集英社文芸単行本 - 深い作品一覧
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5.0ことばと出会い、ことばと育ち、 ことばを疑い、ことばを信じた。 『水中の哲学者たち』で一躍話題となった著者は、 ことばに支えられながら、世界を見つめ続ける――。 過去から現在までの著者自身を縦断し、 読者とともにこの社会を考える珠玉のエッセイ集。 【第一部 問いはかくれている】 日々生まれる「新語」。 新語は、現代社会が必要とするから生まれるはず――。 けれど、なぜ私たちはそのことばを作ることにしたのだろう? 新語の裏に潜む問いを探り出し、私たちの「いま」を再考する12篇。 【第二部 これがそうなのか】 幼少期を本とともに過ごしてきた著者。 これまでに読んできた数々の本の中から大切な言葉を選び抜き、争いの絶えないこの世界との対話を試みる。 過去に書き残されてきた幾つもの言葉から、私たちの未来を惟る12篇。 【著者略歴】 永井玲衣(ながい・れい) 1991年東京都生まれ。人びとと考えあい、ききあう場を各地でひらいている。問いを深める哲学対話や、政治社会について語り出してみる「おずおずダイアログ」、せんそうについて表現を通して対話する写真家・八木咲とのユニット「せんそうってプロジェクト」、Gotch主催のムーブメント「D2021」などでも活動。 著書に『水中の哲学者たち』『世界の適切な保存』『これがそうなのか』がある。第17回「わたくし、つまりNobody賞」受賞。詩と植物園と念入りな散歩が好き。
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5.0今年3月、テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」で本物と鑑定され大反響を呼んだ、井上ひさしの未発表戯曲。没後12年にして最新作! 佐々木喜善が収集した伝承・昔話をまとめた『聴耳草紙』の一編「馬喰八十八」をベースに大胆な創意を盛り込んだ作品だ。舞台は「羽前の国、小松郷」。現在の山形県川西町、井上ひさしの出身地。時は「156…年」。病気の老婆を連れて、馬一頭と村にやってきた太郎。村の有力者・横暴な松左エ門は、この馬が黄金のくそをすると聞き、太郎から無理矢理買い上げる。しかし黄金を出さないため馬は殺されてしまう。その後、太郎は巧みなうそを重ねて、松左エ門をはじめとする村人からまきあげ大金を手にしながら、ついに復讐を果たす。太郎の悪漢ぶりが痛快なピカレスク物語。 第一稿、昭和34年6月21日。没後12年にして、井上戯曲ファン垂涎の最新作!
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4.8西加奈子最新短編小説集『わたしに会いたい』、11月2日(木)発売・配信決定! コロナ禍以前の2019年より、自身の乳がん発覚から治療を行った22年にかけて発表された7編と書き下ろし1編を含む、全8編を収録。 誰かの価値観を押し付けられることが多いこの国で、自分のヒーローは自分でしかない。 フィクションだからこそ描ける、「自分を生きたい」という力強いメッセージに溢れた傑作が誕生しました。 本書の発売・配信に先駆け、表題作「わたしに会いたい」を全文掲載した無料試し読み電子書籍を配信いたします。ぜひDLしてお読みください。 【全文無料公開「わたしに会いたい」あらすじ】 父親が異なる3人の姉を持つわたしが心を許せるのは、いとこのモトだけだった。一人っ子のモトの部屋にはたくさんのおもちゃと本があり、いつもモトの部屋で遊んでいた。ある日、幼稚園で歩き方がおかしいと言われて病院に行くと、骨が変形していて、歩き方は生涯治らないことを告げられる。わたしは、その日もモトの部屋に行った。すると、家に帰って来たモトは、玄関にわたしがいた、と言う。モトは、わたしのドッペルゲンガーに出会ったのだ。それから毎日、わたしは「わたし」について考えた。
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4.7この世はすべて、世界に媚びるための祭り。 性格のない人間・如月空子。 彼女の特技は、〈呼応〉と〈トレース〉を駆使し、コミュニティごとにふさわしい人格を作りあげること。「安全」と「楽ちん」だけを指標にキャラクターを使い分け、日々を生き延びてきた。 空子の生きる世界には、ピョコルンがいる。 ふわふわの白い毛、つぶらな黒い目、甘い鳴き声、どこをとってもかわいい生き物。 当初はペットに過ぎない存在だったが、やがて技術が進み、ピョコルンがとある能力を備えたことで、世の中は様相を変え始める。 私たち、ピョコルンに、全部捨てられるようになりましたよね。 性欲を。出産を。育児を。介護を。人生の時間を食いつぶす、あらゆる雑務を。 14年前、「リセット」を経験した人類は混乱の最中にあった。 しかしラロロリン人の考えた「人間リサイクルシステム」がうまく機能し、やがて社会は再生を迎える。 そして49歳になった空子は「クリーンな人」として、美しく優しい世界を生きている。生まれ育った街「クリーン・タウン」の実家に戻り、同級生の白藤遥とその娘・波とともに。 ようやく訪れた穏やかな社会の中心には、さらなる変貌を遂げたピョコルンがいた。 村田沙耶香渾身の大長編、ここに完結。 都合の良い「道具」・ピョコルンを生み出した果てに、人類が到った極地とは――。 『世界99 上』『世界99 下』を1冊にまとめた合本版! 【著者略歴】 村田沙耶香(むらた・さやか) 1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年『コンビニ人間』で芥川賞受賞。著書に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』『変半身』『丸の内魔法少女ミラクリーナ』『信仰』などがある。
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4.7天才にして革命家、そして私の師匠――立川談志。 世間からのイメージは破天荒で、毒舌家で、タレント議員の走り。 ただ落語中興の祖として実力派折り紙付きで、圧倒的な存在感を誇った落語家だ。 そんな談志に、大学在学中に弟子入りした立川志らく。 まさに「前座修業とは矛盾に耐えることだ」と言わんばかりの理不尽な試練に耐える下積み修業時代。そして、芸道に邁進し、二つ目、真打ちへと昇進していく日々には、師匠への尽きせぬ憧憬の念と、親子関係をも凌駕する師匠から弟子への愛に溢れていた。 しかし、そんな関係も永遠には続かない。 2011年11月21日、談志は享年75歳、喉頭癌で逝去。 伝統芸能の世界において子弟の別れはない。肉体は消えても、その精神や芸は弟子たちの体に宿り、次代へと伝わっていく。志らくのなかに談志はまだ生きているのだ。 師匠・談志への熱き想いが胸に迫る人気落語家の自伝的エッセイ。
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4.5感涙の動物病院ストーリー、誕生! 信州の美しい木立の中に佇む「エルザ動物クリニック」。 獣医師としては凄腕だけれど、ぶっきらぼうで抜けている院長の北川梓、頼れるベテラン看護士の柳沢雅美と萩原絵里香、受付と事務を担う真田深雪。4人のスタッフが力を合わせ、日々運び込まれるペットや野生動物の治療を懸命に続けている。 瀕死の野良の子猫を見捨てられず、クリニックに飛び込んできた建築職人の青年・土屋。高齢犬ロビンの介護に悩む、自身も重い病を抱えた久栄。歪んだ結婚生活に苦しむ里沙を見守り続けてきたインコのタロウ・・・・・・。 それぞれの人生と共にある、かけがえのない命をいかに救い、いかに看取るのか。生きとし生けるすべての命への愛しさがあふれる物語。 ◆著者プロフィール 1964年東京都生まれ。立教大学文学部卒。会社勤務などを経て、1993年『天使の卵――エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞。2003年『星々の舟』で直木賞、2009年『ダブル・ファンタジー』で柴田錬三郎賞、 中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、2021年『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞を受賞。小説に「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズ、『二人キリ』『PRIZE』、エッセイに『命とられるわけじゃない』『記憶の歳時記』など著書多数。
