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あれから何年経ったのだろう。あれって、いつから? どのできごとから? 日本を襲った二つの大地震。未知の病原体の出現。誰にも流れたはずの、あの月日――。別々の場所で暮らす男女三人の日常を描き、蓄積した時間を見つめる、著者の最新長編小説。 始まりの前の続き、続きの後の始まりを見下ろし、あの中のどこかにわたしもいる、と思った。(一穂ミチ・作家)
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Posted by ブクログ
「続きと始まり」(柴崎友香)を読んだ。 やっ!柴崎友香、ただ者ではないな。 『帰れない探偵』を読んだ時の衝撃が忘れられずに他の作品も読みたくなったのだが、これはまた素晴らしい。 しみじみと読んでしまう。 西と東の大震災の、新型ウィルスの、ゲリラ豪雨の、過ぎ去った後であったり、最中であったり、その...続きを読む時その時の普通のひとたちの普通の生活を大仰にではなくさらりと描く。だけどその視線は細やかで核心を射抜く。 ああ、確かに、《の前の続き》は始まっているんだよな。何かが少し(でも確実に)違っているんだけれどさ。 以下、引用する。 「どうすればよかったのかわかるのは、いつもそれが過ぎたあとだよね」(本文より) 「なんもなかったみたいに、なんも変わってないみたいに見えた」(本文より) 何というわけではないのに沁み込んでくるのが柴崎友香さんの持つ文章力なんだな。
これまで、いくつかのライフステージを経験して、就職してからも複数の職場に身を置いてきた。 そのなかで、親の離婚や震災や、肉親との死別や最近ではコロナや、価値観を揺さぶられるような出来事もいろいろあった。 これまではそれらが自分の中でバラバラなこととして位置づいていたけど、それらを経て今のわたしがある...続きを読む以上、それらはみんな地続きなのかもしれない。 まだぼんやりとしているけど、すごく大事なことを示してくれている一冊だと感じたので、しばらく時間をおいて再読したい。
確かに、ここには私がいる。 しかしそれは、共感という名の、自己愛に満ちた思いの表明ではない。 自画像を突きつけられたときの少しばかりの居心地悪さに近いだろうか。 深煎りのコーヒーを口に運び、苦味と共に微かにざらつきが舌に残る。 声高な社会への違和感と、それに目を伏せるだけの日々。 空き地を見ても何...続きを読むが建っていたかすら思い出せない不安。 まだ恵まれている方だよなと、いう思いが浮かんでしまう自己嫌悪。 真っ当に生きていると思う一方で、社会の“普通”の枠から疎外され、帰属感を持てないこと。 誰かを傷つけた罪悪感を、誰かに癒して欲しいこと。 「終わり」も「始まり」も掴めないまま、続きを生きることしかできない僕は、何かを始めていけるのだろうか。 ベルリンの壁が打ち壊される映像に釘付けだった中学生のときのようには、僕もまた、世の中がいつか素晴らしくなるだろうとは、もう思えなくなってしまったけれども。 作中では二つの震災後が回想として描写される。 津波に押し流された石巻を訪れたとき。 “ダウンジャケットを着込み、ニット帽を目深に被ったその人は、どんな人か遠目からはわからなかった。どんどん歩いて行く犬に引っ張られて、だんだんと夕闇が迫るその場所を、まっすぐに歩いていた。 どこを通ることもできそうだと、ここに何があったのかを知りもしない自分には見える場所で、車も、人も、道を通っていた。 犬は、どんどん道を歩いていった。 静かだった。 何もかもが変わってしまったその場所で、犬は変わる前と同じ道を散歩していた。たぶん、毎日。 悲しいと感じたのか怖いと感じたのか、もっと別の感情だったのか、いまだにわからない。” 神戸の街を六甲山から眺めたとき。 “「わたしがここ初めて来たんやったとしたら、この景色はどんなふうに見えるんやろうなぁ、 って。 穏やかな海が見える、きれいな街やなあ、ただそういうふうに見えるやろか。 それか、あれからもずっと働いてたり、住んでたりしてたら、毎日見続けてたら自分が生活してる、暮らしてる街として馴染んでいって、そういう風景に見えてたかもしれへん。 二十年以上経ったなんて、信じられへんけど、その間にあったたできごとは全部確かにあったことで、上の子は二十歳になるし、母は死んだし、私は四十四歳で、どの人にもどの場所にも、同じだけ時間が過ぎて、それは消えない” 始まりはすべて 続きにすぎない そして出来事の書はいつも 途中のページが開けられている 失なっても、残るものがある。 目に見えなくても、消えないものがある。 忘れてしまっても、色褪せてしまっても、僕を作ってきたものは確かに存在する。 引用された詩にあるように、続きの日々を新しく生きていくこと。 決して派手でも、目新しいわけでもないが、虚しく希望のない時代の中でも、日々を歩むことは、何かを作り出すことだと信じて。 終わらせてはいけないものに耳を澄ませて。 まだ始まらないものの胎動に目を凝らしながら。 今への違和感に向き合って、こだわりながら。
