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動物の言葉が分かる美苑は、植物学者で大学教授の父と、厳格な華道師範である母親と住む家の中庭やアトリエで、生き物たちの言葉に耳を傾けるのが日課だった。一方、学校では人付き合いが苦手で「空気が読めない」子として回りから距離を取られていた。ある日、目覚めると、前日まで元気だった父が急逝した事実を知らされる。そんな美苑に声を掛けたのは、父の同僚である児玉先生。大学の植物園で飼育されている子供のグリーンイグアナを育てないかと美苑に提案する。そして14年間、「ソノ」と名付けられたイグアナと共にアトリエで暮らし、充分満たされた生活を送っていたのだが、突然母から呼び出され、驚愕の通告を受ける。母の体に癌が見つかり余命は恐らく半年。その半年の間に結婚せよと言われ……。
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Posted by ブクログ
喪失のお話だけど、悲しみに充ちた雰囲気ではなく、悲しみを分かち合ったり、ケアされたり。人と繋がることで主人公が変わっていく。
あたたかい。寂しい。あたたかい。
こんなふうに思いが通じ合うことやみんなが温かく優しいことは、現実では難しいのかもしれない。だけど、こういう物語はすごく救いになる。
(以下ネタバレ。)
子ども時代から、主人公に近づく人たちが度々いるのに、人へ関心がない主人公。周りを寂しくさせていて、そのことにピンときていない。主人公も確かに誰かと繋がることを求めていて、だけど、うまくできなくて、どんどん閉じていって。話ができる動物たちとだけ過ごすようになっていく。
主人公が初めて引き受けた存在が蛇であり、そのあとのソノであり。
蛇の選択を静かに見送ったこと、この時に父が残したメッセージ、物語の中で大きな核になる部分だった。
私自身にも、すごく響いて、大切な言葉になった。
安全基地になる存在が必要。心が育っていったけど、大人になった主人公は、やっぱり人と距離を置いたまま。実母との確執も継続している。
父もソノも、彼女が外へ出ないことを心配していた。(ここでふとソノは父だったのか?と思った。違うとしてもかなり近い存在で主人公を見守っている対象という気がする。)
そこに、まず、少し強引に主人公に近づくキキの存在が、変化をもたらしていく。ソノ以外にも、つばめちゃん、キキ、真田くん、児玉先生、研究所室のメンバー、いろんな人がいろんなかたちで主人公を見守っている。そのことに気づいた主人公は次のステップに進もうとする。
主人公にとって、近寄りがたい存在だった母も、母には母の事情があって、少しずつ母子関係の緊張も溶けていく。母が主人公を大切に思っていることが主人公へきちんと伝わる。そこが、この物語をとても好きだと思った部分のひとつ。
本の帯に、「爬虫類系ハートフルノベル」って書いてあって笑った。その肩書は未だに謎だけど、とても素敵な小説だった。
Posted by ブクログ
「イグアナ?なんかグロテスクだなあ」が、最初の気持ちでしたが、表紙の絵は、そんな思いを吹き飛ばすように、夢があってとっても素敵!
主人公の八口美苑さんの小学生から大学院生までの、心の揺れ動きを読んでいると、励ましのエールを贈りたくもあり、共感する部分もありました。
彼女は、人との距離感をつかむこと、自分の気持ちを言語化することを苦手としていますが、ヘビや、イグアナとは心で会話ができます。
両親、友達との関係に悩む彼女の心が、最後には明るい方向に向かっていく過程は、読んでいて気持ち良かったです。
結婚だけに縛られない人間関係への気づき、本当に自分がやりたいことを見つけて、自信を持って生きていくことの大切さが伝わる小説です。
どの世代が読んでも良い本ですが、特にこれから社会に出る若者に、特におすすめです。
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