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4.5「本を読みたいけど、読めない!」 現代の忙しい私たちは、いったいどんな本を読めばいいのだろうか? または、どうやったら本が読めるだろうか? 『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』の著者が、具体的な方法と作品タイトルをもって贈る、やさしい読書エッセイ。 焦燥感と罪悪感にかられるあなたの背中を、そっと押してくれる全53章。 【著者プロフィール】 ファン・ボルム 小説家、エッセイスト。大学でコンピューター工学を専攻し、LG電子にソフトウェア開発者として勤務した。転職を繰り返しながらも、「毎日読み、書く人間」としてのアイデンティティーを保っている。 著書として、エッセイは本書のほか、『生まれて初めてのキックボクシング』、『このくらいの距離がちょうどいい』(いずれも未邦訳)がある。 また、初の長篇小説『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(牧野美加訳、集英社)が日本で2024年本屋大賞翻訳小説部門第1位を受賞した。 【訳者プロフィール】 牧野美加(まきの・みか) 1968年、大阪生まれ。釜慶大学言語教育院で韓国語を学んだ後、新聞記事や広報誌の翻訳に携わる。 第1回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」最優秀賞受賞。 ファン・ボルム『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(集英社)のほか、チャン・リュジン『仕事の喜びと哀しみ』(クオン)、ジェヨン『書籍修繕という仕事:刻まれた記憶、思い出、物語の守り手として生きる』(原書房)、キム・ウォニョンほか『日常の言葉たち:似ているようで違うわたしたちの物語の幕を開ける16の単語』(葉々社)、イ・ジュヘ『その猫の名前は長い』(里山社)など訳書多数。
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4.4世界のどこかで今日も洗濯機をまわしながら野菜を刻み、鍋で煮込むあいだにあわただしく掃除機をかけ、自分や家族の生活を整えているあなたへ贈るエッセイ集。 「エネルギッシュ敏子」――やる気が出ない時に召喚するイマジナリー家政婦さんの活躍。 「かなしいポイ活」――心にたまる負の感情(=負ポイント)の解消法を考える。 「とれたてのピチピチ」――お酒を飲まない生活を続けてみたら、意外な発見があって・・・・・・。 「わしゃ気にせんよ」――忙しい毎日と片付かない部屋を解決した、ある方法とは? 「みちみち」――なにも得られない。気づきも学びもない。そんな時間の大切さについて。 ほか多数収録。 時にじんわり、時に愉快に心を解きほぐしてくれる、大人気小説家初のエッセイ集誕生! ◆著者プロフィール 寺地はるな(てらち・はるな) 1977年佐賀県生まれ、大阪府在住。2014年『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。2021年『水を縫う』で河合隼雄物語賞受賞。2023年『川のほとりに立つ者は』で本屋大賞9位入賞。2024年『ほたるいしマジカルランド』で大阪ほんま本大賞受賞。『こまどりたちが歌うなら』『いつか月夜』『雫』『そういえば最近』『リボンちゃん』など著書多数。
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4.4【2024年本屋大賞翻訳小説部門第1位】 完璧な人生なんてないけれど、「これでいい」と思える今日はある。 ネットで人気を博し韓国で累計25万部(2023年9月26日現在)を突破した、心温まるベストセラー小説! ソウル市内の住宅街にできた「ヒュナム洞書店」。会社を辞めたヨンジュは、追いつめられたかのようにその店を立ち上げた。書店にやってくるのは、就活に失敗したアルバイトのバリスタ・ミンジュン、夫の愚痴をこぼすコーヒー業者のジミ、無気力な高校生ミンチョルとその母ミンチョルオンマ、ネットでブログが炎上した作家のスンウ……。 それぞれに悩みを抱えたふつうの人々が、今日もヒュナム洞書店で出会う。 新米女性書店主と店に集う人々の、本とささやかな毎日を描く。
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4.3いつかきっと、いろんなことがわかるようになる。 母を病で失った五歳の「僕」は、いくつかの親戚の家を行き来しながら幼稚園に通っていた。大人たちが差し出す優しさをからだいっぱいに詰め込み、抱えきれずにいた日々。そんなとき目の前に現れたのは、イギリスからやってきた転入生のさりかちゃんだった。自分と同じように、他者の関心と親切を抱えきれずにいる彼女と仲良くなった「僕」だったが、大人たち曰くこれが「初恋」というものらしく……。 コンビーフのサンドイッチ、ひとりぼっちのハロウィン、ひみつの約束、悲しいバレンタインデー。 降り積もった記憶をたどり、いまに続くかつての瞬間に手を伸ばす。 第36回三島由紀夫賞候補作、第45回野間文芸新人賞候補作となった『息』に続く、注目の若手による最新中編。
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4.3今村翔吾氏 推薦! 「たおやかな筆致で描かれる、苛烈な愛のゆくえ。この作品を書く感性をまぶしく思う」 最初に父親から教えられたのは自害の作法……細川忠興は愛を知らなかった。 玉(ガラシャ)は、妻として忠興に寄り添いたいと思う。 しかし父・明智光秀の謀反により、夫婦の運命は暗転。 謀反人の娘となって幽閉された玉は、やがてキリスト教の愛に惹かれていく。 一方、忠興は玉の心を失う孤独と恐怖から、刃を振り上げ――。 本当に大切にすべきものは何だったのか。 物語は歴史上もっとも美しいラストシーンへ。 細川ガラシャと忠興、日本史上もっとも歪んだ純愛を描いた歴史小説。
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4.3繰り返されるパンデミック、戦争、格差社会……。 ホモ・サピエンスは三千年間、まったく変わっていない!? 漫画家・文筆家・画家のヤマザキマリが、大英博物館の「マンガ展」担当キュレーターで美術史家のニコル・クーリッジ・ルマニエールを相棒に、歴史をひもときながら現代社会を明るく生きるヒントを探る、対談&エッセイ集。 「人類が三千年間変わらないのは業を持っていること」「不条理と孤独が人を育てる」「ユーモアにこそ知性が必要」など、ともに十代で異国での孤独を味わい、世界各地で歴史とアートを縦横無尽に学び続ける二人が導き出した、力強く普遍的なメッセージが満載。 単行本未収録の漫画「美術館のパルミラ」(ルーヴル美術館特別展「ルーヴルNo.9~漫画、9番目の芸術~」発表作品)も収録。 【目次】 Prologue 人類三千年の旅への招待状 ヤマザキマリ Dialogue 失敗や破綻はすべて過去に書いてある ヤマザキマリ×ニコル・クーリッジ・ルマニエール 第一章 困難なときほど人類三千年の知性に刮目せよ 第二章 時代の先駆者は、いつの世も孤高にして不遇 第三章 人類の歴史で普遍的なのは、笑いの精神 第四章 想像力をすり減らす同調圧力 第五章 失敗や破綻はすべて過去に書いてある Manga 美術館のパルミラ Essay 人類を救う(かもしれない)ヤマザキマリの七つのヒント Epilogue ヤマザキマリさんは右脳と左脳の間に立つ人 ニコル・クーリッジ・ルマニエール
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4.3イラン出身の母と白人の父をもつ、ペルシア系アメリカ人のダリウス。家でも学校でも疎外感を覚える彼は、母の故郷ヤズドを家族で訪れることに。そこではじめての友達を見つけ……。アメリカの様々な年間ベストブックスに次々と選出されたベストセラー! 民族、人種、性的指向、うつ病、多重のアイデンティティに悩む16歳の青春物語。