気づかずに忘れていたあの日々のこと、空気と、少しずつ降り積もっていった気持ちたち。 楽しいことはすべて制限されるのに仕事だけが通常モードになろうとする、働くだけの存在になれってこと? とか、 まんぼう とか、 ⚫︎度目の緊急事態宣言 とか、 また営業時間が変わるだけ とか、 え、これでもやるの?な...続きを読むオリンピック とか、 自宅待機 とか、 Go travelとか。 いくつかの並行世界が、なんとなく同じところで繰り広げられてるように見えていた世界が、 やっぱり並行世界は並行世界だったんだと気付かされるような出来事の数々。 もっとさかのぼって、東日本だったり阪神淡路だったり でもこの後だってたくさん更新されてしまってることたち どれもその瞬間その日々は影響を受けて少しずつ削られてすり減って なのに慣れてしまっていつしか忘れてしまう 優子が毎日川の見え方を確認する行為は、 自分自身の確認とともに、自分自身へのエールでもあったのかも。 でもほんとうに毎日は、このような些細なエールで築き上げられている
作品全体にコロナや震災という大きな出来事が横たわっているが、それとはまた別の小さな物語がていねいに綴られている。とりたてて特徴のない登場人物たちの、でもその人だけの悩み、気持ち、生き方。それを見過ごさないということ。なかったことにしないということ。 読み手である平凡なわたしの人生もまた、肯定されてい...続きを読むるように感じた。
石原優子、小坂圭太郎、柳本れい。 この3人の2020年から2022年までの日々や思いがそれぞれ記された小説。1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東北大震災、そして2020年からのコロナ禍。生活も考え方も変わらざるをえない出来事のなかで、どう生活をしなにを考えてきたのか。三人三様なのだけれど、細...続きを読むかく表現されていて、読みごたえがあった。共感することも多かった。「じわじわと。自分が削り取られていく感じ」とか。深く考えてしまうと、人と話すのは本当に難しく思えた。「わたしは、なにを言って、なにをしてきたか。わかっているのだろうか。」ということも、自分に当てはめて考えた。捉え方は人それぞれだから、普通に話すことは難しいと改めて思った。 「始まりはすべて 続きにすぎない そして出来事の書はいつも 途中のページが開けられている」 このシンボルスカの詩の一部分が、表現していることが今日も続いているんだな、と思った。柴崎友香さんの他作品も、これから読んでいきたい。
読みながら、コロナで自粛していた頃がとても遠くなって、細かいことを忘れていることに驚いた。でも確実に、あの経験は自分の何かを変えた。実際被害にあった1995年の震災も、テレビを見つめて心配だけしていた2011年の震災も同様だと思う。 目の前のことに追われて、でもその時その時は何かを感じ考えて、家族や...続きを読む周囲の人と共に一生懸命に生きている。ふと過去のことを思い出したり、未来のことを想像したり。死ぬその時まで、時間は短くなったり長くなったり始まったり終わったりしながら続いていく。 とても読みやすい小説なのに、とても深い何かが描かれているように思った。 シンボルスカの詩集読みたい。
砂地に水が染み込むような文章。 シンボルスカの詩を中心にコロナ下の3人を描く。 阪神の地震と東北の地震の記憶。それぞれのおいたちの記憶。過去からのつながり。 その時々の自分の思いがたちのぼってくるが、 コロナから2年経過した現在、コロナの頃の記憶が朧げになってることに驚く。地震のころの自分はありあ...続きを読むりと覚えているのに。。これはなんなのかな? シンボルスカの詩を読んでみたいと思った。 それから、世界は暗い方へ進んでる、という基調だったけど、そんなでもないよ、と言いたい。20年前に比べて、良くも悪くも世界の均質化は進んでる。それは良い面の方が多いんだよ。
あの日のことをコロナ禍に思う。 淡々と日々を過ごす中、過去を振り返り、今を思う。幸せとはなんだろうか。被災地や戦場の人々のことを想うことはあれど、何か具体的に行動を起こすわけではない。いる場所によっても距離感は違うのか。 ほんの数年前のことだけど、忘れていることだらけだなぁと感じた。 夢=仕事って風...続きを読む潮どうにかならんかなぁ。
別々の場所でそれぞれの人生を送る3人(30代後半の女性・石原優子、30代前半の男性・小坂圭太郎、40代半ばの女性・柳本れい)について、2つの大震災など過去の記憶も呼び覚ましながら、日本がコロナ禍の只中にあった2020年3月から2022年2月の2年間を描く叙事的長編小説。 自分自身の人生も含め、それぞ...続きを読むれの人生、時の流れなんかに思いを馳せさせてくれる実に良い小説だった。 本書のキーアイテムであるヴィスワヴァ・シンボルスカの「終わりと始まり」という詩集から抜粋される詩(特に、「戦争が終わるたびに誰かが後片付けをしなければならない」から始まる詩)も心に残った。
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きょうのできごと、十年後
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