てられるのはその技術的なものではなく、注目されるのは、人々はその技術についてどう反応するのか、そしてその技術がもたらした様々な「制度」が、人々の人生にどのように介入しているのか、ということだ。
人間の心は複雑だ。その機微を解することが難しい。それを解決するために設けられた「制度」は、サポートでありながら余計な世話とも言え、勲章でありながら消耗ともなる。ある人が助かったと同時に、ある人が苦しみのどん底に追い込まれたこともある。小説全編を貫いた澄香の謎はその制度と深く関わっている。「制度」は主人公たちに多大な影響をもたらした。
とはいうものの、取り返しのつかない事態に発展させた最も肝要なものは、私たちがよく知っている、極めて典型的な感情。これはとても印象深い。
でも、だからといってがっかりしたということもなく、真相をわかった瞬間、言いようのない悲しさが波のように覆ってきたのだ。
人の心の優しさと残酷さを繊細に描き出す、切ない、哀愁の漂う物語。読み終わった後はただ祈る。これから「ひとつひとつの記憶に貼りつけてあった〈偽物〉の印を取り外」すことができるように (299)。いつかすべてを振り返るそのときは、もう制度の呪いから解放されるように。そして、いつか桜が再び咲き誇る日がくるように。
気づいたら読み終わっていた…
気づいたら最後のページで時間を忘れて読んでしまいました。設定から心情描写までしっかりと書かれていて最後のページを読んでスっと腑に落ちました。すれ違いの際の各個人の心情を読む度に自分もこういう事があったのかなぁと自分自身の経験照らし合わせてしまいました。最後の文章でハッピーエンドではないものの主人公としてはなにか心が救われたのかなと思いました。
匿名
三秋節炸裂でした
三秋先生の久しぶりの新作ということでとても楽しみにしていました。
今作も三秋節炸裂で、終始仄暗い中に小さな希望の明かりが灯っては消え、灯っては消えという感じ。過去作以上に死の匂いが常に漂っていて、それが不思議と心地よく逆に穏やかな気持ちで読み進めました。
「面白かった」とも「切なかった」とも一言で簡単にまとめてしまいたくない、心を混ぜ返されるような読後感でした。
三秋先生の他作品が好きな方は読んで損はないです。
Posted by ブクログ
うーん、怖い。ただただ怖い。『サクラ』は出会い系であったり、普通に存在するけど、このシステムがこのようなカタチで根付いていると、人間不信に陥ってしまうだろうなと思う。
尾上の元に一本の電話が入る。『高砂澄香が自殺しました』。高砂澄香とは、尾上がかつて一番愛した女性で、一番憎んだ女性だった。
高砂澄香が本当に死んだのかを確認するために昔住んでいた『さくらのまち』に戻り、澄香の家の前に行くと、そこに澄香と同じ顔をした女性が立っていた。
澄香の妹の霞だ。やがて、尾上は霞のプロンプターに指名される。プロンプターとは、自殺志願者に寄り添い、自殺をさせないようにする友だちのフリをする『サクラ』だ。
中学生の頃、尾上には2人の友人がいた。澄香と鯨井という男子だ。その2人には心を許していた尾上だったが、2人とも自分のプロンプターではないかという疑問が生まれる。2人に疑問をぶつけたところ、あっさりと肯定され、以後、2人とは決別し、特に澄香への愛情は恨みとなり、澄香に果たせなかった恨みを霞で果たそうとする。
それにしても、あまりに辛い結末。ただ、この世がこの物語と同じシステムで動いているなら、私もきっと尾上と同じ行動をしていたように思えてならない。この世の中で良かったとホッとする。とか思っていたら、周りの人たちが『サクラ』だったりして。
Posted by ブクログ