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4.2小説というものの輪郭が、いわば地球を覗く窓の形が、本書によりまた大きく更新されました。 それはつまり、この本の中で初めて寛げる人がいるということです。 救済と爆弾は同じ姿で在れるのだと気付かされました。 朝井リョウさん(作家) 本当は貴方もわかっていたんだろう? と迫る声が脳内に鳴り響く。 熱に浮かされるようにページを捲る手が止まらない。 これは本型ワクチン。 世界99に誘われ、もう元いた場所へは戻れない。 宇垣美里さん(フリーアナウンサー・俳優) 足元の地面がふいになくなり、 正常と異常の境目が消え失せ、目眩がする。 人間という生き物の滑稽さ、グロテスクさ、美しさ、不思議さが、 この本の中にすべて詰まっている。 岸本佐知子さん(翻訳家) 空子がこの世界で体に蓄積する小さな暴力の音とか、風とか、どれも僕の心に刻まれていきました。 物語で一緒に過ごせた時間は、僕の宝です。 ロバート キャンベルさん(日本文学研究者) この世はすべて、世界に媚びるための祭り。 性格のない人間・如月空子。 彼女の特技は、〈呼応〉と〈トレース〉を駆使し、コミュニティごとにふさわしい人格を作りあげること。「安全」と「楽ちん」だけを指標にキャラクターを使い分け、日々を生き延びてきた。 空子の生きる世界には、ピョコルンがいる。 ふわふわの白い毛、つぶらな黒い目、甘い鳴き声、どこをとってもかわいい生き物。 当初はペットに過ぎない存在だったが、やがて技術が進み、ピョコルンがとある能力を備えたことで、世の中は様相を変え始める。 3年以上にわたる著者初の長期連載がついに書籍化。 村田沙耶香の現時点の全てが詰め込まれた、全世界待望のディストピア大長編! 【著者略歴】 村田沙耶香 (むらた・さやか) 1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年「コンビニ人間」で芥川賞受賞。著書に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』『変半身』『丸の内魔法少女ミラクリーナ』『信仰』などがある。
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4.2第37回小説すばる新人賞受賞作。 霧の町チェリータウンのモットーは「壊れていないなら直すな」。 酒場を経営する町一番の人気者である父スタンリー、部屋にこもりっきりの兄エディ、そして5年前に家を出て行った母。13歳になるソフィアは町から一度も出たことがなく、独りぼっちでうつむいて生きてきた。 ある日、お向かいに住む無口な老人ミスター・ブラックの家に、風変わりな人物がやってくる。自称「毎週生まれ変わる」ナタリー・クローバーは、夏休みの間だけブラックの元に預けられるという。 町長はナタリーが変なことをしでかさないよう、ソフィアに見張り役を頼む。人の目を気にせず自由気ままに町を歩き回り、自分だけの町の地図を作っていくナタリー。やがてソフィアは、長い間押し殺してきた自分の願いに気づいて――。 孤独を抱えた二つの心が奏でる〈ひと夏の、永遠の物語〉。まばゆくきらめく、エバーグリーンな青春小説が誕生!
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4.2リリアン28歳、人間嫌い。自己肯定感はかなり低め、将来への希望もない。1995年、春の終わりに、そんなリリアンのもとに友人のマディソンから手紙が届く。おもしろい仕事があるので、彼女の暮らすお屋敷まで来てほしいという。それで、頼まれたのは10歳の双子のお世話係。なりゆきに任せて引き受けたけれど――子供たちは興奮すると〈発火〉する特異体質だった!? 全米ベストセラー作家ケヴィン・ウィルソンが涙と笑いで〈リアル〉に描く、ほろ苦い愛情と友情の物語。ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、USAトゥデイ紙、タイム誌、ピープル誌ほか、10の全米主要メディアが年間ベストブックに選出!
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4.2【電子版限定特典つき】―過去に重大犯罪を犯した人間が、会社の同僚だとわかったら?― ミステリ界の若手旗手である薬丸岳が「作家になる前から書きたい題材でした。人間の内面をとことん掘り下げた、現時点の集大成です」と語る、児童連続殺傷事件に着想を得て、凶悪少年犯罪の「その後」を描いた傑作長編!ジャーナリストを志して夢破れ、製作所に住み込みで働くことになった益田純一。同僚の鈴木秀人は無口で陰気、どことなく影があって職場で好かれていない。しかし、益田は鈴木と同期入社のよしみもあって、少しずつ打ち解け合っていき…。一方、同じ製作所で働く事務員の藤沢美代子は、職場で起きたある事件についてかばってもらったことをきっかけに、鈴木に好意を抱くようになる。ある日、元恋人のアナウンサー・清美から「13年前におきた黒蛇神事件について、話を聞かせてほしい」と連絡を受けた益田は、13年前の残虐な少年犯罪について調べを進めるうち、その事件の犯人である「青柳」が、実は同僚の鈴木なのではないか?と疑念を抱きはじめ……。 電子版限定!「青春と読書」’13年5月号に掲載された、著者インタビューも収録。
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4.1好きだけど、触れあうことはできない。 そんな私は異端者なのだろうか。 主人公の志川は、新卒で就職した不動産会社を辞め、現在、SMの女王様をデリバリーするお店の電話番をしている。友達には「そんな職業は辞めたら?」と眉をひそめられたが、女王様の中でも美織さんという最高に素敵な人に出会い、そこそこ幸せに暮らしていた。 ある日、あこがれの美織さんと初めてごはんを食べに行く約束をして舞い上がるものの、当日にドタキャン。そのまま音信不通になってしまう。彼女の常連のお客さんなどにこっそり連絡を取り行方を探るうちに、どうも自分の知っている美織さんとは違う面ばかりが見えてきて・・・・・・。 過去、志川が不動産会社を辞めた理由は、あこがれの男性社員・星先輩と付き合う寸前に、先輩が自分に求めている性的なことが一切無理だと気づいたからだった。好きだったのに。付き合えないと正直に言っただけで、志川は同僚に悪女扱いをされ、そのまま会社にもいづらくなり、退社することになってしまったのだ。 私はアセクシャルなのだろうか? 「ない」ことを証明するのは、悪魔の証明だ。もしかしたら、まだ見ぬピンクのひつじに会えるかもしれないのに・・・・・・。なんでも性的なことや恋愛に結びつける世の中に馴染めない主人公の戸惑いを通じて、現代社会を描く問題作。 アセクシャルの自身に戸惑い、彷徨い、清爽と一歩を踏み出す――。 小説すばる新人賞受賞から10年。物語はしたたかに進化する。 【著者プロフィール】 渡辺優(わたなべ・ゆう) 1987年宮城県生まれ。2015年に「ラメルノエリキサ」で第28回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。他の著作に『自由なサメと人間たちの夢』『アイドル 地下にうごめく星』『クラゲ・アイランドの夜明け』『アヤとあや』『カラスは言った』『私雨邸の殺人に関する各人の視点』『月蝕島の信者たち』などがある。
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4.1舞台は明治30年代後半。鄙びた甘酒屋を営む弥蔵のところに馴染み客の利吉がやって来て、坂下の鰻屋に徳富蘇峰が居て本屋を探しているという。 なんでも、甘酒屋のある坂を上った先に、古今東西のあらゆる本が揃うと評判の書舗があるらしい。その名は “書楼弔堂(しょろうとむらいどう)”。 思想の変節を非難された徳富蘇峰、探偵小説を書く以前の岡本綺堂、学生時代の竹久夢二……。そこには、迷える者達が、己の一冊を求め“探書”に訪れる。 「扠(さて)、本日はどのようなご本をご所望でしょう――」 日露戦争の足音が聞こえる激動の時代に、本と人との繋がりを見つめなおす。 約6年ぶり、待望のシリーズ第3弾! 【目次】探書拾参 史乗 探書拾肆 統御 探書拾伍 滑稽 探書拾陸 幽冥 探書拾漆 予兆 探書拾捌 改良
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4.1オモコロライター・作家/ダ・ヴィンチ・恐山(品田遊)さん推薦! 【とにかくこの世は意味不明でしんどい――だけど「それでも。」が、ここと未来を繋いでいる。】 荒廃した東京で過酷なシェルター暮らしを送るあみぱん。唯一の「推し」、ポストアポカリプス系アイドルの節目おわたが配信画面から消えた日、彼女は凸ることを決意した。愛の正体を暴き出す挑戦的な“推し×ロードSF”「推しはまだ生きているか」。 29歳、タワマンとハリー・ウィンストンを夢見る藍子。ある時、謎の生命体に寄生されてから状況は一変し、ついに婚活ゴール男(港区在住、年収1000万円超、塩顔イケメンの細マッチョ)とマッチングするが……。“選ばれたい”願望の先を描く婚活SF譚「君のための淘汰」。 惑星「王球」では、人は老いれば必ず異形の怪物《老骸》と化す。老骸を殲滅する使命を担う「福祉兵器」円狗は、ある村の老骸殲滅作戦で唯一生き残った少女から「わたしのクロージング・プランに付き合ってほしい」と頼まれて――。命を巡る絶望と希望の行方を描き出す「福祉兵器309」。 ほか全5編を収録。最注目の新鋭が、ディストピア都市を舞台に“それでも生きていくこと”への祈りを込めて贈るSF短編集。
