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台北、東京、マラケシュ、ウィーン、チューリヒ、パリ……。弁護士で作家の「私」は講演会や朗読会で世界各国を訪れ、さまざまな過去を抱える人々と出会う。16年前に弁護したかつての依頼人がマラケシュで語った、当時明かさなかった事故死の事情。イタリアの古い館に滞在中、怪我をした隣人の女性から聞いた衝撃的な身の上話。ベルリンで亡くなった知人の遺言執行者に指名されて知った、彼の唯一の遺産相続人との愛憎半ばする関係──。死や罪悪感に翻弄される純粋で奇妙な人々の物語と、ところどころに挿入された歴史上のエピソードによる全26章は、ページを閉じたあとに、深く鮮烈な余韻を残す。クライスト賞受賞、日本で本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた『犯罪』の著者が贈る新たな傑作短編集!
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Posted by ブクログ
2025年の翻訳大賞とってたので、初めてシーラッハ作品を読んだ。確かに不可解なパートもあるし、哲学とか歴史とかの話も入るので教養のない自分には難しく思えたけれど、やはり大賞獲るだけあって訳された日本語の美しさが心地よかった。
全体をとおしてドラマチックで詩的な文章がとても好き。
訳者あとがきの「エッセイ未満の創作」は言い得て妙だし、エッセイと思ってもう一度読み返すと感じ方が変わるかも。
個人的には(エルメスのいない)「キノの旅」感あるなあと思ったけど、異論は認めます。
どんでん返しほどではないにせよ章末で急にハンドル切ってくるこの感じがクセになる。
この方のほかの作品も読んでみよう〜。
Posted by ブクログ
26の話がのっている。
各章には数字だけで、タイトルがない。
珈琲と煙草と同じスタイル。
後半により気になるストーリーあり。
エッセイか小説か、は関係なく、静かに染みわたる。
さらっと、気になった章をおさらい。
満点じゃないのは、なんとなく。シーラッハの曖昧感から。
3. 東京での話 パーク・ハイアットに宿泊。ロスト・イン・トランスレーションのロケ地。
アリソンという女性から聞く、悪くてよい話…
5.過去に弁護した男性か語る、語られていなかったこと。成功の足元をすくわれそうになり、でも、その成功を手放し、静かに生きるきっかけ…
8.誤解。それがきっかけで起こる不幸な夫の死亡事故。生き残った妻が、夫の埋葬後まもなく知る真実…
9.リベンジ…
16.リベンジ その2
17. プーチンの宮殿に衝撃を受ける。モナコの40倍の広さ、10億ドル以上の建築費…
そして、ジャコメッティの暮らしぶりが描かれる
ジャコメッティは理想だ
18.自分の尺度でものを測るのは危険、とよく思う。
いろいろなエピソードが、その裏には隠れている。
19.ハーヴェイ・ワインスタインの事件も、映画好きにはこたえた。今もいろいろなことが起る…
20.バカな男子学生というのは今もいる。
グループを率いたがる、意気がる、そして負ける…
頭だけでもダメだが、考えることは必要
21.ダメな夫に自分を犠牲にしてしまった妻のエピソード…
22.恵まれた出自の人には選択できる道
23.芸術家は大変。才能だけでは、生きていけないから。
24.ロレンツォ…
25.ヴィスコンティ…「山猫」のエピソード
ヴィスコンティはモドローネ伯爵だった
ランカスターは郵便局員の息子だった
ふう…
26.ジャコメッティ展に出かけた話
Posted by ブクログ
シーラッハの作品は、なんというかストーリーに余白があって余韻が心地よい。
決して居心地のよい話ではない事が多いのだが、読んだ後に、自分の心の中でいろいろなことが静かに共鳴する感じがする。
本作は、言ってみれば短編集なのだろうが、短編とも呼べない、掌編ですらないくらいの数行で終わる作品もあって、尚且つ各編にタイトルがない。ないというか、単純に連番が振られている。訳者によれば、共感覚者であるシーラッハには、それなりの意味があって振ってある数字なのかもしれないが、それがまた読み手には自分でイメージを膨らませる余地になり、一層作品を味わい深くしている。