後輩激推し作家なので期待大だったのだけれどめちゃ面白かった。自殺しそうなメンタルケアを担当する人間が周囲から選ばれて任命される、というのはなかなか厳しい世界観。特殊な世界設定でのミステリが上手い。
Posted by ブクログ
面白かった
欺く側と欺かれる側
そんなキャッチコピーに惹かれたが、それだけではなかった
なにか信じるということ。本心だったり気持ちを聞く勇気、伝える勇気があれば起きなかったことが立て続けに尾上のもとにおきる。
サクラではないんだなー。
たしなに、自分も好かれようと演じている部分は少なからずある。それが本当の自分なのかと問われるとむ?とも思うが、そういう部分も含めて自分なのだと思いたい。
Posted by ブクログ
★3.7
咲いていたと思っていた桜は、咲いていなかったのかもしれない。
――そんな記憶と、信頼の崩れた痕がこの物語には残っている。
人間関係なんてのはそもそも不安定で、システムはそれを可視化させたに過ぎない。
政府が導入した「プロンプター」制度、通称"サクラ"。自殺リスクが高いと判断された人に、見守る役割が市民に割り振られる。
善意のようで欺瞞か。
救いのようで監視か。
この制度は単なる物語装置にとどまらず、「信頼とは何か」を問う刃でもある。
かつて裏切られた少女の死をきっかけに、故郷に戻った主人公・尾上。そこで出会ったのは、その少女の妹・霞だった。
欺くつもりで接していた彼の心は、いつしか少しずつ浸食されていく。
信じさせていたはずが、気づけば信じたい側にまわっていた――
その構造的逆転こそが、この物語の本当の怖さかもしれない。
たとえそれが"サクラ"だったとしても、心が本物だった瞬間は、確かにそこにあった。
傷つくとわかっていても、孤独の底で誰かとつながりたくなる。
その想いに理由はいらない。
静けさに支配された、優しくて残酷な物語。
嘘のようで、本当のようで、曖昧な輪郭の物語は、「つながり」の形だけはっきり残していく。
喪失の中に、まだ咲くはずのなかった桜が、ほんの少しだけ風に揺れているように感じた。
「さくらのまち」なんて、どこにもない。
Posted by ブクログ
読んだ時間6時間くらい
相変わらず、寂しい人間に対して刺さるような的確な表現と言葉を使って語りかけてくるところが好きだなーと思いました。
なんだかんだ、春は嫌いでも春にしか出来ないことがある。
想像で補完するところが多い曖昧な憶測の話、つまるところ自分の人生だってそんな話ばかり
Posted by ブクログ
初めて読む作家。
かなり印象的な小説。
自身の身の回りにいる友人やふいに話しかける人が「サクラ」だったら?
我々は孤立している人に、良心だったり好奇心で話しかけたりするが、それは何なのだろうか?
自分でない自分として目の前にいる人に振る舞うのは本心なのか演技なのか?
ある意味、孤独を救済する小説かもしれない。
Posted by ブクログ
「さくら」「桜」「サクラ」。文字の書き方で様々に印象が変わる言葉の通り、主人公の尾上と澄香、鯨井の3人のストーリーがとても切なく儚く、でも尊く感じられる作品でした。10代の頃に感じた繊細な心の機微は大人になるに従って少なくなっていくように感じますが、その心の揺れ動きが物語からすごく伝わってきました。「この人はなんで私に接してきているんだろう」と考えることなく普通の毎日を送れることが幸せなことだと感じさせられました。
Posted by ブクログ
まず題名から騙された。そっちなんね。ゆくゆくは桜も出てくるんだけど、そんなん普通テーマにしないよ。
そしてそんな設定というか世界をよくも考えつくな。あり得ないんだけど、ほんの少しの可能性を秘めた世界線。故に怖くもある。
自殺を止める為の人材、プロンプター。