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4.1【第35回小説すばる新人賞受賞第一作】 デビュー作『楊花の歌』 Apple Books 2023年ベストデビュー作(歴史フィクション)第12回歴史時代作家協会賞新人賞部門候補 第3回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞候補 【東山彰良さん推薦!】 本当の自分への逃走はこんなにも輝かしい 25歳のサチコは、不条理な派遣労働から逃れるように亜熱帯の台湾に渡り、偶然再会した在日コリアンのジュリと、台北の迪化街で暮らしていた。 誕生日の晩、サチコが古物商の革のトランクのなかに日本統治時代の台湾を生きた女学生の日記をみつけたことから、ふたりの生活は一変する。 普段は引きこもっていたジュリだったが、その日記を書いた女学生の行方調査に夢中になり、やがて大きな謎につきあたった。 それは、70年以上前、深山に囲まれた日月潭という湖で起こったある少女の失踪事件だった。 遠い昔に姿を消した少女を探す旅は、いつしかふたりのアイデンティティを求める旅につながってゆく――。
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4.1【小説すばる新人賞、史上最年少受賞から8年】 三重で育ち、京都の大学に入学した数学好きの田辺朔。 大学生活に馴染めず、漫然と授業に出て、バイトをしているうちに一回生前期は終わってしまった。 後期に入り、旧文学部棟の地下、通称「キューチカ」でひっそりと経営されているバーのマスターである先輩の夷川と出会い、朔の大学生活は一変した。 夷川につれられ、初めてのウイスキー、タバコ、そしてバーやクラブなど、これまで見たこともない世界を知っていく。 しかし、ある日をさかいに、何の前触れもなく夷川はナイジェリアへ留学に行ってしまった。「バー・ディアハンツはお前に任せる!」の一言を残して。 そこからマスターとしてバーに立つことになった朔は、その大学内の不思議なバーで数々の出会いと別れを経験する――。自由奔放な女の子に振り回されたり、学生運動紛いに巻き込まれたり、自分の行く末に悩んだり…… 二十代前半の「不変」と「今」が詰まった圧倒的青春小説!
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4.1【第36回小説すばる新人賞受賞作】 定時制高校に通いながら無職の父に代わり働く耕一郎は、ある冬、苦労して貯めた八万円が無くなっていたことに気づく。 このことを父に問い質すと、父は金を使ったことを悪びれもせずに認めた上、予想を超える衝撃の言葉を言い放った。 衝動的に父を殴り飛ばした耕一郎は、雪の中に倒れた父を放置して故郷を逃げるように去る。 しかし、僅かな所持金は瞬く間に減り、逃亡生活は厳しくなる一方。 遂に金が底をつき、すべてを諦めようとしたそのとき、 「……なに、訳あり?」 公園の隅、小さなホームレスの溜まり場から、ひとつの手が差し伸べられる。 出会いと別れを繰り返し、残酷な現実を乗り越えた先、故郷へと帰る決意を固めた耕一郎を待ち受けていたものは――。 社会から切り離される圧倒的な絶望と、心と心が深く繋がるやさしさを描いた、25歳の若き著者による感動のデビュー作。
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4.1第二次大戦以前、日本の植民地だったパラオ。そこには「南洋庁」という役所があり、日本からの移民と現地島民が織りなす「暮らし」がたしかにあった――。当時パラオに赴任した作家・中島敦の小説をきっかけに、著者が当時の南洋諸島に興味を持ち、実際にパラオへ赴き、日本統治時代を知るお年寄りを訪ねて、当時のエピソードを収集した歴史ルポルタージュ。著者はパラオだけでなく、パラオからの帰国者が集団で移住した宮城県蔵王町の北原尾や、宮崎県小林市の環野にも赴いて、当時の証言を集めた。戦中派が世を去って歴史の記憶が薄れる今こそ、広い世代に読まれるべき貴重なエピソードが詰まった一冊。
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4.0彼らには許されなかった。平穏な日々も、愛も、死も…。人気シリーズ『怖い絵』『名画の謎』の著者が、ルートヴィヒ二世ほか、王族たちの壮絶な人生を辿る好評歴史読み物第2弾。図版多数掲載! ●第一章 ルートヴィヒ二世(1845-1886):ノイシュヴァンシュタイン城をはじめとした数々の築城、ヴァーグナーへの執着。「狂王」と呼ばれた美王の死は暗殺だったのか、それとも……。●第二章 アレクサンドル三世妃マリア(1847-1928):小国デンマークから大国ロシアへ嫁いだマリアは、動乱の歴史に翻弄され、ロマノフ王朝崩壊と共産主義国家ソ連の誕生を目の当たりにすることになる。●第三章 カルロス四世(1748-1819):父王から「なんておまえは馬鹿なんだ」と嘆かれ続けたカルロス四世と、「スペイン史上最悪の王妃」の異名を持つ妃マリア・ルイサ。はたしてこのカップルの運命は?●第四章 カロリーネ・マティルデ(1751-1775):デンマークでは知らぬ者のない、18世紀王室の大スキャンダル。啓蒙主義的な新時代を築こうとした若い王妃の、旧勢力との戦い、そして許されぬ恋。
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3.9【これは、他人事ではない。緊迫の医療サスペンス小説】 心臓病の専門病院で、適切な臓器の斡旋を行う臓器移植コーディネーターとして働く立花真知。 彼女は、五輪金メダリスト候補として注目を集めるフィギュアスケーター・池端麗を担当することになる。 麗はスケートの練習中に倒れ、拡張型心筋症と診断されていた。 副院長の一ノ瀬や主治医の市田の治療を受けながらドナーの心臓を待っているが、麗の血液は珍しく、大多数の心臓を移植することができない。 しかし、くも膜下出血で倒れ脳死判定を受けた男性ドナーの心臓が、麗に奇跡的に合致すると連絡が入る。 真知らは早速臓器の提供に向けて動き出すが、ドナーの母親が臓器提供に納得していないことが判明。真知は「禁断の方法」に手を出そうとする――。 ドナーとレシピエント、互いの思いが複雑に混じり合ってできた大きな渦は、とある男の登場によって社会問題へと発展し始める。 医師であり、これまでにも医療の現状にメスを入れてきた著者が描く「日本の心臓移植」の現実と未来。 【著者略歴】 久坂部 羊(くさかべ・よう) 1955年大阪府生まれ。医師・作家。大阪大学医学部卒業。 2003年『廃用身』で作家デビュー。2014年『悪医』で第3回日本医療小説大賞、2015年「移植屋さん」で第8回上方落語台本優秀賞を受賞。ドラマ化されベストセラーとなった『破裂』『無痛』『神の手』の他、小説に『テロリストの処方』『介護士K』『芥川症』『悪い患者』『絵馬と脅迫状』など、新書に『日本人の死に時』『人間の死に方』『寿命が尽きる2年前』『人はどう死ぬのか』『人はどう老いるのか』『人はどう悩むのか』など、著書多数。
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3.9「人を轢いたかもしれない」 厳格な父親からの一本の電話。それが悪夢の始まりだった―― 80歳目前の武は、教職退任後、市民講座で教える地元の名士。父の武と同じ教職に就く敏明は、妻の香苗と反抗期の息子・幹人との平凡な生活を送っていた。 このところ父の愛車に傷が増え、危険運転が目に余るようになってきたため、敏明は免許返納を勧めるが武は固く拒絶する。 さらに、市民講座の生徒である西尾千代子と武との親密な関係を怪しむ噂が広がり、敏明は悩みを深めていた。 そんなある日、近隣で悪質な轢き逃げ事件が発生。 「あれって――まさか」 疑念に駆られ、事件の真相を探る敏明が辿り着いた“おぞましい真実”とは? 『悪寒』『不審者』『朽ちゆく庭』に続く、不穏で危険な家族崩壊サスペンス!
