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江戸時代、さまざまな身の上を生きる武家の女性たちを、山本周五郎賞作家があざやかな筆致で描く、傑作時代小説集。
馬廻りを務める高梨家の娘・織江は、縁談の話が来てもおかしくない年齢になっている。あるとき彼女は、城下のはずれで行われる荒神さまの祭礼に出かけるのだが、思わぬ事態になり・・・・・・(「ぬばたま」)。
茅乃の夫・保科定八は勘定方の下役頭を務めているが、このところ顔色が冴えない。ある日彼女は夫から、藩政に関わる一大事を知らされて・・・・・・(「背中合わせ」)。
中老を務める小野寺家に嫁いだ雪絵は、兄から若い長身の男を小者として抱えるよう頼まれる。この男の出現が、彼女に思いがけぬ影響を与えていく(「嵐」)ほか全七話。
収録作品:ぬばたま/背中合わせ/嵐/緑雲の陰/深雪花/縄綯い/あねおとうと
【著者略歴】
砂原浩太朗(すなはら・こうたろう)
1969年生まれ。兵庫県神戸市出身。早稲田大学第一文学部卒業。2016年「いのちがけ」で第2回決戦!小説大賞を受賞。21年『高瀬庄左衛門御留書』で第9回野村胡堂文学賞、第15回舟橋聖一文学賞、第11回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞。22年『黛家の兄弟』で第35回山本周五郎賞を受賞。他の著書に『藩邸差配役日日控』『霜月記』『夜露がたり』『浅草寺子屋よろず暦』『雫峠』『烈風を斬れ』『冬と瓦礫』など。
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Posted by ブクログ
表題通り武家の女性たちの美醜両面の感情を描いた短篇集で各話短いなかバランスよく巧みに纏められているなと感じました。彼女たちの心模様の変化は武家という立場にあることで起こる出来事に端を発するわけですが、一方でその感情の根本的な部分にじっと焦点を絞ってみれば、そこに映るのは現代のわたし達にも覚えのある普遍的な人間の揺らぎです。やや飛躍した感想にはなりますが、自分とはあらゆるものが違う相手の中にも自分の知っている何かが顕れ得るのだと改めて刻み込むことは、分断や悪辣な糾弾の蔓延る時代に人が他者を同じ人として捉える為の手掛かりにもなるように思うのです。
Posted by ブクログ
タイトルの示す通り、武家の女性~藩主正室から下級武士の妻まで身分も年齢も様々~を描いた短編集です。短編「深雪花」は木内昇さんの『雪夢往来』にも出てくる江戸時代のベストセラー『北越雪譜』やその中に描かれた雪の結晶図にまつわる話です。
読み始めてすぐに、山本周五郎/藤沢周平の遺沢を継ぐという言葉が頭に浮かびます。それくらい良い。しかし、読み進めるにつれ。。。。
悪い訳では無いのです。でも、どこか抜けきれておらず、「型に嵌った」とか「技巧的」といった言葉が思い浮かびます。うまいな~と思う一面「らしさ」はどこにあるのだ?という感覚です。
まあ、周五郎の若い頃や周平のデビュー数年後の多作期の作品なんかも似たようなもの。彼らはそこから「自分らしさ」を突き詰めて名作を生み出して行きました。砂原さんも、自分の「らしさ」に向き合ってそうなって頂きたいものです。
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小説・文芸
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