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「私は息子だから、あなたに人間らしくあってほしいと思うのです。それが、ほんとうに本心なのですか」
任官8年目の裁判官・安堂清春は、抜群の記憶力を持つものの、極度の偏食で、感覚過敏、落ち着きがなく、人の気持ちが分からない。そんな発達障害の特性に悩みながら、日々裁判に向き合っている。7千万円を盗み起訴された女性銀行員が囁いた一言、飼い犬殺害事件に潜むかすかな違和感。彼はわずかな手がかりから、事件の真相を明らかにしていく。そんな中に現れた、冤罪を訴える男。殺人罪で服役していた彼を誰も相手にしないが、安堂はなぜか気にかかり……。その再審裁判で証人として出廷したのは、検察ナンバー3の地位にいる、安堂の父だった。衝撃と感涙のラストが待ち受ける、逆転の法廷ミステリ!
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ドラマを観ていたので、キャラクターがすぐ頭の中で映像化されて、どんどん読み進めていった。ドラマでは、安堂さんが結城さんとの関係を自ら述べたのに対し、本では数名察していたのはなぜだったのかが前作含めどこか読み落としてるかもしれない。法服のサンタクロース、読む前はどういう意味だろうと思っていたがまさかラストがそういう展開になるとは…。読んでから粋なタイトルだなと感じた。「アイツは発達障害だ!」という偏見の目があること「家族が発達障害だから」と理解する目が両方描かれているのもいい。そして安堂さん自身も変わろうとしているところも良かった。ドラマと本の話が違うので、ドラマはこうだったけど、ここの部分はドラマと似てるなと探しながら読むのも楽しい。
Posted by ブクログ
「ABC、そしてD」の章が強く印象に残った。
刑事裁判を匿名で行う。適用事例としてよくある性犯罪でもない隣家の犬の毒殺事件について、そもそも匿名適用の必要性があるのか主人公は疑問を抱き、匿名要請を容認しない決断を下す。すると被害者に寄り添う姿勢がないとなじられるのだが、自分としても主人公よりの考えだったので得心いかなかった。むしろ公益性を考え、公にすることで命について皆に考えてほしいと考えを吐露した主人公に嬉しく思った。このケースでは被害者側である飼い主が特殊だったが、普通の飼い主なら犯人を許せないだろうし、危険性を声高に叫びたくなるんじゃないだろうか。この件に限らず、刑事裁判で要請すれば匿名がまかり通るというのも何だかびっくりしてしまった。市民としては被害者はともかく加害者まで伏せてほしくはない。
ともあれこの事件は犠牲となった犬、ハヤートが不憫でならない。急展開にこれ以降裁判は開かれなかったと記載されていたが、犯人はどうなったのだろう。ちゃんと裁かれてくれないとハヤートという命という意味が名付けられた犬が浮かばれないし、近所の住民も不安になるのでは…
また第二作となった今作では主人公の両親にもスポットライトが当たっていたのが印象的だった。発達障害の息子を育てながらカサンドラ症候群になった母、離婚して別々に暮していた検事の父。父は父なりに主人公のことを気にしていたようだが、ただもう少し踏み込んで主人公が幼い頃の両親の姿を見てみたかった。
Posted by ブクログ
「気忙しい」「気が晴れる」の「気」って何だ?「個人的にお話したい」と言われても、プライベートな話かと思えば全くそうではない。そんな曖昧な言葉にいちいち翻弄され、脳内メモリを消費しながら必死に生きる裁判官・安堂清春の思考回路を辿るのは、やっぱりこのシリーズならではの醍醐味だ。
前作で描かれたあの痛々しいまでの生きづらさ、カサンドラ症候群だった母親の影、そして厳格な父との対峙。不器用で一筋縄ではいかない安堂家がなんとか安寧な日々を送ってほしいと願わずにはいられない、泥臭い人間ドラマに私は強く引き込まれていた。
今作でも、安堂が覚悟を決めて「発達障害」であることを告白する名シーンがある。けれど小野崎から返ってきたのは、「知ってましたよ。弟も自閉スペクトラムだから」というあまりにあっけらかんとした言葉。必死でバグを隠してきたつもりが、とっくに知られ、受容されていたという肩透かしのような安心感。この脱力と救いの描き方は相変わらず秀逸だった。
【追記】
私は、「この作品をうまく読み取れていないのではないか?」と思い、再度「法服のサンタクロース」を読んでみた。結果。
冤罪という切実で重厚なテーマに引き込まれるとともに、人の過ちを突きつけられる傑作でした。
紅林と幼い穂乃花ちゃんを引き離した罪は本当に重い。
それだけに、すべてが明るみになったあとに安堂が投げかけた「ある問いかけ」と、それに応えるやり取りが強く心に残ります。厳しさの中に描かれた静かな救いのようなラストシーンに、心から読んでよかったと思えました。
ソーダ水が飲みたくなった。
『海を見ていた午後』を聴きながら。
Posted by ブクログ
NHKのドラマの影響で、清春が松山ケンイチさんにしか見えなくなっていて、前作を読んだ時とイメージが少し変わっているかも。ドラマもとても良かった。
前作よりも清春が自分の特性と裁判官の仕事との折り合いの付け方が上手くなっている印象を受ける。漢字に拘ったり蚊の音に過剰反応したり靴紐の結び方がおかしかったり相変わらずナポリタン一択だったり(ただし今作では克服しようとかなり努力している)ではあるのだが、彼自身の対処方法がブラッシュアップされている。人の感情を読み取るのが苦手なことも同様だが、それを自覚した上で「共感の扉を開ける」ことで他者を理解しようとしている。
匿名申請を認めないことが鍵となる「ABC、そしてD」予想外の結果にびっくり。「法服のサンタクロース」刑期を終えた元受刑者の訴えにきちんと向き合うことで明らかになる、過去の事件の真相。タイトル通りの結末。最後の会話が良い。
ドラマと同じ内容ではないようだが、ドラマでも法廷で父親と対峙するシーンがあった。松山ケンイチさんが自らの特性について詳しく話していたが、小説では言葉を交わす程度。この方が自然かな‥と思った。
小野寺弁護士とは目下のところ恋愛方向には進展しておらず、良き理解者兼サポーターみたいな関係になっている。清春も小野寺弁護士にとっての優秀な協力者で、お互いに良いパートナーだ。
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