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3.9からだは傷みを忘れない――たとえ肌がなめらかさを取り戻そうとも。 「傷」をめぐる10の物語を通して「癒える」とは何かを問いかける、切々とした疼きとふくよかな余韻に満ちた短編小説集。 「みんな、皮膚の下に流れている赤を忘れて暮らしている」。ある日を境に、「私」は高校のクラスメイト全員から「存在しない者」とされてしまい――「竜舌蘭」 「傷が、いつの日かよみがえってあなたを壊してしまわないよう、わたしはずっと祈り続けます」。公園で「わたし」が「あなた」を見守る理由は――「グリフィスの傷」 「瞬きを、する。このまぶたに傷をつけてくれたひとのことをおもう」。「あたし」は「さやちゃん先生」をめがけて、渋谷の街を駆け抜ける――「まぶたの光」 ……ほか、からだに刻まれた傷を精緻にとらえた短編10作を収録。
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3.9前職の人間関係や職場環境に疲れ果て退職した茉子は、親戚の伸吾が社長を務める小さな製菓会社「吉成製菓」に転職する。 父の跡を継いで社長に就任した頼りない伸吾、誰よりも業務を知っているのに訳あってパートとして働く亀田さん。やたらと声が大きく態度も大きい江島さん、その部下でいつも怒られてばかりの正置さん、畑違いの有名企業から転職してきた千葉さん……。 それぞれの人生を歩んできた面々と働き始めた茉子は、サービス残業や女性スタッフによるお茶くみなど、会社の中の「見えないルール」が見過ごせず、声をあげていくが――。 一人一人違う〈私たち〉が関わり合い、働いて、生きていくことのかけがえのなさが胸に響く感動長編!
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3.9芥川賞受賞第一作。 公私共にわたしは「いい子」。人よりもすこし先に気づくタイプ。わざとやってるんじゃなくて、いいことも、にこにこしちゃうのも、しちゃうから、しちゃうだけ。でも、歩きスマホをしてぶつかってくる人を除けてあげ続けるのは、なぜいつもわたしだけ?「割りに合わなさ」を訴える女性を描いた表題作(「いい子のあくび」)。 郷里の友人が結婚することになったので式に出て欲しいという。祝福したい気持ちは本当だけど、わたしは結婚式が嫌いだ。バージンロードを父親の腕に手を添えて歩き、その先に待つ新郎に引き渡される新婦の姿を見て「物」みたいだと思ったから。「じんしんばいばい」と感じたから。友人には欠席の真意を伝えられずにいて……結婚の形式、幸せとは何かを問う(「末永い幸せ」)ほか、 社会に適応しつつも、常に違和感を抱えて生きる人たちへ贈る全3話。
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3.9筑豊の炭鉱町出身の私(ひの子)は東京に住み、もうすぐ40歳になる。非正規で新聞社の校閲の仕事をしているが、3年限定の仕事なので、いずれ新たな職を探さねばならない。両親は他界していて、年下の恋人だった春生とは1年以上前に別れていた。新型コロナウイルスが広がるなか、前に弟との結婚騒動で出会った女性・沙穂から連絡があり、東京で食事をすることになる。彼女は看護師で、独りで子育てをしていた。ひの子は沙穂の影響で、逡巡しながらも春生にメールを送ってしまう。すると思いがけず返信があり、再び付き合うことになって……。出会いと別れ、他者とのつながり。現代女性が対峙する実相を、かつて炭鉱で労働を担った女性たちに心を寄せつつ描く、鮮烈な中編小説。
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3.9あなたは、本当の自分を他人に見せられますか――。恋愛からホラーまで、松井玲奈が覗く“人間模様”。鮮烈なデビュー短編集。■「ハンドメイド」いつもより荷物の重い日が好きだ。お昼の弁当に加えてもう二つ、夜に彼と食べる用の弁当を作る。食べる場所は決まって“ホテル”で――。■「ジャム」僕のお父さんは一人じゃない。お父さんの後ろには、真っ白な顔のお父さんたちが並んでいる――。悪夢的奇想、ホラー怪作!■「いとうちゃん」メイドになりたい。その一心で上京した十八歳の“いとうちゃん”は、メイド喫茶で働き始めるものの、ストレスから体重が増加してしまう。痩せ方がわからず、周囲にも疎まれ不安を募らせていくが――。■「完熟」何もない退屈な田舎での夏休み。年上の雰囲気を身にまとう女に僕は出会う。彼女は水辺で一心不乱に桃を食べていて……。そんな昔の記憶が、大人になった僕のフェティシズムを刺激する――。■「リアルタイム・インテンション」巷で人気の仲良しYouTuber三人組。本音を吐露してしまうという“本音ダシ鍋”を食す企画の生配信で、事件は起きる。■「拭っても、拭っても」広告代理店に勤めるアラサーのゆりは、半年ほど前まである癖(へき)を持つ男性と付き合っていた。その彼に理不尽にフラれたことが心の傷になっていて――。失恋と再生の物語。
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3.8あなたと私は違う。だから、一緒にいよう――。 『ふがいない僕は空を見た』『夜に星を放つ』の著者が、今を生きる人々に贈る感動作。 【各界からの反響続々!】 なんて誠実な小説なのだろう。今、この時代に、この本と出会えてよかった。――武田綾乃(作家) 白か黒かでしか断じない、この時代に絶対に有効な“あわい”の物語。――早見和真(作家) 何度も胸が潰されそうに痛かった。彼らの日々に、どうか幾重にも虹がかかりますように。――町田そのこ(作家) その人の涙のわけを知らない。分からない。けど私たちは何かを思うことが出来るから見つめながら目を逸らさずに、あなたの話を聞きたい。――山本奈衣瑠(俳優) 【あらすじ】 中学二年生の桐乃は、団地での暮らしに憂いていた。 郊外にある古い団地群には、様々な国にルーツを持つ人が生活している。そのせいか桐乃のクラスは衝突が絶えず、ベトナム人のクラスメイト・ヒュウがいじめの標的になっていたのだ。 家に帰っても、母の里穂は団地に住む人々を国籍問わず日夜助けており、「娘の私より、他人を優先するんだ」という思いがどうしても消えない。この場所で生活することに対する桐乃の嫌悪感は、日々強まっていく。 そんな中、中学校で起きたとある出来事をきっかけに、桐乃はヒュウと話すようになる。ヒュウは、理由は違えども、桐乃と全く同じことを望んでいた。 「この団地から出て、遠くに行きたい」と。 はじめてできた友達、母とのすれ違い――。 桐乃・ヒュウ・里穂のそれぞれの視点から、社会に蔓延る様々な分断に翻弄される2人の“こども”が少しずつ“おとな”になるひと夏を描いた、ほろ苦くも大きな感動を呼ぶ、ある青春の逃避行。 【著者略歴】 窪 美澄(くぼ・みすみ) 1965年東京都生まれ。2009年「ミクマリ」で女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞。受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位、2011年本屋大賞第2位に選ばれる。また、同年に同作で山本周五郎賞を受賞。12年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞を受賞、19年『トリニティ』で織田作之助賞、22年『夜に星を放つ』で直木賞を受賞。他の著書に『夏日狂想』『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『ルミネッセンス』『ぼくは青くて透明で』などがある。