偽りの親友、恋人設定、ノー天気な人間なら幸せなんだろうけど、自殺を考える人間が繊細なわけが無い。
そこへバレた日には当たり前に人間不信になるよ。
でも騙されたと思っていた親友、恋人は本物だった。ありがちなすれ違いなはず、尾上は歩み寄ろうとせず、澄香は天才過ぎてプロンプター制度を利用しようとして墓穴を掘る。霞も同様。
頭が良すぎて暴走した感が更に悲しくさせる。
悲しい話、結末のはずだけど、実はだたの中学生の幸せな記憶だけだったんかな。後味は悪くない。
Posted by ブクログ
とにかく中毒性がすごい。正確な理由は自分でもわからないが、続きが読みたい続きが読みたいと思わされてしまい、超スピードで読み終わった。その時点でもうすごくいい作品なのだが、強いて言うならばなぜスミカは主人公に………になったのかの説明がほぼすっ飛ばされていたのがどうかなって。結局ご都合展開?と思う人はそう思ってしまいそう。
あと近未来の設定なのに"手錠"以外の近未来要素をほぼ使わないのがすごく不思議で、多少未来の技術を出してもいいだろうにそれをあえてしていないのは面倒だからなのか、それともそうしないことで物語との距離をより縮めてくれているのか。
とにかく激動の物語で終わった後は思わずうわ〜…と嘆息した。読んでみてほしい。
Posted by ブクログ
SF要素が入ってて少し好みとはズレていたものの、人間の歯がゆさというか心の弱さが垣間見えて個人的には面白かった。
中学生ならでは(?)の言葉の足らなさゆえのごちゃごちゃ感。好きかも
Posted by ブクログ
うーむ、なんか最後うまくまとまっちゃったけど、そもそもなんでそんなに自殺防止してるんだろう、という疑問がずっと拭えなかったのですっきりしない。
Posted by ブクログ
自殺抑制のため自殺リスク者に寄り添い、良き理解者となる役目を任命される制度のある世界。
三秋さんらしい特殊設定。
今作はとにかくすれ違い、虚しさが残る。
個人的にはもやもやした作品だった。
Posted by ブクログ
現代の世の中からすれば想像もできない世界で、これが現実にならない事を切に願う。桜はとても綺麗な花だけど、タイトルの「さくらのまち」というのは花の綺麗さではなくとても怖かった。そして孤独で寂しい世界だった。
Posted by ブクログ
著者さん、初読みです
あらすじとか表紙とかで抱いていた印象と違って重いし暗いし……
人に合わせて人格を変える、なんて今の私も似たようなことやっている
大人しい私
賑やかな私
そうしていくと、どれが本当の私なのかわからなくなってくる
それってもしかしたら相手もそうなのかもしれない
私に合わせてくれているだけなのかもしれない
そう疑いだしたらきりがない
でも
本当の気持ちというのは、しっかりあるはず
Posted by ブクログ
澄香が何を考えていたのか掴めずに物語が進行するが、最後に鯨井の手記から"尾上を自分のサクラにすることで、自分がサクラだという疑いを晴らして尾上にまた会いたい"という一心で突き進んできたことがわかるのが面白かった。
腕輪型デバイスで自殺リスクを計測される近未来的で無機質な世界で、孤独だった尾上に澄香が突然好意的に近づいた理由はプロンプターに選ばれたからという推察は合理的で自然に思えるが、本当はただ何かが琴線に触れ、恋に落ちただけという人間的で温かい情動によるものだったのが異質で美しく感じた。
英語タイトルのA Town of Fake Cherry Blossomsもサクラの訳が秀逸で素敵。
Posted by ブクログ
あー、そっちの「さくら」かぁ。
全くあり得ないといえないような、手錠でないにしろ何年か後には似たような状況の世界線もありえるような?
