作品一覧

  • あなたの名
    4.0
    1巻2,145円 (税込)
    余命わずかな継母と、念願の出産を控えた娘。母が去り、父が去り、長年この継母をただ一人の母として生きてきた娘は、その姿をなんとかこの世にとどめようと、母の《記録》を専門の担当者に依頼する。やがて継母は、心の底に沈めていた記憶を語りはじめる……。思い出すことの痛みとその豊かさ。期待の新鋭による意欲作。
  • あのころの僕は
    4.3
    1巻1,760円 (税込)
    いつかきっと、いろんなことがわかるようになる。 母を病で失った五歳の「僕」は、いくつかの親戚の家を行き来しながら幼稚園に通っていた。大人たちが差し出す優しさをからだいっぱいに詰め込み、抱えきれずにいた日々。そんなとき目の前に現れたのは、イギリスからやってきた転入生のさりかちゃんだった。自分と同じように、他者の関心と親切を抱えきれずにいる彼女と仲良くなった「僕」だったが、大人たち曰くこれが「初恋」というものらしく……。 コンビーフのサンドイッチ、ひとりぼっちのハロウィン、ひみつの約束、悲しいバレンタインデー。 降り積もった記憶をたどり、いまに続くかつての瞬間に手を伸ばす。 第36回三島由紀夫賞候補作、第45回野間文芸新人賞候補作となった『息』に続く、注目の若手による最新中編。
  • 小説 こんにちは、母さん
    4.0
    1巻748円 (税込)
    9月1日公開の映画「こんにちは、母さん」を気鋭の作家が小説化! 監督:山田洋次 出演:吉永小百合 大泉洋 永野芽郁 ほか 足袋職人の実家に馴染めず、会社人間として生きてきた神崎昭夫は、 リストラ担当の総務部部長として神経をすり減らす日々。 家では妻から離婚を迫られている。 人生に戸惑いを覚えた昭夫がたどり着いた先は、 母の福江が一人住む東京・下町の我が家だった。 だが久しぶりの母の家での出来事が、傷心の昭夫をさらに悩ませる。
  • 息

    3.8
    1巻2,090円 (税込)
    喘息の一息一息の、生と死のあわいのような苦しさ。その時間をともに生きた幼い日の姉と弟。弟が若くして死を選んだあと、姉は、父と母は、どう生きたか。喪失を抱えた家族の再生を、息を繋ぐようにして描きだす、各紙文芸時評絶賛の胸を打つ長篇小説。新潮新人賞受賞作「わからないままで」を併録。注目の新人、初めての本。

ユーザーレビュー

  • あなたの名

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    血の繋がらない死ぬ直前の母と、妊娠中の娘
    夫は再婚後、女を作って出ていき、2人きりで暮らしたきた
    娘は母の記録を残したいため、母のAIを作ろうとする
    そのための過去の記憶のインタビューで、娘の知らない母の過去が明らかになる
    母は一度自分の子を流産していた
    そしてその悲しみの記憶を抑え込んで、血の繋がらない娘に全ての愛情を注いできた
    死ぬ間際でその悲しみが溢れ出す
    普通の母娘ではない2人の強い結びつきとその危うさ、両方が描かれている傑作
    私は既に母は亡くなっているが、母の強さ、悲しみ、愛情を思い知らされ、母との日々を思い返した

    0
    2025年10月13日
  • 息

    Posted by ブクログ

    息。普段意識してることもない行為が、苦しみをもたらしたとき、それが命を繋ぐ営みなのだとはっきりさせられる。
    主人公の喘息による苦しみが、普段している行為だからこそはっきりとしたイメージというより体験に近いものを持って迫ってくる。読んでいる途中で、自分の息に耳を澄ませ確かめる。私の息は普段よりも荒くなっていた。

    0
    2025年05月12日
  • あのころの僕は

    Posted by ブクログ

    幼くして母を亡くした天は、父だけでなく、えり叔母さん、ゾウのおばあちゃんそして父方の祖父母達の家で過ごす。幼いながらも自分の今の状況を観察する天。5歳の時イギリスから来た、さりかちゃんとゲームの世界に没頭するのだが。小池水音さんの作品、今回もとても良かった。

    0
    2025年03月16日
  • あのころの僕は

    Posted by ブクログ

    いまだに忘れられない言葉があって
    いまだに忘れられない視線がある
    この本を読んでいて、そんなことを思い出した

    胸なのか頭なのか分からないけど
    身体のどこかに眠る記憶
    忘れはしても
    大事でなくなったとは違うのだ

    0
    2025年01月20日
  • あのころの僕は

    Posted by ブクログ

    繊細な話。
    5歳の子どもらしい未整理な心の中を16歳となった天が振り返るだけなのだが、5歳の天の心の揺れや成長、周囲の大人たちへの距離感、踏みだすまでの逡巡などが見事に表現されていて、心を揺さぶられた。読みながら、父で、ゾウのおばあちゃんで、叔母さんで、様々な立場から天を見まもるような気持ちだった。そう、いつかきっといろんなことがわかる日がくるよね。
    さりかの大人びた子どもらしさに胸を打たれた。
    終わり方も良かった。

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    0
    2025年01月08日

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