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3.8【松井玲奈が4年ぶりに贈る待望の新作小説】 あの日、フィクションのような人生が始まった。 著名な劇作家・野上が主宰する劇団の新作公演初日まで、残り3週間。 晴れてヒロインに選ばれた元国民的子役のアイドル・中野ももは、 野上の厳しい指導に応えることができず、徐々に追い詰められていた。 どうにか端役を手にしたとある中年の女優は、中野ももが憔悴していく様子を気に掛ける。 そして、やってきた公演初日。 幕が上がった瞬間、二人の人生は大きく変わる! 俳優としても活躍する著者が3作目の舞台に選んだのは、「演劇」の世界。 ふたりの女性が織り成す関係は、ゆっくりと、繊細に、絡み合う。 現実にうちひしがれる絶望、強運を手にして舞い上がる歓び、突然やってくる予想外の衝撃。 幾つもの感情を抱えた先の終着点で、それぞれが決断した選択とは――。 「演じる」とは何かを問う、唯一無二の物語。 【著者略歴】 松井玲奈(まつい・れな) 1991年7月27日生まれ。愛知県豊橋市出身。俳優・作家。 2019年『カモフラージュ』で作家デビュー。その他の小説に『累々』、エッセイに『ひみつのたべもの』『私だけの水槽』がある。本作『カット・イン/カット・アウト』が、3作目の小説となる。
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3.8『くもをさがす』の西加奈子が贈る、8つのラブレター。 この本を読んだあと、あなたは、きっと、自分の体を愛おしいと思う。 「わたし」の体と生きづらさを見つめる珠玉の短編小説集。 わたしを生きるための言葉。#Imissme ――わたしに会いたい。 コロナ禍以前の2019年より、自身の乳がん発覚から治療を行った22年にかけて発表された7編と書き下ろし1編を含む、全8編を収録。 ・「わたしに会いたい」――ある日、ドッペルゲンガーの「わたし」がわたしに会いに来る。 ・「あなたの中から」――女であることにこだわる「あなた」に、私が語りかける。 ・「VIO」――年齢を重ねることを恐れる24歳の私は、陰毛脱毛を決意する。 ・「あらわ」――グラビアアイドルの露(あらわ)は、乳がんのためGカップの乳房を全摘出する。 ・「掌」――深夜のビル清掃のアルバイトをするアズサが手に入れた不思議な能力とは。 ・「Crazy In Love」――乳がんの摘出手術を受けることになった一戸ふみえと看護師との束の間のやり取り。 ・「ママと戦う」――フェミニズムに目覚めたママと一人娘のモモは、戦うことを誓う。 ・「チェンジ」(書き下ろし)――デリヘルで働く私は、客から「チェンジ。」を告げられる。
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3.8「マザリング」、性別を超え、ケアが必要な者に手を差しのべること――。揺らぐ命に寄り添う母の、孤独と疎外感。この社会で不可視化される、「弱き身体」の居場所とは? 記録されてこなかった妊娠出産期の経験をすくいあげ、「母」の定義を解体し、いまを生きる人々の声から、ケアをめぐる普遍的思考を紡ぐ。イケムラレイコ、イ・ラン、寺尾紗穂、ドミニク・チェンらへの取材も収録。
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3.8【電子版限定特典つき】突然の交通事故で両親をなくし、児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らすことになった小学生の太輔。悲しみでしばらく心を閉ざしていたが、同じ部屋の仲間たちのおかげですこしずつ打ち解けていく。とくにお母さんのように優しい高校生の佐緒里は、みんなにとって特別な存在。施設を卒業する佐緒里のため、4人の子供たちは、ランタンに願い事を託して空に飛ばす「蛍祭り」を復活させようと、作戦を立てはじめる――。直木賞受賞後第一作! 電子版限定! スタジオジブリのアニメーター・近藤勝也氏が本書のために描き下ろしたカラーイラスト3点&「青春と読書」’13年7月号に掲載された、著者インタビューも収録。
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3.7その一言が、謎を呼ぶ――。 自由律俳句の伝道師といわれる俳人・虚池空白と、編集者の古戸馬は、本の企画のため、世の中の落書きや看板などに落ちている言葉を、詠み人知らずの名句〈野良句〉として集めている。 そんな彼らが手にした〈野良句〉の裏には、喜怒哀楽に満ちた、それぞれの秘密が隠されていた――。 行きつけのバーの紙ナプキンに書かれた「柱に当たって月消し帰る」、急逝した作家が一筆箋に残した「金拾お我より見つけろ白は黒」、夜の動物園のキリンの写真と共にSNSに投稿された「おりのなかキリンしかしらないこわい」、消息を絶った自由律俳句の天才が箸袋に残した「あかい雨降らばいつかの帰路」など、言葉の裏に潜む人間の愛憎や秘密、時にはある犯罪を二人が解き明かしていく。 極上の俳句ミステリー誕生! 【著者略歴】 森 晶麿(もり・あきまろ) 1979年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。2011年、『黒猫の遊歩あるいは美学講義』で第1回アガサ・クリスティー賞受賞。〈黒猫シリーズ〉のほか『探偵は絵にならない』『切断島の殺戮理論』『名探偵の顔が良い 天草茅夢のジャンクな事件簿』『あの日、タワマンで君と』など著書多数。
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3.7ハウスクリーニングサービスで働く高岡紅は、丁寧な仕事と気配りで依頼人からリピート指名が入るほど信頼を得ていた。だが、入社当時からさほど変わらぬ待遇や問題の多い部下に腐心する日々に疑問を抱いていた。 そんな折、母・奈津子から独立を後押しされ起業を決意する。仕事は軌道に乗り、リピート客である船場薫の強い勧めで新事業「開運お掃除サービス」を立ち上げる。薫の仕掛けで紅のブログがインフルエンサーの目に留まり、書籍化も決定。初セミナーも大成功を納め、カリスマ指導者として一躍時の人となった。 そんなある日、紅のメソッドを曲解した一部の会員の行動がSNSで批判され大炎上。窮地に追い込まれた紅は起死回生を試みるのだが……。 承認欲求と自己啓発の闇を撃つ問題作。
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3.7あなたを知ることは、あなたという人を選んだわたしを知ること。 多民族国家の生きた声を掬う在豪作家が贈る、力強くみずみずしい《越境青春小説》。 父の転勤にともない12歳でオーストラリアに移住し、現地の大学生となった安藤真人。憧れていたはずの演劇の道ではなく就職を選ぼうとしていたところ、デザイン科でマリオネットを制作しているアビーと出会い、人形劇の世界に誘われる。日本人としてのアイデンティティの問題に苦しんできた真人のように、「同じアルメニア人と結婚を」と刷り込まれてきたアビーもまた、出自について葛藤を抱えていた。互いを知りたい、相手に触れたい。しかし、境遇が似通うからこそ、抱える背景の微妙な差が、猛烈な「分かりあえなさ」を生み……。 話題の既刊『Masato』『Matt』につらなる、「アンドウマサト三部作」最終章!