作中にはいくつもの実在の小説や映画、歴史的事実が出てきて、また物語の視点となる人物の多くが弁護士であったりして、フィクションなのだけれど、どこか現実と混ざり合うような感覚もあって、それがまた作品に新たな響きを与えている気がする。
特に印象的だったのは〈16〉。映画館が出てくるせいもあるのだろうが、何か映画を観たような気分になる。
人間のおかしみや愚かさ、悲哀をふんだんに取り込んだ秀作。
読後のこういう感覚が好きだから、シーラッハの作品はいつも手にしたくなる。
そして、今の日本をシーラッハはどう見るだろうか。為政者たちに〈22〉を読ませたいものだ。
Posted by ブクログ
一筋縄ではいかない人間の愛と憎悪、ドイツの弁護士でありの小説家シーラッハが描く至極の短編集 #午後
■きっと読みたくなるレビュー
悪に落ちていく人間を描いた短編集『犯罪』『罪悪』で有名なフェルディナント・フォン・シーラッハ。
今回は作家であり弁護士の主人公が、パリ、東京、ウィーンなど世界中の訪れた先で様々な人と出会い、彼らから不思議な話を聞くという筋立て。
また世界各国の文学や出来事についての言及もあり、そもそもこの本に書かれている内容は、フィクションなのかシーラッハ本人のエッセイなのか、よくわからなくなってくる。
出会った人から聞くお話は比較的短めではあるのですが、どれも異様な世界観に包まれるのよね。それぞれの国の社会問題や事件を切り取っていて、薄暗くなっていく午後の時間を黄昏ているような気分。
ストーリーも辛辣な現実やアイロニーな結末で切れ味鋭く描いており、思わず目を見開いてしまうこともあってさ。風刺が効いた古の白黒短編映画を観ているような感覚になってくるんですよ。
■おすすめ作品の簡単レビュー
・3-東京
我が国日本、令和の現代だとちょっと違うかなって思うけど、問題の本質としてはあってるよね。人間の汚らしさが痛烈に描かれていて吸い込まれる。
・8-ヴェネツィア
最も好きなストーリー。愛情と憎悪のふり幅がスゴイのよ、パワフルなお話だった。でも愛情と憎悪も、どっちも勘違いみたいなもんだからなーと、妙に納得してしまった。ラストもですよねって感じで大好き。
・12-ウィーン
第二次大戦に巻き込まれたオーストリア、これからは平和であって欲しい。こちらの作品も人間の業、軽蔑、裏切りみたい負の気を感じるよね。人間ってのは一筋縄ではいかない。
・19-シカゴ
アメリカはもちろん、日本でも同じ。どれだけめんどくせー世の中なんだ… と、悲しくなるよね。次の世代では胸を張って自分らしく自由を謳歌して生きられる世の中にしてほしい。
■ぜっさん推しポイント
「午後」といえば、いちにち24時間の「後半」の部分になる。
人生で例えると、明るく元気で活発に生きてきた「前半」とは違い、「後半」は少しずつ体力や知力が衰えてくる。そして遂には死の足音も聞こはじめるのだ。
本作は「愛」と「死」の遠くて近い距離感や、表裏一体な関係性が伝わってくるんだよね。人間の清らかさと醜悪さを味わえる作品でした。
Posted by ブクログ
シーラッハ2冊目、最新刊の短編集です。200ページ足らずの本書には26編が収められ、長くて20ページ程度、短いものは1ページ、それもわずか3行という掌篇もあります。そして各話にタイトルがなく、通し番号が付されています。
読み始めは1話ごとの脈略やテーマがよく判らず少し困惑しましたが、デビュー作同様、弁護士・作家である著者の〈私〉が登場し、かつて仕事等で訪れた世界各地で誰かと出会い、打ち明け話を聞くというエピソードが淡々と語られます。
過去にあった事実、その人生の断片は、どこまでが創作か境目があやふやで、幻想か現実かが曖昧な印象です。各掌篇の好みの振れ幅が大きいと思いました。トータルで俯瞰した時に、つかみどころのない哲学的な要素も感じ、戸惑いにつながるかもしれません。
それでも、本書タイトルの「午後」に限らず、夜をイメージする話も多く、孤独や苦悩の人の生き様を喚起する展開と意外性のある結末など、味わい深い掌篇が魅力的です。評価を3寄りの4とします。
デビュー作と最新作、それも短編集しか読んでいないので、機会があればシーラッハの長編を含めた多作品を読んでみたいです。もしかしたら、シーラッハは読後の不穏さが癖になる作家なのかもしれません。
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