この世界に身を置くと、自分も疑心暗鬼になるわ。なんとも切ない。
Posted by ブクログ
【さくらのまち】
なんて残酷な世界だろうと思った
虚しくて切ない…
人間の弱さ悲しさが胸に突き刺さる衝撃的な小説だった
この物語の世界では、国民健康管理システムによって健康状態が管理されている。
そのデバイスは腕輪型で、着用は全国民に義務づけられており〈手錠〉とも呼ばれている。
自殺リスクが高いと診断された人間には〈プロンプター〉と呼ばれる政府公認のサクラが友人として寄り添い、自殺を阻止する役目を担う。
欺く側も欺かれる側も、悲しすぎる…
こんな世界なので「さくら妄想」という病を発症してしまう人も多い。
〝私を取り囲む人々は、ひょっとしたら〈システム〉によって宛てがわれたプロンプターで、私と親しい間柄を演じているだけではないのか〟
自分以外の誰も信じられない。
全員がサクラに見える。
自殺を阻止する為のシステムが、逆に死へ向かわせてしまうのではないかと思う。
〈手錠〉のない世界でよかったな。
どうか、そんな未来がやってきませんように…
Posted by ブクログ
テンポよく少しずつが謎が解き明かされていくワクワク感と爽快感はよし。情報が小出しに出されてノンストレス。
しかしながら、いかにも中二ワールド全開思考な世界観と登場人物たちが見ていて白々しく、感情移入できない。
主人公に至っては、酸いも甘いも経験済みの30代くらいかと思いきや、22歳?!そりゃ、18歳の女子高生と並びたっても誰も口を挟まないわけだ。
20代までに出会いたかった作品。きっと抱く感想も違っただろう。
Posted by ブクログ
中高生だった頃の青さがあれば
もっとぐっと切なくなれたのかなー?
人を救うためのアイテムが
お互いを疑心暗鬼にさせ、余計に苦しめ
とても狭い世界の中に
ずーっと閉じ込めさせていて息苦しかった。
誰もかれもが自意識過剰で
独りよがりな感じだし…
青春も死も
そんなに特別なものじゃなく
生というものの一部だったり
つながりに過ぎないんだよー
だから生きていこう、と
年をとった者から言ってあげたい。
Posted by ブクログ
木の桜をイメージして読み始めたので、すぐそっちのさくらかとビックリした。特殊な設定で登場人物の性格もかなり特殊で、そんなことになる?って感じで暗い。
Posted by ブクログ
面白かった。ストーリーというより物語全体の雰囲気が切ない感じで好きだった。特にカスミと凍死の予行練習に至る流れは、物語の転調を予感させるもので読んでいて熱が入った。
設定や展開には都合が良すぎる点はあるものの特に気にならなったが、欲を言えば、実はスミカがドンデン返しで生きているラストを期待していた。
Posted by ブクログ
途中まで全然乗り切れないまま読んで、どこに着地するんだ…と思ったら取り返しがつかない話すぎて読み終わってしんなりしてしまった。
青春時代にありがちな人を信じられない話から異質な「手錠」の登場、人間関係など後半の展開はかなり面白くてすらすら読み進められるものの、疑心暗鬼を煮詰めた話の行き着く先がこの結末はあまりにも…みたいになってしまった。
みんな言葉が足りなすぎて、それゆえに取り返しがつかなくなっていくし、少しでも自分をさらけ出せたならこうはなってないんだけど、そもそも心のうちをきちんと話し合えるような人間関係ならこう言った物語は展開しないから、このなんとも言えなさがすごい味がする。
「3日間の幸福」「寿命を買い取ってもらった」の作者さんらしい作品でした。
人を選ぶ作風だと思いますが、自殺に関する話でもあるので希死念慮が強い人が読むと引っ張られるかも知れないので気をつけたほうがいいかもしれないです。
Posted by ブクログ
終盤で物語のヒロイン、澄香のことがわかってきて、やっぱりなーという気持ちと思ったより狂ってるぞという気持ちに。でももう少しどうこうならならなかったのか。
でも、鯨井と澄香と尾上の短くて、儚い友情がキラキラしてて好きだった。
この女の子との出会いは一生ものだと天啓のように思わせる運命の女の子を演じるのが天才的に上手い澄香、でも澄香の欲しいもの、考えていることは誰にも伝わっていなくて、理解されないまま死んでいったのが悲しい。鯨井だってせっかく友情を手にしたのに、澄香に狂わされたまま死んでいって、妹は罪悪感を抱えて死んでいく。主人公の周り、全員狂っててしんどい。