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3.6その「青さ」は、本物か――? 最年少で管理職となり、仕事一筋で駆け抜けてきた編集者・有沢真由子。 五十歳の誕生日を迎え、つかの間の息抜きに訪れたリゾートホテルで、彼女は一枚の絵画と出会う。 ジャンピエール・ヴァレーズ――バブルの時代に煌びやかな海中画で大衆の心を掴み、一方で当時悪質商法が話題にもなった、“終わった画家”。 かつて鼻で笑っていた彼の絵に、不覚にも安らぎを覚えた真由子だったが、ほどなくして都内の外資系ホテルでヴァレーズの原画展が行われるという情報を得る。 なぜ今再び、ヴァレーズなのか? かつての熱狂的ブームの正体とは? 違和感を手繰り、真由子は単身ハワイの地を目指す――。 煌びやかな「バブル絵画」の裏に潜んだ底知れぬ闇に迫る、 渾身のアート×ミステリー大長編! 【著者略歴】 篠田節子(しのだ・せつこ) 1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。97年『ゴサインタン』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、09年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞、2020年紫綬褒章を受章した。他の著書に、『夏の災厄』『弥勒』『ブラックボックス』『長女たち』『失われた岬』『セカンドチャンス』『四つの白昼夢』『ロブスター』など多数。
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3.6【第37回三島由紀夫賞受賞作】 【第47回すばる文学賞受賞作】 【選考委員激賞!】 私の中にある「小説」のイメージや定義を覆してくれた。――金原ひとみさん この青春小説の主役は、語り手でも登場人物でもなく生成されるバイブスそのもの――川上未映子さん (選評より) このままじゃ不登校んなるなぁと思いながら、高2の僕は小学生の時にバッテリーを組んでた一個下の春と再会した。 そしたら一瞬にして、僕は怪しい闇バイトに巻き込まれ始めた……。 でも、見たり聞いたりした世界が全てじゃなくって、その裏には、というか普通の人が合わせるピントの外側にはまったく知らない世界がぼやけて広がってた――。 圧倒的中毒性! 超ド級のデビュー作! ティーンたちの連帯と、不条理な世の中への抵抗を描く第47回すばる文学賞受賞作。
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3.6よき時、それはかつての栄光ではなく、光あふれる未来のこと。 いつか、愛する者たちを招いて晩餐会を―― 九十歳の記念に祖母が計画した、一流のフレンチシェフと一流の食材が織りなす、豪華絢爛な晩餐会。 子どもたち、孫たちはそれぞれの思いを胸にその日を迎える。 徳子おばあちゃんは、なぜ出征が決まった青年と結婚したのか? 夫の戦死後、なぜ数年間も婚家にとどまったのか? そしてなぜ、九十歳の記念に晩餐会を開くことにしたのか? 孫の綾乃は祖母の生涯を辿り、秘められた苦難と情熱を知る――。 一人の命が、今ここに在ることの奇跡が胸に響く感動長編!
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3.6地下室に住む中年男の告白を通じて、人間存在の矛盾と不条理に根ざした生の哲学を描く。ドストエフスキー全作品を解く鍵と評される“永遠の青春の書”をロシア文学者・亀山郁夫氏による名訳で。「この小説がドストエフスキー文学の原点です」――亀山郁夫。「地下室」とは、言い換えるなら、青春時代を生きるだれもが一度はくぐりぬけなくてはならない“戦場”である……ドストエフスキーはこの人物を通して、ある一つの真実を語りかけようとした。すなわち、この“戦場”を戦いぬくことなく、遠い将来、一個の自立した人間として大きな成熟を手にすることはできないということを。この『記録』にこめられているのは、おそらく若いドストエフスキーが身をもって経験した躓きの記憶だが、その痛々しい記憶の彼方に輝いているものこそ、人間の真実、あるいは人間の生命という聖なるオーラなのである。(「まえがきにかえて」より)
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3.5コールセンターで派遣社員として働く関本環。両親はともに高校教師で、環は幼いころから厳格な父親の教えに従い生きてきて、38歳になった現在も夜9時の門限を守っている。そんな環とは対照的に、両親に反発し自由奔放な妹の由梨は、離婚した夫との間に公彦という男児がおり、実家に戻ってパートとバイトを掛け持ちしながら暮らしている。環はそんな妹に代わり、公彦の世話をしているうち、居なくてはならないかけがえのない存在になっていた。そんな時、由梨は両親と決別し、実家を出てマンションで暮らし始める。公彦の様子が気になり、両親が寝静まった後、毎夜のように妹のマンションを見に行く環だったが、由梨が公彦を置いて男と出かけ行くのを目撃してしまう。心配の果てに、環は以前父が放った「ある言葉」に突き動かされ、突発的な行動に出てしまい――。家族というコミュニティーが抱える闇を露わにした問題作。 【著者略歴】 中西智佐乃(なかにし・ちさの) 1985年、大阪府生まれ、大阪府在住。同志社大学文学部卒業。2019年、「尾を喰う蛇」で第51回新潮新人賞を受賞。著書に『狭間の者たちへ』がある。
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3.51995年1月17日未明、阪神・淡路大震災が発生した。 神戸市内の高校から都内の大学に進学し、東京で働いていた青年は、早朝の電話に愕然とする。 かけてきたのは高校時代の友人で、故郷が巨大地震に見舞われたという。 慌ててテレビをつけると、画面には信じられない光景が映し出されていた。 被災地となった地元には、高齢の祖父母を含む家族や友人が住んでいる。 彼は、故郷・神戸に向かうことを決意した。 鉄道は途中までしか通じておらず、最後は水や食料を背負って十数キロを歩くことになる。 山本周五郎賞を受賞した作家が自らの体験をもとに、震災から30年を経て発表する初の現代小説。
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3.5「あなたはなぜ、この取材を始めたのです?」 明海和(あけみ・かず)はストリートチルドレンの取材を続けるうち、謎の集団・プレデターに襲撃される――。 都市再開発計画の名のもとに首都が七つのゾーンに区切られ、格差社会化が進む2032年の日本。 web情報誌“スツール”の記者・明海和は、独自に子ども狩と人身売買の取材を続けていたところ、カササギと名乗る人物に突き当たる。和が待ち合わせ場所に行くと、そこに現れたのはまだ十代の男性だった。彼は、これ以上取材を続けると「殺されますよ」と警告する。 なぜ、子どもたちの取材をすることが危険なのか? なぜ、国際的なモデル都市でストリートチルドレンが生まれるのか? 和は、自身の父親も“闇の子どもたち”の取材をしていたことを明かすが……。 ジュブナイル小説の名手による新たな代表作誕生!! 格差社会の闇に切り込む、ディストピア長編。
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3.5大学在籍中にコンピュータのインタプリタを作製、休学してソフトウェア会社を創業、1980年代にコンピュータ業界で不動の地位を築いた、IT史上の伝説的存在ウィリアム・ベック。会長職を譲り、第一線から退いたウィリアムは現在、財団による慈善事業に専念している。探偵兼ライタの頸城悦夫は、葉山書房の編集者兼女優の水谷優衣から、ウィリアムの自伝を書く仕事を依頼され、日本の避暑地にある彼の豪華な別荘に一週間、滞在することになった。そこにはウィリアムだけでなく、その家族や知人、従業員などが滞在していた。ところが、頸城が別荘に着いた後、思いもかけない事件が発生する。警察による捜査が始まるが、なかなか手がかりをつかむことができない。そんな中、さらなる悲劇が……。取材のために訪れた頸城は、ウィリアムの自伝執筆の傍ら、この不可思議な殺人事件にも関わることになる。果たして、事件は解決できるのか。忘れ得ぬ苦しい記憶を背負った探偵が、事件の謎・愛の影を探求・逍遥する、至高の長編小説。待望の書き下ろし長編ミステリー。
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3.4【21世紀生まれ初受賞/第48回すばる文学賞受賞作】 危険な小説だった。それでも、ここにある描写が好きだ。――田中慎弥氏(選評より) 新宿駅東口。退廃的で無秩序。 私はこの現実で、彼女のために何ができる――? 『王』と自称する男が捕まった時、七瀬は「あ」と言った。 私は、その幽かな叫び声を隣で聞いた。 ここはつまらない奴らばっかりがいる場所だけど、七瀬だけは違う。 だから、彼女の隣にいても息苦しさは感じなかった。 薬で強制的に引きずり込まれた夢の中でも、七瀬は現れる。 もしかしたら私は、彼女とこの場所に、まだしがみついているのかもしれない。 これは、2007年生まれの若き著者が贈る、 終わってる世界で生きている「私たち」の物語。 【著者略歴】 樋口六華(ひぐち・りっか) 2007年生まれ。茨城県在住。 2024年「泡の子」で第48回すばる文学賞を受賞しデビュー。
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3.4迫られる攘夷か、開国か――。嘉永六年(一八五三年)六月、浦賀にその姿を現した四隻のアメリカ軍艦。幕府は強大な武力をもって開国を求める艦隊司令長官・ペリーの対応に苦慮していた。清国がイギリスとの戦争に敗れ、世界の勢力図が大きく変わろうとするなか、小姓組番士・永井尚志は、老中首座・阿部伊勢守正弘により、昌平坂学問所で教授方を務める岩瀬忠震、一足先に目付になっていた岩瀬の従兄弟・堀利煕とともに、幕府の対外政策を担う海防掛に抜擢される――。迫り来る欧米列強を前に、新進の幕臣たちが未曾有の国難に立ち向かう。現代へと繋がる日本の方向性を決定づけた重要な転換期を描く幕末歴史小説! 「隠蔽捜査」シリーズをはじめ警察小説の名手が、“薩長史観”に一石を投じる!
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3.4「あなたは今日から議員です」 202×年、日本の政治システムは一変していた。 憲法は改正され、20歳以上の国民から合計1000人の「国民議員」がランダムに選出され、総理大臣は直接選挙で選ばれる。国会は解散し、「国民議会」(二院制)を新たに結成。議会は完全オンラインで行われ、議員の任期は4年、年間報酬500万円、基本再選はなし。専用のデバイスを支給され、議員としての活動は全てオープンに。さらに、国民は常にそれらを確認、監視できるようになっていた。 突然議員に選ばれた大学生の混乱、直接選挙で選ばれた新首相の苦悩、国民議員の不正を監視する機関「国民議員調査委員会」の危うさ、一気に権限が大きくなった官僚、現首相と旧政治体制に固執する都知事らの政権争い…… 有り得るかもしれない「未来」を描く実験的政治小説。堂場瞬一の新境地!
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3.3人間のもっとも古い伴侶にして身近な他者──「犬」。古代叙事詩からルネッサンスの戯作、近代小説、SFそして映画と漫画にいたるまで、「犬」のイメージの変遷を辿る。比較文学者にして愛犬家である四方田犬彦による古今東西文学エッセイ集。【目次】ハーマン・メルヴィルを讃えて/乞食の帰還 ホメロス/二人の動物物語作家 シートンとロンドン/孤独の友だち ブニュエルとセリーヌ/犬、人を襲う 鏡花、多喜二、ギャリ/四つん這いになる ドヌーヴと金石範/犬婿入り 『後漢書』と馬琴/冥府より来りて グラス/犬を人間にできるか ステープルドンとブルガーコフ/犬をどう名付けるか/密談ピカレスク セルバンテスとホフマン/犬族から遠く離れて パニッツァとカフカ/東西名犬対決 『タンタン』と『のらくろ』/復員兵という名の野良犬 吉岡実と北村太郎/犬の眼でモノを見る ジョイス、原將人、岡部道男、森山大道/文学的ジャンルとしての、犬の追悼/犬は人なり 谷崎潤一郎と川端康成/愛犬と闘犬 江藤淳と川上宗薫/法(ダールマ)としての犬/あとがき
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3.3お寺の閻魔様が動きまわり、公園の池の蓮の花からはお釈迦様が現れる。次々と奇妙なことが起こる町に引っ越してきた青奈の目下の悩みは、子どもができないことと職探し。ある日、質屋で手に入れたオパールの指輪がしゃべり出し…。ときに優しく、ときにシニカルに。家族とは、夫婦の愛とは、そして人生の幸福とは──。不思議な町で暮す人々の平凡な日常を柔らかな文章で描く、新しい大人のファンタジー。「この『黄金の庭』という小説のリアルなところは、まったり、ゆったりしている部分です。(中略)非日常は、まったりとした日常のうえで起こる。すごく小説的でありながら現実的で、小説としか言いようがないものです。(高橋源一郎氏・「青春と読書」2013年2月号より)」第36回すばる文学賞受賞作。あたたかな感動を呼ぶ、新たな才能のデビュー作。
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3.0鳴り響くアメリカ国歌、銃声。逃げ惑う住民が辿りついたのは元大統領邸宅(モンティチェロ)だった……。近未来アメリカを舞台に、トマス・ジェファーソンと奴隷の間に生まれた女性を先祖に持つ女子学生が、暴徒化した白人至上主義者から逃れ、因縁の場所で運命と対峙する表題作をはじめ、全6編を収録したデビュー作品集。 バージニア州シャーロッツビル周辺を主な舞台に、人種差別や経済格差の問題等、さまざまなテーマを内包する中編(表題作)1本と短編5本を収録。 本書は、全米批評家協会賞ジョン・レナード賞最終候補、ニューヨーク・タイムズ紙2021年ベストフィクション10冊に挙げられた。2022年リリアン・スミス図書賞受賞。 (原題 My Monticello)
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3.0私たちは、かつてないほど「情報」に取り囲まれて生きている。LINEやTwitterが日常になり、コミュニケーションの有りようは劇的に変化した。さまざまな個人情報が、本人が自覚することなくネットを通じて集積され、それによって人が無意識のうちに規定される事態さえ生じている。だが、それで私たちは豊かになっているのだろうか。情報に取り囲まれることで、却って人が孤絶する事態が生じているのではないか? 人類学や生命科学などの知見を踏まえ、身体性に基づいた「共感の知」の必要性を説き、コミュニケーションの本質を論じる刺激的な対談。
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-書楼弔堂電子分冊版、第十三巻。『書楼弔堂 待宵』収録の「史乗」をシングルカット。舞台は明治30年代後半。鄙びた甘酒屋を営む弥蔵のところに馴染み客の利吉がやって来て、坂下の鰻屋に徳富蘇峰が居て本屋を探しているという。 なんでも、甘酒屋のある坂を上った先に、古今東西のあらゆる本が揃うと評判の書舗があるらしい。その名は “書楼弔堂(しょろうとむらいどう)”。 思想の変節を非難された徳富蘇峰、探偵小説を書く以前の岡本綺堂、学生時代の竹久夢二……。そこには、迷える者達が、己の一冊を求め“探書”に訪れる。 「扠(さて)、本日はどのようなご本をご所望でしょう――」 日露戦争の足音が聞こえる激動の時代に、本と人との繋がりを見つめなおす。 約6年ぶり、待望のシリーズ第3弾! ※本電子書籍は『書楼弔堂 待宵』の電子分冊になります。